月収とは

転職の面接で希望月収を聞かれたけれど、どの金額を答えるのかわからなかったという人もいるのではないでしょうか。月収と、手取り・月給・基本給との違いをはっきりと理解していないと、面接官に自分の希望を正しく伝えられず損をしてしまうかもしれません。

この記事では、月収と手取り・月給・基本給との違いと注意点を解説します。転職活動で給与交渉を有利に進めるためにも、月収の意味を正しく理解しておきましょう。

月収とは?

月収とは

「月収」とは、企業から1ヶ月に支給される給与の総額のことです。一般的には、年収を12ヶ月で割ったときの1ヶ月分の金額をさします。総支給額や額面も同じ意味です。

1ヶ月の総支給額には、基本給や毎月金額の決まっている固定手当だけでなく、残業代など月によって金額が変わる変動手当も含まれます。

つまり、業績や働き方によって変動手当の金額が変われば、月収の金額も変わります。

月収と手取り・月給・基本給との違い

月収と手取り

毎月の収入を表す言葉には、月収のほかに手取りや月給、基本給などがあります。意味を混同してしまうと、転職活動で給与交渉する際に企業との意思疎通がうまくいかない可能性があるため、注意しなければなりません。

この章では、月収と手取り・月給・基本給との違いを詳しく解説します。転職後に「思っていた金額と違った」などと後悔しないために、意味の違いを明確にしておきましょう。

月収と手取りの違い

「手取り」とは、月収から社会保険料と税金を引いた金額のことです。

社員は、企業から支給される総支給額である月収をそのまま受け取ることはできません。月収から社会保険料や税金を天引きした金額が、実際に手元に受け取れる金額、つまり手取りになります。「実際に銀行口座へ振り込まれた金額」と考えるとわかりやすいでしょう。

社会保険とは、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の総称です。社会保険の保険料のうち、社員の負担分が月収から天引きされます。

また、月収から天引きされる税金は、所得税と住民税です。ただし、住民税は、給料からの天引きではなく、自分で納税することも選べます。

月収と月給との違い

「月給」とは、1ヶ月に企業から支払われる総支給額である月収のうち、毎月金額が変動しない固定給の部分を指します。具体的には、基本給と固定手当を合わせた金額のことです。

固定手当とは、毎月支給される手当のうち、金額が変動しないものをいいます。例えば、以下のような手当のことです。

  • 交通手当
  • 役職手当
  • 営業手当
  • 住宅手当
  • 家族手当
  • 資格手当

一方、毎月の支給額が月によって変動する手当を変動手当といい、時間外手当、休日出勤手当、インセンティブなどが該当します。変動手当は月給には含まれませんが、月収には含まれます。

月収と基本給との違い

「基本給」とは、企業から必ず支払われる賃金のことで、給与の基本となる金額です。手当やインセンティブは基本給に含まれません。

基本給は、勤続年数や年齢、スキル、業績などをもとに決められます。勤続年数や年齢を基準に決める方法を属人給型、スキルや業績を基準に決める方法を仕事給型、両方を合わせた決め方を総合給型と呼びます。

基本給を決める基準は企業により異なるため、企業への確認が必要です。基本給はボーナスや退職金の基準になるため、基本給の金額は雇用条件において重要な項目です。

月収を確認する際の注意点3選

月収確認注意点

転職活動において月収を確認する際の注意点は以下の3つです。

  • 月収は歩合などにより変動する
  • 同じ月収でも賞与や退職金が異なる場合がある
  • 基本給に固定残業代が含まれる場合がある

以下に、項目ごとに詳しく見ていきましょう。

月収は歩合などにより変動する

月収は、基本給や固定手当、変動手当を全て足した、企業からの総支給額です。つまり、変動手当の金額が変われば、月収の金額も変わります。

変動手当には残業代や休日手当、毎月の歩合などが含まれています。歩合は、営業などの成果に応じて支給される手当であるため、毎月決まった金額が支給されるとは限りません。そのため、好成績をあげれば歩合が高くなって月収も高くなり、成績が想定より低ければ歩合が低くなって月収も低くなります。場合によっては、想定していた月収を下回ることもあるでしょう。残業代や休日手当も働き方によって金額が変わります。

転職時に企業から提示された月収は、毎月保証された金額ではありません。実際に働き始めると月収が変動する可能性があると認識しておくことが大切です。

同じ月収でも賞与や退職金が異なる場合がある

月収の金額が同じだからといって、基本給も同じとは限りません。以下の例のように、基本給が異なっていても、月収が同じ金額になる場合があります。

  • 基本給20万円+固定手当5万円+変動手当5万円=月収30万円
  • 基本給10万円+固定手当15万円+変動手当5万円=月収30万円

この例の場合、月収の金額は同じでも基本給が異なるため、基本給を基準に計算する賞与や退職金の金額も異なる可能性があります。

基本給を確認せず月収だけを見ていると、賞与や退職金が想定より少ないことに入社後に気づいて後悔するかもしれません。転職活動では、月収だけでなく基本給を確認することにより、賞与や退職金の目安を確かめられます。

基本給に固定残業代が含まれる場合がある

残業代は通常変動手当に該当します。一方、あらかじめ一定額を残業代として月収に含めて、毎月支給するのが固定残業代です。

固定残業代は毎月金額が決まっていますが、固定手当に含まれるかどうかは企業によって異なります。また、固定残業代として想定される残業時間を超過した分の残業代は別に支給され、変動手当に該当します。

転職活動の給与交渉は年収でおこなう

給与交渉年収

転職活動における給与交渉は、一般的には月収ではなく年収で行います。企業が入社後の給与を提示する際、毎月の支給額ではなく、年に数回支給される賞与やインセンティブを含めた一年間の総支給額で提示するためです。

また、手取りや基本給、固定給ではなく、年収であることにも注意が必要です。あくまで一年間に支給される総額がいくらかであり、手元に残る金額や必ず支給される金額ではありません。

面接などで希望の給与額を聞かれたとき、月収や手取りで答えてしまうと、面接官との意思の疎通がうまくいかない可能性も出てきます。

企業に自分の希望給与を正しく伝えて給与交渉をスムーズに進めるためにも、どの金額で交渉するのかを正しく理解しておくことが大切です。

月収の意味を理解して企業との交渉に役立てよう

月収企業交渉

月収とは、企業から1ヶ月に支給される金額の総額のことです。基本給や固定手当、変動手当を全て足した金額であり、総支給額や額面とも呼ばれます。

一方、月給は基本給と固定手当を足した金額であり、変動手当を含みません。また、手取りは月収から社会保険料と税金を差し引いたもので、実際に手元に受け取れる金額です。どちらも月収とは意味が異なるため、違いを正しく理解しておくことが大切です。

また、給与の基本となる金額を基本給といい、月収が同じでも基本給は異なる場合があります。基本給は賞与や退職金の基準となる重要な金額です。

通常、転職活動において給与交渉を行う際は、年収を基準にします。月収や手取りで話してしまうと、面接官の認識とずれが生まれ、入社してみたら思っていた給与と違ったということになる恐れがあります。

月収について理解を深めておくことが、企業と行き違いなく給与交渉を進めるのに役立つでしょう。