
AI業界に興味があるけれど、スキルがないから不安を感じている方も多いのではないでしょうか。AI業界は専門知識や技術が求められることが多く、スキルを習得していると転職に有利になります。
この記事では、AI業界に必要なスキルとおすすめ資格を解説します。AI時代に強い職種も併せて紹介するので、AI業界への転職を検討している方はぜひ参考にしてください。
AI業界転職に必要なスキル
AI業界へ転職するのに必要なスキルには、以下のようなスキルがあります。
- プログラミングスキル
- 数学のスキル
- 機械学習・ディープラーニングスキル
- データ運用スキル
- 倫理的スキル
- コミュニケーションスキル
スキルごとに詳しく見ていきましょう。
プログラミングスキル
プログラミングスキルは、AI業界で仕事をするのに不可欠なスキルです。AIの職種にはシステム開発やデータ分析などがありますが、いずれの職種でもプログラミングスキルが求められます。
AIで使うプログラミング言語はさまざまですが、なかでもよく使われるのが「Python」です。これからプログラミングスキルを身につけたい方は、まずPythonを習得することをおすすめします。特にAI開発においてPythonは標準言語となっているため、身につけなければならないスキルといえます。
数学のスキル
数学のスキルもAIの仕事には必要です。AIは数学の理論がベースになっているため、AIの仕組みや動作の原理を理解するには、数学の知識が不可欠です。
特に、統計・確率や微分積分、線形代数の知識があると、AIの仕組みやプロセスを正しく選択したり調整したりすることができます。
機械学習・ディープラーニングに関するスキル
機械学習やディープラーニングはAIの核となる技術であるため、AIの職種では、機械学習やディープラーニングの概念を理解し、適切に活用できるスキルは必須といえます。
機械学習とは、読み込んだ膨大なデータから決まった法則を発見し問題解決できるようにする方法のことです。ディープラーニングは機械学習をさらに発展させた技術で、データを自ら学習し複雑な分析を行うことができます。
いずれもAI業界では必要とされる知識であるため、関連するスキルを身につけていると転職で有利になる可能性があります。
データ運用スキル
データベースを運用するスキルもAIの職種には欠かせませんでは膨大なデータを読み込むため、データを効率的に活用するスキルが必要です。
データ運用スキルでは、データベース言語として代表的な「SQL」を理解していると役に立ちます。
倫理的スキル
AIを運用するにあたって、倫理的な思考が必要となる場合があります。
AIは読み込んだデータを反映させるため、誤った情報を取り込んだり不適切なデータ運用をしたりすると、中立性を欠いた結果が出てしまう可能性があります。そのため、どのデータをどのように活用するかを倫理的に考えなければなりません。
また、AIには個人情報を扱うリスクもあり、情報漏洩やプライバシーの保護などの対策をとることがAI業界には求められています。AIの活用は、倫理上の問題と切り離すことはできないといえるでしょう。
コミュニケーションスキル
AIを扱う職種では、コミュニケーションスキルが求められる場面が多くあります。
例えば、AI開発や課題解決の提案などは、チーム内やクライアントとコミュニケーションをとりながら進めなければなりません。
AIの開発やデータ分析というとひとりで作業するイメージがありますが、周囲とコミュニケーションをとりながら共同でプロジェクトを進められるスキルも必要です。
AI時代に強い職種
AI時代に強い職種には、以下のような職種があります。
- エンジニア
- データサイエンティスト
- 機械学習エンジニア
- ディープラーニングエンジニア
- AIプランナー
- AIプロダクト・マネージャー
- G検定
- E資格
- Pythonエンジニア認定試験
- 基本情報技術者試験
- 統計検定
- 大学・専門学校に通う
- 独学で勉強する
- 働きながら習得する
ひとつずつ解説します。
AIエンジニア
AIエンジニアとは、AIの開発、構築、最適化を行う専門エンジニアです。AIを活用してシステムやアプリを開発し、実装するのがAIエンジニアの仕事です。AIの開発を行うため、高度な専門知識と技術が求められます。
機械学習エンジニア
機械学習エンジニアは、機械学習のアルゴリズムを設計・開発し、実装する仕事です。主にデータを分析して、機械学習に読み込ませたいデータを選び、AIに学習させます。機械学習の経験を活かして、データサイエンティストを目指すことも可能です。
ディープラーニングエンジニア
ディーププラーニングエンジニアは、画像認識、音声処理、自動運転などのシステムを開発する技術者です。機械学習の発展形であるディープラーニングは、人間の脳を模倣して、自らデータを学習し分析を行う技術です。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、大量のデータから有益な情報を見つけ出し、活用して問題解決へと導き出す仕事です。データの収集、分析、施策モデルの構築、解決施策の考案などを行います。
AIプランナー
AIプランナーは、AI技術を活用して製品やサービスを企画したり、それらの製品やサービスを企業の問題に合わせて実装します。AIの知識や技術、製品やサービスの詳細を知っているだけでなく、企業の利益に導くビジネスの知見も必要です。
AIを企業に導入する中心的役割を果たし、企業のAI戦略も手がけるため、幅広い知識と経験が求められます。
AIプロダクト・マネージャー
AIプロダクト・マネージャーは、AIをどのように活用した製品を作るかを考案する仕事です。市場分析、製品企画、プロジェクトの進行管理などを行います。AIに関する知見が必要であり、さらにプロジェクト全体をまとめるマネジメント力も求められます。
AI転職に役立つ資格
AI転職に役立つ資格には、以下のような資格があります。
ひとつずつ解説します。
G検定
G検定(ジェネラリスト検定)とは、AIとディープラーニングの活用リテラシーのための資格です。基礎的な概念やビジネスへの応用、関連する法律など幅広い分野から出題され、基礎知識や技術を証明できます。
