教育訓練給付制度

教育訓練給付制度は、資格や知識を習得できる講座や学校にかかる費用の一部を給付金として受け取れる制度です。「退職後に使うもの」というイメージがあるかもしれませんが、在職中でも教育訓練給付制度を利用してお得にスキルアップを図れます。転職活動に向けたスキルアップのために利用したいけれど、在職中に使うと勤務先にバレないか不安に感じる方もいるでしょう。

この記事では、教育訓練給付制度の概要と、在職中に給付金を受け取る際の注意点を解説します。安心して制度を活用できるように、最後まで読んで制度への理解を深めましょう。

教育訓練給付制度は在職中も使える

教育訓練給付制度_

教育訓練給付制度は、在職中も使える制度です。受給に必要な一定条件を満たしていれば、在職中や離職中にかかわらず、給付金を受け取れます。

詳しい支給条件についてはあとで解説しますが、これまでに制度を利用したことがない方は1年以上、ある方は3年以上の雇用保険加入期間が必要です。

在職中に教育訓練給付制度を利用して資格を取得できれば、スキルアップや将来のキャリアアップに役立ちます。

在職中でも勤務先にバレずに使える

在職中でも、勤務先にバレずに教育訓練給付制度を利用することは可能です。

教育訓練給付制度は、受給する本人とハローワークが直接やり取りをして手続きを進めます。勤務先が受給者とハローワークとの間に入って手続きに関わったり、教育訓練給付の受給について勤務先に知らせることはありません。そのため、在職中でも勤務先に知られずに制度を利用できます。

ただし、教育訓練給付制度の対象となる講座を受講するには、通学や学習の時間が必要になります。場合によっては、有給を使ったり残業を減らしたりして、プライベートの時間を確保しなければなりません。受講する内容が現職に関連するものであれば転職を勘ぐられる可能性も低く、事前に勤務先に受講する旨を話し、理解を得ておくほうがスムーズです。

なお、制度の利用には雇用保険番号が必要です。「雇用保険番号を現職の会社に照会するとバレるのでは?」という心配をしているかもしれません。しかし、現在の勤務先に尋ねなくても、以下の方法で確認できます。

  • 過去の離職票のコピーを見る
  • マイナポータルから調べる
  • ハローワークで雇用保険被保険者証再交付申請書を提出する

雇用保険番号は1人の労働者につき1つ与えられるため、転職しても番号が変わることはありません。

教育訓練給付制度の概要

教育訓練給付制度_

ここからは、教育訓練給付制度の概要を解説します。安心して学習を進めるために、制度をしっかりと理解し不安を解消しておきましょう。

教育訓練給付制度の3つの種類

教育訓練給付制度には、「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」の3つの種類があります。対象となる講座の種類や、支給額、支給されるタイミングなどが異なるため、違いを理解して自分に合った制度を選びましょう。

種類 専門実践教育訓練 特定一般教育訓練 一般教育訓練
対象となる教育訓練 特に労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象 特に労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象 その他の雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練が対象
対象講座
  • 介護福祉士、看護師・歯科衛生士、保育士、はり師など、業務独占資格を取得できる講座
  • 第四次産業革命スキル習得講座、ITSSレベル3以上の情報通信技術関係資格を取得できる講座など、デジタル関係の講座
  • 法科大学院やMBAなどの専門職大学院の課程、職業実践力育成プログラムなど、大学院・大学・短期大学・校当選も学校の課程
  • 職業実践専門課程、キャリア形成促進プログラムなど、専門学校の課程
  • 介護支援専門員実務研修、大型自動車第一種免許など業務独占資格取得できる講座
  • ITSSレベル2の情報通信技術関係資格を取得できるデジタル関係の講座
  • 短時間の職業実践力育成プログラムや短時間のキャリア形成促進プログラムなどの、大学や専門学校の課程
  • 職業能力評価制度の検定合格を目指す課程
  • 建設機械運転、介護福祉士実務者養成研修、税理士、社会保険労務士、TOEIC、簿記検定、宅地建物取引士など資格の取得を目標とする講座
  • 大学院などで修士・博士の学位などの取得を目標とする課程
支給額
  • 修了時に受講費用の50%(上限40万円)
  • 受講修了後1年以内に資格を取得し雇用された場合、受講費用の70%(上限56万円)と既に支給された金額の差額
  • 修了後の賃金が受講前より5%以上上昇した場合、受講費用の80%(上限64万円)と既に支給された金額の差額
  • 最大3年間で上限192万円
  • 修了時に受講費用の40%(上限20万円)
  • 受講修了後1年以内に資格を取得し雇用された場合、受講費用の50%(上限25万円)と既に支給された金額の差額
受講費用の20%(上限10万円)
支給のタイミング 受講開始後6ヶ月ごと 講座修了後 講座修了後

