12月に転職活動を始めるべきか不安に感じている人も多いでしょう。12月に転職活動を始めると、年末年始の休みを有効に利用できて、新年度が始まる前の転職も狙えます。新年度に向けて採用を強化する企業の求人に応募することも可能です。
この記事では、12月に転職活動を始めるメリットや注意点、コツを解説します。12月の採用活動の傾向を把握できるので、効率的に対策を立てられて転職活動の成功に近づけるでしょう。
12月に転職活動をスタートするメリット
12月に転職活動をスタートさせるメリットは、主に以下のとおりです。
- ライバルが少ない
- 年度が変わる前に転職できる
- 年末年始の休みに準備ができる
- 1月からの求人にも応募できる
- 冬のボーナスをもらえる可能性がある
- 年始からの入社に間に合う可能性がある
項目ごとに詳しく見ていきましょう。
ライバルが少ない
12月は転職活動をする人が少ない時期です。年末年始の休みがあり、年末に向かって慌ただしい時期であるため、採用活動を控える企業が多いと予想した結果、応募者が転職活動を控える傾向があるためです。
応募者が少なければ、選考を通過する確率が上がります。ライバルが少ない状況で転職活動を進められて、チャンスが増える可能性があります。
年度が変わる前に転職できる
転職活動を始めてから転職先が決まるまでの期間は、一般的に3ヶ月間程度といわれています。そのため、12月に転職活動を始めれば、2月〜3月ごろに内定をもらえる可能性があります。
4月に転職すると、年度始めで忙しかったり新入社員の対応があったりして、入社後の教育やサポートを受けにくい状況になりがちです。転職先でがんばろうと意気込んで出社しても、満足に対応してもらえなければやる気がなくなってしまうかもしれません。
年度が変わる前に転職できれば、企業が忙しくなる前に仕事を教えてもらえます。新入社員が入社してくるころには、基本的な業務をひとりで行えるようになれるかもしれません。
新入社員が入社する前に職場に入ることにより、スムーズに新しい仕事をスタートさせられて、新しい職場に早く馴染めるでしょう。
年末年始の休みに準備ができる
企業研究や募集要項の見極め、履歴書の準備など、転職活動の準備には時間と手間がかかります。在職中に転職活動を始めると、仕事をしながら転職活動の準備をしなければならないため、時間的にも体力的にも負担を感じることが多いです。
しかし、12月から転職活動を始めれば、年末年始の休みを利用して準備できます。まとまった時間を準備に充てられるので、企業研究など手間のかかることもじっくりと時間をかけて行えるでしょう。
転職について落ち着いて考える余裕もある期間に、転職理由を考えたりスキルや経験の棚卸しをしたり、自分に合う職場とはどんな職場かを考えることも大切です。
1月からの求人にも応募できる
企業のなかには、4月入社に向けて、1月から転職の採用活動を始める企業が一定数あります。12月から転職活動を始めると、そのような求人に応募するチャンスが広がります。
4月入社を前提にした求人は、入社日に間に合わせるために選考の進み方が早いため、効率的に転職活動を進められます。書類選考や面接で結果が出るまで待たされることも少なく、スケジュールを立てやすいのもメリットです。
できる限り短い期間で転職を決めたいと考えている場合は、12月に転職活動をスタートさせることで早期の転職を実現しやすいでしょう。
冬のボーナスをもらえる可能性がある
一般的な企業では、冬のボーナスの支給は12月です。そのため、在職中に転職活動をする場合に、12月の賞与支払日に在籍していればボーナスをもらえる可能性があります。
ただし、何日まで在籍していれば支給されるのかは企業ごとに異なります。確実に冬のボーナスを受け取るには、就業規則などで確認しておきましょう。
また、ボーナスの支給日より前に「転職したい」と上司に伝えてしまうと、ボーナスが減額されることも考えられます。転職の意思を伝える時期は慎重に検討することが必要です。
年始からの入社に間に合う可能性がある
12月に採用活動を行う企業のなかには、年末に退職する人員の補充のため、内定を急ぐ企業もあります。すでに前職を退職していてすぐに入社できる状態であれば、年内に内定をもらって年始に入社することも可能です。
ただし、選考にかかる日数が少ないと企業研究が不十分になり、入社後にこんなはずではなかったと後悔する恐れもあります。自分に合った職場なのか、希望条件を満たしているのかなど、よく検討しなければなりません。
