
「自分の昇給額は平均と比べて少ないのでは」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
昇給額は、企業規模や業界、評価制度などによって異なるため、平均値だけで判断することはできません。
この記事では、中小企業の昇給平均の具体的な目安を紹介します。
あわせて、昇給と賃上げの違いや自分の昇給額の確認方法、昇給が少ない場合の対処法までわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
中小企業の定期昇給平均は月4,000円程度

中小企業の定期昇給額は、過去の公的調査を参考にすると月4,000円程度が一つの目安です。
厚生労働省「令和3年賃金引上げ等の実態に関する調査」では、定期昇給額の平均は、従業員100~299人の企業で4,264円、300~999人の企業で4,311円となっています。
定期昇給率は、100~299人の企業で1.6%、300~999人の企業で1.5%です。
ただし、この調査は主に常用労働者100人以上の企業(製造業・卸売業・小売業は30人以上)を対象としており、100人未満の小規模企業の実態は十分に反映されていません。
また、企業規模別の定期昇給額・昇給率を確認できる公表データとして2021年調査を参考としているため、現在の昇給水準を直接示すデータではない点にも注意が必要です。
参考:企業規模、1人平均定期昇給額及び定期昇給額階級別労働者割合-加重平均|e-Stat
企業規模、1人平均定期昇給率及び定期昇給率階級別労働者割合-加重平均|e-Stat
一方、厚生労働省の2025年調査では、定期昇給やベースアップを含む賃金改定額は、従業員100~299人の企業で10,264円、賃金改定率は3.6%でした。
従業員300~999人の企業では、賃金改定額は12,308円、賃金改定率は4.0%となっています。
なお、この調査も100人以上の企業を対象としており、100人未満の企業は含まれていません。
その点を踏まえたうえで、現在の昇給水準を把握する際は、定期昇給額のみのデータと、定期昇給やベースアップを含む賃金改定額のデータをあわせて参考にするとよいでしょう。
参考:令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況|厚生労働省
昇給額を見るときは「平均」だけで判断しないこと!

昇給額の平均は、一般的な昇給水準を把握する目安になりますが、それだけで自身の昇給額が多いのか少ないのかをを判断することはできません。
正しく比較するためには、昇給と賃上げの違いや、昇給額に差が生じる要因を理解しておくことが大切です。
ここでは、昇給額を見る際に押さえておきたいポイントを解説します。
「昇給」と「賃上げ」は意味が異なる
昇給額を確認する際は、「昇給」と「賃上げ」の違いを理解しておくことが大切です。
昇給とは、勤続年数や年齢、能力、成果などに応じて個人の基本給が上がることを指します。
昇給には、毎年一定の基準で実施される定期昇給や、人事評価に応じた昇給などがあり、昇給額は従業員ごとに異なる場合があります。
一方、「賃上げ」は、定期昇給やベースアップなどによって従業員の賃金が上がること全般を指す広い概念です。
ベースアップとは、勤続年数や評価に関係なく、全従業員の基本給を一律の金額または割合で引き上げることで、企業全体の賃金水準を底上げする施策であり、物価上昇への対応などを目的に実施されることがあります。
ニュースなどで紹介される「賃上げ〇%」には、ベースアップだけでなく定期昇給が含まれる場合もあります。
昇給と賃上げは意味が異なるため、数値を比較する際は何を示したデータなのか確認することが重要です。
昇給額は企業や業界、評価などによって大きく異なる
昇給額は一律ではなく、企業ごとの給与制度や評価制度によって大きく異なります。
企業規模によっても差が生じる傾向があり、厚生労働省の2025年調査では、規模が大きな企業ほど賃金改定額や賃金改定率が高くなる傾向がみられます。
また、労働組合がある企業のほうが、賃金改定額や賃金改定率は高い点もポイントです。
参考:令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況|厚生労働省
さらに、企業の業績によって昇給の原資は変わるため、同じ業界でも会社ごとに昇給額が異なる場合があります。
企業の評価制度によっては、成果や能力、役職などが昇給額に反映されるため、社員ごとに昇給幅が異なることもあります。
業界によっても利益率や人材需要の違いから昇給水準は異なるため、全体的な平均額だけで待遇を判断しないことが大切です。
自分の昇給額が平均的か確認する方法

