こんにちは、ちゃんらいです。
先日7月14日に、経済産業省が実施する家賃支援給付金の申請受付がスタートしました。
今回の記事では、申請方法と留意点についてまとめました。
既に市町村が独自に実施している賃料の補助金がありますが、今回の給付金は対象が広く、すでに受け取った給付額を上回る給付金を得られる可能性があるため、市町村独自の賃料補助金の対象とはならなかった方やすでに市町村独自の賃料補助金を受け取っている方も該当するか否かを調べてみてください。
◆前回の記事◆
Contents
家賃支援給付金の概要
新型コロナウイルス感染症を契機とした5月の緊急事態宣言の延長などにより、売上の減少に直面する中、すぐには削減しにくい固定費。
その中の一つが地代・家賃などの賃料です。
家賃支援給付金は事業者の賃料負担を軽減する目的で給付されるものです。
給付金の対象となる事業者と給付額
売上が大幅に減少した資本金10億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者を対象としており、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など、会社以外の法人も幅広く対象となっています。
要件を満たす事業者の申請日の直前1か月以内に支払った賃料をもとに算定され、中小企業の場合は最大600万円、個人事業主の場合は300万円が給付されます。
給付金の詳細要件
法人と個人事業主それぞれについて解説します。
法人の場合
以下のすべてにあてはまる方が対象です。
(1)2020年4月1日時点で、次のいずれかにあてはまる法人であること。
ただし、組合もしくはその連合会または一般社団法人については、その直接または間接の構成員たる事業者の3分の2以上が個人または次のいずれかにあてはまる法人であることが必要です。
①資本金の額または出資の総額が、10億円未満であること
②資本金の額または出資の総額が定められていない場合は、常時使用する従業員の数が2,000人以下であること
(2)2019年12月31日以前から事業収入(以下、売上という。)を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
(3)2020年5月から2020年12月までの間で、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、以下のいずれかにあてはまること。
①いずれか1か月の売上が前年の同じ月と比較して50%以上減っている
②連続する3か月の売上の合計が前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減っている
(4)他人の土地・建物をご自身で営む事業のために直接占有し、使用・収益(物を直接に利活用して利益・利便を得ること)をしていることの対価として、賃料の支払いをおこなっていること。
個人事業主の場合
(1)2019年12月31日以前から事業収入(以下、売上という。)を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
(2)2020年5月から2020年12月までの間で、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、以下のいずれかにあてはまること。
①いずれか1か月の売上が前年の同じ月と比較して50%以上減っている
②連続する3か月の売上の合計が前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減っている
(3)他人の土地・建物をご自身で営む事業のために直接占有し、使用・収益(物を直接に利活用して利益・利便を得ること)をしていることの対価として、賃料の支払いをおこなっていること。
上記の様に、売上が昨年同月比で50%以上減少、連続3ヶ月の合計売上が昨年同月比で30%以上減少している場合には、給付金の支給対象となる可能性が高いといえます。
なお、(2)①の「1か月の売上が前年の同じ月と比較して50%以上減っている」については、持続化給付金の要件と重複していますので、2020年5月以降の売上実績で持続化給付金の対象となった方についても、給付金の支給対象となる可能性が高いです。
給付金の例外
原則として、前述の要件に当てはまる方が給付金の対象となりますが、給付要件にあてはまらない方でも給付の対象となる可能性のある方も例外としてあげられています。
法人の場合
- 確定申告書類の例外
直前の事業年度の確定申告が完了していない場合などの例外。 - 創業特例
売上が減った月(または連続する3か月の最初の月)に対応する2019年の同じ月から、2019年12月31日までの間に設立した法人。 - 合併特例
2020年1月1日から2020年の申請に用いる売上が減った月・期間までの間に、合併をおこなった法人。 - 連結納税特例
