現役大学生による企業インタビュー記事、「学生インタビュー」。
この記事は、地元の大学生が、様々な企業を訪問する中で、見て感じた驚きや発見をそのまま発信するものです。
今回は、朝日木材加工株式会社に訪問してきました。
<この記事を書いた学生ライターを紹介>
愛知大学
地域政策学部3年生
趣味:カラオケ
愛知大学
地域政策学部3年生
趣味:ギター演奏
【お話を聞いた人】
朝日木材加工株式会社
取締役事業部長
今回お邪魔したのは愛知県豊橋市にある朝日木材加工株式会社。
「木材加工」と聞いて、連想されるのはやはり「家具」ではないでしょうか。
その通りで、主な事業として木製家具製造販売があります。
ですが、その始まりは家具からではありませんでした。
朝日木材加工株式会社は1966年設立・創業し、なんと50年以上の歴史があります。
バブル崩壊やリーマンショックという厳しい時代を生き抜いてきた会社です。
また、1990年代から2000年代にかけてマレーシアやベトナムに工場を作るなど、海外進出をして、グローバルに活躍しています。
僕たちは、長い歴史があり、海外へと踏み出した朝日木材加工株式会社の取締役の小松亨さんにお話を伺いました。
お忙しい中、取材をうけてくださった小松亨さん。気さくな方で、とても親切に質問にも応えていただきました。
歴史と概要
現在、朝日木材加工株式会社は、家電事業部と家具事業部の二つの柱で成り立っていますが、もともとは家電事業からのスタートでした。
「家電」と「木材」ってあまり関係ないのでは?
しかし、時代は戦後の日本。少しずつ人々の生活は豊かになり、一般家庭に電気製品が普及されるようになりました。
当時のラジオや電話の本体はプラスチック製や金属製ではなく木製でした。
朝日木材加工株式会社はラジオや電話の箱を木で作っていました。
昭和30年代から冷蔵庫やテレビ、オーディオ機器が普及されるようになってきました。
が、木材の加工を専門としていたので、機械そのものは作れませんでした。
と、そこで!電機メーカーの東芝さんタッグをと組んだのです。機械は東芝、木材加工は朝日木材加工株式会社、というようにお互いに持たない分野を補い合い、東芝グループとして朝日木材加工株式会社が存在していました。
時は昭和39年。東京オリンピックで日本は世界に認められました。
敗戦してからたった19年で日本は復活した、という驚異の日本の底力!改めて数字にしてみると驚きですよね。
当時、そういった家電木工製品を豊橋工場、豊川工場、伊勢崎工場の各工場で製造していました。
さらに少しずつ人々の生活が豊かになって、一家に一台家電が入るようになり、需要が増えてきたため、ピーク時はなんと従業員1200人!それでも供給が間に合わなかったほど、大忙しでした。
こういった高度経済成長期の波に乗り、家電木工製品を中心に成長してきました。
このことから家電事業なしに朝日木材加工株式会社は語れない、ということです!
さて、ようやくここで家具の登場です。
それまでの日本では畳の家がほとんど。一般家庭に椅子やソファは存在していませんでした。
徐々に集合住宅が現れるようになり、フローリングの床が出てきたことにより、畳の生活から床の生活へと変わってきました。
つまり「イスを使う生活」になってきた、というわけです。
そこで、時代の流れを読み取り、木材を加工する技術があった朝日木材加工株式会社は家具を作るようになったという経緯です。
とはいっても、すぐに作ろうというわけにはいきません。
家具を大量生産する技術が当時の日本にはなかったため、家具の先生であるヨーロッパ(イタリア・ドイツ・デンマーク)へと社長や一部の人たちが実際に学びに行き、日本に持ち帰って来たのです。
時代は変わり、1980年代。日本の経済はさらに成長します。
そして経済を支えるようになる産業は日本のメーカーばかりに!
安くて良い製品が作れるようになり、輸出をするようになりました。
その時に起こったのが貿易戦争です。
当時、1ドル240円という円が安すぎる時代だった。同じものなのに価値が違う、輸出がどんどんできるようになりました。1985年のプラザ合意により、1ドル140円になり、輸出が困難に!日本の人件費はどんどん上がる一方に。
ここから、新たなステージである海外へと踏み出したのです。
1990年にマレーシアへ家電木工製品を作る工場を作り、
2000年にはベトナムに家具製品を作る工場を!
