
「良いビジネスアイデアはあるのに、実現に向けた次のステップが分からない」——そんな悩みを抱える起業家や起業志望者に向けたワークショップ「仕様書ソン」が、2024年12月20日(金)と2025年1月27日(月)の2日間にわたって開催されました。
DAY1では、藤井琢也氏が講師を務め、仕様書作りの基礎となるターゲットの明確化やユースケースの整理、要件整理のためのAI活用法などについて学びました。
この記事では、DAY1の当日の様子をご紹介します。
仕様書ソンとは
「仕様書ソン」と名付けられた本イベントは、起業家もしくは起業に向けたビジネスアイディアをもつ参加者に対し、資金調達を経てアルファ版のプロダクト制作に進むために必要な『仕様書』づくりをレクチャーするワークショップです。
これまでStartup Garageでは数多くの創業相談に対応してきましたが、コンテストで賞をとるような優れたアイディアを持っていても、その後リリースまでこぎ着けられず、アイディア段階で終わってしまうケースが多々あり、その壁を打破する、アイデア実現のための次の一歩として企画されました。
【仕様書ソン概要】
ビジネスプラン創出の次ステップとして、プロダクトの仕様・要件定義(=仕様書づくり)のワークショップを行います。
良いアイデアでも実際に世の中に出すハードルは高く、途中で挫折してしまうことが多くあります。本ワークショップでは、プラン創出の次の支援を座学とワーク、そしてそれ以降の相談窓口などと連携したハンズオン形式で行い、アルファ版の作成に資する動きにつなげます。特にワークでは、何をしたら良いのかという疑問と、ビジネスとして収支を合わせる点を中心にレクチャー。資金調達を経て試作フェーズに入っていくための「仕様書」完成を目指します。
① 第1回ワークショップ
2024年12月20日(金)10時~16時
「 仕様書作りに向けた事業の高解像度化 」
プロダクト開発のマイルストーンや計画・スケジュールの考え方
ソリューション仮説検証フェーズの通過の仕方
② 第2回ワークショップ
2025年1月27日(月)14時~20時
「仕様書・事業内容の定義と財務/マネタイズや収支について」
資金調達ってどう準備したらいい?
売上や収支計画の考え方
【講師】藤井 琢也氏

藤井 琢也 (フジイ タクヤ)
合同会社OptTech 代表
スタートアップ ガレージ コーディネーター
豊橋技術科学大学在学中に起業を経験。AI、IoT、ものづくり、NFT、ブロックチェーンなどを得意分野とする。
DAY1スタート!
午前:仕様書作りに向けた事業の具体化
午前中は、「事業の初期段階でいきなり仕様書を作るのは難しい」という認識を共有し、参加者各自が「どのようなものを作りたいのか」を整理する作業からスタートしました。
その後、MVP(最小限の機能を備えた試作品)を使い、仮説を立てて検証する考え方、事業全体を整理するためのリーンキャンバス(ビジネスモデルを簡単に整理するシート)について学び、それぞれのビジネスプランの具体化を進めました。
午後:ワークショップ
午後のワークでは、まずターゲットユーザーを明確にする作業を行いました。各参加者は、自身のサービスや製品が誰に向けたものなのかを具体的に考え、ペルソナ(想定顧客像)を設定しました。そして、ターゲットが抱える課題を整理し、それに対する解決策を考えるプロセスを進めました。
次に、サービスがどのような場面で利用されるのかを明確にするために、ユースケース(利用シーン)を具体化しました。これにより、サービスがどのように使われるのか、どのような機能が求められるのかを整理することができました。
さらに、AI(大規模言語モデル:LLM)を活用し、必要な機能と不要な機能を選別する作業を行いました。これにより、開発において優先すべきポイントが明確になり、リソースを効率的に活用できる仕様書作りにつなげることができました。
参加者の事例
「メンタル版ライザップ」の事業を検討中の松山さんは、2日間の事業計画プログラムを通じて、事業のブラッシュアップを行いました。
DAY1では、顧客へメンタル強化の重要性や、ACT(認知行動療法の一種)をどう伝えるかを考える中で、専門用語の壁やエビデンス不足といった課題が浮き彫りになりました。
「最初は、自分のやりたいことがぼんやりしていたんですが、ペルソナを考えることで『こういう人にこうやって使ってほしい!』というイメージがどんどん明確になっていきました。特に、専門用語が多くて伝わりづらい点や、エビデンスがまだ足りていないという課題に気づけたのは大きな収穫でした。」
「ターゲットを具体的に考えたことで、『この人ならこう使うな』というイメージが湧いてきて、営業の戦略まで考えられました!」などの感想を話しており、たくさんの気付きを得ることが出来たとのことです。
DAY2に向けて
仕様書ソンDAY1を終えた参加者からは、「ターゲットを具体的に考えることで、必要な機能がよりクリアになった」「AIを活用した要件整理が新鮮で、効率的に考えをまとめられた」などの声が上がりました。
DAY2では、事業計画の作成やビジネスプランの発表など、さらに実践的な内容が実施されます。後編の記事もぜひご覧ください。