商社とは

商社は、メーカーと消費者や企業をつなぐ重要な役割を担い、商品の売買や流通を手掛ける企業です。日本の産業に大きく関わる仕事であり、やりがいを感じられるでしょう。一方で、仕事量が膨大で忙しいのも特徴です。

この記事では、商社の仕事内容や向いている人の特徴、メリット・デメリットを解説します。商社への転職を検討している方は、ぜひご覧ください。

商社とは

商社1とは

商社とは、商品の売買や流通を行う企業であり、製品の製造をせずにメーカーと消費者や企業をつなげる役割があります。商社には、あらゆる分野にまたがる事業を展開する「総合商社」と、特定の分野に特化した「専門商社」の2種類があります。

総合商社はエネルギーや金属、食品などからコンビニの経営など幅広い分野を扱い、大規模な国際取引も行います。幅広く展開することでリスクを分散できるのが強みです。

一方、専門商社は医薬品や食品など特定の分野に特化したサービスを扱っています。特定の分野に特化しているため、豊富に蓄積されている経験とノウハウから事業展開できるのが強みです。

商社の仕事内容

商社_仕事内容

商社の仕事内容を4つ紹介します。

  • 営業|企業間をつなげる仕事
  • 営業事務・貿易事務|デスクワークや手続きを行う仕事
  • 事業企画|経営戦略を立案を行う仕事
  • システムエンジニア|システムの構築や運営を行う仕事

それぞれの仕事内容を解説していきます。

営業|企業間をつなげる仕事

商社の営業は、商品の売買交渉や提案を行い、企業間の取引を円滑に進める役割を担います。クライアントとの信頼関係の構築が必要であり、高いコミュニケーション能力や交渉力が必要です。取引先のニーズを把握し、最適な解決策を提案することでビジネスチャンスを生み出します。

また、営業は商品を販売するだけでなく、市場分析、新規顧客の開拓、仕入れ先の確保などさまざまな業務も担当し、プロジェクト全体の進行に関わります。

営業事務・貿易事務|デスクワークや手続きを行う仕事

営業事務は、営業のサポートを行う仕事です。主に、商品の受発注や在庫管理、納期管理、資料作成、顧客対応などを行います。例えば、総合商社では幅広い事業を展開しているため、さまざまな知識を身に着けておくと業務がスムーズです。

一方で、貿易事務は輸出入に関する手続きを担い、輸送スケジュールや通関処理を管理します。特に貿易事務では、海外の取引先との調整や国際規格に従う必要があり、語学力や法律の知識が求められる場合もあります。

両者とも企業間の円滑な取引を支える重要な役割を果たし、慎重な事務処理能力や柔軟な対応力が求められます。

事業企画|経営戦略の立案を行う仕事

事業企画は、新しい事業の立案から実行までを行い、商社の成長や収益拡大を目指す仕事です。市場調査や競合分析を通じて、ビジネスチャンスを見極め、収益を最大化するための戦略を立てます。

プロジェクトの予算管理や進行状況の監視、関係部署との調整も行い、企業全体の方向性を決定する重要な役割です。論理的な思考力や各部署と柔軟にコミュニケーションを取る能力が求められます。

システムエンジニア|システムの構築や運営を行う仕事

商社のシステムエンジニアは、商社の業務に合わせたシステムの構築や運用、保守を行い、ITの観点からビジネスを支える仕事です。取引や物流の効率化を図るためのシステム開発、データ管理を行い、業務の円滑な進行を支えます。

また、営業や貿易、財務など、さまざまな業務の知識が求められます。商社のビジネスを理解し、それに基づいたシステム設計を行うことが大切です。ビジネスは市場や顧客ニーズに応じて変化するため、業務の変化に合わせてシステムを改善・更新する対応力も求められます。

商社とメーカーの違い

商社とメーカーの違い

商社とメーカーの大きな違いは、製品の製造を行うか否かです。商社は製造を行わず、国内外から調達した製品を取引先に供給するのが主な役割です。一方、メーカーは自社で製品を開発・製造し、出荷まで行います。

メーカーは商品そのものの強みを持ち、品質管理や製造技術に優れていますが、商社は広範なネットワークや取引経験に強みがあり、柔軟な取引形態を提供できる点が特徴です。その他の違いについても表で解説します。

商社 メーカー
役割 商品の仲介・流通、取引先への商品提供や販売サポート 商品の企画、設計、製造を行い、製品を直接生産
業務内容 輸出入取引、販売代理、在庫管理、流通調整 製品の研究開発、製造、品質管理、出荷
生産設備人 生産設備を持たない 自社の生産設備や工場を持ち、製品の製造・開発を行う
収益源 取引手数料、輸出入手数料 製品の販売価格の利益分

上記のような違いがあることを理解しておきましょう。

商社に転職するメリット

商社転職メリット

商社に転職するメリットは3つあります。

  • 大規模な事業を経験できる
  • グローバルな仕事に携われる
  • 好待遇が期待できる

各メリットについて解説していきます。

大規模な事業を経験できる

商社は日本の産業において大規模な事業に関与する機会が多く、プロジェクトの規模が大きいためにやりがいや達成感が得られます。例えばインフラ整備やエネルギー供給に関連する仕事では、日本全体を支える重要な役割を担うこともあります。

このようなスケールが大きい環境で働くことは、他業界では難しいです。コミュニケーションや柔軟な対応力、幅広い知識が求められるため、商社への転職は、ビジネスでの多面的な視野を養う絶好のチャンスといえるでしょう。

