短期離職

「また辞めてしまった」「今の会社も、もう限界かもしれない」。そう感じながらも、頭の片隅で「短期離職を繰り返すと人生終わりなのでは」という不安がよぎっていないでしょうか。

結論からいえば、短期離職をしたからといって人生が終わることはありません。一つの会社に定年まで勤め上げるという働き方自体が、以前ほど当たり前ではなくなってきています。とはいえ、「だから短期離職を繰り返しても平気だ」というわけでもないはずです。「できれば腰を据えて働きたい」という気持ちがあるのなら、その思いを大切にしてほしいと思います。

この記事では、短期離職への漠然とした不安をほぐしたうえで、次こそ長く働ける職場に出会うための対策を考えていきます。

「短期離職=人生終わり」は本当か

短期離職について

インターネット上では「短期離職は人生終わり」といった強い言葉を見かけることがあります。

一方で「転職したことがない人は視野が狭い」という声もあり、結局のところ、転職をしてもしなくても、短期間で辞めても長く勤めても、他人の選択の背景を詳しく知らないまま批判的な目を向ける人はどこにでもいます。

そうした無責任な匿名の言葉に、いちいち振り回される必要はありません。

そもそも、終身雇用を前提とした働き方は、社会全体で見ても唯一の正解ではなくなってきています。転職を通じてキャリアを築いていくこと自体は、珍しい選択ではなくなりつつあります。

短期離職者の人生は「終わっている」のか

少し想像してみてください。あなたの周りにも、短期間で職場を変えた経験を持つ人がいるはずです。その人たちの人生が、本当に「終わっている」と思うでしょうか。おそらく、そうは思わないはずです。短期離職は経歴の一部であって、人生の価値そのものを決めるものではありません。今、不安を感じているあなた自身についても同じことがいえます。

短期離職が悪いとは限らない理由

短期離職そのものが、必ずしも悪いわけではありません。スキルアップや経験の幅を広げる目的で、2年から3年程度のスパンで意図的に職場を変えるというキャリアの築き方をする人もいます。実力や成果が重視される職種、専門性を積み重ねていく職種などでは、在籍期間の長さよりも、そこで何を身につけ、何を成し遂げたかが評価される場面も少なくありません。業界や職種によって、短期離職への見方には差があるということです。

長く働ける職場を見つけるために、辞める前に考えたいこと

短期離職理由

短期離職そのものは人生を左右するものではないとはいえ、「できることなら、次こそ長く腰を据えて働きたい」と感じている人は少なくないはずです。「辞める→転職活動をする→新しい環境でいちから人間関係や仕事を覚え直す」という一連の流れを短期間で繰り返すことに、負担を感じるのも無理ないでしょう。

また、企業側にも採用や教育にコストをかけている以上、できるだけ長く働いてほしいという事情があります。転職活動を進めるうえでも、こうした企業側の視点を理解しておくことは、ビジネスパーソンとして無駄にはなりません。

次の職場では長く働きたいと考えているなら、辞める前、あるいは転職活動を始める前に、一度立ち止まって考えてみてほしいことがあります。

辞めたくなる理由を掘り下げる

まず、なぜ今の職場を短期間で辞めたくなっているのか、その理由を自分なりに掘り下げてみてください。原因が対人関係にあるのか、それとも仕事内容にあるのかによって、次に取るべき対策は変わってきます。

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対人関係が理由であれば、どのような条件が揃うと辞めたくなるのかを具体的に考えてみましょう。上司との相性なのか、チーム全体の雰囲気なのか、特定の人間関係なのかによって、次の職場選びで注意すべき点が見えてきます。

仕事内容が理由であれば、何が自分に合わなかったのかを掘り下げます。業務のスピード感が合わなかったのか、裁量の少なさが苦痛だったのか、単純に得意でない業務が多かったのか。自分の得意・不得意を改めて棚卸しすることで、次に選ぶべき仕事の方向性が見えてきます。

なお、心身の不調が背景にあって職場を離れたくなっているケースもあります。もし思い当たる場合は、無理に自己分析だけで片づけようとせず、医療機関や専門の相談窓口に相談することも選択肢に入れてください。

