未経験でも始められる仕事を探していて、食品製造業に興味を持つ方は多いのではないでしょうか。食品製造業の仕事は求人が多く、特別なスキルが不要なことから人気があります。
この記事では、食品製造業の仕事内容とメリット・デメリット、向いている人・向いていない人を解説します。食品製造業の概要を知れば、大変さだけでなく良さや楽しさもわかり、未経験でもやりがいのある仕事を見つけられるでしょう。
目次
食品製造業の仕事内容
食品製造業とは、食品メーカーや下請けの工場で、原材料を加工して食品を製造する仕事のことです。
総務省統計局の「令和3年経済センサス―活動調査」における「産業分類」によると、食品製造業に該当するのは、以下のとおりです。
- 畜産食料品、水産食料品などの製造
- 野菜缶詰、果実缶詰、農産保存食料品などの製造
- 調味料、糖類、動植物油脂などの製造
- 精穀、製粉及びでんぷん、ふくらし粉、イースト、こうじ、麦芽などの製造
- パン、菓子、めん類、豆腐、油揚げ、冷凍調理食品、そう(惣)菜などの製造
※ただし、清涼飲料、酒類、茶、コーヒー、氷、たばこ、飼料、有機質肥料を除く
製造する食品の種類は多岐にわたり、おにぎりやパン、冷凍食品、惣菜、お弁当、お菓子、ケーキなど、スーパーやコンビニなどで売られているさまざまな食品を製造しています。工場内では、決められた流れに従って、切る・加工する・並べる・詰めるなどの作業を行います。
食品製造業の仕事は、内容別にわけると以下の5つです。
- 製造
- 仕分け
- 包装
- 出荷
- 管理・点検
項目ごとに見ていきましょう。
製造
食品を切る・煮る・焼くなど調理や加工を行うのが製造です。基本的にライン作業で、ラインごとに作業内容が決められ、細かく分担されています。食材を機械に入れるなど簡単な作業が多く、難しい調理を担当することはありません。複数人で同じラインを担当し、同じ作業を繰り返していきます。
製造する前に、材料を受け取ったり品数を確認したりする作業が含まれる場合もあります。
仕分け
調理や加工した食品を、出荷しやすいように仕分けする工程です。できあがった食品を、種類や出荷先などによって分類していきます。
包装
仕分けした食品を出荷用に包装する工程で、販売できるようにケースなどに詰めていきます。規模の大きい工場では包装を機械で行いますが、中小企業や個人経営など規模の小さい工場では手作業で包装する場合が多いです。ラベルを貼るなど、扱う商品によって包装の種類も変わります。
機械で作業する場合は、包装後の商品チェックや包装資材の補てんなどが業務に含まれる場合もあります。商品に不備がないか検品する作業も大切な工程です。
出荷
包装が完了した商品を、販売する店舗へ出荷する作業です。搬送先ごとに荷詰めして出荷します。マニュアル通りに包装されているか確認する作業が含まれる場合もあります。
管理・点検
食品を製造して出荷するだけでなく、作業工程の管理や機械の点検なども食品製造業の仕事です。以下のような視点で作業工程のひとつひとつを丁寧に確認していきます。
- 「ライン作業の流れが遅れていないか」
- 「予定通りに作業が進んでいるか」
- 「マニュアル通りに作業が進められているか」など
また、機械に不具合が出ると、工場がストップしてしまい大きな損失となる恐れがあります。機械がとどこおることなく動いていることを常に確認しなければなりません。管理や点検は工場の重要な仕事といえるでしょう。
食品製造業の仕事に必要な資格やスキル・経験
食品製造業の仕事は、特別なスキルも経験も不要です。とはいえ、仕事に活かせる資格やスキル、経験があれば、作業をスムーズに進めるのに役に立ちます。
この章で解説する経験や資格を持っていると、食品製造業の仕事に役立てられるうえに、将来のスキルアップも目指せるでしょう。
基本的に資格やスキルは不要
