大企業退職と転職

大企業からの転職を漠然と考えつつも、辞めるのはもったいないのではないかと迷っている方もいるでしょう。もったいないと感じる基準は個人によって異なります。そのため、必ずしも「大企業を辞めるのはもったいない」とはいいきれません。

また、大企業を辞めた後のキャリアが想像できないと「なんとなくもったいない感じがする」という地点で止まってしまいます。

この記事では、大企業を辞めるのがもったいないと感じる理由と、辞めたあとの選択肢を解説します。転職してから後悔しないために、辞める前にすべきことを確認し、冷静に判断しましょう。

大企業を辞めてももったいないとは限らない

大企業退職もったいない

多くの人が大企業を辞めるのはもったいないと感じるなかで、そう思わない人もいます。なぜ辞めたいのか、辞めて何を得たいのかなど、その人の価値観や将来の設計によって感じ方は変わるためです。

たとえば、大企業を辞めたほうが将来のキャリアにとってメリットが大きいと考える人もいれば、長く勤めて実績を積み上げて安定した収入や昇進を手に入れたいと思う人もいます。

周囲から「大企業を辞めるなんてもったいない」と言われたとしても、自分にとってどうなのかを考えることが大切です。大企業を辞めることが、必ずしももったいないとは限りません。

大企業を辞めるのがもったいない理由

大企業退職理由

大企業を辞めるのがもったいないと言われる理由を詳しくみていきましょう。

経営が安定している

大企業は、一般的に会社の規模が大きく資金力があるため、経営が安定しています。

そのため、突然の倒産や解雇などで職を失うリスクは少ないでしょう。全くないとはいえませんが、中小企業など経営規模が大企業より小さい企業と比較して、雇用が不安定になりにくいといえます。また、多少の経営不振に陥ったとしても、ある程度の期間は持ちこたえられる力があり、短期間で従業員の給与やボーナスなどに影響が出ることが少ないでしょう。

そのような安定した経営基盤は、中小企業やフリーランスでは得にくいものであり、大企業を辞めるのがもったいない理由になります。

福利厚生や人事制度が充実している

大企業では、福利厚生が充実している企業が多いです。住宅補助や子育て手当、資格手当、無料や低額で利用できる社員食堂など、経済的なサポートが受けられます。また、保養所やフィットネスジムなど、従業員がプライベートを充実させられる施設があることも多いです。なかには、健康診断など家族も受けられる福利厚生を用意している企業もあります。

また、大企業は人事制度が整っており、ボーナスや退職金など、金銭的な処遇がしっかりしています。役職の数も多いため、従業員数が多くても長く勤めていれば昇進のチャンスも期待できるでしょう。

このような福利厚生や人事制度は、経営規模が小さいと整えにくい場合があるため、大企業ならではの良さといえます。それを手放すのはもったいないかもしれません。

社会的信用が高い

大企業の大きなメリットのひとつが、社会的信用の高さです。大手に勤めているというだけで、個人の信用も高まる傾向があります。

例えば、住宅ローンやクレジットカードの審査では、大企業に勤めている人は支払い能力が高いと判断されて、審査に通りやすくなります。

また、大手に勤めていることで家族を安心させられるケースもあります。たとえばパートナーや、パートナーの親にも、経済面はもちろんワークライフバランスの取りやすさといった点で安心して将来を共にできると思ってもらえる可能性が高いです。

結婚やマイホーム購入など、大きなライフイベントが控えている人ほど、社会的な信用を手放すのが「もったいない」と感じるかもしれません。

充実した研修制度やサポートを得られる

大企業は従業員の教育体制やスキルアップを支援するサポート体制が整っています。

転職で入社した場合も、業務内容や社内システムについて研修を設けている大企業は多いです。中小企業では中途入社の研修制度のない企業もあります。そのような企業では、先輩社員から業務をとおして個別にレクチャーを受けなければなりません。指導する先輩社員によって指導内容に差が出る可能性があり、入社後の業務をスムーズに進められない場合もあります。

大企業では、中途採用に関してマニュアルが定められ、スムーズに業務を覚えられるように体制が整えられているケースが多いです。

大企業を辞めたあとの選択肢

大企業退職後選択肢

大企業を辞めたあとにどのような道があるのかを知ることが、本当に「もったいない」のかどうかを判断するヒントになるかもしれません。大企業を辞めたあとの選択肢を解説します。

中小企業に転職する

大企業を辞めたあとの選択肢として多いのは、中小企業への転職です。大企業で不満に感じていたことややりたくてもできなかったことが、中小企業なら解決したりできたりする可能性があります。

難易度と将来のキャリア
中小企業では、採用できる人数に限りがあるため、即戦力が求められる傾向があります。そのため、大企業で経験した業務や身につけた知識や技術に関連する事業をおこなっている中小企業では、リーダーポジションでの転職もしやすいです。
また、業務独占資格のように、業務に必須な資格を取得していると、中小企業では重宝されるでしょう。