辞めたくなる環境の「反対」から次に求める条件を言語化する

辞めたくなる理由が見えてきたら、その反対の環境を考えてみましょう。例えば、裁量が少ないことが不満だったなら、次は裁量を持って働ける環境を求める、といった具合です。

このとき、出てきた条件をすべて「絶対に譲れない条件」として扱うのではなく、譲れない条件と、多少妥協できる条件とに分けて整理することをおすすめします。すべての希望が完璧に叶う職場は、現実的にはなかなか存在しません。

優先順位をつけておくことで、転職活動の中で条件を比較検討しやすくなります。

自分だけで判断せず、第三者の視点を借りる

短期離職判断材料

辞めたくなる理由や、次に求める条件を自分なりに整理できたとしても、自己分析だけでは見えていない偏りや思い込みが残っていることがあります。ここで、第三者の視点を借りるという選択肢を持っておくと、判断の精度を上げやすくなります。

キャリアカウンセリングを活用する

公的な機関または民間の企業や個人が実施するキャリアカウンセリングを活用するのも一つの方法です。自分では気づきにくい強みや、向いている働き方の傾向について、第三者と対話しながら客観的に整理してもらえるのは、一人で考え込むよりも効率的です。

最近では「ChatGPTに相談している」など、AIを相手にキャリアを相談する人も増えてきました。AIが返してくれる回答にも「なるほどな」と納得できることや参考になることは大いにあるでしょう。しかし、人が実施するキャリアカウンセリングには「言葉にならない部分まで汲み取ってくれる」というアドバンテージがあります。

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現時点において一般に普及しているテキストベースのAIチャットでは、入力された情報をもとに応答するため、本人が言葉にできていない感情や違和感まで拾い上げるのは苦手です。

相談者自身がまだうまく言語化できていない不満や迷いを、表情や声のトーン、会話の間合いから察知し、「もしかしてこういうことですか」と問いを重ねながら引き出してくれるカウンセリングを受けられれば、短期で離職したくなる原因や、次の職場選びで何に気をつければ良いのかをより深いレベルで理解できるはずです。

適職診断で自己理解を深める

対話形式のカウンセリングに抵抗がある場合は、まず自分一人で使える診断ツールから始めるのも一つの方法です。厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」では、職業興味検査や仕事価値観検査といった診断機能が用意されており、自分の興味や価値観の傾向から、向いている職業の方向性を確認することができます。

参考:job tag 自己診断ツール(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/InterestTest/Step2)

こうしたツールは、転職活動を始める前の段階で、自分の方向性を整理する材料として活用できます。診断結果を鵜呑みにする必要はありませんが、自己分析の一つの手がかりとして役立ててみてください。

短期離職の経歴を面接でどう伝えるか

短期離職_転職面接

次の職場を探すにあたっては、これまでの短期離職の経歴を、面接でどう伝えるかも気になるところだと思います。嘘をつく必要はありませんが、伝え方によって面接官に与える印象は変わってきます。

「人間関係が嫌だった」「仕事がつまらなかった」といった退職理由を、そのままの言葉で伝えてしまうと、たとえ真実であっても面接官には後ろ向きな印象を与えかねません。「もっと裁量を持って業務に取り組める環境を求めて転職した」「専門性を高めるために、あえて環境を変えてきた」というように、自分が何を求めて転職してきたのかという軸で伝えると前向きな印象になります。

大切なのは、事実を偽ることではなく、辞めたくなった理由を掘り下げる中で見えてきた「自分が何を求めているか」を、面接官にも伝わる言葉に変換することです。

短期離職で人生は終わらない。長く働ける環境を立ち止まって考えてみよう

短期離職を繰り返してきたからといって、人生が終わるわけではありません。ただ、次こそ長く腰を据えて働きたいと考えているのであれば、辞めたくなる理由を掘り下げ、次に求める条件を言語化し、必要であれば第三者の視点も借りながら、転職活動の準備を進めていきましょう。

遠回りに思えて焦る気持ちもあるかもしれませんが、自分に合う環境や仕事を立ち止まってじっくり考えるチャンスととらえてみてはいかがでしょうか。

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