40代になると転職は難しいと聞いて、不安に感じている方は多いのではないでしょうか。40代が転職しにくいといわれるのには理由があります。転職が難しいといわれる理由がわかれば、スムーズな転職に必要なものも見えてくるでしょう。
この記事では、40代の転職が難しい理由と、成功させるポイントを解説します。最後まで読んでいただければ、40代でも転職を成功させる方法がわかり、希望に合った転職の実現に近づけます。
目次
40代の転職は不可能ではない
40代の転職は不可能ではありません。40代でも転職を成功させている人は一定数います。厚生労働省が行った「令和4年雇用動向調査」によると、全労働者数に対して転職により入社した人数の割合は、40～44歳男性が5.7％、45～49歳男性が5.4％、40～44歳女性が9.6％、45～49歳女性が10.0％です。同じ調査で30～34歳男性は9.5％、35～39歳男性は7.7％となっており、30代よりやや少ないものの、一定数の人数がいることがわかります。
ただし、簡単に転職できるわけでもありません。20代や30代と比較すると、40代の転職率は低いです。40代の転職が難しいといわれるのには理由があります。次章では、40代の転職が難しい理由を見ていきましょう。
40代の転職が難しい理由
40代の転職が難しいのは、以下の理由が考えられます。
- 求人数が少ない
- 企業が40代の採用を懸念する傾向がある
- 希望年収が合わない
- 企業が求める経験・マネジメント力を持つ必要がある
- 経歴や肩書きに固執し過ぎる
ここからは、項目ごとに詳しく解説します。
求人数が少ない
40代になると30代より求人数が減ってしまいます。それが、40代の転職が難しい理由のひとつです。
20代や30代は若く経験が浅いため教育に時間や手間がかかる反面、成長するポテンシャルややる気に期待できます。企業では、若手の将来性に期待して、20代や30代の若手の採用に力を入れる傾向があります。原則として、募集や採用において年齢制限を設けることは平成19年以降禁止となりました。しかし、年齢制限禁止の例外事由にあたる求人もあります。長期的なキャリア形成を見込んで35歳以下などと年齢の制限を設けている求人を見たことのある方も多いでしょう。
仮に年齢不問や未経験歓迎と書かれていても、40代の採用は想定していない場合が少なくありません。40代の採用を見込んだ求人は数が少ないため、転職のハードルが上がってしまうのです。
企業が40代の採用を懸念する傾向がある
企業は、40代を採用することに不安を感じる傾向があります。部下が年下だったり、経験から得たやり方にこだわりすぎたりして、40代は扱いにくいと考える企業が多いためです。
近年は、以前のような年功序列ではなく、若手でも実力があればリーダーや役職に就ける企業が増えています。そのため、40代の中途採用者が30代の上司の下で働くというケースが珍しくありません。若い上司にとっては、やりにくいと感じる場合もあるでしょう。
また、20代や30代の若手は、転職後に職種や仕事のやり方が変わっても、新しいやり方に抵抗なく対応できるでしょう。しかし、40代の人のなかには以前からのやり方にこだわりやすく、柔軟性が乏しい人も少なくありません。
40代は経験が豊富でスキルがあり即戦力として魅力的ですが、入社してから長い期間一緒に働くことを想定すると、柔軟性があり扱いやすい人材を採用したいと考える企業が多いです。そのため、40代は採用を懸念されてしまい、選考を通過しにくい傾向があります。
希望年収が合わない
40代で転職する場合、転職前より年収をアップさせたいと希望する人は多く、実際に年収アップを実現する人もいます。一方で、年収が下がるなど雇用条件が転職前より厳しくなる可能性もあります。
厚生労働省が実施した「令和4年雇用動向調査」の調査結果によると、40～44歳の転職者のうち、転職前より賃金が増加した人は38％なのに対し、減少した人は32.3％でした。45～49歳の場合は、34.2％の人が増加した一方で、27.6％の人が減少しています。つまり、40代の求人があっても、希望年収が合わないケースが少なくありません。
転職は年収をアップさせるチャンスですが、40代では年収が下がるリスクも高いのが現状です。教育費や住宅ローンがあり年収を下げられないという40代も多いでしょう。好条件の求人を見つけるのが難しいのが、40代が転職しづらい理由のひとつといえます。
企業が求める経験・マネジメント力を持つ必要がある
企業は、40代の転職者に対し、豊富な経験やスキルをもとに即戦力として活躍してほしいと期待しています。また、部下の指導やプロジェクトの管理など、高いマネジメント力を求めている企業が多いです。成功までのプロセスやノウハウを新しい職場でも再現できる人材を採用したいと考えており、選考過程でもその点を重視しています。
そのため、企業が求めるレベルの経験がない場合は、転職が難しくなるでしょう。今までの経験や身につけてきたスキルを具体的にアピールし、企業が求めるマネジメント力を発揮できると説得することが必要です。
経歴や肩書きに固執し過ぎる
40代になると、前職において、役職に就いて高い年収を得ながらバリバリと働いていた方も多いでしょう。転職を決意しても、前職での経歴や肩書きに固執し、それよりも低い役職や年収では納得できないケースが少なくありません。しかし、実際には、前職より高い年収で転職できるのは難しいのが現状です。経歴や肩書きに固執し過ぎず、柔軟に求人を探す必要があります。
40代の転職を成功させるポイント
ここまで、40代の転職が難しい理由を見てきました。では、どのようにすれば40代でも転職を成功できるのでしょうか。
40代の転職を成功させるポイントには、主に以下のポイントがあります。
- 焦らない
- 幅広い求人を探す
- 譲れない条件を決める
- 人柄や人間性をアピールする
- キャリア採用を狙い、即戦力をアピールする
