退職代行転職

退職代行は、退職を本人の代わりに会社へ退職の意思を伝えるサービスです。近年、その利便性から注目度が高まっていますが、一方では「退職代行を使うと次の転職活動において不利になるのでは…?」といった懸念も聞かれます。

そこで本記事では、退職代行の利用は果たして本当に転職活動において不利になるのかどうか、また、利用の事実が転職先に伝わったってしまった場合でも影響を最低限に抑えるための方法などを解説します。

ぜひ、退職代行の利用を検討する際にお役立てください。

【結論】退職代行の利用は転職に不利にはならない!

退職代行転職不利

結論からいうと、退職代行を利用した事実によって転職が不利になることはほとんどありません。

そもそも退職代行とは、労働者本人の代わりに、弁護士や退職代行業者が勤務先へ退職の意思を伝えてくれるサービスのことです。上司への気まずい申し出を避けられるだけでなく、電話やチャットツール、メールといったシンプルなやり取りだけで退職代行の依頼が完了します。

そして退職代行の利用歴は、基本的に転職先に知られることのない項目です(その理由は次章で詳しく説明します)。転職先に知られなければ、退職代行を利用した事実が原因で転職が不利になることもありません。

退職代行を利用しても転職先に知られない理由は4つ

退職代行知られない

先にも触れたとおり、退職代行を利用して退職した事実は転職先に知られることがないのが通常です。ここでは、その理由を4つ紹介します。

理由①前職調査は禁止されているから

「前職調査」とは、転職先の企業が応募者の経歴や勤務態度などを確認するために、以前勤めていた会社に問い合わせを行う行為のことです。

かつては多くの企業で行われていましたが、現在では、調査対象者本人の同意なしに前職調査を行うことは個人情報保護法第27条(第三者提供の制限)に抵触する可能性があり、原則として禁止されています。

ただし、職員の信頼性が高く問われるような一部業界では、現在も慎重な形で調査が行われているケースが考えられます。

参考:個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)|e-Gov

参考:「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン (第三者提供時の確認・記録義務編)」|個人情報保護委員会

理由②前職は個人情報を無断で提供できないから

前出の個人情報保護法第27条(第三者提供の制限)では、企業が退職した従業員の個人情報を本人の同意なしに第三者へ提供する行為についても明確に禁止されています。

つまり、転職先の企業だけでなく、退職した企業側にも従業員のプライバシー保護に細心の注意を払う義務があるということです。そのため、退職した企業が退職代行の利用の有無を含む個人情報を開示することはありません。

理由③退職代行サービスの利用歴を転職先に伝える必要はないから

実は転職者には、退職代行を利用して前職を辞めた事実を転職先に伝える義務はありません。もちろん、面接で聞かれたことに正直に答えるのは大切なことですが、退職代行の利用というあくまで個人的な事情を自分から積極的に話す必要はないのです。

一般的に、転職先から退職代行の利用歴を問われることはほとんどないため、自分から話さない限り、転職先に退職代行利用の事実が知られることはまずないと考えてよいでしょう。

理由④退職代行業者はプライバシーを遵守しているから

退職代行業者にとって、依頼者のプライバシー保護は最重要事項です。依頼者の個人情報はもちろん、契約内容や退職に至った経緯など業務を通じて知り得た情報は厳重に管理しています。

それはなぜかというと、多くの退職代行業者はSNSやインターネット上の口コミを通じて集客を行っているためです。もし、退職代行業者から転職先に情報が漏えいするような事態が発生すれば、その業者の信頼は大きく失墜し、事業の継続は困難となるでしょう。

そのため、退職代行業者からも退職代行利用の事実が転職先に伝わる可能性はほとんどないといえます。

退職代行利用の事実を転職先に知られてしまうケース

退職代行知られるケース

ここまで、退職代行を利用しても転職先に知られない理由を紹介してきました。しかしこれはあくまでも理論上のことで、実際には転職先に100%知られないわけではありません。

では、どういった場合に転職先に知られてしまうのでしょうか?ここでは、知られてしまうおそれのある主なケースを3つ紹介します。

ケース①同業界・同地域への転職

退職した会社と転職先の企業が同じ業界や同じ地域に属している場合は、退職代行利用の事実が転職先に伝わってしまうリスクが通常より高まります。特に、参入事業者が限られている業界や、人口が少なく地域社会のつながりが強いエリアなどでは、人事担当者や社員同士の個人的なつながりから、退職の経緯がうわさとして広まってしまうケースがあります。

