2021年4月から、従業員数300人を超える企業に対して、中途採用比率の公表義務化が始まりました。
従業員300人以下の企業は、公表対象外となっていますが、非公表であっても、面接の際に聞けば、おおよその比率は教えてくれるでしょう。
会社を探す際、中途採用比率については、これまであまり注目されなかったポイントかもしれません。
しかし、中途採用比率の数値からはその会社の考え方や状況が多く読み取ることが出来ます。
そこで今回は、人材研修、コーチング事業を展開している筆者(グイレン株式会社/代表取締役 大須賀)が中途採用比率について、会社を選ぶ側の視点で、見るべきポイントを解説します。
参考:厚生労働省のリーフレット
目次
法改正の目的は?
中途採用の環境整備を推進とあります。
背景には、転職という行為が、以前よりも当たり前となっていることに加え、高度な技術や専門性、経験を有する人を確保する企業側のニーズが高まっていること、働く意欲のある高齢者が増えているという事情が考えられます。
中途採用比率が高い場合
中途採用比率が高いのは悪いことではない
中途採用が多いと聞くと、離職率の高さや、ブラックな社風を連想する人もいるかもしれません。人気企業は、新卒の離職率が低く、中途採用比率は上がらないと話す人もいます。
しかし、すべてがそうとは限りません。
戦略的に中途採用を増やしている会社も少なくありません。
次のポイントでも述べますが、変化の時代に必要な多様性(ダイバーシティ)を推進するためには、中途採用を増やすことは大変有効です。
私が尊敬する、ある中小企業の社長は、最近まで、新卒を採用していませんでした。つまり、中途採用比率100%でした。
社長が仰るには、新卒者というのは、まだ何色にも染まっていない、無限の可能性のある社会の宝だそうです。その貴重な「人財」を、受け入れるだけの資格が自社にあるのか、そう考え長年新卒を採用してこなかったそうです。地域の要請に応える形で、新卒採用を決断されたとのことですが、並々ならぬ責任感をお持ちで、新人教育に取り組まれています。
なぜ中途採用比率が高いのか、あるいは低いのかを知ることで、会社の方針に対する理解が深まることもあります。関心を持って見てみてはいかがでしょうか。
多様性を受け入れる土壌はできやすい
中途採用比率が高ければ、多様性(ダイバーシティ)を受け入れる土壌はできやすいと言えます。
異なる業界、異なる社風を経験してきた人が多くなれば、自然と多様性は推進されます。
変化が激しい時代にあり、多様性を受け入れることは大変重要なポイントです。
多様な考え方、視点、価値観、文化が受け入れられれば、硬直的な組織体質になることを防ぐことができます。
新卒採用が多ければ、中途採用組よりも新卒組の待遇が有利なケースは多いのが現状です。
一方、中途入社組が多くなれば、新卒組と待遇に差が出ることも少なくなることが期待できます。年功序列も作用しにくくなり、その分、能力主義はいくぶんか強くなる傾向もあります。
中途採用比率が低い(新卒採用比率が高い)場合
一般的に見られる大企業の新卒一括採用
今後は、冒頭に示したような国の施策もあり、中途採用は増えていくことが予想されます。
それでも現状は、大手ほど新卒比率が高い傾向があります。
新卒一括採用を実施し、一堂に会することで、効率的に教育し、横のつながり、そして帰属意識を高める効果が期待できるからです。
それができること自体、経営基盤として、余裕があるという見方もできます。
また、安定して新卒の応募があるということは、人気企業の一つの証とも言えます。
一方、中途採用組からすると、特有の組織文化に馴染まなければならない部分も多くあり、苦労する部分かもしれません。
教育プロセスが固まっている
教育のノウハウが蓄積されていれば、業務を効果的に学ぶことができます。
研修やOJTなども含めて、手厚く系統立てて学べる機会を用意しやすいことも、新卒が多い会社の強みです。入ったら、誰も教えてくれない、全て自分から動いて覚えなければならないという環境にはなりにくいと思われます。
一方、働く人の価値観や考え方は、どうしても似通ったものになりがちです。年功序列の傾向が強い組織が多いことも特徴です。
まとめ
中途採用が多いか少ないかで、どちらが確実によいというわけではありません。
傾向通りではない企業ももちろんありますが、1つの参考にはなる指標かと思います。
また、面接の際などに、これを話題にして、人材方針を聞いてみると、より理解が深まるかもしれません。人材は、会社にとって大変重要です。人材方針を聞くことは、会社の将来像を考えるのに有効です。
採用面接などでは、最後に質問できる機会を与えられることが多いと思います。
その際に、聞いてみることもお勧めです。
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