やさしい日本語5

こんにちは、ライターの松浦です。
東三河に住む日本語を母語としない人たちにもっと地域の情報を届けたい、自社のWEBサイトを見てほしいと思った時、あなたならどうしますか?

今回はやさしい日本語で情報発信ができる便利なツール『伝えるウェブ』について、入門やさしい日本語認定教師のあきえ先生に紹介していただきます!

日本旅行は日本語で!やさしい日本語ツアーをレポート(やさしい日本語シリーズ その4)

あきえ日本語教室
あきえ日本語教室 あきえ先生
日本語教師、入門・やさしい日本語(アスク出版)  認定講師
文化庁委託「就労者に教える日本語教師研修」修了
企業の担当者へのヒアリングを元に、現場の状況にあった『やさしい日本語』講座とワークショップ、異文化理解講座を提案しています。講座は対面かオンラインを選択できます。また、就労外国人向けの日本語研修にも対応します。
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日本語を母語としない人にも読んでもらえるWEBサイトを作るには

あきえ先生
さて、自社のWEBサイトを日本語を母語としない人たちなどもっと多くの人に見てほしいと思った時、どんな方法があると思いますか?
あやの
あ、WEBサイトに表示言語の切り替えボタンがあるのを見たことがあります!

文章を読むときは誰だって自分の母国語で書かれた文章が一番読みやすいですよね。
けれどWEBサイトの文章を多言語対応するのにはかなりのコストと時間が必要になります。また多くの言語に対応することは現実的ではありません。

あやの
豊橋市のWEBサイトは英語、中国語(簡体字)、ポルトガル語、スペイン語に切り替え可能ですね。(2022.1.19現在)

一方で、国内外国人の多くは日常生活に困らない程度の日本語会話ができるという報告があがっています。日本語で書かれた文を読むことに関してはやさしい日本語を使った文章であれば77%以上の方がよく分かると回答しているようです。(参考:令和2年度 在留外国人に対する基礎調査 報告書)

普段からやさしい日本語での情報発信を心がけたサイト作成や情報発信を心掛けていれば、多くの国内外国人の方にも読んでもらえそうですね。

けれど、既存のサイトをやさしい日本語にしたいがページが多すぎる、複数人でサイト運営していてメンバーのやさしい日本語への理解度が異なる、既存サイトの日本語表示は変更したくない、と言った理由でWEBサイトの文章をやさしい日本語にするのが難しいこともままあります。

そんな時に便利なのが『伝えるウェブ』です。

伝えるウェブでできること

伝えるウェブを導入することで以下のことが可能になります。

WEBサイトにやさしい日本語への『変換ボタン』を設置

変換ボタンをサイトに設置するだけでやさしい日本語対応サイトにすることができます。新しいサイトを一から作る必要はありません。既存のサイトのイメージも保てます。

『やさしい日本語エディタ』の使用

『やさしい日本語エディタ』で作成した文章はMicrosoft Word形式などでダウンロードできるのでやさしい日本語での印刷物の発行やSNS(facebookやTwitter)発信も簡単にできるようになります。

やさしい日本語への変換ボタン、やさしい日本語エディタの主な機能はこちらの4つです。

  1. やさしい日本語への翻訳
  2. ルビ振り
  3. 分かち書き表示
  4. 音声読み上げ

やさしい日本語への翻訳

AIが自動でやさしい日本語への翻訳を行います。
サイト内で使用する難しい地名や専門用語など、翻訳時に間違って訳されてしまう可能性が高いものや補足説明が必要なものに関しては、あらかじめ登録しておくことで正しく翻訳されるようになります。

あきえ先生
翻訳はAIがすることなので、公開前に必ず人の目でチェックをしましょう。担当者は『やさしい日本語はどういうものか』を学び、『その記事を読む対象者はどういうことがわからないのか』考える必要があります。

やさしい日本語で表示されるページは日本語特有の分かりにくい言い回しがないため、多言語にAI翻訳する(あるいは翻訳者に依頼する)際に間違いが少ないというメリットもあります。

ルビ振り・分かち書き表示

ルビを振ることで国内外国人はもちろん漢字が読めない子どもでも読める文章になります。

分かち書きとは文章を意味のまとまりで区切った単位ごとに余白を設けて書くことです。
上記の文章を分かち書きで書くと、
【分かち書きとは 文章を 意味の まとまりで 区切った 単位ごとに 余白を 設けて 書くことです。】
となります。
分かち書きにすると、長い文章でも意味を理解しやすくなりますね。

音声読み上げ

伝えるウェブの音声読み上げ機能では利用者が速度やピッチを調整できます。
読みは苦手だけど聞き取りはできるという国内外国人だけでなく、視覚障害者、文字が読みにくい中高年層にとっても必要な機能です。

やさしい日本語サイトの可能性

(やさしい日本語ラップ「やさしいせかい」制作・著作:やさしい日本語ツーリズム研究会)

やさしい日本語で表示されるサイトを便利だと感じるのは日本語が母語でない外国人だけに留まりません。
普通の日本語では難しかった人たちへも情報を届けることができるようになります。漢字が苦手な人、読み書きが困難な人、知的な障害がある人など、多くの人にとって理解しやすいのがやさしい日本語なのです。

現在、やさしい日本語を導入するサイトが増えつつあります。例えば、行政団体サイト、外国人相談窓口サイト、情報発信サイトなどです。

ウェブサイト『さっぽろ外国人相談窓口』では、正確性を出したいという想いから自動翻訳を使わず手動で全文をやさしい日本語にしています。その際、伝えるウェブでおおまかに書き換えたあと、間違いをチェックしたり、分かりにくいところを補足したりしています。

観光協会が外国人パンフレットの多国籍版を作る際に『伝えるウェブ』を活用した事例もあります。
パンフレットの文章を『伝えるウェブ』で一度やさしい日本語に翻訳、チェックした後に翻訳者に頼むと翻訳が楽ですし、間違いが少ないのです。多国籍版にプラスしてやさしい日本語版も作成すれば、やさしい日本語版パンフレットを使ってやさしい日本語での観光ガイドもできます。

あきえ先生
『入門やさしい日本語認定講師』は伝えるウェブの『やさしい日本語エディタ』の使い方を実物をお見せしながら紹介できます。伝えるウェブ導入を検討の際はぜひ一度ご相談ください。
伝えるウェブを導入の際に併せて『やさしい日本語』の講座を受講すると、やさしい日本語への理解を深めることができておすすめです。

伝えるウェブhttps://tsutaeru.cloud/
やさにちウォッチ:やさしい日本語に関するニュースをやさしい日本語で届ける新メディア。伝えるウェブの技術を活用しやさしい日本語で書かれています。
https://watch.tsutaeru.cloud/

第10回 豊橋まちゼミでやさしい日本語を学ぼう

やさしい日本語講座

今回で4回目となる豊橋まちゼミでのやさしい日本語講座。
嬉しいことに最近やさしい日本語の認知度がどんどん上がってきています。講座後半のワークショップでは『観光×やさしい日本語』を体験。あなたの知っている豊橋の魅力をやさしい日本語で紹介してみましょう。

申込みはこちらから。

まとめ

せっかく情報を発信しているのなら、少しでも多くの人に読んでほしいですよね。やさしい日本語で書いて発信することで、日本語を母語としない人はもちろん子どもから高齢者、文字の読み書きが苦手な方にまで情報を届けられます。

その作業を手助けしてくれるのが今回ご紹介した伝えるウェブです。伝えるウェブのサイトでは文章やWEBページの翻訳を試すことができます。あなたの書く文章はどういう風に変わるのか、ぜひ試してみてくださいね。