受講する講習の種類によって、受け取れる支給額が変わります。思っていた金額と違うなどズレが起こらないように、自分に必要な講習がどの種類に当てはまるかを把握することが大切です。

支給の条件

教育訓練給付制度を利用するには、雇用保険の加入期間など、以下の条件に当てはまる必要があります。

教育訓練給付制度を以前に使ったことがあるかないか 利用条件
ない ・在職中または離職してから1年以内
・雇用保険の加入期間が1年以上ある
・専門実践教育訓練は雇用保険の加入期間が2年以上あること
ある ・前回受給してから3年以上経過している
・前回受給後から雇用保険の加入期間が3年以上ある

教育訓練給付制度の支給額は高額の場合があるため、仮に受給できないと経済的に大きな負担になってしまう恐れがあります。前もって、自分が条件に当てはまるかをしっかりと確認することが大切です。

支給の流れ

教育訓練給付制度の給付金が支給されるまでの流れを解説します。

  1. 訓練前キャリアコンサルティングを受けて、ジョブカードを発行してもらう(専門実践教育訓練、特定一般教育訓練)
  2. ハローワークで受給資格を確認する
  3. 講座に直接受講を申し込む(資金を自分で負担する)
  4. 講座を受講し、修了する
  5. ハローワークへ受給申請する
  6. ハローワークより給付金が受給される

専門実践教育訓練および特定一般教育訓練を利用する場合は、受給資格を確認する前に「訓練前キャリアコンサルティング」を受けなければなりません。ジョブ・カードを交付してもらい、受講する2週間前までに受給資格確認をおこなう必要があります。

教育訓練給付制度を利用するときの注意点

教育訓練給付制度_注意

教育訓練給付制度を利用するには、いくつかの注意点があります。

  • 講習料金を先に負担する必要がある
  • 全額支給されるわけではない
  • 支給の対象にならない支出がある
  • 2回目利用は初回から3年以上経過後になる
  • 公務員は利用できない

自分が条件に合っているか、しっかりと確認しましょう。

講習料金を先に負担する必要がある

給付金が支給されるのは、講習を修了した後です。

そのため、講習の申込み時や受講前に講習費用を支払う場合は、一旦自分で負担して支払う必要があります。そして、講習が修了するまでお金を受け取れません。

受講料が高額の場合は経済的に大きな負担になる可能性もあるため、注意しなければなりません。

全額支給されるわけではない

教育訓練給付制度の支給額は、上限が決まっています。講習費用の全額ではありません。

そのため、講習費用の一部は自分で負担しなければなりません。負担する金額がいくらになるか、しっかり把握しておくことが大切です。

支給の対象にならない支出がある

教育訓練給付制度の対象は主に講習費用です。講習を受けるためにかかった費用のすべてが対象になるわけではありません。

例えば、以下の費用は、支給の対象にならないため注意しましょう。

  • 交通費
  • 資格試験の受験料
  • 任意で購入する教材費
  • 補講費
  • パソコンなど器材費用

など

対象となるのは、あくまで講習を受けるために支払った入学料と受講料の全額です。それ以外にかかった費用は対象とならないため注意しましょう。

参照:
厚生労働省|Q&A~一般教育訓練給付金~
厚生労働省|Q&A~専門実践教育訓練給付金~

2回目利用は初回利用から3年以上経過後になる

教育訓練給付制度は複数回利用することができます。

ただし、2回目以降は、以下のように受給要件が異なります。

  • 1回目の支給から、3年以上経過していること
  • 1回目の支給以降、3年以上の雇用保険加入期間があること

雇用保険の加入期間など1回目の支給の要件より長くなっているため、自分の加入期間が条件を満たしているか確認しましょう。

公務員は利用できない

教育訓練給付制度は雇用保険の加入期間があることが、受給の条件になっています。

公務員は雇用保険に加入していないため、教育訓練給付制度を利用できません。

在職中でも教育訓練給付制度を利用してスキルアップしよう

教育訓練給付制度_スキルアップ

教育訓練給付制度は、経済的な負担を減らしながらスキルアップを図れる制度です。在職中でも、基本的には勤務先に知られずに利用できるため、働きながら将来のために資格や知識を取得できます。

ただし、学習や通学の時間を確保するために、休みを取ったり勤務時間を減らしたりなど仕事に影響が出そうな場合には、前もって勤務先の理解を得ておくことも大切です。

将来的に仕事の幅を広げたい方やキャリアアップしたい方は、在職中でも教育訓練給付制度を上手に利用して、資格取得やスキルアップを目指してみませんか。