人生100年時代ともいわれる今、定年後も働き続けたいと考える人は多いでしょう。しかし、「どういった働き方や職種があるのか」「どのように仕事を探せばよいか」といった疑問も多く聞かれます。
そこで本記事では、定年後に働き続けるための基礎知識やコツなどを解説します。ぜひ、第二の人生設計に役立ててください。
目次
定年後の現状|仕事を続ける人は多い
内閣府が発表した「令和4年版高齢社会白書」によると、60歳以上の就業率は年々増加しています。
なかでも、60~69歳の就業率の伸びは顕著です。令和3年の就業率は、その10年前の平成23年より約14ポイントも上昇しています。
また、60歳以上の約4割が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答していることから、「定年後も働くこと」は珍しくなってきたといえるでしょう。
定年後も仕事を続ける3つのメリット
そもそも、なぜ多くの人が定年後も働き続けたいと思うのでしょうか?そのメリットを確認しておきましょう。
①老後の生活にゆとりが生まれる
「豊かな老後を過ごすために、少しでも多く蓄えておきたい」と考える人は少なくないでしょう。しかし、定年後に完全に仕事を辞めてしまえば、その後の収入源は基本的に年金のみとなってしまいます。
定年後も働き続けることは、金銭的な心配の低減につながります。
②社会とのつながりが保てる
仕事を辞めると、社会とのつながりが薄くなりがちです。自分から進んで趣味の集まりやボランティアに参加できればよいのですが、人によっては、知らないコミュニティに飛び込んでいくのは苦手な場合もあるでしょう。
働いていると、自然と社会とのつながりが生まれます。
③健康維持につながる
働いていると、就労時間に合わせて行動するため、生活リズムを固定しやすい点もメリットです。仕事を通してやりがいや達成感を感じられれば、精神面も安定します。
心身共に健康を維持しやすいといえるでしょう。
定年後の働き方
自分にあった定年後の仕事を見つけるためには、まずはどのような働き方があるのかを知っておく必要があります。定年後の働き方の選択肢は、主に以下の3つです。
定年後再雇用制度・勤務延長制度を利用する
再雇用制度は、定年時に退職手続きを行い、その後新たに同じ会社と雇用契約を結ぶ制度です。勤務延長制度の場合は、定年を65歳まで延長し、そのまま継続して雇用されます。
必ずしも定年前と同じ条件や環境で働けるわけではないものの、慣れ親しんだ会社で働き続けれる点が魅力です。
再就職する
再就職は、現職を定年退職したあと、新たな会社に就職するスタイルです。心機一転、新たな環境で働きたい人に向いています。
ただし、60歳以上の求人はあまり多いとはいえません。そのため、定年後の再就職では知人や友人からの紹介が多いのが特徴です。
パート・アルバイトとして働く
冒頭で紹介した「令和4年版高齢社会白書」では、高齢者の雇用形態別内訳も公開されています。目を引くのは、60歳以上になるとパート・アルバイトとして働く人の割合が大幅に上がる点です。
仕事の見つかりやすさという観点からも、パート・アルバイトが選ばれていると考えられます。
定年後の仕事の探し方
定年後に再就職する、もしくはパート・アルバイトとして働く場合、どのように仕事を探せばよいのでしょうか?主な方法は以下の5つです。>
ハローワーク
公共職業安定所とも呼ばれるハローワークでは、60歳以上の人を対象にした「生涯現役支援窓口」という専門窓口を全国300カ所に設置しています。職業紹介だけでなく、相談や就職サポートなども受けられる点が特長です。
シルバー人材センター
シルバー人材センターは、各地域に設置されている公益社団法人です。「高齢者の生きがいの充実や社会参加の推進」を図るため、定年退職したシニア世代を対象に就業支援を行っています。
就労時間は月10日または週20時間未満が目安と定められているため、負担を抑えて働きたい人におすすめです。
参考:全国シルバー人材センター事業協会|全国シルバー人材センター事業協会HP
人材紹介会社
これまでのキャリアや経験を活かしたい場合は、民間の人材紹介会社を利用するのも手でしょう。最近は60歳以上でも登録可能なところが増えてきています。
ひとくくりに人材紹介会社といっても専門とする領域は異なるため、シニアに特化した会社を選ぶようにしましょう。
求人サイト
求人サイトの魅力は、気軽に仕事探しをしやすい点です。無料で数多くの求人情報が手に入るため、定年前から就職活動を始めたい場合にも向いています。
さまざまな働き方の求人が掲載されており、幅広いニーズに対応できる点もポイントです。
