これから転職を考えている人のなかには、「転職した年はボーナスが出なくて損をするのでは…」と不安を抱いている人も多いのではないでしょうか?
ボーナスは、ビジネスパーソンにとっての楽しみでもあり、重要な収入源のひとつです。生活設計に大きく関わるため、できれば新旧それぞれの勤務先から最大限のボーナスを受け取りたいところでしょう。
そこで今回は、ボーナスで損をしない転職のポイントやスケジュールについて解説します。ぜひ参考にし、満足度の高い転職を実現させてください。
目次
ボーナスをもらってから転職するのは悪いことではない!
「ボーナスのもらい逃げ」という言葉があるように、ボーナス支給直後の退職や転職に対し、あまりよくない印象を抱いている人も少なくないようです。しかし、ボーナスをもらってから転職することは、決して悪いことではありません。
まずは、ボーナスとはどのようなものなのかを正しく理解しておきましょう。
そもそもボーナスとは?
ボーナスとは、固定給が支払われている労働者に対し、月給とは別に企業から支給される一時金を指す言葉です。「賞与」「特別手当」「期末手当」など企業によってさまざまな名称で呼ばれていますが、意味に大きな違いはありません。
ボーナスは大きく以下の3種類に大別されます。
- 基本給×数カ月分などから算出される「基本給連動型」
- 会社の業績や個人の成果の査定により決定する「業績連動型」
- 決算月前後の業績によって決まる「決算賞与」
一般的によく採用されているのは、基本給連動型です。
ボーナスは各企業の就業規則や労働契約書で定められている
ボーナスは給与の一種ではありますが、実は、法律上では企業に支払いが義務づけられているものではありません。企業が「支給する」と労働者に約束した場合にのみ、労働条件に加わるものです。
したがって、ボーナスの種類や支給内容は企業ごとに異なり、それぞれが独自に定める就業規則や労働契約書に明記されます。
支給後すぐに退職しても、ボーナスを返還する義務はない
「ボーナスをもらってすぐに退職したら、あとから返還を求められるのでは?」と不安に感じている人もいるかもしれません。しかし、ボーナスはこれまでの労働に対する正当な対価であり、「もらう権利があって受け取った賃金」であるため、支給後すぐに退職したとしても返還義務は生じません。
新旧双方の職場からボーナスを受け取ることは労働者の権利のひとつですので、転職時にボーナスがもらえるよう考慮することは何ら問題ありません。
転職時にボーナスを最大限受け取るための3大確認ポイント
転職時に新旧の職場から最大限のボーナスを受け取るためには、確認すべきポイントが主に3つあります。 事前にしっかりと把握しておきましょう。
①【現職場】ボーナス支給に関する規定・契約
転職を検討するにあたってまず確認したいのは、現職場のボーナス支給規定です。今一度、就業規則や労働契約書をチェックしましょう。
具体的に押さえておきたい点には、ボーナス支給日や支給回数、査定期間、支給時に在籍しておく必要性、ボーナス額の算出基準などが挙げられます。ボーナスに関する規定が見当たらない、もしくはあいまいな場合は、必ず担当者に確認しておくことが重要です。
②【現職場】ボーナスの不支給や減額に関する規定の有無
ボーナスの不支給条件や減額規定があるかどうかも、確認必須事項です。支給要件と同様に就業規則や労働契約書に明記されており、該当する場合には、不支給や減額となります。
ただし、正当な理由なく必要以上に減額したり、不支給にしたりすることは認められていません。しっかりと不支給や減額の理由を確認し、限度を超える減額がされていないかチェックする必要があります。
③【転職先】ボーナスの支給規定や次期ボーナスの時期など
現職場のボーナス支給規定を確認できれば、次は転職先ですが、入社前に就業規則の閲覧が認められるケースはあまり多くないでしょう。そこでおすすめしたい確認方法は、以下の2つです。
- 求人票や転職サイトの募集内容を確認する
- 内定承諾時に転職先に質問する
求人情報には、前年度のボーナス支給実績や支給事例が掲載されていることも少なくありません。おおよそのボーナス額目安として参考になるでしょう。
