転職活動でベンチャー企業の求人を目にして興味を持ったけれど、リスクを考えて転職を迷う人もいるのではないでしょうか。ベンチャー企業への転職を成功させるには、特徴やメリット・デメリットについて理解を深めてから検討することが必要です。
そこでこの記事では、ベンチャー企業へ転職を考える人に必要な知識を徹底解説します。ベンチャー企業へ転職するメリット・デメリット、向いている人向いていない人など特徴を知って転職活動に役立てましょう。
ベンチャー企業の特徴は?大手企業との違い
ベンチャー企業とは、革新的な技術や独自のアイデアを活かして、社会に新しいサービスや商品を提供する企業のことです。一方、大手企業は、企業の規模が大きく、知名度があり、業界内で大きなシェアを占めている企業です。
ベンチャー企業と大手企業は、会社規模や知名度が異なります。その違いにより、社員の裁量や業務への取り組み方も異なってきます。
ベンチャー企業と大手企業、それぞれの特徴をさらに詳しくみていきましょう。
ベンチャー企業は、設立してから数年で、社員数が100名以下の小規模なのが一般的です。独自の技術で画期的なサービスを開発し、利益を出しながら知名度を上げていきます。企業の規模が小さいため、少人数でさまざまな業務をこなさなければなりません。社員の裁量権が大きく、主体的に仕事を進めていける一方で、一人ひとりの責任が大きいのもベンチャー企業の特徴です。
対して大手企業は、商品やサービスの実績や知識が豊富で、複数の事業を運営したり、幅広いサービスや商品で社会に貢献したりしています。一般的に社員数が多く、部署ごとに業務を分担しています。そのため、一人ひとりに任される仕事はある程度決められており、自由さに欠ける面があるのも特徴です。
ベンチャー企業への転職はリスクが高い?
ベンチャー企業は、設立して年数が浅いため、経営が不安定な傾向があります。また、独自のサービスや商品を提供しても、全てが成功するとは限りません。
ベンチャー企業はリスクを負いながら新しい事業にチャレンジしていくため、社員もリスクを負う場合があります。例えば、業績が振るわずボーナスが支給されないケースもあるかもしれません。場合によっては、企業が倒産して、再就職しなければならない可能性もあります。
安定性を重視する人にとっては、リスクが高いと感じられるでしょう。一方で、リスクよりも大きな裁量権や、会社とともに成長する可能性に魅力を感じる人にとっては、あまり気にならないかもしれません。安定性をとりたいのか、よりチャレンジングな環境に身を置きたいのか、考える必要があります。
ベンチャー企業に転職すると後悔する?
ベンチャー企業への転職は、精神面や体力面で負担が大きかったり、資金面で不安を感じたりする人もいるでしょう。
しかし、ベンチャー企業だから後悔するというわけではありません。大手企業に転職しても後悔するケースもあります。企業の規模にかかわらず、転職で後悔しないためには、情報収集と自己分析が大切です。
企業の状況をしっかりと見極め、ベンチャー企業を選ぶのか選ばないのかを含め、自分に合った企業選びが後悔しないためのポイントです。
ベンチャー企業へ40代で転職しても大丈夫?