知人や友人の紹介
先に紹介したとおり、定年後の再就職では、知人や友人からの紹介によるものが多い傾向がみられます。現役時代の経験や仕事ぶりが認められ、声がかかるケースも少なくありません。
気心が知れた相手であれば、事前に勤務や待遇面についての質問もしやすいでしょう。
定年後の仕事探しまでにしておきたい準備
ここでは、定年後に仕事探しを始めるまでにしておきたいことを紹介します。
必要となる収入額を把握する
収入額は、仕事探しにおいて指標のひとつとなる項目です。
「いくら欲しいのか」から考え始めると、希望が先走って納得のいく仕事が見つけにくくなるかもしれません。まずは現状の支出状況を振り返り、見直しを図ったうえで必要額を算出するのがおすすめです。
譲れない条件や妥協できる点を洗い出す
定年後の仕事に対して譲れない条件や妥協できる点を洗い出し、優先順位をつけておくことも重要です。この作業によって「就職においてもっとも重視すべきこと」がみえてきます。
家族と話し合いながら、意志を共有しておくとよいでしょう。
スキルや強みを整理する
なにげなく日常の業務をこなしているあいだは、自分の強みに気づきにくいものです。スキルの棚卸し作業を通して、自身の意外な強みを発見できるかもしれません。
足りない経験や資格などが見つかれば、就職前にカバーできます。
人脈を広げる
定年後に再就職を考えている人は、在職中からできるだけ人脈を広げておくようにしましょう。再就職では知人や友人からの紹介が多いことを考えると、「ヒトが仕事を連れてくる」といっても過言ではないかもしれません。
地域活動や習い事など、無理せず楽しめるコミュニティに参加するところから始めてみましょう。
定年後の仕事探しを成功に導くコツ
定年後の仕事探しの成功を左右するポイントは、定年前の行動です。ここで紹介する2点を心がけておきましょう。
定年前から求人をチェックしておく
就職活動では、早めの活動開始が推奨されます。定年後の仕事探しを成功させたいなら、在職中からこまめに求人をチェックしておくのがおすすめです。
定年前にいろいろな副業を経験してみる
定年前の時期は忙しく余裕があまりない人もいるかもしれません。しかし、そのなかでも時間を見つけていろいろな経験を積んでおくようにしましょう。
経験数が多ければ多いほど、自分の向き・不向きが把握しやすくなります。さらに、人脈の拡大にもつながるはずです。
定年後も仕事を続ける際の注意点
ここでは、定年後も働き続けることを検討する際に念頭においておきたいポイントを紹介します。しっかりと確認しておきましょう。
現役時代よりも給与は下がるケースが多い
厚生労働省が発表した「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」によると、定年前(55~59歳)の平均年収が370万円と1番高く、60歳以降は下降しています。このことから、定年後には「大幅に給料が下がった」と感じるケースが多いと考えられます。
上記のような実情があることは、あらかじめ理解しておくとよいでしょう。
老齢厚生年金が減額もしくは停止されることもある
原則65歳から受給できる年金のことを「老齢年金」といいます。
老齢年金には「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」があり、会社員として厚生年金に加入している人は両方が支給されます。また、60歳以上の人が会社などで賃金をもらって働きながら受け取れる老齢厚生年金のことを「在職老齢年金」といいます。
ここで押さえておきたいのは、「在職老齢年金制度」により、定年後に仕事を続けて一定額以上の収入を得ることで老齢厚生年金が減額、もしくは停止する点です。ただし、老齢基礎年金は減額されることなく支給されます。
定年後の仕事におすすめの職種5選
定年後の仕事としておすすめしたい職種は、以下の5つです。
タクシードライバー|運転やさまざまな場所に訪れるのが好きな人に
警備員|短期間で高い収入を得たい人に
清掃員|きれい好きで、掃除がリフレッシュになる人に
マンションの管理人|適度に人と関わりつつ、自分のペースで働きたい人に
事務職|身体的負担を抑えて働きたい人に
自分が理想とする働き方をもとに仕事探しを進めるのがおすすめです。
まとめ:定年後の仕事探しは早めスタートがおすすめ!在職中から求人をチェックしておこう
定年後の仕事探しを成功させるためには、早めに就職活動を進めるのがおすすめです。
在職中から取り入れやすい仕事探しの方法は、求職サイトのチェックでしょう。まずは、気軽に求人サイトで情報収集から始めてみませんか?