女の子の健やかな成長を願う行事、桃の節句・ひなまつり。桃の節句といえば3月3日ですが、お雛様は節分の翌日の立春(2月4日)から2月中旬頃までに飾るのが良いと言われています。全国各地でも2月頃からひなまつりイベントがスタートしています。今回は豊橋市の二川宿本陣と商家 駒屋にお雛様を見に行ってきました。
まずは「二川宿本陣のひなまつり」へ
二川駅から車で約5分のところに二川宿本陣はあります。100台収容できる駐車場がありますが、ひなまつりイベント開催中の土日祝日はなかなか混み合います。(徒歩5分のところに二川宿大駐車場もあり)二川駅から歩く場合は約15分。天気の良い日は古い町並みを眺めながら向かうのも楽しいですよ。
まずは受付で入館料を支払います。東三河に在学の小中学生はほの国こどもパスポートを忘れずに。
「二川宿本陣のひなまつり」では、江戸時代から平成までの各時代のひな人形や雛飾り、桃の節句に関する資料が展示されています。
入口を入ってすぐ横にある資料館の企画展示室では「おひなさまと武者人形~柴田コレクション~」を開催(~3月12日(日)まで)、江戸時代の雛飾りや古い内裏雛を観ることができます。
子どもの人形遊びに使えそうなほど大きなお雛さまも居れば、ミニチュアサイズのお雛さまも居て、装いも簡素なものから豪華なものまで本当にさまざま。さらには押し絵雛といったような珍しいお雛さまも展示されていました。
ひな人形の歴史を知ってより楽しく
二川本陣のひな人形をより興味深く見て回れるよう、その歴史を簡単にご紹介します。
ひなまつりの起源は平安時代まで遡りますが、女の人のお祝いとして人形を飾るようになったのは江戸時代に入ってから。
江戸時代の初期に誕生したのが座った姿のひな人形「寛永雛(かんえいびな)」。男雛は12cm程、女雛は9cm程と小さなサイズでした。
次に現れたのが「元禄雛(げんろくびな)」。寛永雛より一回り大きくなり十二単のような衣装に。
八代将軍の享保時代は豪華絢爛な時代だったためひな人形もより一層華やかになりました。「享保雛(きょうほびな)」は豪華な金襴や錦を用いた装束を着、女雛は豪華な天冠(てんかん)を被っています。サイズも大きくなっていき、大きなものでは60cm以上もあったのだとか。
そののち景気後退により贅沢禁止令が発令されるようになり、ひな人形の大きさにも制限が設けられました。度重なる贅沢禁止令の反動で、今度は小型化・精密化が進んだ「芥子雛(けしびな)」が流行します。なんとそのサイズは10㎝以下。
江戸時代後期からは現在のひな人形の原型とされている「古今雛(こきんびな)」が江戸で登場。目には水晶やガラスがはめ込まれ、衣装には金糸や色糸で刺繍が施された華やかな装束を着ています。
京都では公家の装束を正確に再現した「有職雛(ゆうそくびな)」や丸顔に細い眼、小さい唇と鼻などが特徴の「次郎左衛門雛(じろうざえもんびな)」も流行りました。
二川宿本陣の資料館の企画展示室では江戸時代のひな人形が多く展示されているため、サイズや衣装等の違いを比較して楽しみやすいかと思います。
また、ひな人形の飾り方ですが、江戸の初期は内裏雛(男雛と女雛)の一揃いが床上や一段の台上に飾られていました。江戸中期に入ると主に武家や町人社会での風習として段飾りが登場。幕末までには官女や随身などの添え人形や嫁入り道具も登場し、スケールが大きくなっていきました。江戸では七段飾りが、上方では御殿飾りが行われるようになりました。
二川宿本陣・旅籠屋「清明屋」で豪華な七段飾りや御殿飾りを鑑賞
今度は大名や公家が泊まった二川宿本陣と一般庶民が宿泊した旅籠屋「清明屋」へ。こちらでは豪華な七段飾りや御殿飾りがずらっと並んでいて圧巻です。
特に目を引くのが華やかな御殿飾りではないでしょうか。
御殿飾りは平安時代の京の御所をモチーフとした御殿のなかに内裏雛を配置し、官女などの人形を添えて飾ります。
江戸時代後期から昭和にかけて京都を中心に関西地方で多く取り入れられました。特に明治・大正時代に人気を博しますが、戦争を機に一時姿を消します。昭和中期頃に復活したものの、関東で流行していた段飾りに押される形で姿を消していったのだとか。
こちらにはつるし雛が飾られています。色とりどりの小さな細工小物が風に揺れてとても華やかな雰囲気。動物にお野菜に、ほんとうにいろいろな種類の小物があって会話も弾みます。
つるし雛は「衣食住に困らないように」という願いが込められていますが、小物にもそれぞれ縁起物としての意味があります。小物と一緒に意味を紹介しているコーナーがあるのでちょっとお勉強タイムです。
他にも雛人形と共に飾られた市松人形や天神さま、折り紙の雛飾り作品、土人形なども展示されていました。豪華な装飾に感動し、お雛さまの表情や可愛いつるし雛に癒され、珍しい展示に目を見張りました。子どものちょっと早めのペースで見て回りましたが30分以上は滞在していました。
商家 駒屋の笑顔と福を呼ぶ「福よせ雛」
今度は二川宿本陣を出て東海道を東に進みます。少し狭い道を徒歩で3分ほど歩いたところに商家 駒屋があります。そのもう少し先には駒屋の駐車場もあります。
駒屋では、ご家庭での役割を終えたひな人形が生まれ変わって、第二の人生を面白おかしく過ごしている姿を見ることができます。
豊橋市ゆかりの有名人になってみたり、アニメキャラに変装したり、カフェでのんびりしたり。耳を澄ませばなんだかお雛様たちの会話が聞こえてきそうですね。
イベントで福よせ雛づくり体験が開催され、そこで変身したお雛さまも一緒に展示されていました。
自由な恰好でセカンドライフに勤しむお雛さま達の姿に大人も子どももにっこりです。駒屋には他にも駄菓子やお土産が買える「ふたこまや」や蔵カフェ「こまや」、広場もあり子どもとゆったり楽しめました。
開催概要
二川宿本陣のひなまつり
日時 | 令和5年1月28日(土)~3月12日(日) 9:00~17:00(入館は16:30まで) |
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休館日 | 毎週月曜 |
場所 | 豊橋市二川町字中町65番地 |
入館料 | ・一般・大学生400円(320円) ・小中高生100円(80円) ・豊橋市内在住の70歳以上100円(80円) ※()は30名以上の団体料金及び前売料金、 豊橋市内在住の70歳以上の方は団体のみ。 |
公式HP | https://futagawa-honjin.jp/ |
商家 駒屋 福よせ雛
日時 | 令和5年1月28日(土)~3月26日(日) 9:00~17:00 |
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休館日 | 毎週月曜 |
場所 | 豊橋市二川町字新橋町21 |
入館料 | 無料 |
公式HP | http://komaya.futagawa.org/ |
まとめ
豊橋市の二川宿本陣と商家 駒屋のひなまつりをご紹介しました。毎年人気のイベントで、開催期間中はいろいろな関連イベントも行われています。少しづつ春を感じるこの季節に、華やかなお雛様の姿を見に行ってみてはいかがでしょうか。