会社倒産転職

「会社が倒産しそう」そんな不安を感じていませんか?業績悪化や給与の支払い遅延、役員の大量退職など、身の回りで気になる兆候が増えてきた場合、倒産の可能性が頭をよぎるのは当然です。実際に会社が倒産した場合、突然の収入途絶やキャリアの中断に直面することになります。

では、倒産前に転職活動を始めるのが正解なのでしょうか?それとも、実際に倒産してから動き出すべきでしょうか?この記事では、会社が倒産する前兆やそのときに取るべき行動、倒産前後で転職活動を始めることのメリット・デメリットを具体的に解説します。

会社が倒産する前兆

会社倒産前兆

会社が倒産する前兆は、大きく5つあります。

  • 会社の利益が減少している
  • 多くの役員が退職している
  • 給与の振り込みが遅れている
  • 希望退職者を募集している
  • 業務量が激減している

詳しく解説します。

会社の利益が減少している

会社の利益が継続して減少している場合は、経営の健全性に大きな懸念が生じます。利益は企業の収益性を示す指標であり、売上が伸びていたとしても、経費や仕入れコストが増大している場合には最終的な利益は減少します。

数期にわたり赤字が続いているような場合、債務超過に陥るリスクが高まるため注意が必要です。また、資金調達が困難になると、日々の運転資金すら不足する恐れがあり、取引先への支払い遅延や給与支払いの問題など、経営破綻の連鎖的な兆候が現れます。決算書や四半期報告を確認し、利益が減少している場合は、倒産リスクを見極める必要があります。

多くの役員が退職している

会社の役員が短期間に相次いで退職する場合、組織内部で深刻な問題が起こっている可能性があります。経営層の動きは通常、一般社員が知り得ない経営判断や財務状況の先行指標であることが多く、将来性に対する不安や方針の対立、資金繰りの悪化などを察知して離脱しているケースが考えられます。特に創業メンバーや取締役クラスの幹部が一斉に辞任するような状況では、社内の混乱や重大な経営トラブルが背景にある場合があり、業績以上に注意が必要です。

給与の振り込みが遅れている

給与の振り込み遅延は、会社の資金繰りが著しく悪化しているサインです。通常、企業は給与支払いを最優先事項として扱いますが、それが遅れるということは、運転資金が枯渇し、経費の支払いにも支障が出ていることを意味します。従業員にとって給与遅延は生活に直結する問題であり、不安や動揺が広がると、優秀な人材から離職が進み、さらに業務に支障をきたす悪循環に陥ることもあります。会社側から明確な説明がないまま繰り返される場合は、倒産が間近に迫っているかもしれません。

希望退職者を募集している

企業が希望退職者を募るのは、業績の悪化や経営の立て直しを迫られているためです。人件費は固定費の中でも大きな割合を占めるため、削減対象として早期退職制度を導入するケースがあります。

中高年層を中心に対象とする場合は、長期的な人件費圧縮と若い人材の育成を目的としている可能性もありますが、裏を返せば今後の事業継続が不透明であることを意味します。また、希望退職後に部署の統廃合や組織改編が行われることも多く、職場の雰囲気が一変する場合もあるでしょう。このように希望退職の募集がある場合、会社の将来に対して慎重な判断をすべきタイミングといえます。

業務量が激減している

以前に比べて明らかに業務量が減っていると感じたら、会社の経営状況に注意が必要です。取引先の減少や受注の大幅な落ち込みは、企業の信用低下や競争力の喪失を意味します。繁忙期であっても閑散としている、急にプロジェクトが中止になった、売上目標が大幅に下方修正されたといった場合は、経営資源が枯渇しつつあるかもしれません。

また、これまで受けていた業務が外注化されたり、部署全体が再編されるなどの動きがあれば、倒産やリストラに向けた準備段階である可能性もあります。自身のキャリアを守るためにも、こうした兆候を見逃さず、早めの行動が重要です。

会社が倒産しそうなときにすること

会社倒産_業績悪化

会社が倒産しそうなときにしておきたいことは以下の2つです。

  • 会社の情報収集をする
  • 転職を検討する

それぞれ解説します。

会社の情報収集をする

会社が倒産するかもしれないと感じたら、まずは情報を集めることが重要です。決算書やIR情報、業界紙、企業の公式発表などから、財務状況や経営の方向性を確認しましょう。また、帝国データバンクや東京商工リサーチなどの信用調査会社のレポートも参考になります。

社内での経営陣の発言や動向からも、倒産の兆しを読み取れる場合があります。給与支払いの遅配、役員の退職、取引先の離脱なども不安材料です。これらの情報を収集し、自分の今後の行動方針を明確にすることが必要です。会社の状況が思った以上に悪化していると分かれば、早めに転職や退職の準備に着手できます。

転職を検討する

会社の倒産リスクを感じたら、早めに転職活動の準備を始めることが大切です。求人情報サイトの登録やエージェントの活用を通して、次の転職先の選択肢を広げましょう。転職活動を早めに始めることで、希望条件に合った企業と出会える可能性が高まります。また、現職に在籍中であれば、収入がある状態で余裕を持った判断ができます。先を見据えて行動することが大切です。