食品製造業の仕事は、基本的に資格やスキルは不要です。未経験でもできる簡単な作業が中心ですので、特別な経験や専門知識は必要ありません。
食品製造業の仕事に役立つ経験
食品製造業の仕事をするのに特別な経験は必要ありませんが、次のような経験があれば、仕事に役立てることができます。
- 調理や栄養に関する経験
- 衛生管理に関する経験
- フォークリフトなど工場勤務の経験
食品製造業は食品を加工・調理する仕事ですので、調理や栄養に関する経験があると役立つでしょう。また、直接口に入れる商品を扱うため、衛生面の意識を高く保つことが求められます。衛生管理に関する経験があれば、簡単な製造作業だけでなく、包装・出荷などの作業においても役立てられるでしょう。
出荷作業を担当する際は、フォークリフトを扱った経験があると重宝します。フォークリフトは特殊な技術が必要であるため、機械を扱った経験があれば作業に慣れるのに時間がかからず、効率良く仕事を進めていけるでしょう。
食品製造業の仕事に役立つ資格
食品製造業の仕事には専門的な知識や資格は必要ありませんが、以下のような資格があると作業をするうえで知識が役に立ったり、スピーディに作業を進められます。
- 食品衛生管理者
- 食品衛生責任者
- 第一種衛生管理者
- フォークリフトオペレーター
食品衛生管理者は、食品を加工する工場において食品の衛生を管理する国家資格です。食品の製造や加工で特に衛生管理を必要とする施設で設置を義務づけられています。主に、食肉加工や乳製品加工、油脂などを扱う工場です。
食品衛生管理者に似た資格で、食品衛生責任者という資格があります。食品を扱う店舗には必ず1人専任で設置しなければなりません。民間資格であり、講習を受けて資格を取得できます。
衛生管理者は、労働環境の衛生管理や労働者の健康管理をするのが仕事で、企業から高いニーズのある国家資格です。常時50人以上の労働者が働く場合は1人以上の衛生管理者の選任が必須であり、第一種衛生管理者は全ての業種に対応できます。
フォークリフトオペレーターは、主に出荷作業で活用できる資格です。工場内で、機械を操作して荷物を積み上げる作業を行います。
食品製造業で働くメリット
食品製造業への転職には、以下のようなメリットがあります。
- 未経験でも始められる
- 仕事を覚えやすい
- 衛生的な環境で働ける
ここからひとつずつ詳しく解説します。
未経験でも始められる
前述のように、食品製造業の仕事は特別な資格やスキル、経験がなくてもできる仕事です。そのため、未経験でも始められて、パートやアルバイトの求人も多く見られます。
応募のハードルが低いため応募しやすく、すぐに仕事を始められるのがメリットです。
仕事を覚えやすい
食品製造業の仕事は基本的にライン作業が中心であり、単純で覚えやすい仕事内容が多いです。複雑な手順や難しい知識を必要とせず、同じ作業の繰り返しが多いため、記憶力に自信がなくても作業を繰り返しているうちに覚えられるでしょう。
同じ作業でも何度も繰り返すと慣れてきて、コツをつかんで効率良くスピーディに作業できるようになります。
衛生的な環境で働ける
人の口に入る食品を扱っているため、食品製造業を行う工場は衛生管理を徹底している職場です。万が一、異物が混入したり手順を間違えたりすると、作業がストップし工場全体に影響が出ます。それを防ぐために、厳しい衛生管理が行われています。清潔で衛生的な環境で働けるのも、食品製造業のメリットといえるでしょう。
食品製造業で働くデメリット
一方、食品製造業で働くとデメリットもあります。主に以下のようなデメリットが考えられます。
- まとまった休暇を取りにくい
- 身体的に負担がかかる場合がある
- 衛生面に厳しい
項目ごとに解説します。デメリットを知れば、転職先を判断する材料にもなるでしょう。
