休職中あるいは休職歴があっても、転職したいと考えている人は多いでしょう。しかし、休職を隠して転職活動をすると、バレるのではないかと心配ですよね。
そこでこの記事では、休職中の転職活動や休職歴がバレる原因やリスク、転職活動を成功させる秘訣を解説します。最後まで読めば、休職中・休職歴のある転職活動でも希望の企業に転職できる方法がわかるでしょう。
目次
休職中の転職活動・過去の休職歴はバレる?
休職はマイナスのイメージを持たれる場合も多く、転職活動をする際に隠したいと考える人は少なくありません。しかし、休職中の転職活動や過去の休職歴は、応募先の企業にバレる可能性があります。特に、長期の休職はバレる可能性が高いので注意しなければなりません。
そのため、バレるリスクを把握したうえで、休職中であること、あるいは過去に休職歴があることを申告するかどうか判断する必要があります。
転職活動で休職について申告する必要はある?
転職活動をするにあたって、職務経歴書などで休職について申告する義務はなく、休職中であることや過去の休職歴をあえて申告する必要はありません。休職中の転職活動を規制する法律はなく、日本国憲法でも職業選択の自由が認められているため、法的にも違法になりません。
そのため、休職中あるいは休職歴のあることを隠しながら転職活動をすることは可能です。
ただし、前述のように、休職中あるいは休職歴のあることがバレる可能性はあります。休職していないとウソをつくと内定取り消しなどトラブルになったり、不信感を持たれて転職後の信頼関係を損なったりするリスクがあります。申告せずに転職活動を行った結果バレたときのリスクを考慮したうえで、申告するかしないかを検討することが大切です。
次章からは、休職中の転職活動や休職歴がバレる原因とリスクを詳しく解説します。
休職中の転職活動や休職歴がバレる原因
では、休職中の転職活動や休職歴はどのようにバレるのでしょうか。バレる原因を知ることにより、効果的な対策を講じることができます。
この章では、入社後と内定前の2つの時期に分けて、休職中・休職歴がバレる原因を解説します。
入社後にバレる原因
入社後に、休職中に転職活動をしたことや過去に休職歴があることがバレる原因には、主に以下の3つが考えられます。
- 源泉徴収票
- 住民税の納税額
- 健康保険の傷病手当金
以下に、項目ごとに詳しく見ていきましょう。
源泉徴収票
源泉徴収票とは、1年間に会社から支払われた給与所得と、控除された社会保険料額、所得税額が記載される書類のことです。源泉徴収票は入社後に休職がバレる原因のひとつです。
転職すると、前職の会社で発行された源泉徴収票の提出を求められます。その際、選考過程で申告していた前年度の年収より給与所得額が低いと、休職していたのではないかと疑われる可能性があるのです。1〜2ヶ月程度の短い期間なら気づかれない場合もありますが、長期間休職した場合は明らかに金額が変わってしまう場合があるためです。
源泉徴収票を確認するのは経理担当者など社員の給与に関する業務を行う一部の社員であり、採用担当者とは異なるかもしれません。採用担当者が直接見るわけではありませんが、疑問に思った経理担当者が採用担当者に話す可能性もあります。
住民税の納税額
住民税は、通常、会社の給与から天引きされます。住民税の税額は前年の給与所得を基準にして決定されるため、転職後に天引きされる住民税額が低いと「なぜ低いんだろう」と怪しまれる可能性があります。
源泉徴収票と同様に、採用担当者が直接見るケースはまれですが、経理担当者から確認される可能性があることを覚えておきましょう。
健康保険の傷病手当金
健康保険の傷病手当金とは、病気やケガなどで就業できない期間中の生活を保障するために支払われる手当のことです。
転職後に健康保険の傷病手当金を申請することになった場合、過去の受給歴を照会すると、長期間休職して傷病手当金を受給していたことが知られてしまいます。
また、休職の原因となった病気やケガが一度は回復したとしても、入社後に再発して再び傷病手当金を申請することになるケースもあります。その場合、原則として前回の受給期間と通算で1年6ヶ月を越える受給は受けられません。そのため、短い期間しか傷病手当を受けられなかったり、前回の受給期間が1年6ヶ月を越えていたために転職後に受給できる期間がなかったりすると、以前に休職していたことがバレてしまうでしょう。
内定前にバレる原因