作られた製品をベトナムから直接、台湾、香港、ヨーロッパへ輸出しています。
今後の動向
人口の減少(少子高齢化)により耐久消費財の供給が増えても、消費が減るといったことが予想されます。
つまり供給過多になってしまいモノが売れ残ってしまうため製造メーカーにとっては難しい時代になると考えられます。
対策としてはハードからソフトへ移行するなど、形のないものへと投資するといった新しい事業へと取り組むことが考えられますが、資金面や人材面でなかなか簡単に手を出せないといった現状があります。
情報社会である現代ではいかに情報を集め、世の中の動きであったり、世間のニーズをとらえるかといったことが重要になってきます。
では、どのような方法で情報を得るのか。アドバイスを頂きました。
情報の共有
新聞や雑誌などが挙げられますが、やはり基本は普段の日ごろの人のつながり(取引先等)で情報を仕入れています。
しかし、ここで大事なのは「情報はもらうだけではいけない」ということ。
やはり人とのつながりですから、情報をもらおうとして受け身の姿勢ばかりとっていては相手に心の内を見透かされてしまいます。
会話を通じて、こちらも持っている情報を与えなければなりません。
そういった意味で「情報の共有」なのです。
これは、できることを広げたり、発想の転換へとつながるカギになります。
現在の取り組み
最近では海外の人も良い家具を見極めるセンスが芽生えてきたといいます。
今まで「質より量」だったものが、「量より質」へと移り変わってきているのかもしれません。
この考え方がもしかしたら、これからの経済を変えることになるかもしれません。
朝日木材加工株式会社は現在、ホームセンターや家具量販店で並ぶようなものから、高級なソファまで様々なバリエーションで商品を展開しています。
安価なものから高価なものまで扱っているということは、幅広い層のお客様のニーズに対応できるという強みであると感じました。
実際に製品の良さをを体感させていただきました!
実際に高級ソファに座らせていただきました。小松さんに「座った時に沈みすぎると、姿勢が正しく保たれないため疲れやすくなってしまう」と教わり、「なるほど、重厚感があってしっかりしているな」と感じました。
体制もしっかりキープできるので高価なものはやみくもに高いだけではなくてしっかりした理由があるのだと学びました。
こちらの写真は革の本場であるイタリアから仕入れた牛革です。この革は高級ソファに使われているだけあり、見た目がとても綺麗でした。
しかし、天然の革はよく見ると傷ついた部分もあり、細かいところまで点検して、傷がついている部分は使わないようにしています。品質に手を抜かない誠実さが伝わってきました。
こちらはBRIDGEシリーズのイスに使われている背もたれから手すりにかけての部分です。
とても曲線が美しくて、触り心地に併せて座り心地もとても良いです。
なんといっても見た目も大切ですよね。このシリーズの製品はデザイン性にも富んでいて、かっこいいんです。
落ち着いた雰囲気の家具たち。価格帯も様々です。
普段の生活の中で何気なく使っている家具ですが、やはり良い質のものを見たり、実際に座ったりして体感すると違いは何となくでも伝わってきます。
「将来、こんなに良い家具のある生活が送れたらなあ」と夢が膨らみますね。
まとめ
今回、朝日木材加工株式会社に訪問させていただいて、家具メーカーの奥深さを知ることができました。
50年以上という長い歴史の間、激動の世の中を駆け抜け、たくさんの壁にぶつかって、ひとつひとつできることを広げていき、海外進出を果たした朝日木材加工株式会社。
こんなにも魅力的な企業が豊橋にあったとは、正直驚きました。改めて僕たちの知る企業ってほんの一部なんだな、と感じました。
さらに、お話を伺う中で、ビジネスにおいて世の中の動向を把握することや、人との繋がりを大切にするということが今後の活動に活きるということを学びました。
これは僕たちのこれからの人生においても大切なことです。
しっかり吸収して人生のステップアップにつなげたいと思います。
最後に改めて、お忙しい中、僕たちの取材に快く受けてくださった小松亨さんに感謝を申し上げます。この記事によって朝日木材加工株式会社の良さが多くの人に伝われば良いなと思います。
小松さん、ありがとうございました。
【会社概要】
朝日木材加工株式会社
代表取締役社長:竹内 壽一
電話:0532-55-4601
住所:愛知県豊橋市北島町字北島87番地
HP:https://www.asahiwood.co.jp/
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