就職活動をするにあたり、正社員かパートかどちらが良いか迷う方も多いのではないでしょうか。正社員とパートには働き方や仕事内容、待遇などさまざまな違いがあります。
そこでこの記事では、正社員とパートの違いを詳しく解説します。違いを知ることにより、自分に合った働き方を選択できるでしょう。
目次
正社員とパートの違いは社会保険だけじゃない
正社員とパートの違いでよく見られるのは社会保険の違いです。正社員は社会保険に必ず加入しますが、パートは会社の社員数と勤務時間により加入しない場合もあります。
しかし、正社員とパートの違いは社会保険だけではありません。正社員とパートには、以下のような違いがあります。
正社員 | パート | |
---|---|---|
契約期間 | 無期雇用契約 | 有期雇用契約 (同じ企業で通算5年以上働くと 有期雇用契約から無期雇用契 約への転換が可能) |
勤務日数・休日 | フルタイム (1日8時間、1週間40時間) |
企業の所定労働時間よりも短い 時間でも良い |
給与形態 | 月給制または年俸制 | 時給制 |
社会保険・雇用保険 | 必ず加入する | 勤務時間数や社員数による |
仕事内容 | 会社の利益追求や運営に関する 責任ある仕事を任される |
基本的に正社員のサポート的な 業務や軽作業が多い |
福利厚生・手当 | 基本的に会社で提供している 福利厚生・手当は全て受けられる |
交通費・有給・産休は基本的にあり。 住宅手当や保養所利用などの福利厚生は 適用されないケースが多い |
正社員は雇用期間の定めがなく、長期間フルタイムで働いて毎月一定の給与を受け取る働き方です。会社の利益を上げるために責任ある仕事を任され、経験を積めば運営に携わる機会もあります。会社で提供されている福利厚生や手当は基本的に受けられます。
一方、パートは雇用期間が定められた有期雇用契約です。期間満了時には契約を更新するか終了して新しい仕事を探すことになります。時給制で、短時間の勤務でも働ける柔軟な働き方であり、正社員のサポート業務など資格や経験がなくてもできる仕事が多いです。福利厚生や手当が受けられない場合もあるため、就職前に確認が必要です。
時短正社員とパートの違い
短時間正社員制度とは、勤務時間がフルタイムより短い正社員のことです。能力や意欲があってもフルタイムで働けない事情がある人が活躍できるしくみです。
勤務時間は短いですが、給与は正社員の給与を時間換算した金額であり、福利厚生もフルタイムの正社員と同様に利用できます。
パートとの違いは契約期間です。パートは期間の定めのある有期雇用契約ですが、短時間正社員制度は無期雇用契約です。
正社員とパートとの労働格差を是正するため、政府は短時間正社員制度を推奨しています。しかし、実際に導入している企業は、令和3年度の厚生労働省の調査で約9.7%となっています。導入企業は少ないですが、制度を利用することにより安定した雇用を得ることが可能です。
正社員とパートで責任は違う?
パートの仕事は、正社員のサポート業務や軽作業など、資格や経験がなくてもできる仕事が多いです。正社員のように企業の根幹に関する仕事ではないため、パートと正社員では責任は違います。
ただし、パートだから責任がないというわけではありません。パートの仕事があるからこそ職場全体の業務がスムーズに進行するのであり、パートの仕事は職場において大切な役割を果たしています。パートでも自分の仕事に責任を持って取り組む姿勢が大切です。
正社員とパートはどちらが稼げる?