内定前でも、休職中に転職活動をしていること、あるいは休職歴のあることがバレてしまうケースがあります。内定前の場合は、応募先だけでなく、現在の職場にもバレる可能性があるため注意しなければなりません。
内定前にバレる主な原因は以下のとおりです。
- リファレンスチェック
- SNSの投稿
- 応募先に現職の社員の知り合いがいた
では、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
リファレンスチェック
リファレンスチェックとは、応募者のスキルや勤務態度、実績などを前職の関係者にヒアリングすることです。リファレンスチェックが行われると、休職中であることや過去に休職歴があることが応募先に知られてしまいます。
ただし、個人情報保護法の定めにより、リファレンスチェックを行うには本人の同意が必要です。行われる前に必ず応募先企業から同意を求められたら、休職を隠さずに自分から伝えましょう。
SNSの投稿
SNSにうっかり休職中に転職活動をしていると投稿すると、応募先や現職の社員に見られてしまうかもしれません。隠しているつもりでも、休職中であることがバレてしまうでしょう。身近な友人など限られた人しか見ていないだろうという思い込みは禁物です。
文章だけでなく、画像にも注意を払いましょう。スーツ姿や明らかに面接会場だとわかるような画像から、休職中に転職活動をしているのでは?と疑われる可能性もあります。
応募先に現職の社員の知り合いがいた
同じ業種で転職活動をしていると、現職の社員の知り合いが転職先の職場にいることも珍しくありません。横のつながりが強い業種など、取引の合間に転職者の話題になることもあるでしょう。わざわざ話題にすることはなくても、うっかり口にしてしまう可能性はゼロではありません。そうすると、休職中であることが応募先と現職のどちらにもバレてしまいます。
休職中に転職活動をするリスク
休職中に転職活動をする主なリスクには、以下の5つが挙げられます。
- 採用に良くない印象を与えてしまう
- 虚偽申告をすると内定取り消しになる可能性がある
- 応募先入社後にバレると信頼関係を損なう
- 休職中の職場にバレると就業規則違反の可能性がある
- 休職中の職場へ復帰したときの人間関係に悪影響を与える
項目ごとに詳しく解説しますので、休職中に転職活動をするかどうかの判断材料にしましょう。
採用に良くない印象を与えてしまう
休職中あるいは休職歴があることを隠していたことが応募先にバレると、面接官にウソをついていたと不信感につながります。同じ職場で働くのに必要な信頼を得るのが難しいと判断されてしまうでしょう。
また、隠さなければならない理由があるのではないかと疑われる恐れもあります。休職の原因になった事由が解決していないのではないか、体調が戻っていないなら採用しても成果を出せるだろうかと企業は不安になるでしょう。
休職中であることや休職歴があることを隠していてバレると、採用に良くない印象を与え、選考から外れてしまう可能性があります。
虚偽申告すると内定取り消しになる可能性がある
応募先に提出する履歴書や職務経歴書に休職を記載する必要はありません。しかし、面接で休職歴の有無を尋ねられた場合に、休職していませんと答えてしまうと虚偽の申告になってしまいます。
仮に内定が出たとしても、後日虚偽の申告がバレると、内定取り消しになる可能性があります。内定通知書に内定の取り消し事項が記載されていれば、内定の取り消しを告げられる確率は高いでしょう。
応募先入社後にバレると信頼関係を損なう
転職して新しい職場に入ると、業務をスムーズに進めるために職場で信頼関係を築かなければなりません。しかし、休職中・休職歴があることが入社後にバレると、面接でウソをついていた印象が残り、信用を無くす可能性があります。安心して仕事を任せられる関係が保てなくなれば、仕事に必要なコミュニケーションを取りづらくなるでしょう。
また、休職がバレただけで退職させられることはありませんが、休職の原因となった体調不良が完治していないなど、就業を続けられない状態であることがわかれば、退職を促される可能性もゼロではありません。
休職中の職場にバレると就業規則違反の可能性がある
企業によっては、就業規則で、休職中の転職活動を禁じている場合があります。そもそも休職とは、復職することを前提に体調を整える時間を与えるためのものであり、転職活動をするための期間ではありません。
