昨年度から豊橋市が行っている地域農業関係者×農業系スタートアップによる協働プロジェクトの「TOYOHASHI AGRI MEETUP」。
今年度も新しいプログラムがスタートし、6月には第1回アグリテック交流会が開催され、北は北海道・南は沖縄から計9社の農業系スタートアップが豊橋へ集まりピッチと交流会が行われました。
続いて8月に全3回のプログラムで行われるのが地域農業者向けのマッチングプログラム。農業者等がスタートアップとの協働開発に向けたマインドセットを行うとともに、アグリテックコンテストで解決策を公募する農業課題を明確化します。
農業者等がスタートアップとのより良い協働開発に向けた充実のプログラム内容、そのDAY1をレポートします!
全国でも珍しい “本気度” ! オープニング
まずは豊橋市役所の地域イノベーション推進室から改めて事業全体の説明や前年度のプログラムがこの1年でどう盛り上がっているかなどが紹介されました。
今回のような地域農業者向けプログラムがいかに重要か、ただのテックコンテストではなく地域の困りごとをしっかり練った上で解決案を募集するというのがTOYOHASHI AGRI MEETUPの特徴です。
これほど “本気” の協働プログラムは全国的にも珍しく、メディアの取材も増えているそうです。
また、本プログラムは「なんでもワイワイ言えるような場」でありコミュニティであることもお話がされました。会場に集まった皆さんからはどんな本音が出てくるのか? いよいよプログラムのスタートです!
現場から生まれる農業イノベーション~デザイン思考で農業を探る~
DAY1のプログラムは一般社団法人AgVenture Labによる講座からスタート。AgVenture LabはJAグループの組織で、食と農とくらしに関連した様々な社会課題の解決を目指して革新的なアイデアや技術をもった スタートアップ企業を募集・選抜、短期間で集中的に成長支援するJAアクセラレータープログラムなどを行っています。
AgVenture Lab公式サイト:https://agventurelab.or.jp/
不確実性の高い現代において、イノベーションを起こすことは簡単ではありません。そんな中で具体的にどのように農業でイノベーションを起こすのか? まずは「解決すべき課題の発見」が必要。技術がいかに向上しても、そもそも本質的な課題にたどり着かなければイノベーションは起こりません。
逆に言うと、”本質的な課題を明らかにすること” がイノベーションを起こしやすくするアプローチ! 課題を深堀して本質に近づいていく「デザイン思考」について特徴や事例が紹介されました。
デザイン思考は造形としての「デザイン」ではなく、デザイナーがデザインを考えるときに使う思考方法を使って課題を解決するイノベーションを生み出す手法。ひらめきや才能、センスは不要であり、大切なのはリアルな現場の声をもとに課題を深堀りすること。
講義の中ではデザイン思考に基づく身近な事例から全国的に注目されているアグリテックにおける事例がどのような本質的な課題にアプローチしたのかなど解説されました。ある事例では、スタートアップ企業の創業者が農家でアルバイトした経験がイノベーションに繋がったそうです。
「農家の皆さんも”開発の当事者”として一緒にイノベーションを起こしていきたい」というメッセージで講義は終了。ここからは本質的な課題はなにか?というデザイン思考のアプローチを実際にワークショップを通して実践していきます。
デザイン思考で課題発掘ワークショップ
「本質的な課題を見つける」といっても、具体的にどうすればいいのか? その第一歩が「顧客インタビュー」です。
後半のワークショップも引き続き一般社団法人AgVenture Labが講師を担当。「相手の目線に立って自分の気づかなかった点を引出そう」インタビュー時の声かけのポイントなどが紹介されました。
本質的な課題を見つけるためには、インタビューされた本人も ”今まで言語化できていなかった” ような気づきを探るのがポイント。いくつかのステップに分けて解説とワークが行われます。
まずは個人ワークで年間の行動と心情の洗い出し。講師陣からのアドバイスも受けながら、皆さん真剣に取り組まれていました。
続いては、グループになって顧客インタビューによる行動の深堀りです。
顧客インタビューが大事と言われても、いざ実践しようとするとなかなか難しいもの。具体的なインタビューの流れをロールプレイを交えながらわかりやすく学ぶことができました。会場の方々もリラックスした空気の中で学びつつ実践することができているようでした。
インタビューした内容を付箋でまとめながら、ここでも講師陣がグループごとにアドバイスを行いつつグループで課題の深堀りを行います。
絶えず話し合いが進む様子からは参加者の皆さんの “本気度” が伝わってきました。長いようで短いワークショップも終わりに近づき、全体発表が行われます。
各チームからは短い発表時間ながらも、時に情熱的に、インタビューによってわかった「グループにとって一番の気づき」が発表されました。
イノベーションの芽をどう育てる? DAY2へ続く
DAY1の最後には、それぞれの発表内容に対する総評や生産者・民間・事務局が協力することの大切さなどがお話されました。次回までの宿題もあり、さらに課題が深堀りされていくようです。
次回のテーマは「バリューチェーンへの落とし込み」。顧客インタビューで見つけた “気づき” を実際のビジネスにどう落とし込むのか? TOYOHASHI AGRI MEETUP マッチングプログラムDAY2へ続きます。