ポイントを押さえて転職活動を進めれば、40代でも納得のいく転職先を見つけられるでしょう。
焦らない
40代になると転職活動の期間が長くなる場合があります。なぜなら、40代は即戦力や指導力で企業から重宝される一方で、条件に合っているかを企業が慎重に見極めようとする傾向が強いためです。結果として、若手より面接の段階を多く設けたり、選考期間が長くなったりします。
なかなか決まらないと、一日でも早く転職先を決めたいと焦りがちです。私も「このまま転職できないのではないか」と不安になったことがあります。しかし、急いで決めれば検討にかける時間が短くなり、入社後にこんなはずではなかったと後悔する可能性があります。想定より時間がかかっても焦らずに、よく検討してじっくりと転職活動を進めましょう。期間がかかることを見据えて、経済的な困難に陥らないように、在職しながら転職活動をするのもよいでしょう。
幅広い求人を探す
求人数が少ないうえに、条件をいくつも並べて求人の幅を狭めてしまうと、条件に合う求人を見つけるのが難しくなります。求人の幅を広げて探すことにより応募できる求人数を増やせれば、転職の確率をアップさせられます。
業種や職種をしぼり過ぎずにチャンスを広げることも、40代の転職の成功には必要です。
譲れない条件を決める
40代の転職では、求人の数が少ないために、複数の希望条件の全てに合う求人を見つけにくいのが一般的です。条件にこだわり過ぎると、転職のチャンスをつかむのが難しくなるでしょう。
40代で転職活動を始める際は、これだけは譲れないという条件を決めておくことをおすすめします。仮に、他の条件に合わなくても、譲れない条件に合っていれば転職先として検討できます。そうすることにより、40代でも転職先の選択肢を広げられて、より希望に近い求人を見つけるチャンスが増えるでしょう。
人柄や人間性をアピールする
40代に求められるのは、経験やスキルをもとに業務の成果を出すだけではありません。リーダーとして、部署をまとめる指導力が求められます。40代は、職場を活発化させて、チームを成功に導く人材として採用されることが多いです。
そのため、実務的なスキルや経験だけでなく、人柄や人間性をアピールすることにより、職場の中心となってチームをまとめられる人材であることをアピールする必要があります。
キャリア採用を狙い、即戦力をアピールする
40代の転職では、即戦力として企業に貢献することを求められることが多いです。そのため、今までの経歴や専門性を活かせる求人を選ぶと、採用される可能性が高くなるでしょう。
経験豊富であれば、キャリア採用を狙うことも可能です。キャリア採用は専門的な知識やスキル、豊富な経験があることを前提とした求人であるため、40代が応募しやすい求人といえるでしょう。
20代や30代を教育するのには時間がかかります。即戦力を求めている企業であれば、40代でも転職できる可能性が広がります。
40代で未経験業界・職種への転職を成功させるポイント
40代でも、今まで経験したことのない職種にチャレンジしたいという方もいるでしょう。40代で未経験の業界や職種への転職を成功させるには、押さえておくべきポイントがあります。
- 人手不足の業種・職種を選ぶ
- 柔軟な対応力や吸収力をアピールする
- 40代が多く活躍している企業を選ぶ
以下に解説するポイントを理解して、40代でも未経験の仕事を始めてみましょう。
人手不足の業種・職種を選ぶ
前述のように、40代の転職は求人数が少ないために難しいのが一般的です。しかし、人手不足の業種や職種ならば、年齢に関係なく採用を検討する企業もあります。未経験でも応募できる求人数が多いため、40代でも転職のチャンスが広がります。
40代から新しいことを覚えられるか不安に感じる企業もあるかもしれません。しかし、慢性的な人手不足ならば、たとえ未経験の40代でも採用を検討してもらえるでしょう。
柔軟な対応力や吸収力をアピールする
40代では新しいことを覚えるのが苦手だと思われがちです。また、今までの慣習や経歴があるため、新しい職場に馴染めるのか不安に感じる企業もあるでしょう。40代で未経験の職場に応募する場合は、職場に馴染める柔軟性があることや新しい業務に抵抗なく対応できることをアピールする必要があります。
初めてのことでも吸収できる能力があることをアピールできれば、教える手間や時間をかけずに素早く職場に馴染めて、戦力になれるだろうと認めてもらえます。40代の未経験でも企業が不安に感じないようにアピールすることが重要です。
40代が多く活躍している企業を選ぶ
20代や30代が多い職場では、40代の求人が少なかったり、年齢不問と求人情報に書いてあっても40代が採用されにくい可能性があります。しかし、40代が多く活躍している企業であれば、40代を歓迎する傾向があると考えられます。
40代の採用に慣れていれば、入社後の対応もスムーズでしょう。40代を採用するメリットを重視しており、40代の求人を多く出している可能性があります。
求人情報や会社概要などを研究し、40代が多く活躍している企業を選んで応募しましょう。
ポイントを押さえて40代の転職を成功させよう
40代の転職が難しいのには理由があります。求人数が少なかったり、若手を採用したがる傾向があったりして、40代に転職のチャンスが少ないのが現状です。また、40代は経験やキャリアがあるため、希望条件に合わなかったり肩書きにこだわったり、自分で選択肢を減らしてしまう場合もあります。
少ないチャンスを逃さないために、求人の幅を広げ、条件にこだわり過ぎないことが大切です。40代の転職は時間がかかることを踏まえたうえで、じっくりと求人を探すことをおすすめします。
また、専門的なスキルや経験、部下をまとめるマネジメント力など、企業が40代に求める条件を理解したうえで、積極的にアピールする必要があるでしょう。
40代でも転職は不可能ではありません。キャリア採用も未経験分野へのチャレンジも、ポイントを押さえて対策を講じることで、40代でも転職を成功させられるでしょう。