まとまった休暇を取りにくい
食品製造業の仕事は、土日や祝日、年末年始やお盆も休みがなく、ほぼ1年中24時間稼働しています。作業を滞りなく進めるために細かくシフトが組まれており、長期間の休みを取りにくいのがデメリットのひとつです。また、ラインごとに作業の分担を細かく決めているケースが多く、ラインを止めないように正確にスピーディに作業を進めなければなりません。
そのため、まとまった休暇をとってしまうと、ラインの作業全体に影響が出る可能性があります。一度決まったシフトを変更すると、他のスタッフに迷惑をかけてしまいます。
すでに決められている休み以外に休みたい場合は、休暇を取得できるか前もって確認が必要です。
身体的に負担がかかる場合がある
食品製造業の仕事は、工場内での立ち仕事が多いため、足腰に疲労がたまり、身体的に負担がかかる場合があります。また、食品の種類によっては、傷むのを防ぐために工場内の室温を下げているため、寒い室内で長時間の作業を行うのは身体的負担が大きいでしょう。衛生面に厳しい職場でもあるため、ほんの少しでも体調が悪ければ仕事を休まなければなりません。身体的な負担をどのように軽減するか、個人でも工夫する必要があります。
衛生面に厳しい
前述のように、食品製造業の仕事は衛生面に厳しい職場環境です。メリットがある一方で、衛生面に厳しいためのデメリットもあります。
例えば、アクセサリーやネイル、つけまつげなどは禁止されている工場が多いです。髪型にも気を遣わなければなりません。身だしなみに厳しく勤務中におしゃれを自由に楽しめない点は、食品製造業のデメリットといえるでしょう。
食品製造業の仕事に向いている人
食品製造業の仕事には、向き不向きがあります。向いていると思われる人は、主に以下のとおりです。
- コツコツと作業できる人
- 単純作業が得意な人
- コミュニケーションを取らなくても苦じゃない人
- 衛生面の意識が高い人
- 食品に興味がある人
向いている人の特徴を理解できれば、仕事を始めてからこんなはずではなかったと後悔するリスクを減らせるでしょう。
コツコツと作業できる人
食品製造業の仕事は細かい作業の繰り返しが多いです。同じ内容の作業を何度も繰り返していくのが苦でない人に向いています。仕事内容にバラエティがなくても、マニュアルに従って同じことをコツコツと積み重ねていける人におすすめの仕事です。
単純作業が得意な人
単調で難しいことをせず、単純な作業を行うのが食品製造業の仕事です。単純作業が得意で、飽きずに続けられる人が向いているでしょう。
コミュニケーションを取らなくても苦じゃない人
食品製造業の仕事をする工場では、衛生面への配慮から作業中のおしゃべりを禁止しているケースが多いです。そのため、職場の人と話さなくても、ひとりで黙々と作業できる人が向いています。人との関わりが苦手な人でも対応しやすい仕事といえるでしょう。
衛生面の意識が高い人
食品製造業は食品を扱う職場であることから、前述のように衛生面に厳しい職場環境です。そのため、日頃から衛生面の意識が高い人が向いています。万が一異物や雑菌など不衛生なものが混入すれば大変な問題となり、工場に多大な損失を与えます。それを防ぐために、消毒や食品の取り扱いなどを常に指示された通りに行い、細心の注意をはらって清潔に保てる人がよいでしょう。
食品に興味がある人
食品製造業では、さまざまな食材を加工して食品を製造します。食べることに興味のある人には、理想的な職場でしょう。食品の原材料や作り方、調味料、保存方法など食品について興味のある人であれば、単純な作業でも前向きに取り組めるでしょう。
食品製造業の仕事に向いていない人
一方で、食品製造業の仕事に向いていない人の特徴は、以下のとおりです。
- コミュニケーションをとりながら作業したい人
- 単純作業が苦手な人
