生まれは西三河、東三河に嫁いで約20年。

同じ三河でも微妙に違う空気感に揉まれて暮らしてきた、生粋の三河人の筆者がこの記事をお届けします。

地元愛あふれるあなたも、最近引っ越してきたあなたも、どれだけ「生粋の東三河人」か、腕試ししていきん!

【準備運動】まずは『三河弁ラジオ体操』でウォーミングアップ!

三河弁ラジオ体操

クイズに入る前に、まずは軽く身体をほぐすかん?

東三河人なら一度は耳にしたことがあるかも知れない名物「三河弁ラジオ体操」をご存知でしょうか。

「ラジオ体操第一、始めるにー」という緩やかな号令からスタートし、「腕を前から上に上げて、でっかく背伸びの運動やるまいかん」「曲げりん」「伸ばしん」「こんきーかん?まーちょっとがんばりんよ!」と、あの聞き慣れたNHKの号令がコテコテの地元言葉に大変身。

「〜りん」「〜まいかん」の連続に肩の力が抜けますよね。

▼聞いてみたい方はこちら▼

豊橋弁版ラジオ体操第一:https://www.youtube.com/watch?v=4oOmHrEnN-8

まずはここから!東三河の生活あるある3選

方言クイズで頭をひねる前に、まずは地元民なら「あるある〜!!」と激しくうなずいてしまう、東三河のあるあるを少し紹介します。

あるある1:自動車学校のことは「車校(しゃこう)」と呼ぶ

高校3年生の冬になると、進路が決まった高校生たちが一斉に通い始める自動車学校。

全国的には『教習所』と呼ぶ地域が多いそうですが、東三河(愛知県全体)はほぼ『車校』と呼んでいます。

「早く車校行かにゃー!」「今日、車校があるもんで放課後あそべんわ。」が標準語だと信じて疑わないまま育ち、県外の大学に行って「しゃこう……?」と聞き返されて初めてカルチャーショックを受けます。

あるある2:一人一台が当たり前の超車社会!でも市電(路面電車)の右折は怖い

東三河は言わずと知れた完全な車社会。「一家に一台」ではなく「一人一台」が当たり前で、車がないとどこにも行けません。

ですが、豊橋の街中を走る『市電(路面電車)』のレール沿いを走る時だけは、地元民でも妙な緊張感が走ります。

西三河生まれの筆者は、車校の学科試験で「路面電車用の黄色い矢印信号」を勉強した時に「こんなん西三河にないし、一生使わん知識だら!」とたかをくくっていたのですが、まさか市電の走る豊橋に嫁いで毎日のように黄色い矢印にお世話になるとは思いもしませんでした。

あるある3:冬の風が強すぎて、ケッタが文字通り前に進まん!

冬になると吹き荒れる強烈なからっ風。東三河の冬の風の強さは尋常ではありません。

向かい風の日にケッタ(自転車)を漕ごうものなら、全体重をかけて立ち漕ぎしてもその場でピタッと静止するレベル。

風に向かって「進まん!進まん!」と叫びながら必死にペダルを蹴ったり、太ももの筋肉を鍛え上げられたのは、東三河育ちの誰もが通る試練です。

【レベル別】地元民度チェック!東三河あるある方言クイズ

初級編:日常に溶け込みすぎて標準語だと思ってたやつ

まずは初級編から。学校や家庭で当たり前に使われていて、県外に出て初めて「これ方言だったの?」と知ることの多い定番ワードです。

第1問:【放課(ほうか)】

・例文:「2時間目の後の放課に、職員室行こまい!」

・意味:(学校の授業と授業の間の)休み時間

三河人にとっての「放課」は、決して授業が全部終わったあとの「放課後」ではありません。授業と授業の間の休み時間の長さにより、「5分放課」「20分放課」と呼びます。筆者は高校生の時に『放課とは三河弁だった』と知りました。

第2問:【ケッタ】

東三河あるあるクイズ

・例文:「駅までケッタで行くわ!」

・意味:自転車(ケッタ・ケッタクリマシーン・ケッタリングマシーンなど派生版あり)

「ペダルを蹴ったくる」からきていると言われています。どこかレトロなロボットアニメのような響きがあって愛嬌たっぷりですよね。ちなみに、『自転車単体=ケッタ』ですが『自転車通学=チャリ通』となぜか呼び方が変わります。時々反発して「ケッ通」と呼ぶ人もいたようです。