現職場・転職先からしっかりボーナスをもらうためのスケジュール
転職時に現職場・転職先からしっかりボーナスをもらうためは、スケジューリングが重要です。スケジューリングが転職の成功を左右するといっても過言ではありません。
そこで、ここでは一般的なボーナス支給モデルケースに沿って理想のスケジュールを紹介します。設定するボーナス支給規定や条件は以下のとおりです。
- ボーナス支給日は夏(6月)と冬(12月)の年2回
- 査定対象期間は、夏:前年10月1日~当年3月31日、冬:当年4月1日~9月30日
- 3ヶ月以上在籍し、ボーナス支給時に在籍していること
- 退職の意志は、退職日の1ヶ月前までに申し出ること
夏のボーナス時期の場合
5~6月:内定(転職先)
6月:夏ボーナス支給日直後、退職の意図を伝達(現職場)
7月:引き継ぎののち、末日退職(現職場)
8月:入社(転職先)
12月:冬ボーナス支給(8月1日~9月30日査定分)
転職先の第一回目となるボーナスは満額査定とはなりませんが、寸志として相当額が支給されることが多い傾向にあります。
冬のボーナス時期の場合
11~12月:内定(転職先)
12月:冬ボーナス支給日直後、退職の意図を伝達(現職場)
1月:引き継ぎののち、末日退職(現職場)
2月:入社(転職先)
6月:夏ボーナス支給(2月1日~3月31日査定分)
冬転職で気をつけたいのは、引き継ぎについてです。1月の年始休暇期間によっては満足に引き継ぎが行えないおそれもあるため、あらかじめ項目や資料をまとめておくなど計画的な行動が求められます。
気持ちよくボーナスをもらってから退職するために
いくら理想的な転職スケジュールを組んでも、退職を伝えるタイミングや引き継ぎの仕方によっては「気持ちのよい」退職とはならないかもしれません。ここでは、円満退職のためのポイントを2つ紹介します。
退職届を出すタイミングは「ボーナス支給後」
退職届は、ボーナスの支給後に出すのが理想です。なぜなら、経営者の判断によってボーナス支給額が決定するようなケースでは、支給日前に退職の意思表示をすることで支給額が少なくなるおそれもあるためです。
ボーナスを確実にもらうためには、実際にボーナスを受け取るまでは退職の意志を悟られないようにしておくのが無難でしょう。
会社にバレずに転職する方法はこちらの記事で解説しています。是非併せてご覧ください。
しっかりと引き継ぎを行うこと
もらい逃げの悪印象を残さないために、というのももちろんですが、社会人としては、第一に「自身が去ったあとの業務に支障をきたさない」ことを優先すべきです。これまでお世話になった会社に対し、恩をあだで返すような去り方をするのはマナー違反だといえます。
最後まで感謝の気持ちを忘れず、退職の瞬間まで責務を果たすよう心がけましょう。
ボーナスだけに囚われない退職判断を!
ボーナスは月給よりも多い額が支給されることが少なくないため、転職時にもらえるか否かは本音を言えば大きな問題でしょう。しかし、ボーナスの受け取りにこだわりすぎると、転職のチャンスを逃すかもしれません。
中途採用の募集を行う企業にとって、人員不足は「早く解決したい課題」です。いくら優秀な人材が見つかったとしても、企業が求める期間で入社が叶わないのであれば、採用が見送られてもおかしくないでしょう。
また、現職場と同じ業界への転職の場合には、今後も関係性が維持される可能性もあります。その場合には、ボーナスの支給よりも円満退職を優先しほうが、長い目でメリットが大きいかもしれません。
まとめ:転職サイトを活用し、計画的な転職で最大限のボーナスを受け取ろう
ボーナスは、支給規定を満たす労働者であれば「受け取って当然」の権利です。支給直後に退職したからといって、返還の義務も生じません。
ただし、転職した年に現職場・転職先の双方から最大限のボーナスを受け取るためには、事前の入念な準備やスケジューリングが必要です。また、目先のボーナスだけに囚らわれない退職判断も求められます。
まずは現職場の就業規則や労働契約書を確認した上で、スムーズに転職できそうな企業を探すのも手です。転職サイトを上手に活用しながら、計画的な活動で円満な退職・転職を成功させましょう。