二川の新工場
二川駅からほど近く。
有限会社エニシングが、二川に前掛けの新工場を建設し、2019年6月21日に操業を開始した。
関係者やテレビ局などが多数集まる中、新工場のお披露目会が行われた。
ご縁(えにし)が続いていく(ing)という意味が込められたエニシングという社名の通り、様々な「縁」によって今日に至ったのである。
西村社長のあいさつ
西村社長からは、関係者たちへの感謝と共に、創業から前掛けとの出会い、東京や海外での展示や販売といったエニシングの歴史や、芳賀さんの技術を受け継ぎ、二川工場建設に至るまでの経緯が語られた。
前掛けとの出会い
日本橋の問屋で見つけた無地の前掛けが、西村さんと前掛けの最初の出会いである。
無地の前掛けにプリントを施し、販売を始めた事が二川工場オープンの原点と言える。
そこから販売量が増え、供給体制を整えるために製造メーカーを探す中で、豊橋で前掛けを製造している芳賀さんとの出会いが訪れた。
時代の移り変わりとともに、前掛けを製造する業者も減っていく中、西村さんとの出会いは芳賀さんの前掛けの製造技術を次の世代に繋げ、この二川工場を作るきっかけとなった。
ちなみに、日本橋の問屋で見つけた前掛けは豊橋製だったのである。
前掛けを世界に
西村さんとの思い出を振り返る芳賀さん
時にはニューヨークに15枚の前掛けを持って飛び込み営業に行く事もあった西村さん。
芳賀さんのように西村さんに面白さを感じた人は少なくない。
芳賀さんも一緒に海外に足を運んだこともあったという。
各国各地で展示会を開いては、少しずつ前掛けの販路を広げていった。
お披露目会で紹介された祝電には、英国から届いたものもあった。
「歴史あるテクノロジーから新しい製品が生み出されるのを楽しみにしています。」という旨のお祝いメッセージが届いていたのは、西村さんが海外に向けて前掛けをPRした賜物だろう。
上記の他にも、
国内での販路開拓に協力してくれた大手小売店のバイヤー、
工場の新築資金や建設地探し、引っ越し作業など多角的に支援した金融機関の理事長、
中学・高校時代部活仲間で、豊橋で再会した豊橋技術科学大学の先生、
企業誘致担当で、建設地探しや西村さんの相談役でもあったという市役所の方など、
今日に至るまでは、実に色々な「縁」があった事を語ってくれました。
二川との出会い
二川に前掛け工場を建設するに至った経緯
金融機関や企業誘致に携わる市役所の方々の協力を得て、二川のこの地が選ばれた。
二川の候補地に至るまで、2年間かけて実に100件近い物件を見て回ったという。
西村社長の言葉を借りると、「広がりのある空間」であることが決めてとなった。
メンバーと共に「広がり」を創り上げていきたいと決めたこの土地である。
単なる製造拠点にとどまらず、二川宿と溶け込んでこの地を訪れる人々が気軽に立ち寄れる場として行きたいという。
工場の機械
西村社長からの謝辞が終わると、来場者に工場の機械を紹介してくれた。
戦前から動き続ける織機
芳賀織布工場から譲り受けた機械
ずらりと並んだ9台の織機たち。
そのうち8台は芳賀織布工場から譲り受け、60年以上の歴史を重ねた機械である。
芳賀織布工場から機械と技術を譲り受けたのである。
どれも製造から長い歴史を重ねたシャトル型織機と呼ばれる機械である。
電源が入ると天井のモーターからベルトを通じて動力を受け、それぞれの機械が大きな音を立てて動き出す。
経糸整経機
経糸(たていと)整経機
工場の一番奥に位置するのは、経糸整経という機織りの前工程で使われる機械。
左に見える格子状の「クリール」は、材料にヒノキを使ったメンバーの手作りである。
スイッチを入れるとモーターの動力が機械に伝わり、数百本の糸を巨大なロールにまとめ上げて糸の調子を整える。
N式織機を使った挑戦
一方で1914年に発明され、1917~8年頃に作られたと言われるN式織機が一台あり、現存する数少ない織機のうち、トヨタ産業技術記念館から寄贈されたものである。
N式織機には、シャトルという機構はないが、8台の原型とも言える織機である。
N式織機を使った新しい製品づくりも構想していると西村社長は語ってくれた。
「空気を含む」という独特の仕上がりは現代の機械で作る織物とは違った着心地を生み出すのだとか。
100年の歴史を重ねた機械の新しい挑戦も楽しみである。
次の世代
技術を引き継ぐ影山工場長
色々な出会いから、芳賀さんからのバトンタッチに至っている。
福田さんが職人としてエニシングに入社し、芳賀さんの元で前掛けの製造技術を学ぶ。
その後次々と新しい職人が入社し、芳賀さんからの技術を受け継いだ。
技術と機械を引継ぎ、今の二川工場の立ち上げに至ったのである。
出会った当時から、いつかは工場をたたむという芳賀さんだが、西村さんと若い職人たちへの熱い想いが芳賀さんの心を動かし、次の世代にこれまでの技術を継ぐに至った。
「これがスタート」
工場完成までの足跡をまとめたミニアルバム
工場建設という大きな節目を迎えたエニシング。
印象深かったのは「この日はあくまでもスタート」という言葉が何度も語られたことである。
一つは、「新しい場」としてのスタート。
江戸の町並みが色濃く残る二川に立地し、「気軽に立ち寄れる工場」を目指すと語ってくれた。
本陣資料館や商家「駒屋」、のんほいパークなどと共に、二川の新しい観光スポットになることが期待される。
もう一つは「新しいものづくり」としてのスタート。
いにしえの技術から高品質の新製品を生み出すという想いが、西村社長から語られた。
N式自動織機を用いたものづくりも、始動が楽しみである。
伝統を引き継ぎ、新しいものを生み出すものづくりがこの二川の地でスタートする。
社名に「縁」や「和を弘(ひろ)める」と自身の名前にちなんでこれからの決意を語って下さった西村社長。
芳賀織布工場から譲り受けた、歴史ある織機で高品質の製品を世界に届けたいという想い。
次の世代を創り上げる二川工場の「広がり」が非常に楽しみだ。
【会社概要】
有限会社エニシング
代表取締役社長:西村 和弘
電話:03-5843-0247
住所:
<東京オフィス>東京都港区元赤坂1-7-10 グランドメゾン元赤坂902
<豊橋 前掛けファクトリー >愛知県豊橋市大岩町西郷内167-2(沢渡91-2)
HP:http://www.anything.ne.jp/index.html
◆会社紹介ページ◆
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