- 同じ場所での作業が苦手な人
- 衛生面の意識が低い人
- 体力に自信のない人
項目ごとに見ていきましょう。
コミュニケーションをとりながら作業したい人
食品を扱う工場での仕事は、衛生面に厳しくおしゃべりを禁止している場合が多いです。そのため、職場の同僚とコミュニケーションをとりながら楽しく仕事を進めたい人には向いていません。ひとりで黙々と作業するのが苦手な人にとっては、コミュニケーションがとれない職場は苦痛を感じて長続きしないでしょう。
単純作業が苦手な人
食品製造業の仕事は単調で単純な作業がほとんどです。単純作業が苦手な人には向いていません。同じことの繰り返しでも、苦にならず作業を続けられる人でなければ、仕事内容に物足りなさを感じてしまうでしょう。
同じ場所での作業が苦手な人
食品製造業の仕事では、担当のラインが決められており、基本的に同じ場所から動かずに作業を進めていきます。1日中同じ場所で同じ作業を繰り返すことになるため、同じ場所でじっとしているのが苦手な人や同じ場所での作業を好まない人、体を動かしながら作業したい人には向いていないでしょう。
衛生面の意識が低い人
前述のように、直接人の口に入る食品を扱っている職場であり、衛生面の意識の高さが求められます。逆に、衛生面の意識が低く、消毒や食品の取り扱いに気をつけられない人は向いていません。
体力に自信のない人
食品製造業の仕事は体力を使います。勤務中は立ちっぱなしで作業をすることが多いため、身体的に疲労がたまりやすいです。また、温度の低い室内で作業をしていると、体が冷えて風邪をひきやすくなったり体調を崩したりします。
室内で動かないから体力を使わないだろうと思われがちですが、体力に自信のない人には向いていない仕事です。
食品製造業の求人
TASUKIでは、東三河で食品製造業の求人を出している企業を紹介しています。この章では、2つの企業をご紹介します。東三河で未経験から始められる転職先を探しているなら、ぜひ参考にしてください。
「福井酒造」
「福井酒造」は、東三河で100年以上続く酒蔵です。技術と旨さにこだわり、地域と深いつながりを持ちながら酒造りに取り組んできました。
福井酒造では、現在、豊橋の地酒の製造・貯蔵・瓶詰め業務を担当する蔵人を募集しています。日本酒やものづくりへの関心があれば、未経験者でも大歓迎です。
株式会社カネナカ
「カネナカ」は、豊橋でうなぎ加工品の製造・販売を行っています。うなぎの蒲焼きの冷凍自動販売機「うなぎスタンド」が人気を博しており、東三河にも初上陸しました。「こだわり抜いた極上の素材と至極の味」を今に引き継ぐ、明治33年創業の老舗加工業者です。
カネナカでは、現在、製造・梱包を担当する正社員を募集しています。未経験からでもできる作業が中心ですので、食にこだわりのある方にぜひご検討いただきたい企業です。
食品製造業の仕事を理解して応募してみよう
食品製造業の仕事は、食材の加工や調理、包装、出荷、管理・機械点検などです。特別な資格やスキルは必要なく、未経験でも始められます。単純作業がほとんどであるため、覚えやすいですが単調になりやすいでしょう。
1日中立ちっぱなしだったり寒い室内での作業だったりするため、体力的に厳しい面があります。シフト制で長い休みが取りにくいのも、デメリットです。
一方、工場での仕事は単純で簡単な作業が多いため、未経験でも始められて、すぐに作業を覚えられます。食品を扱うため、衛生的な職場で働けるメリットもあります。
単純作業でもコツコツと続けていけば、効率よく作業を進められるようになりキャリアアップの道も広がるでしょう。自分が携わった食品が店頭に並ぶのを見るのもやりがいにつながります。
デメリットだけでなくメリットも把握できれば、食品製造業の仕事の楽しさややりがいがわかり、食品製造業で自分に合った転職先を見つけられるでしょう。