2025年12月、豊橋市を舞台に「豊橋の街まるごとDXハッカソン2025」が開催されました。

本イベントは、、PLATEAU衛星データIoTという3つのデジタル技術を活用し、豊橋が抱えるさまざまな課題とその解決アイデアを“街まるごと”の視点で考える体験型プログラムです。

サイエンス・クリエイトが主催してきたハッカソンシリーズの中でも今回は、約1か月にわたり複数のミニプログラムが豊橋市内各所で展開されるという、これまでにないスケールで実施されました。

本記事では、キックオフから最終発表会まで、街全体を舞台に行われたDXハッカソンの全貌をご紹介します。

▼過去の開催したハッカソンについてはこちらの記事で紹介しています。

技術紹介

まずは今回のテーマとなった3つのデジタル技術を確認しておきましょう。

PLATEAUとは

PLATEAU(プラトー)は、国土交通省が推進する3D都市モデル整備プロジェクトです。都市の建物や道路、地形などを詳細な3Dデータとして再現し、誰もが自由に利用できる形でインターネット上に公開されています。防災、都市計画、観光、教育、モビリティなど幅広い分野で活用が進んでおり、豊橋市でも3D都市モデルを活用しながら市民とともに未来のまちづくりを考える取り組みが始まっています。このようなデジタル技術による都市の「可視化」を通して、新しいアイデアやサービスの創出が期待されています。

衛星データとは

衛星データは、人工衛星を使って宇宙から地球を観測することによって得られる画像や数値などの情報です。都市の開発状況や自然環境の変化、災害の影響、地盤の動きなどを広範囲かつ高精度に把握することができることが特徴で、PLATEAUではこのような衛星データを3D都市モデルと重ね合わせ、防災や土地利用、インフラ管理などの分野で活用することができます。地上からは見えにくい変化を衛星の力を使って捉えることで、まちの安全性や暮らしやすさを高めるための新しい分析や施策に役立てられています。

IoT / IT / DX とは

IoT(モノのインターネット)は、センサーや通信機能を持つ機器がネットワークを通じて情報をやり取りする仕組みです。これにより、都市や暮らしの中にあるさまざまな「モノ」からデータを取得し、状況をリアルタイムで把握・分析することができます。IT(情報技術)はその基盤となる技術であり、DX(デジタルトランスフォーメーション)は、これらの技術を用いて社会やサービスの仕組み自体を革新することを意味します。都市の課題解決や住民サービスの向上に向けて、今後ますます重要な役割を担います。

イベント概要|豊橋の街まるごとDXハッカソン

街まるごとDXハッカソン2025

開催期間 2025年12月5日(金)〜12月26日(金)
会場 emCAMPUS STUDIO、南栄会場、MUSASHi Innovation Lab CLUE ほか
主催 株式会社サイエンス・クリエイト
共催 株式会社エムキャンパス
詳細 https://startupgarage.jp/2025/11/5199/

ハッカソン全体の流れ

今回の「街まるごとDXハッカソン2025」は、キックオフから最終発表会まで約1か月にわたり開催されました。
PLATEAU・衛星データ・IoTという3つのテーマを軸に、講習・アイデア出し・開発を段階的に進めながら成果物を作り上げていく構成になっています。

日程 プログラム 内容
12/5 全体キックオフ 企画趣旨の説明、豊橋の課題紹介、各ハッカソンプログラムの概要共有
12/5 PLATEAU 技術インプット 3D都市モデル「PLATEAU」の基礎や活用事例を学習
12/7 PLATEAU ハックDAY1 チームビルドとアイデア出し
12/12 衛星データDAY1 豊橋商業高校で衛星データの活用にチャレンジ
12/14 PLATEAU ハックDAY2 チームごとに開発・プロトタイプ制作
12/14 衛星データDAY2 豊橋商業高校で衛星データの活用にチャレンジ
12/19 IoTハッカソン 南栄町協議会でオールナイト開発(IoTデバイス活用)
12/20 プレゼン講座 最終発表に向けたプレゼン資料作成のポイントを共有
12/22 合同もくもく開発会 各チームが最終調整を行う作業会をCLUEで開催
12/26 最終発表会 成果物の発表と講評

全体キックオフ!

12月5日には、ハッカソン全体のスタートとなるキックオフイベントが開催されました。
講師として都市計画課(豊橋市役所)鈴木且真さん、豊橋技術科学大学 小野悠(おのはるか)先生、南栄町協議会理事 桜田純一さんをお招きし、イベントの趣旨やスケジュール、各プログラムの内容が共有されました。

小野悠先生からのインプット

小野悠先生からのインプット

また、豊橋の都市課題や地域の取り組みについての紹介も行われ、「DXで街を科学する」という視点から、データを活用した新しいまちづくりの可能性が提示されました。
ここから、PLATEAU・衛星データ・IoTという3つのテーマに分かれ、それぞれのハッカソンプログラムがスタートしていきます。