倒産前に転職活動を始めるメリット・デメリット

会社倒産_就活 リクルートスーツを着た男女のポートレート

倒産前に転職活動を始めるメリットとデメリットを紹介します。

  • メリット:有給休暇を活用できる
  • メリット:時間をかけてゆっくり転職活動できる
  • デメリット:本当に倒産するとは限らない

それぞれ解説します。

メリット:有給休暇を活用できる

倒産前に転職活動を始めるメリットのひとつが、有給休暇を利用して動けることです。在職中であれば収入が確保されているため、金銭的な不安が少なく、落ち着いて転職先を探すことができます。面接の日程も調整しやすく、働きながらスケジュールを立てられるのは大きな利点です。

また、面接対策や応募書類の準備にも時間をかけやすく、質の高い転職活動が可能になります。有給を計画的に取得することで、現職に迷惑をかけずに活動を進められるでしょう。突然の倒産によって慌てて転職活動を始めるより、精神的にも余裕を持って対応できます。

メリット:時間をかけてゆっくり転職活動できる

倒産のリスクを感じた段階で早めに転職活動を始めることで、じっくりと求人を探す時間を確保できます。在職中であれば収入を継続して得られるため、焦って就職先を決める必要がなく、自分に合った職場を見極めることが可能です。希望条件に合致する求人が出るまで待つ余裕があるため、キャリアアップや働き方の改善も実現しやすくなります。

デメリット:本当に倒産するとは限らない

会社に倒産の兆候があっても、必ずしも倒産に至るとは限りません。経営再建が成功したり、業績が回復したりする可能性もあります。そのため、早まって退職や転職を選ぶと、後になって「辞めなければよかった」と後悔することもあります。特に在職中の立場が安定していた場合、新しい職場に馴染めなかったり、待遇が悪化したりするリスクも考慮しなければなりません。また、会社側に退職の意思が伝わると、異動や評価への影響を受ける恐れもあります。転職活動を始める前には、客観的な情報を集め、冷静に状況を判断することが重要です。噂や不安に流されず、将来を見据えた慎重な行動が求められます。

倒産後に転職活動を始めるメリット・デメリット

倒産_転職メリット

倒産後に転職活動を始めるメリットとデメリットを紹介します。

  • メリット:失業保険を受給しながら転職活動ができる
  • メリット:転職活動で有利になる
  • デメリット:収入が一時的に途絶える

詳しく解説します。

メリット:失業保険を受給しながら転職活動ができる

会社が倒産した場合、離職理由は「会社都合」となるため、自己都合退職と異なり、待機期間終了後すぐに失業保険の受給が開始される可能性があります。原則として7日間の待機期間を経れば、最短で8日目から給付が開始されるため、収入がゼロになるリスクを最小限に抑えつつ、転職活動を行うことが可能です。

失業手当の受給期間は年齢や雇用保険の加入期間によって異なりますが、一定期間は経済的な下支えとなります。そのため、急いで次の職を決める必要がなく、自分に合った企業をじっくり選べる点がメリットです。

メリット:転職活動で有利になる

倒産による離職は、本人に責任がない「不可抗力の退職」として企業側も理解を示すことが多く、選考時にマイナス評価されにくい傾向があります。面接で前職を辞めた理由を問われた際も、「倒産による退職」であれば納得されやすく、そのうえで積極的に新たなキャリアを築こうとする意欲を示すことができれば、むしろ好印象を与えることも可能です。

また、倒産による転職市場への流出は一定の理解があるため、採用側も即戦力として期待しやすくなります。このように、前向きな姿勢とスキルをアピールすることで、転職活動を有利に進められるケースが多いのです。

デメリット:収入が一時的に途絶える

倒産後は突然の離職となるため、次の職が決まるまでの間、収入が完全に途絶える可能性があります。失業保険を受給できるとしても、実際に振り込まれるまでには申請手続きや待機期間が必要で、数週間のタイムラグが生じやすいです。この間に家賃や生活費の支払いが続くと、貯蓄が少ない人にとっては大きな経済的負担になります。

また、焦りから条件に合わない職場を選んでしまうリスクもあります。特に扶養する家族がいる場合は生活の安定が最優先となるため、経済的余裕がない状態では思うような転職活動ができず、選択肢が狭まってしまう可能性がある点がデメリットです。

会社が倒産しそうなときこそ冷静に転職を検討しましょう

会社倒産_ビジネスマン

会社の倒産リスクが高まる兆候として、利益の減少や役員の退職、給与支払いの遅延、希望退職の募集、業務量の激減などが挙げられます。これらが見られた場合、倒産に備えて情報収集や転職の検討が重要です。早めに転職活動を始めれば、有給休暇を活用でき、希望に合った職場をじっくり探す余裕もあります。

ただし、会社が本当に倒産するとは限らず、早まった決断は後悔を招く可能性もあります。倒産後の転職活動では、失業保険を活用しながら求職でき、退職理由が倒産であれば選考に不利になりにくいという利点があります。一方で、給与収入が一時的に途絶えるリスクも考えなければいけません。いずれにしても、冷静に状況を見極め、計画的に行動することが、将来のキャリアと生活の安定につながります。