グローバルな仕事に携われる

商社は、複数の国と取引し、輸出入業務、現地法人の運営、国際的なプロジェクトなどを手掛けています。そのため、グローバルなビジネスの最前線で活躍する機会が豊富です。海外の企業と関わりながら、異文化交流やグローバルな視点での取引経験を積めるのは他業種にあまりない特徴です。

このような仕事では、語学力や異文化理解力が必要とされるものの、世界各地での経験は自身のスキルや価値観を成長させる貴重な機会になります。

好待遇が期待できる

商社は高い収益性を持つため、福利厚生や給与といった好待遇が期待できます。日本の産業を支える基幹産業であるため、特に大手商社では社員の福利厚生や報酬が手厚く、キャリアに応じて昇進やボーナスも期待できます。また、海外赴任手当や住居補助などの福利厚生も充実している企業が多いです。

また、商社は多くの分野に投資しているため、景気の変動に対するリスク分散が図られていることも影響しています。他業界に比べて収益基盤が安定しており、業績に左右されにくいため、安定した待遇を期待できます。

商社に転職するデメリット

商社転職デメリット

商社に転職するデメリットは2つあります。

  • 仕事量が膨大で忙しい
  • 転勤や異動が多い

それぞれ解説していきます。

仕事量が膨大で忙しい

商社の仕事は、受発注管理や在庫調整、価格交渉、取引相手との調整業務に加え、新しいビジネスチャンスを見つけるためのリサーチや提案業務など多岐にわたります。また、商社ではプロジェクトが進行する中で急な変更やトラブルが発生することがあり、迅速な対応が求められます。取引先が海外の場合は、時差の影響もあり、夜間や早朝に連絡を取る必要が出ることもあります。

これらの業務を円滑にこなすためには、常に高いスキルと柔軟な対応力が求められるため、働く時間も長くなりがちです。このように、仕事量の多さや急な対応が必要になることから、忙しいと感じる社員も少なくないです。

転勤や異動が多い

商社では国内外への移転や転勤が多く、将来の計画を立てづらいです。多くの商社は、新しいビジネスチャンスを広げるために、異動や転勤を行っています。特に海外駐在の機会も多く、語学力や異文化対応力を高める機会がある一方で、異動先が急遽決まることや短期間での移動を求められることもあります。

転勤や異動が多いと、家族がいる社員にとっては生活環境を頻繁に変えなければならず、家族への負担も大きくなるでしょう。また、異動によって業務内容が大きく変わる場合もあり、そのたびに新しい知識やスキルの習得が必要です。こうした変化に柔軟に適応することが求められ、転勤や異動を頻繁に行うことで負担を感じやすいです。

商社が向いている人の特徴

商社向いている人の特徴

商社が向いている人の特徴は3つあります。

  • 臨機応変に対応できる
  • コミュニケーション能力が高い
  • 責任感がある

それぞれの特徴を詳しく解説していきます。

臨機応変に対応できる

商社は多様な企業と取引するため、予期しない事態にも迅速に対応できる能力が重要です。例えば、顧客の急な要望に応じたスケジュール調整や、海外取引でのトラブル対応など、迅速で的確な対応が求められます。

また、商社の業務は多岐にわたり、扱う商品やビジネス内容も頻繁に変化するため、臨機応変な対応が必要です。例えば、商品ラインの入れ替えや市場のニーズ変化に対して対応策を考え、適応することが求められます。このような柔軟性がある人は商社に向いており、顧客や取引先からの信頼を築くことにもつながるでしょう。

コミュニケーション能力が高い

商社はメーカーと顧客、さらには物流業者や金融機関など、さまざまな関係者との間に立って取引を進める仲介役を担うため、常に多くの人と連携を取る必要があります。そのため、商社で働くには、関係者と円滑にコミュニケーションを図るスキルが重要です。

例えば、顧客の要望を的確に理解し、必要な情報をメーカーに伝えるといった調整力や、トラブルが発生した際には冷静に状況を整理し、解決に向けて関係者と協力する力が求められます。また、国際取引が多い商社では、異文化を理解し、相手の立場やビジネス習慣に配慮しながら交渉を行うスキルも重要です。このように、相手に合わせた柔軟なコミュニケーションが取れる人は、商社に向いているといえます。

責任感がある

商社の取引は大規模であり、影響力が大きいため、担当者の判断や行動が結果に大きく影響します。業務には高額な取引や長期契約も含まれるため、一つのミスや対応の遅れが、企業の信用に関わります。

また、複数のプロジェクトを同時に担当するケースも多く、どの業務にも責任感を持って優先順位を決定し、成果を出す姿勢が大切です。商社での業務には、状況が不確実な場面も多いですが、責任をもって自発的に行動できる人は商社に向いていると言えます。

大規模な事業に携わりたい人は商社への転職も考えてみよう

商社キャリア採用のコンサルタントチーム

商社とは、商品の売買や流通を行い、メーカーと消費者・企業をつなげる企業です。主な業務は、営業、営業事務・貿易事務、事業企画、システムエンジニアなどがあり、いずれも企業間の円滑な取引を支えます。

商社に向いている人の特徴は「臨機応変な対応力がある」「高いコミュニケーション能力がある」「強い責任感がある」の3つです。商社では、大規模な事業経験やグローバルな仕事、好待遇が期待できますが、仕事量や転勤の多さがデメリットになります。

商社のメリット・デメリットを理解したうえで、大規模な事業に携わってみたい方は、商社への転職も視野にいれてみましょう。