連結納税をおこなっている法人。 - 罹災(りさい)特例
災害の影響を受けて、本来よりも2019年の売上などが減っており、2018年または2019年に発行された罹災証明書などをもつ法人。 - 法人成り特例
2020年1月1日から2020年の申請にもちいる売上が減った月・期間までの間に、個人事業者から法人化した法人。 - NPO法人や公益法人などの特例
NPO法人および公益法人など。
個人事業主の場合
- 確定申告書類の例外
2019年分の確定申告書類でなく、他の書類をもって売上減少の算定を行う例外。 - ・新規開業特例
売上が減った月(または連続する3か月の最初の月)に対応する2019年の同じ月から、2019年12月31日までの間に開業した青色申告決算書を提出した方(月次の売上がわかる方)、
それ以外の方(月次の売上がわからない方)で2019年1月~12月に開業した方例えば、2019年8月に開業し、2020年5月(または5~7月の3か月)に売上が減った場合は、本特例が利用できます。 - 事業承継特例
2020年1月1日から4月1日までの間に、事業承継を受けた方(個人事業の開業・廃業等届出書における開業日が4月1日以前となっている方) - 罹災(りさい)特例
災害の影響を受けて、本来よりも2019年の売上などが減っており、2018年または2019年に発行された罹災証明書などをもつ方
上記の特例に該当する可能性がある方は、申請要領と別冊をよく読んで該当するかどうかをご判断下さい。
▽家賃支援給付金申請要領(中小法人等向け)別冊
▽家賃支援給付金申請要領(個人事業者等向け)別冊
給付額の算定根拠となる契約の期間
支払っている家賃が給付の対象となるには、以下すべてにあてはまることが条件となります。
①2020年3月31日の時点で、有効な賃貸借契約があること
②申請日時点で、有効な賃貸借契約があること
③申請日より直前3か月間の賃料の支払いの実績があること
給付額の算定根拠とならない契約
①転貸(又貸し)を目的とした取引
②賃貸借契約の賃貸人(かしぬし)と賃借人(かりぬし)が実質的に同じ人物の取引(自己取引)
③賃貸借契約の賃貸人(かしぬし)と賃借人(かりぬし)が配偶者または一親等以内の取引(親族間取引)
賃借している土地や建物を他者に転貸しており、事業者が賃料を負担をしていない場合や家族経営の会社などで経営者個人の不動産を法人に貸し出ししているケースなどがあります。このような場合には給付額の算定対象とならない点に注意が必要です。
給付額の算定方法
給付額の算定根拠となる支払賃料などを基に下記の様に計算されます。
①支払賃料などが75万円以下:支払賃料×給付率2/3
②支払賃料などが75万円超:75万円以下の支払賃料などに相当する給付金(50万円)+支払賃料のうち75万円を超える金額×給付率1/3
※ただし100万円(月額)が上限
上記の金額を6倍した金額が給付金の算定額となります。
ただし、地方公共団体から給付される家賃支援給付金等を受け取っている場合には、家賃支援給付金の給付予定額から超過分が減額されることになります。
給付額申請のながれ
給付金申請は、申請に必要な資料を準備した上で、オンラインのポータルサイトから実施します。
マイページを作成までの流れを下記にて紹介します。
ポータルサイトの申請ボタンからマイページ作成がスタートします。入力したメールアドレス宛てにメールが届き、登録作業が完了すると申請用のマイページが作成されます。
①メールアドレスの入力
法人の場合には、メールアドレスに加えて法人番号を入力する必要があります。
②入力後届くメールのURLにアクセスするとIDとパスワードの登録画面に移動します。入力すると登録が完了です。
IDとパスワードは忘れないように控えをとっておきましょう。
マイページの作成が完了すると、申請用のページに進む事が出来ますので、準備した資料を基に入力し、添付データを登録することで申請が可能となります。
詳しくは、下記の申請要領を参照してください。
▽家賃支援給付金申請要領(中小法人等向け)原則(基本編)
▽家賃支援給付金申請要領(中小法人等向け)別冊
▽家賃支援給付金申請要領(個人事業者等向け)原則(基本編)
▽家賃支援給付金申請要領(個人事業者等向け)別冊
補助金の対象と給付額
給付金の申請の期間は、2020年7月14日から2021年1月15日までです。
電子申請の締め切りは、2021年1月15日の24時までとなっており、締め切りまでに申請の受付が完了したもののみが対象となります。
現時点では売上の減少要件で満たさない場合でも、今後の実績により2020年12月までの売上で要件を満たす場合には申請が可能となります。
おわりに
金融支援や給付金、補助金など新型コロナウイルス感染症の経済に対する影響を抑えるため、様々な支援策が打ち出されています。
今回の家賃支援給付金についても、一度家賃支援給付金ポータルサイトに目を通してみてはいかがでしょうか?