離職率_転職先

離職率の高い会社と低い会社の特徴をご存じでしょうか?離職率による会社の特徴を知ることで、転職先を選ぶ際の目安として活用できます。この記事では、離職率の高い会社、低い会社の特徴と離職率の調べ方を解説しています。転職する際の参考にしてください。

離職率とは

離職率とは

離職率は、ある時点の在籍人数に対して言って期間後に退職した人の割合です。一般的には、入社後1年間、入社後3年間の期間で算出します。離職率は、会社の働きやすさを表す指標として使われやすいですが「離職率が低い=良い会社」ではないので注意しましょう。

例えば、会社に予算がなく新入職員を雇えなければ、職員の入れ替わりがほとんどなく離職率は低くなるでしょう。また、ベンチャー企業のように成長過程の企業では職員の入れ替わりは激しく、離職率が高くなります。

離職率の平均

離職率平均

日本の離職率の平均は、2022年で15.0%です。以下に産業別の離職率を表で紹介します。

産業 離職率
宿泊業・飲食サービス業 26.8
サービス業 19.4
生活関連サービス業・娯楽業 18.7
医療・福祉 15.3
教育・学習支援業 15.2
卸売業・小売業 14.6
不動産業・物品賃貸業 13.8
運輸業・郵便業 12.3
情報通信業 11.9
複合サービス事業 11.0
電気・ガス・熱供給・水道業 10.7
建設業 10.5
製造業 10.2
学術研究|専門・技術サービス業 10.0
金融業・保険業 8.3
鉱業・採石業・砂利採取業 6.3

引用:厚生労働省 令和4年 雇用動向調査結果の概要

離職率が高いのは、宿泊業・飲食サービス業で、離職率が低いのは鉱業・採石業・砂利採取業でした。この調査は、業界全体としての離職率であるため「業界の傾向」としてとらえてください。実際の転職活動では、会社ごとの離職率を調べるようにしましょう。

離職率が高い会社の特徴

離職率高い会社特徴

離職率が高い会社の特徴は5つあります。

  1. 低待遇である
  2. ハラスメントがある
  3. 業務内容が不明慮である
  4. 教育体制が整っていない
  5. 休暇が取りにくい

以下で詳しく解説します。

低待遇である

離職率が高い会社は、低待遇の可能性があります。なぜなら、低待遇では社員のモチベーションが低下し、離職する人が増えるからです。例えば、仕事で実績を残しても給料が上がらなかったり、ボーナスの支給や福利厚生がなかったりすると社員はやりがいがなくなります。その結果、他の会社に転職して離職率が高くなるでしょう。

ハラスメントがある

離職率が高い会社では、いじめやハラスメントが発生している場合があります。ハラスメントにより社員が健康を害し離職につながることもあります。また、職場全体としての雰囲気も悪くなり、職場にいるのが嫌になって辞めていく人もいるでしょう。そのため、ハラスメントが発生していると離職率が高い傾向にあります。

業務内容が不明慮である

離職率が高い会社は、業務内容が不明瞭な場合があります。例えば、入社前の内容はざっくりとしか説明されておらず、入社後に思っていたのと違う業務をすることになったなどのパターンが考えられるでしょう。業務内容が不明瞭だとギャップが生まれ、職員の不満につながる可能性があります。また、入社後に業務内容を決めるメンバーシップ型雇用では、仕事内容とやりたい業務の食い違いが発生しやすいでしょう。

教育体制が整っていない

研修や人材育成などの教育体制が整っていないと離職率が高くなる要因になります。入社後に十分な研修が受けられないと、不安を抱えて仕事をすることになりストレスがかかります。また「業務に関して、十分に教えてくれない」と会社に対する信頼低下も招き、離職を選択する人が増えるでしょう。

休暇が取りにくい

休暇を取りにくい環境は、離職率が高くなる要因と考えられます。休みが取れないと、モチベーションの低下や心身の健康に影響する可能性があります。そのため、休暇日数が少ない会社や、休暇自体はあるものの有給取得率が低い会社では離職率が高くなりやすいでしょう。

離職率が低い会社の特徴

離職率低い会社特徴

離職率が低い会社の特徴は5つあります。

  1. 充実した福利厚生がある
  2. 残業が少ない
  3. 業界が安定している
  4. 教育体制が整っている
  5. 評価制度が整っている

以下で具体的に解説します。

充実した福利厚生がある

福利厚生が充実している会社では離職率が低い傾向です。家族手当、家賃手当、産休・育休制度など福利厚生があると、家庭やプライベートを大事にできます。特に、社員の要望に沿った福利厚生がある会社は、社員の満足度も向上するでしょう。また、福利厚生を申請しやすい環境であることも大切です。