自分の昇給額が平均的か知りたい場合は、まず現在の昇給額や昇給率を正しく把握することが大切です。
平均と比較するために、ここでは昇給額と昇給率の求め方を紹介します。
昇給額の計算方法
昇給後の給与額-昇給前の給与額
昇給額は、昇給前の給与と比べて給与がいくら上がったかを示す数値で、「昇給後の給与額-昇給前の給与額」で求められます。
計算に用いる給与額は、賞与ではなく、毎月支給される基本給を基準に考えます。
例えば、昇給前の基本給が25万円、昇給後が26万円であれば、昇給額は1万円です。
自分の昇給額を把握すると、前年と比較して給与がどの程度増えたかを具体的に確認できます。
昇給率の計算方法
(昇給額÷昇給前の給与額)×100
昇給率は、昇給前の給与と比べて給与が何%上がったかを示す割合で、「(昇給額÷昇給前の給与額)×100」で求められます。
例えば、昇給前の基本給が25万円、昇給額が1万円の場合、昇給率は4.0%です。
昇給率を算出すると、給与の増加額だけでなく、前年からどの程度給与水準が上昇したかを客観的に把握できます。
中小企業の平均昇給率や他社の賃上げ率と比較する際は、昇給額ではなく昇給率もあわせて確認すると、自社の水準を把握しやすくなります。
昇給額が平均より少ないときの3つの選択肢

昇給額が平均額より少なかった場合、その後の行動として考えられる選択肢は以下の3つです。
- 今の職場に昇給交渉を行う
- 副業など収入源を増やす
- 転職を検討する
それぞれの選択肢について詳しく解説します。
選択肢①今の職場に昇給交渉を行う
昇給額に納得できない場合は、会社にすぐに不満を伝えるのではなく、まずは評価内容や実績を整理し、昇給を希望する根拠を明確にしましょう。
昇給交渉では、「給料を上げてほしい」という感情的な訴えではなく、成果や担当業務、会社への貢献などの事実をもとに相談することが大切です。
また、人事評価の実施後や目標設定面談など、給与を見直すタイミングを選ぶと話しやすくなります。
会社の昇給制度や評価基準を確認したうえで、今後どのような成果を出せば昇給につながるのかを上司へ確認することも有効です。
会社の業績や制度も踏まえ、改善策を相談する姿勢で交渉に臨むことが重要です。
選択肢②副業など収入源を増やす
昇給額だけでは希望する収入に届かない場合は、副業などで収入源を増やすことも選択肢の一つです。
ただし、副業を検討する場合は、現在の勤務先の就業規則で副業が認められているかの事前確認は欠かせません。
また、本業に支障が出ないよう、無理のない範囲で継続できる副業を選ぶことも大切です。
副業は、収入を補うだけでなく、スキルや経験を身につける機会にもなるため、将来的な収入アップにつながる可能性もあります。
選択肢③転職を検討する
昇給が少ない状態が続き、今後も改善が見込めない場合は、転職を検討するのも一つの方法です。
転職を判断する前に、現在の給与や昇給制度、福利厚生、将来のキャリアなどを総合的に整理しておきましょう。
また、転職先を選ぶ際は、初任給だけでなく、昇給制度や評価制度、昇給実績も確認することが重要です。
まとめ|まずは中小企業の昇給平均と自分の待遇を比較してみよう

中小企業の定期昇給平均は、月4,000円程度で、定期昇給率は100~299人で1.6%、300~999人で1.5%となっています。
ただし、定期昇給、ベースアップ、賞与を含むかによって数値は異なるため、平均値だけで判断せず、自社の昇給制度や評価基準、年収、今後のキャリアなども踏まえて総合的に確認することが重要です。
昇給が少なく、将来の収入増加も見込みにくい場合は、転職も視野に入るでしょう。
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