
2025年2月11日、豊橋市の3D都市モデルを活用したハッカソンイベント「TOYOHASHI PLATEAU CHALLENGE 2024」が行われました。
現在、国内でまちづくり分野におけるDXが進む中で豊橋市も「3D都市モデル」の整備を進めています。このイベントでは、学生、市民、エンジニアがチームになってアイデアを出し合い、3D都市モデル内での試作品を作ります。
この記事では「イベント名にあるPLATEAUって何?」という方向けの解説や、本イベントでどんな発表がされたかなどご紹介します。
PLATEAU(プラトー)とは?
PLATEAUは日本全国の都市を3Dモデル化して活用しようというプロジェクトで、国土交通省が主導し様々なプレイヤーと連携して推進されています。
3D都市モデルはオープンデータ化されて誰でも使えるというのも特徴のひとつです。
災害対策や人流のシミュレーションなど、あらゆるジャンルの課題解決に3D都市モデルを活用したオープンイノベーションが生まれることを期待されています。
豊橋市の3D都市モデル活用
現時点では市内全域の建物の箱型モデル(LOD1※)が誰でも閲覧、ダウンロードが可能です。2024年には愛知県で初めて3D都市モデルを活用した洪水の時系列シミュレーションの可視化が行われました。
※LOD(Level of Detail)とは、3D都市モデルに含まれている建物などの詳細度を示す表現。LOD1は最も単純な高さ情報が付いたモデルで、直方体の組み合わせで3Dモデルが表現されています。LOD2以降が提供されているのは現段階では一部のエリアに限られます。
https://www.mlit.go.jp/plateau/learning/tpc01-2/ より引用
豊橋の3D都市モデルを使ったハッカソン!その結果は?
そんなPLATEAUプロジェクトによる豊橋市の3D都市モデルのアイデアを考えてプロトタイプまで形にしようというのが今回のハッカソンです。
朝から始まりワークショップや技術サポートを経て1日かけた成果が最後に発表されました。
ここからは、TOYOHASHI PLATEAU CHALLENGE 2024ではどんなアイデアが発表されたのか、ピックアップしてご紹介します!
ユーザーの行動によって変化する3D年マップ
バーチャル空間でまち歩きを行うことでLODのレベルが上がり3D都市モデルが詳細になっていくというアイデア。イベント中ではLODのマップの中で訪れたスポットに色が付くという機能が実装されました。
また、地域の”推しスポット”を見える化することでバーチャルウォーキングをしながらオススメ情報を知ることができたり、リアルで訪れるとお店のクーポンや豊橋を舞台にしたアニメの限定動画を入手できるという機能も考えられていました。
あえて情報量の少ない3D都市モデルからスタートし、ユーザーの行動によってさまざまな情報が得られるというインタラクティブな機能が特徴的でした。実際の訪問データを集計することで”人が集まりにくい場所”を抽出でき、今後のまちづくりにも役立てられるというアイデアでした。
ゲームを通じて自然災害の影響などを体感!
豊橋の校区をフィールドにゲーム感覚で街の特徴を体感できるというアイディア。
「飲食店があると回復できる」「街灯の少ないエリアは暗い」といった実際の校区ごとの特徴をゲーム性に反映させたり、水害のシミュレーションをゲームのシナリオに反映させたりと工夫がみられました。
チームの話し合いでは「校区の誇りを大切にしたい」という豊橋らしい意見があり、そういった社会課題や技術だけでない視点も盛り込まれていたのが興味深いポイントでした。
現実世界とのリンク性や、実用性を盛り込みつつもゲームにするといった観点が発表のフィードバックでも評価を得ていました。
ほかにもさまざまなアイディアが誕生
今回紹介したアイデア以外にも、地下など3D情報に基づいた喫煙所マップでタバコを吸う人も副流煙を避けい人にもやさしいまちづくりを目指したアイデアや豊橋への旅行者が通りの名前や駐車場などお出かけに必要な情報をバーチャル空間で確認できるアイデアなど、さまざまな内容が発表されました。
PLATEAUの3D都市モデルを加工して夜の豊橋を市電で移動する様子など、見ているだけでワクワクするような成果物もたくさん見られたハッカソンでした。
市の担当者にお話を伺いました
―今回のハッカソンを終えて、どのような手応えを感じましたか?
「PLATEAUという新しい都市データへの探求心や、学びを深める向上心を持った参加者の熱量を感じる、非常に熱いハッカソンでした。まちの魅力向上や課題解決をテーマにした作品や、豊橋のまちをフィールドに楽しむゲームなど、合計6つの新しいアイデアが生まれました。
単にPLATEAUを知ってもらうだけでなく、その可能性を改めて感じることができる機会となりましたね。参加者も小学生から60代までと幅広く、多世代に利用してもらえる可能性があることが分かったのも大きな収穫です。」
―今後、PLATEAUの3D都市モデルをどのように活用していきたいですか?
「PLATEAUの3D都市モデルはオープンデータなので、誰でもダウンロードして活用できるのが魅力です。仮想空間上の豊橋のまちを使ってシミュレーションをしたり、ゲームを作ったりと、活用方法はさまざまです。
今は大学や民間企業を中心にPRしていますが、今後は子供たちをはじめ、より多くの人に使ってもらいたいと考えています。そのためにも、こうしたイベントを継続して開催し、PLATEAUを身近に感じてもらえる機会を増やしたいですね。
また、今回のハッカソンで生まれたコミュニティを大切にし、さらに広げていくことも重要です。今後も3D都市モデルを活用した新しいアイデアが生まれ続けることを期待しています!」
あらゆる視点で3D都市モデル活用の可能性を広げよう!
豊橋を舞台に3D都市モデルの新たな活用法を探るべく開催された今回のハッカソン。年齢も職業も異なるさまざまなバックボーンを持った方や学生がチームになってアイデアを出し合うことで、主催者も驚くような成果物が生まれていましたよ。
技術を持つ人だけでも発想を持つ人だけでも実現しなかったであろうアイデアの数々、今後も継続的に開発が行われて完成品が世に出ることを期待しています!