
在職中から転職活動を始めるか、先に退職してから転職活動をするほうがよいのか、迷う方もいらっしゃるでしょう。転職活動の開始時期は、自分自身や求人の状況などを考えて、適切に決める必要があります。
この記事では、在職中または退職後に転職活動を始めるメリットとデメリットを解説します。開始時期によって成功のポイントも異なるため、どちらが自分に合っているかを見極めて、転職活動の時期を判断しましょう。
転職活動は在職中・退職後どちらでもよい
転職活動を始める時期は、在職中でも退職後でもどちらでもかまいません。在職中に始めなければならないことも、退職後に始めると選考に不利になることもないからです。
在職中・退職後どちらにもメリットとデメリットがあります。一方だけでなくどちらも理解したうえで、自分の状況や希望に照らし合わせて、自分に合った時期に始めることが大切です。
退職後に転職活動を始めるメリット・デメリット
転職先が決まる前に退職してしまうと選考に不利になるのではないかなどとマイナスなイメージを持たれるかもしれません。しかし、退職後の転職活動には、デメリットだけでなくメリットもあります。
この章では、退職後に転職活動を始めるメリット・デメリットそれぞれを詳しく解説します。メリット・デメリットを理解できれば、自分に合った転職時期を見極めるのに役立つでしょう。
退職後に転職活動するメリット
退職後に転職活動を始めるメリットは、主に以下の通りです。
- 転職活動に集中できる
- 時間的・体力的に余裕をもてる
- 面接日を調整しやすい
- 入社日を転職先の都合に合わせられる
在職しながら転職活動をおこなうと、仕事と転職どちらのことも並行して考えなければなりません。また、まとまった時間を仕事に充てなければならないため、転職活動に割く時間が限られてしまいます。
退職後に転職活動をすれば、仕事に気を取られることなく転職活動に集中できるでしょう。転職活動に使う時間を増やせるため、企業研究や自己分析など準備に時間をかけられるメリットもあります。退勤後に面接に行く必要もなくなり、時間的にも体力的にも余裕を持って転職活動を進められます。
また、昼間でも予定を自由に組めるため、面接日を調整しやすいのもメリットです。応募先の都合に合わせてスケジュールを調整できて、スピーディに選考を進められます。入社日も転職先の企業から指定された日程に合わせられ、企業から喜ばれるでしょう。
退職後に転職活動するデメリット
退職後の転職活動には、以下のようなデメリットもあります。
- 収入がなくなる
- キャリアのブランクができる
- 転職先が決まらなくても前職に戻れない
- 転職活動が長引くとモチベーションを保ちにくい
転職先が決まる前に退職すると、収入が途絶えてしまいます。転職先が決まるまでに時間がかかれば、経済的に不安定な状態が長引いてしまい、精神的にも負担が大きくなります。
また、キャリアにブランクができるのもデメリットです。短期間のブランクなら選考に不利になることはありませんが、長期間に及ぶと応募先から理由を尋ねられる場合もあります。
さらに、なかなか納得のいく転職先が決まらず、退職したことを後悔しても前職には戻れません。転職活動が長引くと「もう転職できないのではないか」「条件を変えたほうがいいのではないか」と不安になり、焦って希望に合わない企業に転職してミスマッチを起こす可能性もあります。転職活動を続けていくモチベーションを保ちにくくなるでしょう。
在職中に転職活動をするメリット・デメリット
在職中に転職活動を始めるのにもメリットとデメリットがあります。メリットだけではなくデメリットも理解することにより、無理なく転職活動を進められるでしょう。
ここからは、在職中に転職活動をするメリットとデメリットを解説します。
在職中に転職活動するメリット
在職中に転職活動を始める主なメリットは以下のとおりです。
- 収入の心配がない
- ブランクができない
- 応募先と現職を比較できる
- 転職をやめて現職を続けることもできる
在職していれば、収入が途絶える心配がありません。経済的不安がなければ、焦って転職先を決める必要がないため、じっくりと腰を据えて転職先を選べます。、退職後にすぐ入社できるため、キャリアにブランクができるのを避けられるのもメリットです。企業側も、継続して働き続けられる人材だと安心できるでしょう。
また、転職活動中にさまざまな企業と現職を比較して検討できるため、転職先の良いところや良くないところを具体的にイメージできます。比較していく過程で、現職の良いところを発見し、転職をやめる選択をする可能性もあります。
仮に納得のいく転職先が見つからなかったり内定をもらえなかったりした場合は、転職活動を中断して現職で働き続けることも可能です。転職するか現職に留まるか選択肢が広がるのも、在職しながら転職活動をするメリットのひとつといえます。
在職中に転職活動するデメリット
一方、在職中に転職活動を始めると、主に以下のようなデメリットがあります。
- 仕事と転職活動で忙しい
- 面接日の調整が難しい
- 入社日と退職日を調整する必要がある
仕事をしながら転職活動をするのは忙しいです。退勤後や休日など仕事以外の時間に企業研究や面接などに時間を充てることになり、プライベートな時間を削らなければなりません。
また、仕事のない時間に面接を設定しなければならないため、日程調整が必要です。応募先の予定と合わなければ面接できるまで時間がかかってしまい、急いで人材を確保したい企業の場合は選考のチャンスを逃してしまう可能性もあります。
転職先が決まって入社日を設定する際も、現職の退職日と調整しなければなりません。法律では退職を申し出てから2週間で退職できますが、企業によってはより早い時期に退職したい旨を伝えるよう社内規程で定められているケースもあります。2週間前に退職したいと告げても、引継ぎ等を考慮すると円滑な退職は難しくなるでしょう。内定先の希望入社日と合わなければ、日程を調整しなければなりません。