基本的に、ベンチャー企業への転職に年齢制限はありません。ベンチャー企業は社員の平均年齢が若い傾向がありますが、40代でもベンチャー企業への転職は可能です。
ただし、ベンチャー企業への転職では、給与や待遇が前職より良くないケースもあります。40代は、一般的に教育費や住宅ローンなどを支払っている年代です。経済的に困難な状況にならないように、給与を含め慎重に転職先を検討する必要があります。
ベンチャー企業へ転職するメリット
ベンチャー企業への転職には、以下のようなメリットがあります。
- 新しいプロジェクトにチャレンジできる
- 短期間で成長できる
- 裁量の大きい仕事をするチャンスがある
- 幅広い仕事に従事できる
- 早期の昇給や昇進を狙える
- 経営者のそばで学べる
常に新たな試みにチャレンジしていくのがベンチャー企業です。ベンチャー企業に転職すれば、新しいプロジェクトを一からスタートさせるなど、大企業では経験できないチャレンジを経験できます。スピーディに結果を出すことを求められるため、短期間で経験を積んで成長できるでしょう。
また、ベンチャー企業は社員数が少ないのが特徴です。そのため、大手企業と違って、一人ひとりの仕事への裁量権が大きく、任される仕事の幅も広くなります。
ベンチャー企業では、年功序列よりも実力主義で給与や待遇が決まりやすい傾向があります。大手企業では転職後に昇給や昇進をするまで時間がかかることも珍しくありませんが、ベンチャー企業では実力が評価されれば早期の昇給や昇進も狙えるでしょう。
さらに、ベンチャー企業は社員同士の距離感が短く、経営者が同じフロアで働いている企業も多いです。そこで、経営者の仕事を間近で見たり経営者と直接仕事で関わったりして、経営者の仕事を間近で学ぶチャンスがあります。将来のキャリアアップに役立つでしょう。
ベンチャー企業へ転職するデメリット
ベンチャー企業へ転職するデメリットは以下のとおりです。
- 仕事量が多い
- プレッシャーが大きい
- 経営が不安定になるリスクがある
- 給与・待遇が良くない可能性がある
- 社風と合わない可能性がある
- 他部署への異動が難しい
ベンチャー企業ではひとりが担当する業務量が多い傾向があります。また、設立して数年のベンチャー企業では、社内のシステムが固まっておらず、業務内容や進め方にたびたび変更が生じて業務量が増えることも珍しくありません。
また、裁量権が大きいために一人ひとりの責任が重く、常に結果を求められます。そのため、成果を出さなければならないプレッシャーが大きく、ストレスに感じる場合もあるでしょう。
さらに、ベンチャー企業には経営が不安定になるリスクがあります。設立して数年しか経っていないために資金面で不安があったり、独自のサービスや商品で売り上げが伸びなかったりするためです。起業して間もない企業では安定した利益が出せず、社員に高額の給与を支払うのは困難な場合もあります。転職して給与アップさせようとしていたのに期待外れだった、というケースも少なくありません。
ベンチャー企業において経営者との距離が近いのは、メリットだけでなくデメリットにもなります。仮に、経営者の方針や社風に合わない場合、毎日経営者と顔を合わせるのがストレスになるかもしれません。大手企業では他部署への異動により職場環境を変えられますが、ベンチャー企業では社員数も部署の数も少なく、異動する部署がないのも一般的です。社内に逃げ道がなければ退職するしかないでしょう。
ベンチャー企業に向いている人
ベンチャー企業の転職に向いている人は、以下のような人です。
- 主体的に仕事を進められる人
- 幅広い業務に対応できる人
- やりたいことがはっきりしている人
- 経営方針に賛同している人
- 業務に活かせる専門分野を持っている人
ベンチャー企業では自ら考えて行動することが求められます。一人ひとりの裁量権が大きいうえに、幅広い業務をこなさなければならないためです。上司や先輩の指示を待つのではなく主体的に仕事を進められる人が、ベンチャー企業に向いています。
また、ベンチャー企業では、業務がスピーディーに展開していくため、周囲のペースにまかせて仕事を進めていると自分の軸がぶれてしまうかもしれません。自分は何がやりたいのかを明確にして、自分のなかの軸を持てる人がベンチャー企業に向いています。
とはいえ、組織で働く以上、自分の方針だけを主張することはできません。ベンチャー企業では経営者が身近にいることが多く、経営者の考え方ややり方に影響を受けやすい傾向があります。経営方針に賛同できれば、自分の軸と会社との間でミスマッチを起こしにくくなるでしょう。
さらに、専門分野の知識や技術を持っている人は、ベンチャー企業に向いています。ベンチャー企業では転職後に即戦力として成果をあげることを期待されます。今までに身につけたスキルや経験を活かして仕事に取り組むことで、スムーズに仕事を進めていけるでしょう。
ベンチャー企業に向かない人
一方で、ベンチャー企業に向かないのは、次のような人が考えられます。
- 臨機応変な対応が苦手な人
- ハードワークを避けたい人
- 社会人経験が少なく指示待ちタイプの人
