
2026年3月6日(金)に豊橋温室園芸農業協同組合にて、「令和5年度アグリテックコンテスト入賞企業成果報告会」ならびに「第2回アグリテック企業との交流会」が開催されました。
本イベントは、地域の農業者・農業関連企業と全国の有望な農業系スタートアップ企業の連携を促進する「TOYOHASHI AGRI MEETUP(豊橋アグリミートアップ)」事業の一環として開催されたものとなります。
今回は、令和5年度アグリテックコンテスト入賞企業による実証実験の「成果報告会」と「第2回交流会」の二部開催となりました。本記事では、イベントと同様に前半パートの「成果報告会」・後半パートの「交流会」の流れで当日の様子をお届けします。
令和5年度 アグリテックコンテスト入賞企業による成果報告会
令和5年度のアグリテックコンテストで入賞し、2年間の市内における実証実験の期間を終えたスタートアップ3社がその成果を報告しました。
令和5年度のアグリテックコンテスト入賞企業
株式会社エンドファイト:植物内生菌による生育サポート
植物の根に共生して成長を促進するDSE(Dark Seperate Endophytes:植物内生菌)を活用した実証を行いました。
DSEの特徴として、DSEを用いた農業資材は、従来製品を置き換える形で、従来と変わらないコスト・プロセスで導入が可能な点があります。
同社は2年間の実証期間の中で、市内のイチゴ農園、農業事業会社等と実証を進めていきました。イチゴ農園での実証の結果、収穫期間の短縮と着果について成果を得ることができました。また、同じく実証期間内でのバラの挿し穂試験でも、ラボレベルではありますが生育向上を確認することができました。
最後に同社の今後の展望として、内生菌技術を用いた屋内栽培システムの付加価値向上とコスト削減に取り組む旨について語られていました。

株式会社FieldWorks:畝間対応の小型草刈ロボット「ウネカル」&農薬散布ロボット「ウネマキ」
キャベツ農家の重労働である除草作業を自動化する、コンパクトでパワフルな電動ロボットの実証を行いました。
作物の畝間における除草作業の実現を目指し、試作機の開発と現場での実証、改良を実証期間内で進めてきました。
多数の生産者からのヒアリングの結果、キャベツ畝間用ロボット「ウネカル」の開発、露地栽培(除草剤散布)・施設栽培(防除剤散布)で使用可能な畝間用薬剤散布ロボット「ウネマキ」の開発に辿り着きました。
今後は販路拡大とキャベツ専用ロボットの商用化を目指していくとのことです。

実機デモンストレーションと座談会
成果報告会後には、輝翠の「Adam・Mini Adam」およびFieldWorksの「ウネマキ」などの実機デモンストレーションが行われ、参加者は最先端の農業機械が稼働する様子を間近で見学しました。
また、会場内では登壇3社・コメンテーター・参加者を交えた座談会が行われ、技術やサービスに関してより深い議論や意見交換が交わされました。

TOYOHASHI AGRI MEETUP 第2回アグリテック企業との交流会(ピッチセッション)
続けて行われた交流会では、アグリテック企業4社によるピッチが行われました。
交流会登壇4社 ※以下登壇順
株式会社CULTA
株式会社CULTAからは、生産開発統括 森 成徳 氏が登壇しました。
同社は、ゲノムデータを活用したAIによる「NONゲノム編集の高速品種開発」で気候変動に打ち勝つ「次世代品種」について紹介されました。
通常の品種の開発には10年近い年数がかかってしまう中で、同社は従来の5倍速で高速開発を実現しています。「ゲノム編集」や「遺伝子組み換え」を不使用で、親と親を掛け合わせる「交配育種」による品種開発をAIとデータの組み合わせで高速化している点がポイントとなります。
会場には、同社が品種開発したイチゴの試食ブースが設けられ、ピッチ後のマッチング会では行列を作っていました。
同社は既にイチゴ以外にもブドウやリンゴの品種改良にも着手しているとのことで、今後はあらゆる果物・嗜好作物を手掛けるグローバルカンパニーとして日本の農業界を引っ張っていくことが期待されます。
ハカルプラス株式会社
ハカルプラス株式会社からは、アグリテック事業本部 課長代理 福田 登 氏が登壇しました。
同社は、葉を挟むだけで栄養診断が可能な硝酸態窒素センサー「Folina(フォリナ)」を紹介されました。
従来の汁液を絞り測定する手法では、1検体あたり約600秒近い時間がかかっていたところを、「Folina」を使用するだけで7秒まで短縮することに成功しました。
同社は既に愛知県の農業総合試験場で共同研究・検証を進めており、今後は果菜類だけでなくシクラメンや牧草などの多品目展開を目指していきます。
AGC株式会社
AGC株式会社からは、ライフサイエンスカンパニー 戦略企画部 新規事業推進グループ シニアマネージャー 川口 泰秀 氏が登壇しました。
同社からは、独自のシリカ担体技術を用いたバイオスティミュラント(BS)資材を紹介されました。
同社の資材は既にラボでの実証で一定の成果を出しており、特定の作物においては葉の状態・色味・収量増加で有意な結果を取得しています。また、トマトやみかんにおいては、実地実証における成果も確認できました。
今後は複数品種での効果検証を進めるため、豊橋市を代表する大葉や菊への適用実験への意欲を語っていました。
株式会社SKYSHIFT
株式会社SKYSHIFTからは、代表取締役 大久保 謙 氏が登壇しました。
同社からは、ドローン技術を活用したハウスへの遮熱剤・遮光剤散布の事例について紹介いただきました。近年の猛暑の影響による「ハウス内の高温化が深刻化」により、作物の品質・収量へのリスクが懸念されています。ハウスへの遮熱剤・遮光剤への手作業での散布は体力的負担も大きく、転落・事故のリスクも考えられます。
こうした中、ドローンを活用した遮熱剤・遮光剤への期待が高まっています。通常のドローン散布ではパイロットの技量に大きく左右される中、同社は測量用ドローンで3Dデータを取得した上で自動飛行による均一散布を進めています。ドローン散布における懸念点を事前計測と自動航行で解決することで、「安全性」と「品質」と「効率」の3点を同時に高めることに成功しています。
そのほか、今回登壇いただいた4社に加え、豊橋技術科学大学・株式会社スターフィールドペイント・株式会社WAKUの3社からの飛び込みピッチが開催されました。

すべてのピッチ終了後には、会場後方に設置された各社のブースで、参加者と登壇者によるネットワーキングが行われました。
参加者からは、具体的な導入方法や実証実験の可能性について質問が寄せられるなど、会場の各所で活発な意見交換が行われていました。
まとめ
TOYOHASHI AGRI MEETUPがスタートして4年目となり、豊橋の農業関係者農家とアグリテック企業企業の連携から実際の製品開発販売や導入事例が次々と生まれています。
閉会の挨拶では事務局の豊橋市から、「この交流会の場こそが全ての出発点であり、ここから新しい一歩が生まれることを期待している」と熱いメッセージが贈られました。
今回の交流会でも、生産者農業現場の課題とアグリテック企業最先端技術をつなぐ多くの出会いが生まれ、今後の実証や共同開発への期待が高まるイベントとなりました。
引き続き来年度も交流会等のイベントを開催予定ですので、乞うご期待ください。