転職先を決める前に退職する場合の注意点
転職先が決まる前に現職を退職する場合に、注意すべき点があります。注意点を前もって把握しておくと、転職してから慌てないように準備しておけます。
主な注意点は以下のとおりです。
- 当面の生活費を貯金しておく
- 辞める理由を明確にしておく
- 規則正しい生活をする
- スキルアップをはかる
以下に詳しく見ていきましょう。
当面の生活費を貯金しておく
転職先が決まる前に退職すると、収入源がなくなり、経済的に不安定になる恐れがあります。不安を少しでも減らすために、当面の生活費を貯金しておくとよいでしょう。
退職後に条件に当てはまれば、失業保険を受給できて、生活費の足しにすることができます。失業保険とは、再就職を支援するために支給される手当のことで、概要は以下の表のとおりです。
受給条件 |
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---|---|
受給期間 | 雇用保険の被保険者期間により異なる。最短90日間、最長330日間。 |
給付額 | 離職時の年齢と退職前の賃金により異なる |
ただし、失業保険は退職してすぐに受給できない場合もあります。退職する前に、毎月いくらの生活費が必要か、失業保険はいつからもらえるのかを確認しておくことが大切です。
辞める理由を明確にしておく
退職後に転職活動をすると、応募先の企業が退職の理由を気にする場合があります。面接などでなぜ退職したのかを尋ねられたら、明確に回答できると良い印象を与えることも可能です。
また、辞める理由を明確に意識しないと、転職活動がうまくいかない場合に、焦って妥協したり迷ってしまったりします。結果として、納得のいく転職ができずに後悔する可能性もあります。さらに、企業選びの基準がはっきりしないために、希望と合わない企業も選択肢に入れてしまい、転職活動に時間がかかってしまうでしょう。
規則正しい生活をする
仕事をしていないと、朝寝坊したり夜更かししたりして、生活が不規則になりがちです。規則正しい生活を心がけることにより、生活に良いリズムが生まれて、転職活動もテンポ良く進められるでしょう。生活のリズムが整えば、思考もクリアになり、良い精神状態で転職活動に臨めます。
スキルアップをはかる
退職後にできた時間の余裕を利用してスキルアップをはかるのも、希望の転職を成功させる方法のひとつです。在職中には忙しくてチャレンジできなかった資格を取得するなど、転職活動だけでなく積極的に自分磨きをしましょう。
企業によっては退職して何をしているのかと気にする場合もあります。スキルアップに取り組んでいると、面接でアピールする材料にもなります。
在職中の転職活動を成功させるポイント
在職しながら転職活動をするのは、体力的にも精神的にもストレスがかかります。できる限り負担を増やさずスムーズに転職するためにも、ポイントを押さえて転職活動を進めるのが大切です。
在職中の転職活動を成功させるには、主に以下のポイントがあげられます。
- 休日・有給休暇を利用する
- オンライン面接を活用する
- 現職にバレないように注意する
- 退職のタイミングに配慮する
ここから詳しく解説します。
休日・有給休暇を利用する
在職中に転職活動をする際に重要なのは、時間の確保です。仕事以外の時間を有効活用して、転職活動の時間を作らなければなりません。そのために、休日や有給休暇を利用する必要があります。
面接のために企業を訪れる以外に、自己分析や企業研究、履歴書の作成、面接の準備など、転職活動は時間がかかります。仕事がない休日や有給休暇に、じっくりと取り組むことも大切です。また、企業によって退勤後の遅い時間や週末には面接に対応してもらえない場合も、休日や有給休暇を利用しなければなりません。
時間を有効に活用することが、転職活動をスムーズに進めるために重要です。
オンライン面接を活用する
在職中に転職活動で時間を有効活用したいとき、オンライン面接は時間を節約できる方法のひとつです。オンライン面接なら、移動時間を節約できて、退勤後でも遅い時間になる前に面接を始められます。在職中は面接の日程調整が難しい場合も多いため、オンライン面接を活用すれば、日程調整の負担も減らせます。
現職にバレないように注意する
在職中の転職活動では、現職にバレないようにするのもポイントのひとつです。
転職活動をしていることが現職にバレてしまうと、有給休暇を取りにくくなったり、残業が増えて退勤時間が遅くなったりして、転職活動の時間を確保するのが難しくなる可能性もあります。
また、職場の人間関係にも影響が出て仕事をやりにくくなる可能性があり、精神的なストレスも増えるでしょう。
時間的にも精神的にも負担がかかるのを防ぐために、現職に転職活動がバレないように配慮することが大切です。
退職のタイミングに配慮する
在職中に転職先が決まったら、退職のタイミングに配慮しましょう。辞めたいといってすぐに辞められるわけではありません。退職できる日程に合わせて入社日を設定しなければなりません。
また担当している進行中の仕事がある場合は、後任に引継ぎが必要です。退職までの時間に余裕をもって、現職に迷惑をかけないように退職できるのが理想です。
転職活動を始める時期は状況を適切に判断して決めよう
転職活動を始めるのは、在職中でも退職後でもどちらでも問題ありません。どちらか一方だけが有利になったり不利になったりすることはなく、どちらを選んでも転職活動の開始時期が選考に影響することはないでしょう。
ただし、在職中にしろ退職後にしろ、どちらにもメリットとデメリットがあります。メリットだけでなくデメリットも理解しておくことにより、在職中または退職後の転職活動をスムーズに進められます。
自分の状況や求人、現職の状況などを検討し、都合のよい時期に転職活動を始めるのがよいでしょう。