
給与を増やしたいけれど、どのように増やせばよいのかわからず迷っている方もいるでしょう。給与は、現職で働きながら増やすことも可能ですが、転職によって増やす方法もあります。いずれも、自分の能力や身につけたスキルを客観的に把握することが、給与アップにつながります。
この記事では、給与アップの方法と上がりやすい方の特徴を解説します。自分に合った方法を見つけて、給与アップを成功させましょう。
給与を増やす3つの軸

給与を増やしたい場合、以下の3つを軸として、増やす方法を検討しましょう。
- 現職のまま給与を増やす
- 転職して給与を増やす
- 節税して手元に残す給与を増やす
それぞれにいくつかの方法があり、成功すれば給与アップが見込めます。一方、うまくいかなかったときのリスクにも注意が必要です。
では、ここから項目ごとに詳しくみていきましょう。
現職のまま給与を増やす

現職のまま給与を増やすには、以下のような方法があります。
- 昇給・昇進を狙う
- 給与交渉をする
- 残業代を増やす
- 手当を増やす
- 部署を異動する
- 資格を取得する
順番に詳しく解説します。
昇給・昇進を狙う
現在の職場で昇給・昇進することで、給与を増やせます。
昇給は、勤続年数や営業成績などの社内基準をクリアすると、給与が上がる制度です。昇進がなくても、給与がアップする場合もあります。
一方昇進は、営業成績や勤務態度、勤続年数、職場の同僚とのコミュニケーション、マネジメント力など、経験や実力を総合的に判断して、職場内での地位が上がる制度です。それに伴い、基本給や手当などが増えることで、給与も上がるのが一般的です。
年功序列が今でも残っている日本企業では、勤続年数が経つにつれて昇給や昇進のチャンスが増えます。ただし、一度の昇給や昇進で大幅なアップが見込めない場合も多いです。
いずれも、営業成績や企業への貢献度など、昇給や昇進にふさわしいと企業側に認められなければなりません。また、一定期間連続して勤務する必要があるため、勤続年数が短いと難しい可能性もあります。
給与交渉をする
給与を増やしてもらえるように企業と交渉する方法もあります。
給与交渉には、企業側を納得させられる材料を提示することが必要です。営業成績、企業への貢献度、勤務年数、マネジメント力、十分な知識やスキル、経験など、給与を上げるのにふさわしいと判断してもらわなければなりません。
給与交渉を成功させるには、自分の価値を正確に把握することが重要です。自己評価と企業からの評価のギャップがあると、交渉はうまくいきません。売上や契約件数など具体的な数値を提示して、今の給与以上の成果を挙げていると企業側にわかりやすくアピールできれば、交渉が成功する確率も上がるでしょう。
ただし、交渉がうまくいかなければ、職場に居づらくなる可能性もあります。特に、退職を切り札にして交渉する場合は、交渉決裂時には会社を辞める覚悟が必要です。給与を増やすために退職のリスクを負える方向けの方法です。
残業代を増やす
基本給が増える見込みがない場合は、残業代を増やすという方法もあります。
残業代は、勤務時間外に業務をおこなうと支給されます。パートなど時給制の場合は、勤務時間内の時給に一定の割増が付加される場合もあります。働いた分だけ確実にもらえるのが残業代の魅力です。
ただし、残業を増やすには遅い時間まで働かなければならず、プライベートの時間を削ったり帰宅が遅くなったりして身体的な負担も増えます。体力に自信のない方や、プライベートの時間を大切にしたい方、育児・介護・家事など仕事以外の負担が大きい方には向いていません。なお、社風によっては残業を推奨しない方針の企業もあるため、残業できるかをあらかじめ調べておく必要があります。
また、正社員の場合、毎月の給与に一定時間の残業代がすでに含まれていることも多いです。含まれている範囲内の残業代は新たに追加されないため、注意が必要です。
手当を増やす
手当も確実に給与を増やせます。例えば、企業から支給される手当には、以下のようなものが挙げられます。
- 休日手当:法定休日に出勤した場合に支給することを法律で定められた手当。
- 住宅手当:賃貸住宅に住んでいる場合に、企業が家賃の一部を負担するために支給される手当。
- 食事手当:食事代を企業が負担するための手当。現物支給の場合、一定額まで非課税となる。
- 通勤手当:通勤代を企業が負担するための手当。通勤手段によって非課税限度額が異なる。
- 出張手当:出張にかかった費用を企業が負担する手当。実費精算した交通費と宿泊費は非課税。
手当は、休日手当のように、必ず支給するように法律で定められているものと、住宅手当のように企業が独自に決められる手当があります。手当は、条件を満たせば非課税となるものもあるため、結果的に手取りを増やすことができます。
ただし、企業独自に定めている手当の場合、支給には社内の条件に当てはまる必要があるため、支給条件を確認しましょう。
部署を異動する
給与水準の高い部署に異動するのもひとつの方法です。同じ企業のなかでも、部署によって年収や昇進のスピードが異なるのは珍しいことではありません。
職場内での評価が高く、異動の希望を聞いてもらいやすい方は向いています。人員の配置に柔軟に対応できる企業なら異動しやすいでしょう。
ただし、部署が変わると仕事内容や人間関係が新しくなるため、環境の変化に対応できることが重要です。また、仕事内容によっては、今までとは異なるスキルや資格を求められる場合もあります。
資格を取得する
スキルアップをはかり、資格を取得することで、資格手当を受け取る方法があります。今の仕事に活かせる資格があれば、積極的にチャレンジしましょう。手当をもらえるだけでなく、将来的なキャリアアップにもつながります。
資格手当の支給条件に当てはまる資格は、仕事内容に沿った資格であるのが一般的です。手当の対象にならない資格もあるため、あらかじめ支給条件を調べておくとよいでしょう。
副業をする
近年では、働き方の多様化が進み、副業を認める企業も増えています。勤めている企業で給与を増やせる見込みがない場合は、副業によって収入を増やすことも可能です。
ただし、当然ながら今の職場の勤務時間外でおこなうため、帰宅後に副業をする時間を確保しなければなりません。プライベートの時間が減ることで、体力的にも負担が増えます。
どのような副業にするかも大切です。新しいスキルが必要な副業を選ぶと、そのスキルを身につけるための勉強が必要です。すぐに給与を増やしたいのであれば、すでに身につけているスキルや経験を活かせる副業を選ぶことをおすすめします。今の仕事で得たスキルや経験を活かせる副業であれば、少ない負担で始めやすいでしょう。
ほかには、簡単な作業などスキル不問の副業もあります。無理なく少しだけ給与を増やしたいのであれば、特別なスキルがなくても始められる副業もおすすめです。
転職して給与を増やす

