
年末年始は転職活動に向いていないと考えている方もいるでしょう。長期休暇に入る企業もあるため、選考スケジュールが遅れるなど通常の転職活動とは異なることもある一方で、年末年始ならではのチャンスもあります。
この記事では、年末年始が転職のチャンスである理由と、転職活動をおこなう際の注意点を解説します。年末年始に転職活動をする場合のスケジュール例を併せて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
年末年始は転職活動のチャンスの時期

年末年始は転職活動に向いていないと思われがちです。しかし、中途採用の選考を通年で行う企業が増えているため、年末年始こそ転職活動のチャンスといえます。
例えば、中途採用では年末年始に関係なく求人が出ており、年内や1月の採用に向けて積極的に採用活動を行っている企業も多いです。特にIT企業やスタートアップ企業などでは、人手不足のため常に即戦力となる人材を探しており、年末年始でも選考をおこなう企業があります。
また、採用活動の方法が変化していることも、年末年始がチャンスの時期である要因になっています。以前の採用活動は電話が中心でしたが、近年はメールなど時間にとらわれない連絡手段を導入している企業がほとんどです。休暇が終わるのを待たなくても、メールを送っておけば伝えられるため、年始からの企業とのやり取りをスピーディに進められます。
また、ハローワークなどへ出かけなくても、自宅にいながら転職サイトで求人を確認したり応募したりできます。年末年始でも休暇や時間を気にせずに、転職活動を進められるのもチャンスです。
年末年始でも転職活動に不利になることがなく、企業との縁をつなぐチャンスをつかめるかもしれません。
年末年始が転職活動に適している理由

年末年始が転職活動に適している理由は、以下のとおりです。
- 求人数は通年で大きな差がない
- 応募者が減る傾向がある
- 準備や面接の時間を確保しやすい
- 年度末までに転職できる
- ボーナスをもらってから転職できる
項目ごとに詳しく解説します。
求人数は通年で大きな差がない
年末年始は求人数が減ると思われがちですが、そのようなことはありません。
転職活動のハイシーズンと言われる2月・3月や9月・10月と比較して、年末年始は求人数が少ないと感じる方もいるでしょう。しかし、近年の転職市場は通年で大きな差が出ない傾向にあり、年末年始だから求人数が減るとはいえません。
厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況(令和7年7月分)」によると、令和6年8月から令和7年7月まで1年間における毎月の有効求人数は大きく変動せず、同程度の数値で推移しています。このことからも、1年を通して求人数に大きな差がないことがわかります。
12月はボーナスをもらって退職する人が増えるため、急な人員補充が必要になり、1月に求人を出す企業も多いです。また、1月から人員を補充したい企業は、早ければ年内または遅くても1月には採用したいと考えるため、年末年始を問わずに求人を出します。
このように、求人数は年末年始でも大きく減ることはないため、1年の他の時期と同様に希望の求人を見つけるチャンスがあります。
応募者が減る傾向がある
年末年始は転職活動に向かないと考える応募者は多いです。転職する意志があっても年末年始には行動しない応募者がいるため、求人があっても応募者が集まらない場合があります。
また、年末年始に長期休暇を取る場合、帰省や家族サービスなどで転職活動に時間を割くことができない応募者もいます。
つまり、年末年始はライバルが減る傾向にあるため、採用されるチャンスをつかみやすいといえるでしょう。
準備や面接の時間を確保しやすい
年末年始に長期休暇が取れる場合、応募や面接の準備に十分な時間を掛けられます。
自己分析や企業研究、履歴書や職務経歴書の記入など、転職活動には時間がかかります。求人への応募も、企業ごとに応募理由や自己PR、将来やりたいことなどを考えることも必要です。年末年始で仕事が休みになれば、応募や面接の準備に十分に時間をかけられるでしょう。
また、企業が年末年始にも採用活動を行っていれば、休暇を利用して面接に行くこともできます。仕事があると日程調整が難しい場合もあるため、年末年始の休暇中に転職活動を進められるのはメリットです。
年度末までに転職できる
年末年始に転職活動をすれば、年度末までに転職できる可能性があります。
転職活動にかかる期間は3ヶ月程度といわれています。そのため、年末年始に求人に応募した場合、早ければ1月、遅くても新年度が始まる前に内定を得ることが可能です。
入社時期が4月になってしまうと、新卒の入社時期に重なってしまいます。新卒の新入社員教育に時間が割かれる一方で、中途採用者への入社後研修やフォローが手薄になる場合があります。年度内に転職できれば、職場内が新卒社員の入社で忙しくなる前に、研修を受けたり仕事を教えてもらえたりできるため、余裕を持って新年度を迎えられるでしょう。
ボーナスをもらってから転職できる
年末年始に転職活動を始める場合、現職の退職は年末以降になります。そのため、現職でボーナスをもらってから退職することが可能です。
ボーナスをもらえると、退職後の生活費などに充てられる資金的な余裕ができます。転職すると、次の職場の給料日によっては、収入がなかったり少なかったりする月がある場合もあり、経済的な不安を抱えてしまうかもしれません。転職活動が延びた場合、資金的に困難になってしまいます。
年末年始に転職活動をすることで、ボーナスをもらえる可能性があり、資金面に余裕をもって転職活動に取り組むことができるでしょう。
年末年始に転職活動をする注意点