- 安定を重視する人
ベンチャー企業では、仕事の進め方や業務内容が何度も変更するのが珍しくありません。そのため、変化やトラブルなどに対して臨機応変に対応するのが苦手な人は、ベンチャー企業に向いていません。
さらに、一人あたりの業務量が多く、残業や休日出勤が増えるなど、一人ひとりの負担が大きくなる傾向があります。ハードワークを避けたい人は、入社後にミスマッチを起こす可能性があります。
また、ベンチャー企業では、新人研修が整っていないために教育が行き届かない可能性があります。そのため、社会人経験が少なく指示待ちタイプの人は求められるレベルで仕事をこなすのが難しいでしょう。
そもそも、企業の安定性を重視する人は、ベンチャー企業に向いていません。リスクを負いながら新しいことにチャレンジするのがベンチャー企業です。経営リスクがあることを覚悟のうえで転職できなければ、入社後に大きな不安をかかえることになるでしょう。
ベンチャー企業への転職に必要な能力
ベンチャー企業へ転職して働き続けるには、次のような能力が必要です。
- 柔軟な適応力
- マルチタスク対応力
- 問題解決力
- 自己管理能力
変更があったりトラブルがあったりしても柔軟に対応する力や、多岐にわたる複数の業務を任されてもこなせるマルチタスク対応力は必須になるでしょう。
また、仕事の裁量権が大きいため、期限までに仕事が終えられるよう自分で考えて取り組まなければなりません。確実に仕事を処理するためにはスケジュール管理等の自己管理能力や、問題がおきたときも自分で解決する能力が必要です。
ベンチャー企業への転職を成功させるためにすべきこと
では、ベンチャー企業への転職を成功させるために、何をすべきでしょうか。以下に、詳しく解説します。
企業の業績や将来性を聞く
ベンチャー企業への転職で、経営の不安定さや将来性を心配する人は多いのではないでしょうか。入社を決める前に、企業の業績や将来性を確認しておくと、不安を解消して転職を進められます。
近年ではホームページに業績を掲載している企業も増えてきました。他にも、業界専門の雑誌などで情報を集めるのもひとつの方法です。また、採用面接や入社前面談などで担当者に聞くと教えてもらえる場合もあるので、確認しておくとよいでしょう。
やりたいことにチャレンジできる環境があるか確認する
ベンチャー企業では、大きな裁量権を持って自分の力で仕事をできるのが魅力のひとつです。しかし、業績が不安定などの理由で、チャレンジする環境がないケースがあります。
やりたいことにチャレンジしようとしてベンチャー企業を選んだのに、入社後に実際と違っていたことに気づいてしまい、仕事へのモチベーションを失ってしまう可能性もあります。
面接など担当者と直接話せる機会に、職場環境が整っていることを確認しておくことが必要です。
経営者との相性を見極める
前述のように、少人数のベンチャー企業では、経営者と同じフロアで働くケースもあります。そのため、経営者の考え方ややり方と合うかを見極めるのが、重要なポイントになります。
仕事内容が魅力的でも、そばにいる経営者と考えが合わなければ、長く続けるのがストレスになるかもしれません。ホームページや転職サイトの企業紹介で確認したり、面接の担当官に尋ねたりして、経営者の方針ややり方、職場の雰囲気を見極めましょう。
転職サイトを活用する
転職サイトには、ベンチャー企業の求人も多数掲載されています。ベンチャー企業は、設立して年数が浅かったり知名度が低かったりするため、実際の企業の状況について情報を得るのが難しい場合もあります。しかし、転職サイトを利用すれば、求人から企業の経営方針や求める人材などを知ることができるでしょう。
また、一般的には知名度が低くても、業界内では大きく業績を伸ばしているベンチャー企業もあります。転職サイトで業界を指定して検索することにより、将来性のあるベンチャー企業を見つけられるでしょう。
ベンチャー企業の特徴を理解して転職を成功させよう
ベンチャー企業への転職は、リスクがあると躊躇する人も少なくありません。しかし、ベンチャー企業の特徴にこそ魅力を感じるという人もいるはずです。
ベンチャー企業では、大手企業では経験できないチャレンジングな環境に身をおくことができます。自分の判断でプロジェクトを進めていける充実感を味わえるはずです。場合によっては、責任の重さにプレッシャーを感じたり、経営の不安定さに不安を感じたりするかもしれません。リスクを負っても、大きな裁量権を持って自力で仕事を進めたい、将来成長できるチャンスに魅力を感じるという人は、ベンチャー企業を転職先の選択肢として考えてみましょう。
ベンチャー企業の求人は転職サイトを利用するのがおすすめです。知名度が低いために情報量が少ない企業でも、転職サイトなら企業の経営方針や求める人材などを知ることができるでしょう。業界内で将来性のある企業を探すのにも、転職サイトが役立ちます。
ベンチャー企業への転職を少しでも考えているのなら、まずは転職サイトで求人を探してみましょう。具体的な求人内容を見ながら、ベンチャー企業へ転職する・しないを考えるとイメージもしやすくなるはずです。