今の職場で給与を増やすのが難しい場合は、収入アップを見込める企業へ転職する選択肢もあります。転職によって給与を増やす方法は、主に以下の2つです。
- 給与水準の高い企業に転職する
- 給与の高い専門職に転職する
ひとつずつ詳しくみていきましょう。
給与水準の高い企業に転職する
給与水準の高い企業に転職すれば、給与を増やすことができます。雇用条件として高い基準の年収で採用されれば、確実に収入を増やせます。
同業種で転職すれば、今までのスキルや経験を活かせて、仕事内容も大幅に変わることがなく、少ないリスクで転職できるでしょう。異なる業種の場合は同業種への転職より負担が増える可能性がありますが、給与水準が高い業種や外資系企業に転職できれば年収がアップする可能性があります。また、人手不足で即戦力が欲しい企業は、優秀な人材を集めるために好条件で募集していることも多いです。そのような企業に転職できれば、大幅な収入アップも見込めます。
給与の高い専門職に転職する
専門性の高い職種は、給与水準が高い傾向があります。特定のスキルや経験を必要とするため、高い給与を支払っても人材を確保したい企業もあります。専門職に必要な知識や経験がある場合は、即戦力として貢献できることをアピールすることで、大幅な給与アップも見込めるでしょう。
専門職で働いているけれど現在はまだスキルや経験が足りない場合は、今の職場でさらにスキルアップを図ったあとに転職することで、給与水準の高い専門職に転職できる可能性を広げられます。
節税して手元に残る給与を増やす

企業から受け取る給与は、社会保険や税金が差し引かれた金額が手取り額になります。所得控除や税額控除を利用して納める社会保険料や税金を減らせれば、手元に残る給与を増やせます。
例えば、配偶者控除や医療費控除などの控除を利用できれば、課税金額を減らして節税することが可能です。iDeCoに代表される小規模企業共済等掛金控除や、ふるさと納税に代表される寄付金控除なども給与所得者が利用しやすい控除です。どのような控除が利用できるか確認して、最大限利用することで、手元に残る金額を増やせるでしょう。
給与自体を増やすのがなかなか難しいという方も、給与のアップに成功した方も、いずれの場合でも手元のお金を増やすために知っておきたい知識です。
給与を増やしやすい人の特徴

給与を増やしやすい人には、以下のような特徴があります。
- 常にスキルアップに励んでいる
- コミュニケーション能力が高い
項目ごとに詳しく解説します。
常にスキルアップに励んでいる
積極的にスキルアップに励んでいる人は、給与を増やしやすい傾向があります。
例えば、通勤時間に資格取得やスキルアップの勉強をすれば知識を増やせますし、隙間時間を使用して幅広い分野の本を読めば知見を深められて、仕事の幅も広げられます。今の業務に直接活かせるだけでなく、取引先との話題を増やしてコミュニケーションを活発にしたり、提案に深みを持たせたりして、満足度を上げることにもつながるでしょう。結果として成果が出れば、昇給や昇進につながったり、将来的に高収入の転職を実現できたりして、給与を増やせる可能性があります。
1日に数十分から1時間程度の短い時間の積み重ねが、給与のアップにつながるかもしれません。
コミュニケーション能力が高い
コミュニケーション能力が高いことも、給与アップにつながる要素です。
取引先の潜在的な要望を汲み取ることで、営業成績が伸びるかもしれません。また、上司とのコミュニケーションがスムーズにいけば、社内での評価アップにつながり、昇給や昇進が早くなったり、給与水準の高い部署への異動を叶えやすくなったりするでしょう。
自分に合った方法を見つけて給与アップを狙おう

給与を増やすには、現職のまま増やす方法と転職によって増やす方法、節税によって増やす方法の3つを軸にして、さまざまな方法が考えられます。今までに身につけたスキルや経験を活かすことで、給与を増やせる可能性があります。
どの方法にもメリットがありますが、なかにはリスクを伴う方法もあるため、内容をしっかり把握しておくことが大切です。収入を増やすために、自分に合った適切な方法を選んで給与アップを成功させましょう。