第3問:【おいでん】

・例文:「こっち座りん!おいでんおいでん!」

・意味:おいで・いらっしゃい・おいでよ

三河弁を代表する「おいでん」。「おいで」に敬意と親しみを込めたこの温かい方言は、地域のお祭りやコミュニティバスの名前に使われることも多く、耳馴染みは抜群。

他県の友達に「今度そっちに遊びに行くね!」と言われ「うん!おいでん!」と答えたらかわいい方言だねと笑われました。咄嗟に「おいでん」の標準語がわからなくなるほど、身近な言葉です。

中級編:家事・育児・職場で飛び交うやつ

続いて中級編。生活感あふれる場面でよく使われる、ちょっぴりディープな言葉たちです。

第4問:【鍵をかう】

・例文:「出かけるで、ちゃんと鍵かってってね。」

・意味:鍵をかける・施錠する

「棒などを当てて固定する(支う/かう)」という古語が由来とされています。「泥棒はいるといかんもんで、ちゃんと鍵かっときんよ!」もう親から何回も聞き、私自身も子供達に何回も言ってきた言葉です。

第5問:【お金をこわす】

・例文:「ごめん、一万円札こわせる?」

・意味:お金を両替する・くずす

小銭が必要な時に多発するフレーズ。「細かく砕く」ニュアンスからきています。

「こわす」と言っても物理的にビリビリに破くわけではありません。大切なお金を壊さないでくださいね。

第6問:【ちゃっと】

・例文:「ちゃっと支度しりん!バス行っちゃうに!」

・意味:急いで・手早く・さっさと

朝のバタバタタイムに一番連発している言葉かも知れません。我が家も例に漏れずです。「ちゃっと起きて、ちゃっと支度しりん!遅刻するに!ちゃっちゃとやる!ほら!!」これ、毎日です。

そして、この「ちゃっと」という言葉で面白いことがありました。筆者が知り合いのおばちゃんとおしゃべりしていた時のこと。おばちゃんに「今流行りのGPTって何が早いの?」と聞かれたのですが、何のことかわかりませんでした。しばらくやり取りをしてわかったのが『chatGPT』のことでした。「ちゃっと(早い)GPT」だと思っていたようです。生粋の三河人のお年寄りの発想ですよね。

上級編:他県民が本気で勘違いするやつ

ここからは上級編。文字通りに受け取ると、とんでもない誤解を生む難関ワードです。

第7問:【ちんちん】

東三河あるあるやかん

・例文:「このお茶、ちんちんだもんで気をつけて飲むだに?」

・意味:とても熱い状態(沸騰しているレベル)

他県から来た人が耳を疑い、一瞬フリーズする衝撃の方言ナンバーワン!決して変な意味ではありません。やかんのお湯がしゅんしゅん・ちんちんと音を立てて煮えたぎる様子から来ていると言われる、れっきとした生活の言葉です。

ちんちんよりもっと熱い状態を「ちんちこちん」と言います。

第8問:【こわい】

例文:「このおまんじゅう、こわいわ」

意味:硬い

あの有名な落語の『まんじゅうこわい』ではないですよ。硬くなっている状態を指します。肩こりや筋肉痛、重労働で身体がバキバキに張っている状態を指すこともあります。

『強張っている』からきているのかも知れませんね。

第9問:【えらい】

・例文:「今日は立ちっぱなしだったで、身体がえらいわー」

・意味:(身体が)とても疲れた・しんどい・つらい

「偉い!(エクセレント!)」と褒められているわけではありません。新入社員が「今日は本当にえらかったです……」とへたり込んでいるのを見て、他県出身の上司が「自分で自分のことを偉いと言うなんて、なんて図太い新人だ!」と誤解したなんてこともあるかも知れませんね。

ちなみに『こんきい』という類義語も存在します。

【激ムズ】これ標準語にできる?日常会話まるごと翻訳チャレンジ!