そのため、就業規則に違反して休職中に転職活動をしたことが現職にバレると、トラブルになる可能性があります。
休職中の職場へ復職したときの人間関係に悪影響を与える
休職期間が終わるまでに転職先が決まらず、休職していた職場に復職することもあるでしょう。休職中に転職活動をしていたことが現職にバレると、職場での信頼関係が損なわれてしまうかもしれません。そうすると、せっかく復職しても人間関係に悪影響を与えてしまい、復職した職場に居づらくなってしまいます。
また、転職活動がバレたことにより、いずれ退職する人材だと判断されてしまい、昇進や大きなプロジェクトを任されるチャンスが無くなる可能性もあります。
休職中・休職歴がある人の転職活動を成功させるポイント
休職中あるいは休職歴のある人が転職活動を成功させるには、押さえるべきポイントがあります。
- 休職について応募先に正直に話す
- 前向きな理由で転職したいことを伝える
- 入社後の就業には問題ないことを伝える
- 無理せず復職後に延ばすことも検討する
それでは、以下にポイントを詳しく解説します。
休職について応募先に正直に話す
まずは、休職中であること、あるいは休職歴があることを応募先に正直に話しましょう。隠したことが後でバレるより、先に話したほうが好印象です。「なぜ休職したのか」「なぜ復職せずに転職したいのか」など企業が感じる不安を解消できるように説明できれば、採用にマイナスになるのを防げるでしょう。
なお、入社後に体調が再度悪くなる可能性がある場合は、仕事内容や就業形態などを企業側と相談することが必要です。前もって休職した理由を企業に伝えておくことで、入社後にもスムーズに対応してもらえます。
前向きな理由で転職したいことを伝える
企業側が知りたがるのは、休職した原因と「なぜ復職せずに転職したいのか」という転職理由でしょう。前向きな理由で転職したいのであれば、企業を納得させて内定へつなげることができます。
例えば、「休職中に自分を見つめ直し、チャレンジしたい仕事が見つかった。現職では叶わないが、御社でならチャレンジするチャンスがあると思った」など、キャリアアップを見据えた理由なら積極的な姿勢をアピールできます。また、「通勤時間が長く疲労が溜まって体調を崩してしまったため、自宅から近い職場で働きたい」「深夜勤務で体調が悪くなったため昼勤のみの職場で働きたい」など、転職もやむを得ない理由であれば、企業の不安を解消できるでしょう。
入社後の就業には問題ないことを伝える
体調を崩して休職した場合は、すでに体調は回復して就業に問題ないことをアピールしましょう。入社後に影響はないと企業を安心させることが大切です。
また、入社後にまた体調を崩してしまわないように、自己管理を徹底するとアピールするのも効果的です。採用する企業側の不安を解消することにより、内定に近づけるでしょう。
無理せず復職後に延ばすことも検討する
転職活動は心身ともに負担が大きく、回復してきた体調を再び崩してしまう恐れもあります。
体調が思わしくない場合は、思い切って転職活動を中断することをおすすめします。まずは体調を整えることに専念しましょう。
体調が回復したら、転職活動をしたい理由をもう一度振り返り、準備をして転職活動をやり直すのもよいでしょう。休職の理由がパワハラなど企業に問題がある場合を除き、一旦復職して態勢を立て直し、改めて転職活動を再開するのも選択肢のひとつです。
休職中に転職活動する必要性があるなら、注意点を踏まえて検討しよう
転職活動において、休職中や過去に休職歴があっても、応募先に申告する必要はありません。しかし、休職を隠したまま転職活動をすると、バレる可能性があります。
休職がバレるのにはいくつかの原因があり、前もって対策を講じれば防げるものもありますが、隠し通せない場合もあります。
休職中や休職歴のある転職活動がバレると、職場での信頼関係を無くすなどのリスクは避けられません。内定取り消しや退職となる場合もあるでしょう。
休職中である、あるいは過去に休職歴があっても転職活動をしたい場合は、応募先に正直に伝えることをおすすめします。転職したい理由を前向きに伝えて企業を納得させられれば、休職中でも内定を勝ち取ることができるでしょう。
体調が整わなければ思い切って復職後に延ばす決断も大切です。どうしても休職中に転職活動をしなければならない場合は、ポイントを押さえて注意深く進めていくことにより、転職を成功させられるでしょう。