この記事は2016年4月15日に公開されたものを、2019年6月28日に更新したものです。

 
 

豊橋の夏の風物詩といえば、誰もが思い浮かべる豊橋祇園祭

毎年7月の第3金曜日から日曜日にかけて開催され、2019年は7月19日(金)、20日(土)、21日(日)の3日間、吉田神社~豊川河原沿いが豊橋で最もアツい場所となる。

 
 

初日の金曜日は、吉田神社で大迫力の手筒花火があげられる。

町紋を背負い、炎に包まれる青年たちの勇姿は、息をするのを忘れるくらい見る者を圧倒する。
 
 

2日目の打ち上げ花火では、途切れることなく夜空を彩り続ける花火に観客は目を奪われる。
思わず笑顔を浮かべ、「おぉ~」と歓声をあげる観客が花火の明かりで照らされたとき、ホッと胸をなでおろす人々がいる。
 
 
ーー花火師たちだ。
 

 
 
今回は、豊橋祇園祭を支え続ける煙火会社のひとつ、豊橋煙火にお邪魔し、社長である加藤公丈さんにお話を聞いた。
 
 

加藤 公丈さん
豊橋煙火(株) 代表取締役
花火師
趣味:愛猫 トラちゃん と過ごすこと

 
 

歴 史

豊橋煙火のはじまり

豊橋煙火は、昭和26年に豊橋で花火作りを始めた。
 

加藤社長の祖父は蒲郡で煙火会社を営んでいたが、豊橋祇園祭を運営する奉賛会に「豊橋でも花火を作ってほしい」と依頼されたことを受け、加藤社長の父・賢造さんが豊橋市岩田(現在、豊橋市民球場がある場所)に豊橋煙火を立ち上げた。
 


石巻にある現在の本社
 

いつから花火作りを?と聞くと、「そんなもん、母から生まれてきた瞬間からだよ」と返す、2代目である加藤社長。
言葉通り、生まれながらにして家業である花火作りに携わってきた。
 
 

そんな加藤社長にいただいたお名刺の裏には、火薬のあとが付いており、真っ黒な職人の手を想わせた。
 


 
 

豊橋の花火

豊橋の花火の歴史は、江戸時代まで遡る。

豊橋以外の地域でも“手筒花火発祥の地”を語る地域はあるものの、加藤社長いわく、「論文やら研究やらでいろんな人が手筒花火の歴史を調べたが、どこから調べても、ここの地に行きつく」とのこと。
 

ここが発祥じゃないなんて絶対ありえない、と自信を見せる。
 
 

 
 

豊橋の花火といえば手筒花火を思い出させるが、実は打ち上げ花火も豊橋にゆかりがある。
 

江戸時代以来、「和火」という黒色火薬に鉄粉などを混ぜ合わせたものを燃やして光らせる花火が一般的だった。

そんな時代に、豊橋出身の花火師「仙賀佐十(せんが さじゅう)」は塩素酸カリウムを用い、鮮やかな光を放つ「洋火」という花火を作り上げた。
 

これは現代の花火の基本となっており、明治以降数えきれないほどの観客を感動させてきた。
 
 

豊橋煙火と豊橋祇園祭

手作業でつくる花火

祇園祭を控えたこの時期、豊橋煙火は1年で最も忙しい時期を迎える。
 

豊橋煙火には10人の花火師が在籍しており、花火作りに必要な数段階の工程をそれぞれの職人が分担している。

花火作りは火薬を扱う仕事のため、常に危険と隣り合わせだ。そのため、作業部屋で火薬を詰める職人たちの眼差しは、真剣そのもの。
 


 

玉皮(たまがわ)という半球の容器に、火薬を棒で叩いて隙間なく詰めるトントンという音が響き渡る。

“締め”と呼ばれるその作業が甘いと、火薬に引火した際の爆発のエネルギーが小さく、光が美しい放射線に広がらなくなってしまうらしい。
 
 

火薬を詰める作業は、花火そのものの形を決める工程であり、熟練の花火師にしかできない、大切な作業なのだ。
 


 
 

豊橋祇園祭への想い

豊橋煙火として祇園祭を支え、今年で56年目を迎える。

そんな加藤社長に豊橋祇園祭への想いを伺うと、「お客さんが怪我なく、花火を楽しんでくれたらそれで十分」と、多くは語らずも心から観客の安全を願う加藤社長“らしさ”が垣間見えた。
 


出番が待ち遠しい打ち上げ花火たち
 
 

花火職人たちが守る豊橋の歴史

 
花火の中には、1つ作り上げるのに丸1日以上かかるものもあるという。

けれどその花火も、夜空に打ち上げられればその輝きは一瞬のできごと。
 
 

夜空を彩る美しい花火の一つひとつが職人によって作られ、職人の手によって「豊橋の花火」の長い歴史が守られていることを、改めて気づかせてくれるインタビューだった。
 


 
 

【会社概要】
豊橋煙火 株式会社
代表:加藤 公丈
愛知県豊橋市石巻平野町字下大向野50
0532-88-4616
 
 
 
 

 
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