単語クイズはここまで。ここからは会話文をまるごと標準語に訳してみてください。

まずは今までの復習から。

第1問:「そのやかん、ちんちんだもんで、きぃつけりんって言っただら?ほいでまだ熱かったら、ちゃっと冷やしときんよ!」

標準語訳:「そのやかん、すごく熱くなっているから、気をつけてねって言ったでしょう?それで、もしまだ熱かったら、急いですぐ冷やしておきなさいよ!」

東三河の三大語尾「じゃん・だら・りん」のうち、「〜りん(促す・優しく命令する)」と「〜だら(確認・同意を求める)」が見事に共演。さらに「ちんちん」「ちゃっと」「ほいで」が贅沢にトッピングされた東三河弁のフルコースのような一文です。怒られているはずなのに、どこか語尾の響きが丸くて、愛情がにじみ出ているのが東三河弁の魅力なんですよね。

第2問:「やっとかめだねぇ。最近はぬくとくなってきたけんど、元気しとったかん?え?腰がえらいだなんて、まんだ若けーのにとろくさいこと言っとったらいかんじゃん。やぐいなー。もっとたんと身体鍛えにゃー。」

東三河あるある腰痛

標準語訳:「お久しぶりだね!最近は暖かくなってきたけど、元気にしてた?え?腰がつらいだなんて、まだ若いのに馬鹿なこと言ってちゃだめだよ。もろいなー。もっといっぱい体鍛えなければいけないね。」

「やっとかめ(久しぶり)」のあいさつから始まり、「ぬくとく(暖かく)」「えらい(つらい)」「とろくさい(マヌケな)」「やぐい(もろい・頼りない)」「たんと(たくさん)」と三河弁の重要単語が怒涛の勢いで詰め込まれた超濃厚な一文です。

本来なら道具や家具の建て付けに使う「やぐい」を、人間の身体に向かってさらっと言い放つあたりが地元のおばちゃん節全開!口調はちょっぴり辛口でマシンガンのようですが、その実『ずっと元気でおってね』と言う情の深さと愛嬌がたっぷり詰まった、三河あったかい人間関係そのものを表す名セリフです。

第3問:「そのココア、底にとごっとるもんで、よう混ぜて飲みんよ!ほいで、引き出しをさばくったなら、ちゃんと元に戻しんよ。西日が差してひずるしいで、カーテンも閉めりんね!」

標準語訳:「そのココア、底に粉が沈んで溜まっているから、よく混ぜて飲みなさいよ!それと、引き出しの中をかき分けて探したなら、ちゃんと元に戻しなさい。西日が差して眩しいから、カーテンも閉めなさいね!」

『とごっとる(底に粉などが沈殿している)」「さばくる(かき分けて散らかしながら探す)」「ひずるしい(眩しい)」と言う生活感満載のディープな言葉が勢揃い!

特に「とごる」はココアやお味噌汁、そこに粉末が溜まった緑茶を飲むときに自然と口から出る、三河母ちゃんの定番ワードです。子どもがココアを飲みながら、探し物で引き出しをひっくり返し、夕方の西日に目を細める……そんなお茶の間のリアルな光景が目に浮かびますよね。あれこれ小言を言いながらも、語尾の「〜りん」「〜りんね」が優しく響く、なんとも愛おしい三河の日常です。

おまけ:「キットカット買っとかんといかんかったのに、あんたが買っとかんかったもんで、いかんかったって言っとるだわ!」

標準語訳:「キットカットを買っておかないとダメだったのに、あなたがかっておかなかったから、いけなかったって言ってるんだよ。」

ちょっと有名な三河弁の早口言葉です。ぜひ挑戦してみてください。

キットカット→有名なチョコレート菓子の商品名

買っとかんと→「買っておく」という動詞に、否定の「ん」が結合して、「買っておかないと」と言う意味

いかんかった→「いかん(ダメだ)」の過去形であり、つなげると「買わなきゃダメだった」となる

のに→期待外れを示す逆説の接続助詞

あんたが→親しい間柄で多用される「あなたが」という二人称

買っとかんかった→「買っておく」の否定過去形であり、「買っておかなかった」事実を示す

もんで→「〜から」や「〜ので」などの理由を表す接続詞

いかんかったって→目的が果たせなくて「ダメだった」結果を表す

言っとるだわ→言っていると言う意味

キツく聞こえがちだが、『ん』でマイルドになる三河弁

東三河あるある&方言クイズ、みなさんは何問わかりましたか?

お気づきかもしれませんが、三河弁には『ん』が多く使われています。

ちょっとぶっきらぼうに聞こえがちの三河弁ですが、この『ん』が人懐っこくて、情に厚い東三河の言葉に変えてくれているのかもしれません。

今日覚えたフレーズ、ぜひ職場やご近所さんとの雑談で「これ知っとる?」と使ってみりんね!