株式会社サイエンス・クリエイトが運営する創業支援施設Startup Garage(スタートアップガレージ)でコミュニティマネージャーと、宙(そら)サポの担当をしている勝間です。
「うちの会社と宇宙ってどうやって接点を考えたらいいの?」という声に応える連載シリーズ“宙スタ”。
前回は宙スタってなぁに?というお話でした。
あなたはトヨタの月面探査車『ルナクルーザー』開発プロジェクトをご存知ですか?
ルナクルーザーはトヨタとJAXAが約10年前から共同事業を行なってきた燃料電池車両技術を用いた月面車。全長6m、全幅5.2m、全高3.8mという大きな車体で月面で1000km以上の走行を可能にすると計画されています。
静岡県裾野市の工場跡地で建設中の実験都市「Woven City(ウーブン・シティ)」の方が何かと話題になっていますが、ルナクルーザーとウーブン・シティの取り組みはモビリティカンパニーとしてのトヨタの将来ビジョンの実現のための文字通り新たな道と乗り物になっています。
キーワードは “自由”
過去5~10年ほどで世界でもっとも成長を遂げた街の一つとして有名な、中国の南東部に位置する深セン市。かつては小さな漁村だったのが、今では人口1300万人の近代的な大都市へと進化しています。
その特徴の一つはなんといっても “自由” さでしょう。最新のモノづくり案件をかき集め、優秀な人材と仕掛け人が、野心的な無数のプロダクトを生み出す街。
特にテック面では法規制が緩和されていることもあり、ありとあらゆる試作が可能な空間となっています。
先進国では通常「安全」と場合によってはそれ以上に「安心」が優先され、見えない規制や挑戦的なことができない状況に陥りがちです。自動運転の技術開発はまさにこの規制のための規制によってがんじがらめになっていると言えます。
そこで『自動運転を自由に試せる街』として登場したのがウーブン・シティです。
2つの自由があるウーブン・シティ
ウーブン・シティは街が自動運転に与えるノイジーな影響を自由に試し、未来の街から無くすべきものを探すことができます。
普通、公道で自動運転を試すために道路標識を根本から切ったりしたら捕まってしまいますが、ウーブン・シティはそれが可能なくらい「自由」な場になることでしょう。そこで描かれるのはいまだ開発中の水素を軸とした次世代燃料電池技術やMaaS(Mobility as a Service サービスとしての移動)に繋がる居住空間としてのクルマ、そして名前の由来ともなったランドクルーザーが持つような走行・走破性能。
従来の “車とはこういうものではならない” から開放されていると言えるでしょう。
トヨタが目指すもの
モビリティカンパニーとして未来の道路の姿を自由に描ける街は工場跡地に、重力や大気からすら自由になるクルマは月で。それぞれ全社員の想像力を自由に最大限発揮させものづくりに挑む。それが「ルナクルーザー」と「ウーブン・シティ」の二つの取り組みにおけるトヨタの基本的な考え方なのではないかと私は思います(全部妄想かも知れません!)。
さてここまで読まれた方の中には、「そんな大それた取り組みと読んでいる自分、いったいどう関係すればいいんだろう?」と感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
後編である次回の内容は「月で小料理屋を開業する」です。もう少し具体的なお話ができればと思いますので、「なんでそうなる!?」と思った方、ぜひ次回をお楽しみに!