前回の記事で紹介した、岡崎のくらがりで小さな宇宙を創造する「Calm Glassの中條さん」に、自動車整備会社を営みながらリサイクルアートを行う会社が近くにあると紹介していただいたので、さっそく会社に訪問してみた。

【くらがりCalmGlass-中條さん/インタビュー記事】

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リサイクルアートなごみ

教えていただいた住所に向かうと、綺麗な小川の流れる山間の場所に、ひっそりと佇む会社があった。

緑に囲まれたこの会社から、優しそうな一人の男性が挨拶をしてきてくれた。

この方が今回取材させていただく平松サービスの平松さんだ。
 

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平松 聰志さん
平松サービス2代目
リサイクルアートなごみ

 

平松サービスは、岡崎市石原町にて自動車から建設用機械や農業用機械の修理販売を手掛ける会社だ。
なるべくできないとは言わず、頼まれた整備の依頼は責任を持って可能な限り対応するというスタイルで、先代と2代かけて地元での信頼を構築してきた。そして、その信頼に基盤に、お客さまがお客さまを呼び、人が少ない田舎で創業の昭和55年からこの道で営業し続けてきた会社だ。
 
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その自動車整備工場を覗くと、何やら可愛らしいスペースがあることにすぐに気が付く。
これは整備の仕事で出る廃材を利用したリサイクルアートのギャラリーだ。
このリサイクルアートの名前を「リサイクルアートなごみ」といい、室内には無数の可愛らしいキャラクターが陳列されている。想像以上に作りこまれた空間に驚いたが、それもそのはずだ。平松さんの作品は日仏現代国際美術展にて奨励賞を獲得し、岡崎市美術展では市長賞を受賞している。
 
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もともと、美術やアートに興味が無かったと話す平松さん。
きっかけは、エンジンの勉強のためにピストンを解体していたら、何となくピストンが人間の顔に見えたので、試しに手足をつけたのが始まりだった。人間に近づけると、今度はそれにテーマ性を考えるようになり徐々に今の形になっていった。
 
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平松さんの作品を見ていると、表情こそ分からないが、どの作品もどこか懐かしいような温かさを感じる。初期の作品は平松さんが子供のころに経験した描写をベースに作っていたが、徐々に私生活でふとした瞬間に触れた姿を参考にして人とのつながりを主に表現するようになったと話す。
 
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↑これは、子供が買ってもらったお気に入りの傘を使いたくて、父親を迎えに行くようなシーンを想像して作られている。

平松さんの作品には、それぞれテーマはあるが、タイトルはどこにも表記されていない。見た人がそれぞれで感じ、想像したままに受け取って欲しいとの想いから、あえてタイトルは前面に出していないと教えてくれた。
 
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作品の中には、長い年月をかけて完成させた大型のものもあり、大人から子供までが楽しめるギャラリーになっている。

創作

工場に移動し、目の前で一つ作品を作っていただいた。
 
まず、もともと付いていたネジを取り、足になるような長めのネジを溶接する。
 
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その後、2000度以上の高温のバーナーでピストンを熱し、作品の足や胴体になる部分を曲げていく。
リアルな体勢を表現するには、何度もこれを繰り返し徐々にその体勢に近づけていく。
 
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熱して、曲げて、冷ましての繰り返しを経て、形が決まったら、今度は溶接により手を取り付け、更にバーナーで希望の体勢に調整していく。
 
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今回は大型の釣竿を持たせ、先端に小物をかけられるようにした。
最後に、土台となる廃材の歯車にしっかりと溶接して完成だ。
 
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僕には、大物の魚が釣れたと、勢いよく引っ張った竿にはバケツしかなくて、がっかりしているように見えてくる。

人とのつながりの延長線上に仕事がある

平松さんは、自身の作品を美術作品としてよりも、人とのつながりというものを感じ取ってもらえれば良いと話すように、「つながり」を何よりも大切にしていた。
 
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そもそも、この地に住むのも田舎ならではの、人のつながりを感じられるからであり、都会のように近隣に住んでいる人がどんな人かも知らないような環境では寂しいと話す。

特に人のつながりを大切に感じたのは、災害が起きた時だった。
 
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当時、大雨で工場が浸水し、通常の営業が続けられない状況になった時も、地元のお客さまや青年部が復旧を手伝ってくれ、そのおかげで早期の営業再開が可能となったと言う。

今でも、お客さまはお客さまが呼んでおり、人とのつながりの延長線上に仕事があるというほどだ。
だからこそ、この仕事をやっていて一番嬉しいのは、「これもやってくれよ!」と、お客さまがまた来てくれることにあると嬉しそうに話してくれた。
 
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今後について尋ねると、父親が始めたこの工場を受け継ぎ残していきたいと、教えてくれた。

リサイクルアートについては、会社を続けるため、情報発信のツールとしても続けていくが、それ以上に子供たちにアートを通じて昔の遊びを知ってもらうきっかけや、何かを学ぶ場になるように今後も作り続けていきたい。また、大人でも仕事に追い込まれた人などの癒しになるようにしたいと、胸の内を教えてくれた。
 
つながりを大切にしている平松さんにとって、アートはそのきっかけを与える大切なツールになっている。
こんな作品を作ったらみんなが喜ぶかなぁと、考えている平松さんの顔はとても楽しそうだった。
 
 
【会社概要】
平松サービス
代表:平松忠士
愛知県岡崎市石原町字帝口向29
0564-83-2315
http://www.mics.ne.jp/~mayugeriva/
https://mayugeriva.wordpress.com/
 
 
 
 

 
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