ケース②SNSなどでの発信

近年、採用活動の一環として、企業の採用担当者が応募者のSNSアカウントをチェックするケースが増えています。そのため、もしSNSなどで退職代行を利用したことや、退職時のトラブルなどを不用意に発信してしまうと、それが転職先の担当者の目に触れてしまうおそれがあるのです。

匿名性の高いSNSであっても、投稿内容から個人が特定されることもあるため、リスクをしっかりと認識したうえで発信を行う必要があります。

ケース③面接で自ら伝えてしまう

先ほど少し触れましたが、転職先の面接でうっかり退職代行利用の事実を面接官に話してしまうケースもあります。面接では緊張するもので、つい口を滑らせてしまうこともあるでしょう。なかには、面接官から退職理由を深く掘り下げられることなどもあるようです。

退職代行を利用しても転職に影響を及ぼさない方法

退職代行影響

退職代行を利用したことを転職先に知られてしまったとしても、事前の準備や行動次第で、転職への悪影響を最小限に抑えることが可能です。ここでは、具体的な対策を紹介します。

スムーズに退職できるよう準備しておく

退職代行を利用すれば会社との直接的なやり取りを避けられますが、だからといってなにも準備しないまま退職してしまうのは危険です。退職前の準備次第では、前職とのあいだにトラブルが生じてしまうかもしれません。

例えば、退職代行を利用して退職する場合でも、引き継ぎ資料や業務の進捗報告などは作成しておくべきです。これにより、突然の退職に対しても周囲の人たちがスムーズに対応しやすくなります。

関連資料をていねいに作成し、わかりやすく整理しておくなど、円満な退職に向けてできる限りの配慮をするよう心がけましょう。前職との不要なトラブルを防ぐことは、結果的に悪評判が転職先に伝わるリスクを低減することにつながります。

退職代行を利用したことを周囲に明かさない

退職代行を利用した事実は、SNSでの発信はもちろん、家族や親しい友人など、周囲の人にも極力話さないのが理想です。利用の事実を知っている人が多ければ多いほど、情報が漏洩し、転職先に伝わってしまうリスクが高まります。

特にSNSは思わぬ形で情報が拡散される可能性があるため、退職に関することは一切発信しないのが賢明です。

信用度の高い退職代行業者を選ぶ

実績が豊富で、なおかつスタッフの対応がていねいで信頼できる退職代行業者に依頼することも、転職への影響を抑えるうえで重要です。業者の公式サイトや口コミサイトなどを活用し、実績や評判などをしっかりと確認しましょう。また、顧問弁護士や労働組合が運営に関わっているなど、信頼性の高い業者を選ぶこともポイントです。

さらに、最近は転職サポートも提供する退職代行業者も登場していきています。転職活動も見据えて、そうした退職代行業者を選ぶのも手でしょう。

退職代行を利用すること自体に問題はない

退職代行_問題

退職代行は、法律に従って手続きを代行する正当なサービスです。そのため、サービスを利用すること自体は、決して後ろめたいことではありません。

もし退職代行を利用した事実が転職先に知られたとしても、例えば「ハラスメント被害に遭っていた」「会社との退職交渉が困難だった」など、やむを得ない理由をしっかりと説明すれば、転職に悪影響を及ぼすことは少ないでしょう。むしろ、心身を疲弊させながら無理に退職交渉を続けるよりも、プロの力を借りてスムーズに退職し、新たなスタートを切る方が、長期的に見てプラスになることもあります。

まとめ:退職代行の利用は転職に不利にならない!切り替えて前向きに転職活動に踏み出そう!

繰り返しになりますが、一般的に、退職代行を利用した事実が転職に不利には働くことはありません。 さらにいえば、転職先に知られる可能性自体も低いうえ、万が一知られたとしても、適切な対応をすれば悪影響を最小限に抑えられます。

大切なのは、退職代行を利用した事実にとらわれすぎず、前向きに次のキャリアへと進むことです。

今回の情報を参考に、安心して退職代行を利用し、新たな一歩を踏み出してください。