また、在職中の場合、急な退職には配慮が必要です。仕事の引き継ぎが不十分だったり、退職後の人員の補充が間に合わなかったりして、社内に迷惑をかけてしまう可能性があります。転職後に前職の同僚と仕事で会うことも少なくありません。退職時に良くない印象を残さないように、しっかりと引き継ぎをして退職するように心がけましょう。
12月の採用活動の傾向
12月に転職活動をするにあたって、企業の動向を把握しておくことは大切です。企業の12月の採用活動には、主に以下のような傾向が見られます。
- 年始からの入社に間に合う可能性がある
- 年末退職の穴を埋めたい企業が求人を出す
- 新年度の体制作りに向けて採用を強化し始める
ここからは、ひとつずつ詳しく解説します。
求人数が減るわけではない
12月は求人の数が少ない印象がありますが、そうとは限りません。
厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況(令和6年6月分)」を見ると、年間を通じて月ごとの有効求人倍率はほとんど変わらないことがわかります。つまり、12月だからといって転職のチャンスが少ないわけではありません。
12月でも求人は減らないことを理解したうえで、12月ならではの求人の傾向を把握することで、12月からの転職活動を成功させられます。
では、12月に出る求人には、どのような特徴があるのでしょうか。ここから詳しく解説します。
年末退職の穴を埋めたい企業が求人を出す
12月に入ると、企業は年末に何人くらいの社員が退職するのか把握できます。12月は、退職者がいる部署やプロジェクト、人数などを集計して、どの部署に何人くらいの人員を補充すべきか検討する時期です。
そのため、12月の求人ではどの職種で何人補充したいのかが決まっている企業が多く、欲しい人材がはっきりしています。職種を絞って転職先を見つけたい場合は、求人を見つけやすいでしょう。
新年度の体制作りに向けて採用を強化し始める
12月になると、企業は新年度に向けて社内の体制を整える準備を始めます。新しいプロジェクトの人員確保や、新年度の方針により強化したい部署の人員補強など、どれくらいの採用が必要かを検討します。
4月には新卒入社の社員も入ってきますが、即戦力が欲しい場合は転職の採用を強化しなければなりません。その場合、12月ごろから求人を出し始める企業が出てきます。
新年度に向けた人員補強のために、企業は3月から4月の入社を採用を想定しているケースが多いです。そのような求人に応募するには、12月は最適な時期といえます。
12月に入社したい場合の転職活動スタート時期は?
では、転職で12月に入社したい場合、いつから転職活動をスタートさせればよいのでしょうか。
転職活動を始めてから内定が出るまでの期間は、約3か月といわれています。つまり、8月または9月ころから転職活動をスタートさせれば、12月の転職に間に合うでしょう。
ただし、転職活動は思うように進まない場合も多いです。スキルの棚卸しや企業研究など、求人に応募する前の準備は、早めに始めておくことをおすすめします。
12月から転職活動をするときの注意点3選
12月から転職活動をするにあたって、主に以下の注意点を押さえておくことが大切です。
- 年末年始は採用活動が鈍くなる
- 3月4月に入社すると教育を受けにくい
- 夏のボーナスが減る可能性がある
前もって注意点を把握しておくことで、効率的に対策を立てられるでしょう。
年末年始は採用活動が鈍くなる
年末年始は休暇に入る企業が多く、採用活動が鈍くなりやすい時期です。企業からの連絡が遅くなったり、選考が想定通りに進まなかったりする可能性があります。
それを踏まえたうえで、希望の入社時期や退職時期などのスケジュールを考える必要があります。多少遅れても差し支えないようなスケジュールをたてておくことが必要です。
3月4月に入社すると教育を受けにくい
3月4月に入社すると、入社後の教育を受けにくい傾向があります。3月は年度末の業務で忙しく、4月は新年度の業務や新卒入社の社員の対応などがあるため、転職してきた新しい仲間を手厚くサポートする余裕がありません。せっかく入社しても、しばらくは仕事を教えてもらえないかもしれないと心に留めておくことが必要です。
焦らずに待つ、忙しい時期を避けて入社するなど、自分なりにできる対応もあります。転職活動において、入社時期の見極めは大切です。
夏のボーナスが減る可能性がある
12月から転職活動を始めて転職すると、転職先で受け取る夏のボーナスが減る可能性があります。
通常、夏のボーナスの査定期間は1月から6月です。12月から転職活動を始めると、2月や3月、場合によっては4月から新しい職場で働き始めることになります。そのため、ボーナスの査定期間が短くなり、夏のボーナスが減るかもしれません。
