豊橋市の地域農業関係者×農業系スタートアップによる協働プロジェクトの「TOYOHASHI AGRI MEETUP」では、地域の農業が抱える課題解決へ向けて地域農業者向けにマッチングプログラムが行われます。
DAY1の様子
DAY2の様子
全3回のプログラムは今回がいよいよ最終回。ここでの結果が後に行われるテックコンテストで募集されるテーマとなります。
DAY3もプログラムの概要や会場の様子をご紹介していきます!
アグリテック先端技術トレンド
まずは株式会社日本総合研究所の三輪泰史 氏による講演から。三輪氏はアグリテック関連の著書やテレビ出演も多数あり、農業ベンチャーの立ち上げにも関わっています。
そんな三輪氏から最新のアグリテック事情について講演がありました。
日本の農業は大きな転換期!
現在の農業系の法律が制定されて約20年。農業を取り巻く外部環境は大きく変化しており、三輪氏からは農業政策についての興味深いお話も伺えました。
かつては農業のIT化には反発があった日本ですが、人手不足や高齢化はもはや避けられない課題であり、事態が深刻化していることでITを活用したスマート農業は推奨されるようになっていきました。
スマート農業・アグリテックの全体像と普及のポイント
そもそも、「スマート農業」とはどんなものでしょうか?
スマート農業は農業の匠の「眼」「頭脳」「手」を機械で代替するもの。「眼」となりデータを集める農業用ドローンの事例や集まったデータを活用する「頭脳」の事例、収穫など「手」として機械が活用される事例が紹介されました。
スマート農業普及の起爆剤は「農業支援サービス」
いかに技術があっても、採算が合わなければ利用されません。スマート農業普及の起爆剤とされているのが「農業支援サービス」です。
データ分析など農業の判断をサポートしたり、人材供給など作業のサポートを行うスマート農業サービスが紹介されました。
こうした農業支援サービスで地方を拠点に若者が起業するというケースもあり、農業を楽にするだけでなく関連したビジネスの普及によって地域の活性化にも寄与することが期待されています。
「シェアリング農業」の広がり
また、高価なスマート農業機材を共同で利用する「シェアリング農業」についても詳しく解説されました。
個人での導入は難しくても、地域の企業が購入したスマート農業機械をレンタルできるというサービスが広がり、現在は利用に国の助成も受けられるようになっています。
さらに、生育期間が異なる農作物を栽培している地域をキャラバンするスタイルで地域をまたいだスマート農業のシェアリングを始めているケースも紹介されました。
質疑応答の時間ではシェアリング農業についての質問や、有機栽培に関する認証制度への鋭い質問も。スタートアップ企業が行う機材メンテナンスや故障対応への不安な気持ちなど、導入に関する具体的な質問も行われました。
バリューチェーンを意識した課題のさらなる深堀り
プログラム後半のワークショップでは、デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社より過去2回のおさらいとバリューチェーンについての解説が行われました。
バリューチェーンは生産から消費までにどのような工程を経ていくのかという、経営とは切っても切り離せないフレームワーク。それぞれの活動がどんな付加価値づくりに貢献しているのか、客観的に確認することができます。
電子書籍の普及で大きく変化した出版業界を例に、バリューチェーンの変革がどんな変化やチャンスを生むのかなどわかりやすく解説されました。
これまでに深掘りした課題が改めて「どのバリューチェーンにあたるのか?」を書き出しながら、アグリテックコンテストへ提示する農業課題の決定に向けてワークショップは進んでいきます。
コンテストへ向けた最終段階へ
個人ワークやグループワークを重ね、グループごとの全体発表へ。DAY1 DAY2 DAY3とワークを重ねるごとに発表の真剣さが増しており、より深い課題へ到達している様子が伺えました。
“豊橋発” の農業イノベーションは起きるか!?
全3回のマッチングプログラムもいよいよ最終回。講演では「他の多くの技術とは違い、アグリテックは “東京発” ではなく地方で同時多発的に立ち上がって全国へ広がっていく」というお話が印象的でした。
ワークショップでは、冒頭で「顧客インタビューを通して地域の課題だけでなく”可能性”も感じられた」というコメントも。今回のワーク結果をもとにアグリテックコンテストで解決策を公募する農業課題が決定します。
コンテストは9月〜10月に応募テーマの公開〜スタートアップ企業のエントリーが行われ、12月にファイナリストが決定します。今年度はどんな農業課題とスタートアップ企業のマッチングが生まれるのか、これからも注目です!