残業が少ない

離職率が低い会社は、残業時間が少なくプライベート時間を確保しやすい特徴があります。残業が少ないと、自分の時間、家族の時間を作れてリフレッシュできるためストレスを発散しやすくなります。また、残業が少なければ、家庭の事情で子供の世話や家族の介護をする社員も働き続けやすいでしょう。そのため、残業が少ないのは離職率が低い会社の特徴と考えられます。

業界が安定している

離職率が低い会社では、業界自体が安定している場合も多いです。収入の大きな変化がなく、職員の満足度も高くなりやすい傾向にあります。特に、社会情勢に影響されにくいインフラ業界などは安定しているため、長く勤めたいと思う人も少なくありません。。また、業界自体の社会的な価値が高いことから会社への信頼性も高まります。

教育体制が整っている

離職率が低い会社では、教育体制が整っています。丁寧な教育体制により仕事の土台が作られるため、成長が早くなり社員のモチベーションアップにもつながります。また、フォロー体制が整っていると、仕事でわからない時にすぐに相談できて、社員が抱えるストレスは少なくなるでしょう。その結果、社員にとって居心地のよい会社になります。

評価制度が整っている

仕事に対して正当な評価が得られる会社は離職率が低いと考えられます。頑張った分だけ正当な評価を得られることは、従業員のモチベーションアップにつながります。また、評価されることでキャリアアップの道も見えてくることから離職を考えることは少なくなるでしょう。

離職率が低いことのデメリット

離職率低いデメリット

離職率が低いことはメリットと捉えられやすいですが、デメリットもあります。

  1. 昇進しにくい
  2. 社員の高齢化

以下で詳しく解説します。

昇進しにくい

離職率が低いと昇進がしにくい可能性があります。職員の勤続年数が長くなると、重要な役職に同じ人が居続けるパターンもあるでしょう。そのため、新人の仕事内容が変わらず育ちにくいデメリットがあります。また、ポストに対する競争率が高くなり、結果を出しても昇進できないケースが増えるとモチベーションが低下するのもデメリットといえます。

社員の高齢化

離職率が低い会社では、社員の平均年齢が高くなりがちです。時代に伴って会社も変わっていく必要がありますが、社員の高齢化が進むと、若い人の意見やアイデアが取り入れられず会社の衰退につながるおそれがあります。ベテラン社員は勤務年数が長く知識は豊富ですが、新しい風が入りづらいため企業が成長しにくくなるデメリットがあります。

離職率が高いことのメリット

離職率高いデメリット

離職率が高いのはデメリットと捉えられやすいですが、離職率が高いことによるメリットもあります。

  1. 若手でも昇進しやすい
  2. 社員のスキルが高い

若手でも昇進しやすい

離職率が高いことは、社員の入れ替わりが激しいととらえられます。そのため、実力があれば若手にも昇進のチャンスがあります。スキルや実績がある社員は昇進し、活気があふれる会社とも考えられるでしょう。このように離職率が高い会社の中には「実力主義であり、社員の入れ替わりが激しい」という場合があります。

社員のスキルが高い

社員のスキルが高く、転職やヘッドハンティングされて離職している可能性があります。その結果、離職率の高さとして表れることもあるのです。「他の会社に転職できるくらいしっかりと実力をつけられる会社」であるとも考えられます。

離職率の調べ方

離職率調べ方

離職率は採用ページに載せている会社と載せていない会社があります。その場合、以下のような方法で調べられます。

内容
ハローワークの求人票 応募者数や採用者数、離職者数が記載されている場合があり、離職率の計算ができます。
就職四季報 東洋経済新報社から年1回発行される雑誌で、各企業の3年後離職率が掲載されています。
転職エージェント 各企業の離職率に関するデータを持っている場合があり、
エージェントでしか聞けない情報を入手できる可能性があります。
口コミサイト 離職率以外に会社の雰囲気を把握できます。
企業に直接聞く 面接で離職率を聞く場合、オブラートに包んだ言い方で聞くとよいです。

また、有価証券報告書や帝国データバンクの情報からは、社員の動向や経営状態を知ることができます。正確な離職率の数値がわからなくても、手がかりとなる可能性があります。

まとめ:離職率から会社の特徴を知り、転職に活かしましょう

離職率まとめ

離職率から会社の特徴を想像でき、転職する際の参考になります。一般的には、離職率は低いほどよいと捉えられますが、低いことによるデメリットもあります。逆も然りです。会社の離職率からさまざまな特徴が想像できるため、転職する際には参考にしてみましょう。

離職率の調べ方は、求人票や転職エージェントに聞くなどさまざまな方法があります。離職率だけで転職先を判断するのではなく、離職率の高さや低さの背景について口コミや評判なども調べてみると良いでしょう。