また、入社後の一定期間が試用期間となる場合、ボーナスではなく寸志として一定額が支給されるケースもあります。
いずれにしろ、満額でのボーナス支給は見込めない場合が多いでしょう。高額な買い物のボーナス返済があるなど、経済的に困難にならないようにあらかじめ準備しておくことが大切です。
12月からの転職活動を成功させるコツ4選
12月からの転職活動を成功させるコツは、主に以下のとおりです。
- 余裕をもってスケジュールをたてる
- 休みを有効に利用する
- 採用を強化する企業を見極める
- 貯金をしておく
ここからは、項目ごとに詳しく見ていきます。コツをつかんで転職活動を進めていけば、転職の成功へと近づけるでしょう。
余裕をもってスケジュールをたてる
年末年始をはさむと、企業は休暇になるため採用のスピードが遅くなります。企業からの連絡が遅くなったり、面接の日程が延びたりして、想定通りのスケジュールで進まないケースが多いです。
焦らないためにも、あらかじめ余裕をもってスケジュールを立てましょう。企業からなかなか連絡が来なくても慌てずに待つことが肝心です。
休みを有効に利用する
12月から1月は休暇が多い時期です。企業が休みに入れば、面接など企業との交渉は進みません。そのような時期は、休みを有効に利用することで、充実した転職活動を送れます。
休暇明けまで企業からの連絡を待っている間に、企業研究や希望条件の見直しなどに時間を充てることをおすすめします。資格の勉強などスキルアップや自分磨きに時間を使うのもよいでしょう。じっくりと企業研究を行って、自分に合った企業を見極めるのも効果的です。
特に、在職中に転職活動をする場合は、忙しさでじっくりと考える時間を持てないことが多いです。落ち着いて準備をする時間を持つことにより、自分に合った企業を選び、しっかりと選考の準備をして、採用活動に臨むことができるでしょう。
採用を強化する企業を見極める
前述のように、年末の退職者の穴埋めや新年度の人員強化などにより、12月に採用を強化する企業があります。12月からの転職活動を成功させるには、12月に採用を強化する企業を見極めることが必要です。
採用を強化している企業は、積極的に採用活動を行っており、選考のスピードが早いです。募集している職種がはっきりしているケースが多いため、経験やスキルとマッチしていればスムーズに内定まで進む可能性が高いでしょう。
内定を得る確率を高めるには、採用を強化している企業を選ぶのがひとつの方法です。
貯金をしておく
転職において、退職する前に一定額の貯金をしておくことは重要です。
前述のように、12月から転職活動を始めて転職すると、転職先の夏のボーナスが満額もらえない可能性があります。
また、給与の支払いのタイミングが前職と異なると、転職後すぐの給与が受け取れない場合もあります。例えば、前職の給与の支払日が当月で、転職先の給与の支払日が翌月だった場合、転職した月の収入がない状況になるでしょう。
生活費に困ることのないように、資金の準備は大切です。生活費の補てんや高額な買い物の支払いなど、ボーナスが少ないと経済的に困難になるかもしれません。転職してから困ることのないように、転職前から貯金をしておくと安心です。
12月からの転職活動を成功させよう
12月は企業が採用を控えるイメージがあるためライバルが少ない傾向があります。しかし、実際には12月の求人が他の時期より減ることはありません。年末の退職者による人員補充や年度初めの体制強化に向けた採用強化による求人に応募することができて、チャンスが広がります。
また、12月から転職活動を始めると、2月や3月など新年度が始まる前に転職することも可能です。採用を急いでいる企業であれば、年始からの入社に間に合う場合もあります。新年度が始まる前に転職できれば、企業が新年度で忙しくなる前に仕事を教えてもらえて、早く職場に馴染めるでしょう。
ただし、12月は年末年始の休暇をはさむため、採用活動の進捗が遅くなりやすい時期です。企業からの連絡が遅くても慌てないように、余裕をもってスケジュールを立てておく必要があります。企業が休暇に入っている間に、企業研究やスキルアップなどに時間を利用するのも効果的です。
なお、12月から転職活動を始めて転職すると、転職先で夏のボーナスが減る可能性があります。経済的に困難にならないように、貯金をしておくなどあらかじめ資金を準備しておくと安心です。
12月の採用活動の傾向を把握し、前もって対策を立てることにより、12月からの転職活動を成功させましょう。