得られるものとリスク
中小企業の働き方や業務の進め方は大企業と大きく異なります。

中小企業では一人ひとりの裁量が大きく、自分で判断して業務を進める場面が多いです。自分の力を試したい、裁量権の大きい仕事をしたいという方にはメリットがあります。
また、業務を進めるうえで大企業のように何人もの上司に判断を仰がなければならないことも少ないため、業務の進行も速くなります。
ただし、大きなプロジェクトの受注で大企業と競う場面などにおいて、知名度の差から負けてしまうこともあるかもしれません。また、少人数で業務を進めたり裁量が大きかったりすることによって、一人の負担や責任が大きくなる可能性もあります。トラブルが起きたときの対応などに、精神的な負担が大きくなる恐れもあります。

大企業から中小企業への転職について、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
「大企業から中小企業へ転職してもよい?メリットや後悔しがちなポイント、注意点を解説」

フリーランスまたは独立する

大企業で十分な経験や知識を積み上げられたら、フリーランスや独立開業を選ぶ道も広がります。

難易度と将来のキャリア
豊富な業務経験や知識があれば、フリーランスになったり独立して開業したりすることは可能です。大企業出身という肩書も、仕事内容によっては役立つかもしれません。業績が軌道にのれば、将来的に大きく収入を上げることできます。
また、大企業では、事業展開している分野で仕事をすることになりますが、フリーランスや独立では自分の得意な分野で結果を出していくこともできます。

得られるものとリスク
フリーランスや独立の大きなメリットは、自分の力でキャリアを築いていけることです。自分の判断で自由にキャリアを築いていくことができます。
ただし、豊富な経験や知識があっても、結果を出せない可能性もあります。自分でクライアントを開拓して仕事を獲得しなければならないため、フリーランスや独立で成功するには営業力も重要です。
さらに、安定した収入や賞与、退職金、手厚い福利厚生とも縁遠くなることを覚悟しておく必要があります。

別の大企業に転職する

別の大企業に転職する選択肢もあります。

一口に大企業といっても、企業によって特徴や働き方、社内システムも異なります。他の大企業に転職すれば解決できる悩みもあるかもしれません。

大企業で働くメリットはそのままで、職場を変えることができます。

難易度と将来のキャリア
大企業に勤めていた実績があれば、相応のスキルや経験があると評価される場合もあります。しかし、なぜ前職の企業ではなく、転職先の大企業を選ぶのかを明確にできなければ選考に落ちてしまいます。大企業から大企業への転職といっても、簡単にできるものではありません。

得られるものとリスク
別の大企業に転職することで、大企業のメリットを転職前と同様に受けることが可能です。企業によって制度や業務内容の違いはあるものの、社会的信用の高さや充実した福利厚生など、大企業ならではの良さを享受できます。
ただし、現職の大企業で、どの大企業にも共通しているデメリットに不満を感じているなら、転職しても解決できない可能性もあります。

大企業を辞めて後悔しないために明確にすべきこと

大企業退職_後悔

大企業を辞めても後悔しないために、辞める前に明確にしておくべきことを解説します。

大企業を辞めることへの迷い

大企業を辞めようか迷っているのはなぜなのかを明確にしておくことが大切です。辞めたいと考え始めた理由を自覚していれば、どちらの選択をすればいいのかが見えてきます。そのうえで下した判断であれば後悔する可能性は低いでしょう。

大企業を辞めて得たいもの

大企業を辞めて何を得たいのかを自覚しておくことが必要です。

「自分の力を試したい」「収入をすぐにアップさせたい」「独立して自分の得意なことを仕事にしたい」など、得たいものがはっきりしていれば、大企業を辞めたあとも、目的や軸からブレずに転職できます。

辞めないメリット

仮に大企業を辞めなければ、どのようなメリットがあるのかを、冷静に考えてみましょう。

大企業を辞めないことで享受できるメリットが自分にとって大きいメリットであれば、辞めない選択肢を優先して検討できます。逆に、辞めないときのメリットが少ないのであれば、辞める決心がつくかもしれません。

職場に求める条件の優先順位

職場に求める条件に優先順位をつけておくと、大企業を辞める辞めないの判断基準がはっきりしてきます。

優先順位が高い希望条件が現在勤務している大企業で叶っていれば、無理に辞める必要はありません。反対に、優先順位の高い希望条件が叶えられていないのであれば、大企業を辞めて転職するという進路を積極的に考え始めてもよいかもしれません。

大企業を辞める・辞めないリスクを明確にして、後悔しない選択をしよう

大企業退職リスク

大企業だから辞めるのはもったいないとは限りません。職場に希望する条件や自分が仕事で得たいもの、思い描く将来のキャリアなど、個人の価値観や人生設計によって、辞めるか辞めないかの判断は変わります。

どちらを選択するにしろ、辞める・辞めないのリスクを明確にしておくことで転職後の後悔を防げます。大企業を辞めるのがもったいないと迷っているなら、辞めたい理由や辞めたあとの展望を冷静に考えてみると自分に合った道が見えてくるでしょう。