
豊橋市で新産業の創出や、地域産業の育成を目指す「株式会社サイエンス・クリエイト」が、豊橋技術科学大学から3人の実習生を受け入れました。
この記事では、実際にサイエンス・クリエイトが運営する「Startup Garage」におじゃまして、実習生の3人と実習監督の方にインタビューした様子をお届けします!
「Startup Garage」についてはこちらの記事で紹介しています。是非、こちらも併せてご覧ください。
株式会社サイエンス・クリエイトについて
豊橋市に本社を構える第三セクター(行政が出資して設立された株式会社のこと)の企業です。1990年の設立以来、東三河地域の新規産業創出を目指し、34年間にわたりさまざまな機関と協力して産業振興を推進してきました。事業は広範囲にわたり、人材開発、起業支援、クリーンエネルギー化の推進などを行っています。その中でも、株式会社サイエンス・クリエイトが運営する「Startup Garage」では、起業家支援を通じて、東三河地域全体の産業発展に貢献しています。
豊橋技術科学大学では、4年次の学生が企業での実習を通して実務経験を積むことができるプログラムが実施されています。
今年度、サイエンス・クリエイトで実習を行っている学生はこちらの3人です!
▼取材に協力していただいた実習生

佐々木 悠雅 さん
豊橋技術科学大学
電気・電子情報工学課程
工学部4年生
ジムで身体を鍛えることが好き

藤森 康生 さん
豊橋技術科学大学
応用化学・生命工学課程
工学部4年生
お酒を飲むことが好き

木原 広人 さん
豊橋技術科学大学
機械工学課程
工学部4年生
長ネギが好き、最近はよく鍋をします!
インタビュー開始!

取材者
本日はよろしくお願いします。早速ですが、豊橋技術科学大学について教えていただけますか?

佐々木さん
豊橋技術科学大学は全国に2つしかない技術科学大学のうちの一つで、主に高専からの編入生が多く、研究に集中できる環境が整った大学です。

藤森さん
高専からの編入生は全体の8割ほどです。大学院修士課程までの一貫教育を基本カリキュラムとしているのが特徴ですね。

取材者
今回なぜサイエンス・クリエイトを実習先として選択されたのですか?

佐々木さん
常に楽しいことがしたい、楽しいことを考えるのが好きで、起業や新規事業開発に興味がありました。もともと学友会という大学の組織にも加入していて、イベントの企画をすることが多かったため、その経験が活かせればと思い実習先に決めました。

藤森さん
いろんな実習候補先がありましたが、起業みたいに一から自分たちで考えて、それをサポートアップしてくれるような場所はあまりなく、他ではできない経験ができるサイエンス・クリエイトに決めました。

木原さん
もともと起業に興味があり、モノづくりも好きでした。何かを一から作り上げて販売するような経験をしてみたくて選択しました。

取材者
皆さん起業に興味があって選ばれたのですね。今はどういったテーマに取り組まれていますか?

佐々木さん
立体迷路「RiNNE(リンネ)」の開発に取り組んでいます。商品の立案から始め、マーケティング、営業など幅広く体験させてもらっています。
知育玩具「RiNNE」

取材者
「RiNNE」について詳しく教えてください!

木原さん
小学1年生から中学生くらいの子どもをターゲットにしたおもちゃです。スマホやゲームなど、デジタルデバイスへの依存を減らし、物事を三次元的に考える力を伸ばすことが狙いです。

佐々木さん
名前の由来は三河弁の「~りん」から、「このおもちゃで遊んでみりんね(遊んでみてね)」という願いを込めています。「RiNNE」は従来の経路が固定された迷路では子どもが飽きてしまうという問題点を解決するため、子どもが自分で経路を作れるようになっているところが特徴です。試作段階で子どもたちの反応を調査し、立体迷路と自分で経路を作る迷路の両方の要素を組み合わせることで、需要があるのではないかと考えました。2月16日には体験会を開催し、より多くの子どもたちの反応を集めて改善していく予定です。

取材者
一から自分たちで行っているということですが、実習中に大変だったことはありますか?

佐々木さん
インタビューをする時も、一つ一つの質問の意図は何なのか、どのような返答が欲しいのかなど、やること全てに対して目的と仮説を立てて考えていくことが一番大変でした。

藤森さん
ここでは事業の一部だけではなく、立案から設計、試作、広報、イベント企画、営業まですべて自分たちでやる必要があり、2月16日のイベントも、子どもが一番集まる場所はどこなのかというところから考えて、その後、自らアポを取り、営業をして、体験会を開催させてもらえないかお願いをしました。プロダクト自体は最初の三週間で形になっていましたが、そこからどうやって売っていくのかなどのマーケティングの方に時間がかかって大変でした。

木原さん
三人がそれぞれ異なる担当を持って仕事をしている中で、ほかの二人から「ここを変えて欲しい」と言われることがあるのですが、自分にとっては難しい作業でも、相手からは簡単に見えてしまい、そのギャップが面倒に感じてしまう時があります。特に技術的な仕事は複雑な工程を踏んでいるのに、外から見ると単純な変更に思われがちで、その理解の違いが意見の食い違いを生んでいると考えるともどかしく感じてしまいます。
あとは早起きが大変ですね(笑)

取材者
早起きは確かに…私も苦手です(笑)
では逆に、楽しかったことや印象に残っていることはありますか?