受験資格 | 誰でも受験可 |
---|---|
試験日程 | 2025年度は6回(次年度以降変更になる可能性があります) |
受験地 | 自宅 |
受験方法 | オンライン |
受験料 | 一般:13,000円(税込)、学生:5,500円(税込) |
2025年度は、オンライン開催とは別に、10月に会場での特別開催を行います。次年度以降の開催は未定です。
E資格
E資格(エンジニア資格)とは、ディープラーニングの理解と知識、実装能力を証明する資格です。E資格を受験するには、一般社団法人ディープラーニング協会(JDLA)が実施する認定プログラムを修了する必要があります。
受験資格 | JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること |
---|---|
試験日程 | 2025年度は2回 |
受験地 | 希望会場を選択(全国主要都市にあります) |
受験方法 | CBT方式 |
受験料 | 一般:33,000円、学生:22,000円、会員:27,500円(いずれも税込) |
JDLA認定プログラムは、厚生労働省の教育訓練給付制度や人材開発支援助成金の対象になっているものもあります。受講料の全部または一部の給付を受けられる可能性があるため、事前に概要を確認することが大切です。
Pythonエンジニア認定試験
Pythonエンジニア認定試験とは、Pythonの基礎知識を問う資格です。基礎試験、実践試験、データ分析試験、データ分析実践試験の4種類があり、目指す職種によって受験する種類が異なります。
基礎試験の場合
試験日程 | 通年 |
---|---|
受験地 | 全国の試験センター |
受験方法 | CBT方式 |
受験料 | 一般:11,000円(税込)、学生:5,500円(税込) |
参照:Pythonエンジニア育成推進協会|Python基礎試験
Pythonはディープラーニングに欠かせないプログラミング言語であるため、AI開発に携わりたい場合はPythonエンジニア認定試験を受けておくと役立つでしょう。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITに関する基本的知識や技能を持ち、実践的な活用能力を身につけていることを証明する国家資格です。基本情報技術者試験を受験することによって、プログラミングやデータベースなどITの基礎知識を身につけられます。
受験資格 | 誰でも受験可 |
---|---|
試験日程 | 通年 |
受験地 | 全国の試験会場 |
受験方法 | CBT方式 |
受験料 | 7,500円(税込) |
認定講座を修了すると、試験の一部が免除になる場合があります。
統計検定
統計検定は、日本統計学会が認定している検定試験で、統計学に関する知識や応用力を評価します。レベルによって6つの級に分かれており、それぞれの級に目安となる出題の水準が示されています。
準1級~4級 | 1級「統計数理」「統計応用」 | |
---|---|---|
受験資格 | 誰でも受験可 | 誰でも受験可 |
試験日程 | 通年 | 年1回 |
受験地 | 全国の試験会場 | 全国の試験会場 |
受験方法 | CBT方式 | PBT方式 |
受験料 | 準1級 一般:8,000円、学生:6,000円 2級 一般:7,000円、学生:5,000円 3級 一般:6,000円、学生:4:000円 4級 一般:5,000円、学生:3,500円 |
各6,000円(税込) |
参照:一般財団法人統計質保証推進協会|統計検定|よくある質問
統計学はAI関連の仕事をするうえで欠かせない、非常に重要な知識・スキルであるため、AI業界で働きたい場合は受験しておくと役に立ちます。
転職市場で需要の高いAIスキルを身につける方法
転職する際に需要の高いAIスキルを身につけるには、以下のような方法があります。
項目ごとに解説します。
大学・専門学校に通う
AIの高度な専門スキルを身につけるには、大学や専門学校に通う方法が一般的です。大学や専門学校では実践で役立つ知識や技術を効率的に身につけられるカリキュラムが組まれているため、カリキュラムに沿って勉強すれば必要な知識やスキルを身につけられます。実習が充実している学校を選べば、卒業後すぐに即戦力として活躍できる実務スキルも習得できます。
資格取得や就職に手厚いサポートがあるのも、大学や専門学校の魅力のひとつです。
独学で勉強する
AIは独学でも学べる知識です。AIスキルを学習できるソフトやアプリはさまざまな種類があり、自身のレベルや学習時間に合わせて、無理なく学習を進められます。
ただし、独学の場合、大学や専門学校のような体系的に整ったカリキュラムで学習できません。学習範囲が偏ったり、各分野の習得度にばらつきがでたりする可能性があります。また、実習が受けられないため、実務に沿った学習をする機会がなく、就職後に一から実務経験を積むことが必要です。
働きながら習得する
AIの企業で働きながら、必要な知識やスキルを習得する方法があります。
未経験でも応募できる求人にチャレンジして就職するのが第一歩です。業務を実際に経験しながら学べるため、実務に必要な専門知識やスキルを実務の場で学ぶことができます。さらに、知識やスキルを実践から学びながら、スキルをブラッシュアップして、さらに高度な職種への転職を狙うことも可能です。
ただし、就職直後は知識もスキルも無い状態から仕事を始めるため、業務に慣れるまでは負担が大きいでしょう。
スキルと資格を取得してAI転職を成功させよう
AI業界は高度な専門知識や技術が必要なため、転職する際はスキルや資格を身につけていると有利になります。AI業界に必要とされるスキルには知識や技術以外にも倫理的な思考やコミュニケーション力も含まれます。
働きたい職種によって必要とされるスキルや資格が異なるため、自分の希望を明確にすることが必要です。早く働き始めたい場合は、未経験でも働ける職場に就職し、スキルを磨きながら高度な専門的職種への転職を狙うのもひとつの方法です。
AIに必要なスキルや技術は専門的で高度ですが、誰でも習得できるチャンスがあります。スキルと資格を身につけて、AI業界への転職を成功させましょう。