年末年始に転職活動をする際は、以下のような注意点を押さえておきましょう。
- 企業と連絡が取りにくくなる可能性がある
- 合否の通知が遅れる場合がある
項目ごとに詳しく解説します。
企業と連絡が取りにくくなる可能性がある
年末年始は企業が長期休暇に入る場合が多いです。企業や採用担当者が休暇中の場合、連絡が取れなくなる可能性があります。
そのため、選考の途中で長期間連絡が途切れてしまい、選考スケジュールが遅れたり、他に応募している企業とのスケジュール調整に影響が出たりする場合もあるでしょう。
選考中に採用担当者と連絡が取れなくなると、不安に感じるかもしれません。しかし、休暇が終われば連絡が来るパターンも多いです。想定通りに選考が進まなくても、焦らずに待ちながら、年末年始の時間を有意義に過ごすことが大切です。
合否の通知が遅れる場合がある
年末になると企業も採用担当者も多忙になり、採用活動の進み具合が遅くなる可能性があります。また、面接を受けた後に企業や採用担当者が年末年始の休暇に入ってしまい、合否の連絡が休暇明けに延びてしまう場合もあります。
休暇明けに連絡が来るケースが多いため、焦らず待ちましょう。なかなか合否を確認できないと精神的にも落ち着かない状態が続くかもしれませんが、他の企業の選考の準備をするなど、やるべきことにじっくりと取り組みながら、通知が来るのを待ちましょう。
年末年始から始める転職活動のスケジュール例

ここでは、年末年始から始める転職活動のスケジュール例を紹介します。
| 時期 | スケジュール |
|---|---|
| 12月末~年始 | 自己分析・企業研究などの準備 応募書類の準備(履歴書、志望理由など) 求人への応募 |
| 年明け~1月 | 書類選考 面接 |
| 2月初旬~2月中旬 | 面接 内定獲得 |
| 2月中旬~3月初旬 | 退職準備 退職 |
| 3月初旬~中旬 | 転職先へ入社 |
企業の選考の進行が早ければ、1月あるいは2月に内定を獲得し、転職することも可能です。また、複数の企業に応募している場合は、企業によって選考スピードが異なるため、面接日など選考スケジュールの調整が必要となる場合があります。
年末年始を利用して希望の転職を実現させよう

年末年始は転職活動のチャンスの時期です。急いで即戦力を補充したい企業は年末年始に関係なく採用活動を積極的に行います。一方で、長期休暇で転職活動を控える転職者がいるため、ライバルは少なくなりやすい時期です。
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また、年末年始は長期休暇があるため、転職活動に十分な時間をかけることも可能です。集中して転職活動を進められるのも、年末年始の転職活動のメリットです。
企業が休暇に入るとしても、年末年始は転職活動をおこなうのに適している時期といえます。希望の転職を実現させるために、年末年始は積極的に転職活動を行いましょう。