佐々木さん
資料作りや、その資料を使って発表するのが楽しかったです。先日駅前で結構なお偉いさん方が何人もいらっしゃるようなイベントがあったときに、三組発表するうちの一組だったのですが、実は実習監督から当日に「発表してみたら?」と言われて、急遽発表しました。

取材者
当日!?それはすごいですね。

藤森さん
僕はいろんな人に出会えることです。いろんなイベントに参加していく中で、あるイベントで知り合った人と、違うイベントで再会することも結構あって、人脈も広がりました。

木原さん
僕も同じです。普段関わらないような人たちとの交流が広がったと感じています。

取材者
では、実際に作業をしていく中で、起業について実習前とのギャップを感じたりすることはありましたか?

佐々木さん
やる目的をしっかり考えなければいけないし、一からすべて自分たちで進めていくのが大変で、実際経験してみて想像していた以上でした。

藤森さん
やってみる前は、起業・経営は孤独な闘いというイメージがありました。一人で仲間もいない中、頑張って頑張って、地道に登っていくものだと思っていましたが、実際やってみるとイベントなどが多くて、人と人とのつながりをすごく感じました。

木原さん
起業はお金持ちになれるとか、社長になれるみたいな、キラキラしたイメージがありましたが、実際はやることが多く、時間もなかったりして、キラキラしてみえている裏では影の努力があることを身に染みて感じました。

取材者
今回の実習でたくさん学んだことがあると思いますが、得られた経験をこれからの大学生活、就職活動などにどのように活かしていけるとお考えですか?

佐々木さん
一番はやはり技科大生なので、これからの研究に活かしていけたらというのはあります。また、社会人としての言葉づかいやメールのマナーなどを学ぶことができたので、今後活かしていきたいと思います。

藤森さん
何をやるにしても、仮説からの実行がすごく大切だと感じました。自分は化学系なので、実験の前に失敗の可能性やこのメーターが違ったらこんなことが言えるよね、ということをある程度推測してから実験するっていうのはすごく役に立つと思います。社会人になっても、どんな環境でも、どんな分野でも、仮説を立ててから実行することは一番大事になってくるファクターだと考えています。

木原さん
材料費や人件費、加工にかかる金額がこのくらいで、どのくらい売れば利益が出るかの計算を教えてもらう機会があり、もし今後起業する際は、お金のことはしっかり考えないといけないなと思いました。お金のやりくり、計算みたいなところはこれから活用していけると思います。
2月16日(日)に開催された立体迷路「RiNNE(リンネ)」の体験会が、東愛知新聞に掲載されました。
是非併せてご覧ください。
https://higashiaichi.jp/news/detail.php?id=24249
実習監督にもお話を伺いました
実習監督をされている、勝間亮さんにもお話を伺いました。
――まずは勝間さんのプロフィールについてお伺いしてもよろしいですか?
勝間 1988年の神戸生まれです。神戸の工業高校を卒業後、名古屋工業大学で機械工学を学びました。卒業後は宇宙関連の仕事を希望していましたが、当時はスタートアップなんて概念もなく、ロケット打ち上げに関わるため自衛隊に入隊しました。しかし、希望する配属にはならず、転職を決意し、一度は豊川の会社で設計の仕事を四年ほどしていました。その後、個人で宇宙関連のサポートオフィスを立ち上げましたが、資金面の理由から宇宙ベンチャーなどを転々としていました。最終的に現在の会社で衛星データを活かした業務についています。
勝間さんの宇宙ビジネスに関するコラムはこちら▼
―― 実習生について、最初と現在で印象はどう変わりましたか?
勝間 どんどん自分の考えを発信してくれるようになってきていると感じます。最初は多分、様子見の部分もあったと思いますが、実習を行っていく中で、たくさんの課題に直面し、そんな余裕はなくなってきたという感じがひしひしと伝わってきますね(笑)
―― この実習期間で実習生にはどんな風に成長していってもらいたいですか?
勝間 この実習期間は、いかに安全に失敗して学ぶかだと思っています。短期間でできる限りのことに挑戦し、実務のリアルな難しさや面白さを体感してほしいですね。成功も失敗も体験することで今後さらに成長し、新しい視点やスキルを身につけてほしいです。
―― 最後に、東三河が今後より発展・成長していくためにはどんなところに力を入れて進めていく必要があるとお考えですか?
勝間 「共創」の視点を持ち、形に残る価値を生み出していくことが重要だと考えています。単なる仮想的な取り組みではなく、実際に地域や企業に影響を与え、成果を生み出し積み重ねていくことが大切です。挑戦を重ねることで地域の活力が高まり、持続的な発展が可能になるはずです。
まとめ
今回、サイエンス・クリエイトの実習生を取材したことで、Startup Garageで行われている創業支援活動の一端を知ることができました。Startup Garageは実習生だけでなく、さまざまな利用者が起業を目指して活発に活動している場所であり、そのエネルギーを感じることができました。起業に関する相談やイベント、セミナーに参加したい方は、ぜひ「Startup Garage」を訪れてみてください。
企業情報
企業名 | 株式会社サイエンス・クリエイト |
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住所 | 〒441-8113 愛知県豊橋市西幸町字浜池333番地の9 豊橋サイエンスコア内 |
創立 | 平成2年10月22日 |
代表取締役 | 太田 晴也 |
HP | 株式会社サイエンス・クリエイト |
電話番号 | 0532-44-1111 |