南栄町協議会の事例紹介

南栄町協議会 桜田さんの事例紹介

都市計画課によるPLATEAUの説明

都市計画課によるPLATEAUの説明

PLATEAU with 豊橋市都市計画課

「PLATEAU」ハッカソンでは、12月5日、7日、14日、22日の4回に分けて開発を行いました。初日は合同会社 Drive BEAST の岡田さんと都市計画課(豊橋市役所)よりPLATEAUの基本的な情報についてご説明いただき、2日目から4日目にかけて「ハックデイ」や「合同もくもく開発会」を開催しました。

参加者の多くは「PLATEAUという名前は聞いたことがある」「3Dデータがあることは知っている」という段階からのスタートでしたが、実際に豊橋の3D都市モデルを操作しながら、この場所にデータを重ねたら何が見えるか可視化するとどんな課題が見えるかといった視点でアイデアを膨らませていきました。
その後のハックデイでは、チームごとにアイデアを形にする開発が進められ、最終発表に向けてプロトタイプの制作が行われました。

岡田さんによるPLATEAUの説明
岡田さんによるPLATEAUの説明
ハックデイの様子
ハックデイの様子
岡田 陽さん

合同会社 Drive BEAST 岡田 陽さん

Untyペースの立体空間を用いて、企業内容理システムの開発や様々なデータの可視化を手掛ける。3Dオブジェクトと情報を組付けておおさせることで、欲しいデータペニダイレクトにアプローチできるシステム構築を得意としている。

▼昨年の様子はこちらの記事で詳しく紹介しています。

衛星データ with 豊橋商業高校

豊橋商業高校の生徒の皆さんによる「衛星データ」チームでは、12月12日に株式会社 sorano me の寺島圭希さんを講師にお招きし、衛星データの活用方法について学びました。
宇宙から観測されたデータを活用し、世界各地の都市や環境を調査することで、「外から見た豊橋」という新しい視点を得る取り組みが行われました。

▼豊橋商業高校生がリサーチした内容は下記リンクに記事として掲載されています。

IoT & AI with 南栄町協議会

南栄町協議会を中心とした「町のIoT」チームでは、12月19日に合同会社Z2Aの大野裕之さんを講師にお招きし、オープンしたばかりの民泊ホタルヤにてオールナイト・ハッカソンを行いました。当日はハッカソンに加えて、ホタルヤの建物見学会、豊橋ビリヤニの試食、さらに超小型のIoT開発基盤「nanoC6」を用いた、ChatGPTに相談・対話しながらプログラミングを行う“バイブコーディング”にも取り組みました。

ホタルヤでのレクチャー
ホタルヤでのレクチャー
豊橋ビリヤニの試食
豊橋ビリヤニの試食

成果発表の様子

発表会の様子

PLATEAU with 都市計画課

とよはし〜風の街〜

発表者:竹尾哲也さん

PLATEAUと計算機風洞を組み合わせ、街中を流れる「風」を可視化。
生成AIを活用したコード生成にも挑戦し、検証データをダッシュボードとして提示しました。
目に見えない都市環境を可視化することで、都市設計や快適性向上のヒントを提示する提案です。

豊橋わい猥マップ / 豊橋マイクラ ビックバン

発表者:鈴木将馬さん

2つのアイデアが発表されました。

「豊橋わい猥マップ」は、イベントや街の雰囲気をリアルタイムで共有するマップ。
街の“今”を見える化することで、人の流れを生み出す可能性を示しました。

「豊橋マイクラ ビックバン」は、PLATEAUの都市モデルをMinecraft化し、遊びながら街を理解できる世界を構築。
難しい都市データを、子どもや学生でも扱える形に変換した点が印象的でした。

VRChat Digital TOYOHASHI 爆誕

発表者:豊増伸治さん

PLATEAUをVR空間に展開し、アバターが豊橋を歩き回れる世界を構築。
今後はNASAなどの高精度ワールドとの連携も視野に入れた、スケール感のある構想が語られました。

衛星データ & GIS with 豊橋商業高校

豊商衛星データ見えるラボ

豊橋市や田原市と友好都市となっている世界各地の地域について、衛星データを活用して調査・分析。
外から見た豊橋の特徴や地域の魅力について、学生ならではの視点で発表が行われました。

IoT & AI with 南栄町協議会

町のIoT@ホタルヤ南栄

マイコンを活用し、ゴミ回収車の接近を検知する仕組みを開発。
地域住民とエンジニアが協力し、生活に直結する課題解決に取り組んだ点が印象的なプロジェクトでした。

データが、人と街をつなぐ時代へ

豊橋街

PLATEAU、衛星データ、IoT。
それぞれ異なる技術ですが、今回のハッカソンでは、それらが一つの街をテーマに交差することで、新しい発想や対話が生まれました。
作る。試す。伝える。
そのプロセスそのものが、DX時代のまちづくりの姿なのかもしれません。
この1か月で生まれたアイデアが、これからどのような未来へつながっていくのか。
豊橋の街から生まれる次の挑戦にも、期待が高まります。