正社員かパートかで迷う理由のひとつが収入です。
正社員は、拘束時間が長く責任の重い仕事を任される代わりに、給与水準はパートより高めに設定されているのが一般的です。
一方、パートは自由な時間を確保できて、自分のライフスタイルに合った働き方ができる反面、時間当たりの給与水準は正社員より低いケースが多いでしょう。
厚生労働省が行った「令和4年賃金構造基本統計調査」では、雇用形態間の賃金格差は、男女計の正社員を100としたとき非正社員は67.5でした。つまり、非正社員の給与は正社員の約6〜7割であることがわかります。
職種や勤務年数、企業の規模などにより違いはありますが、基本的に正社員のほうがパートより稼げるでしょう。
同一労働同一賃金とは
同一労働同一賃金とは、同じ企業・団体における正社員と非正社員の不合理な待遇差をなくそうという取り組みです。同じ労働に対しては同じ賃金を支払うべきであるという考え方で、2021年には中小企業も含めた全ての企業に対して施行されました。
給与や手当、福利厚生など、パートと正社員の不合理な待遇差が禁止されました。仮に待遇差があった場合パートは企業に対し説明を求めることができるようになり、企業はそれに回答する義務があります。
パートは給与水準が正社員より低く設定されることが多く、賞与が支給されなかったり昇給が見込めなかったり、正社員との待遇に差がある傾向がありましたが、今後は改善され、格差が埋まっていくことが期待されます。
正社員のメリット・デメリット
正社員かパートかを選ぶには、正社員とパートのメリット・デメリットを把握しておくことが必要です。
正社員には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
正社員のメリット | 正社員のデメリット |
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正社員は雇用が安定しており、一定の収入が見込めます。成果を出せれば昇給や昇進のチャンスがあり、仕事にやりがいを感じられるでしょう。
一方で、勤務日数や勤務時間が決められているため、自由な時間を持ちにくい傾向があります。自分の希望に合わなくても、異動や転勤がある可能性があります。
パートのメリット・デメリット
パートのメリット・デメリットは以下のとおりです。正社員との違いを確認して、どちらが自分に合っているか見極める材料にしましょう。
パートのメリット | パートのデメリット |
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パートは、勤務日や勤務時間が正社員より少ないため、自由な時間を作りやすいのがメリットです。未経験でも取り組みやすい仕事が多いため、始めやすいでしょう。
一方で、有期雇用契約であるため、雇用や収入が不安定になりがちです。社会的信用を得られにくく、ローンの審査に通りにくい場合もあります。
正社員とパートどちらがいい?決めるときのポイント
正社員とパートにはそれぞれメリットとデメリットがあり、どちらを選ぶかで就職先の選び方も変わります。また、パートから正社員になるべきか悩んでいる場合は、負担が増えても自分に合うかをよく検討しなければなりません。
この章では、正社員かパートかどちらがいいかを決める際のポイントを解説します。参考にしたうえで、よく検討して判断しましょう。
ポイント1:ワークライフバランス
仕事とプライベートのバランスは、正社員かパートかを選ぶ際の大きなポイントになります。
正社員は拘束時間が長いためプライベートの時間が減ってしまいます。家事や育児、趣味の時間など、プライベートの時間を多くとりたい場合には、パートのほうが合うかもしれません。
仕事でやりがいを見つけたい場合には、正社員が向いているでしょう。責任のある仕事を任され、大きな成果を上げられれば、収入アップやスキルアップなど自分を成長させられて、充実感を得られるでしょう。
自分のライフプランや希望と照らし合わせて、どちらが自分に合っているかをよく検討することが大切です。
ポイント2:収入
正社員とパートの格差をなくす動きがあるとはいえ、現時点ではまだ正社員とパートには収入に差があります。どれくらいの収入を希望するかにより、正社員かパートかの選択肢も決まってくるでしょう。
一般的には正社員のほうがパートより収入が多い傾向があり、賞与や昇給など収入アップも期待できます。
どれくらいの収入を得たいかをしっかりと見極めることで、正社員かパートかを選ぶ基準がわかるでしょう。
ポイント3:仕事内容やキャリア
どのような仕事をしたいかにより正社員とパートの選び方も変わります。
パートは、軽作業や事務、営業のサポートなど資格や経験がなくてもできる仕事が多いため、未経験でも取り組みやすいでしょう。ただし、将来的なキャリアアップやスキルアップなどは期待しにくいため、積極的に資格に挑戦するなど、自分でスキルを積み上げる努力が必要です。
一方で、正社員は責任が重く成果を求められる仕事が多いため、やりがいを感じられる仕事環境だといえます。仕事を通して、将来のキャリアアップやスキルアップにもつながります。
正社員とパートの違いを知り、自分に合った働き方をしよう
正社員とパートにはさまざまな違いがあり、どちらを選ぶかでライフスタイルも変わってきます。
正社員は待遇が良く、雇用も収入も安定している反面、仕事の責任が重く、拘束時間が長いためライフワークバランスを取りにくい傾向があります。
パートは、雇用や収入が不安定で正社員より待遇面で劣るケースが多いです。一方で、プライベートの時間を持ちやすく、自分のペースで働けます。
正社員とパートそれぞれのメリット・デメリットを理解し、希望する働き方や収入、将来のライフプランなど、自分に合った働き方を選びましょう。