
立場を問わない”超異分野”でつながり、世界を変えよう!
2024年12月14日、豊橋サイエンスコアにて今年で3年目を迎える超異分野学会2024豊橋フォーラムが行われました。
超異分野学会とはどういった取り組みなのか、2024年の豊橋フォーラムはどんな様子だったのかを中心にご紹介します。
超異分野学会とは?
地元事業者・ベンチャー・大学・自治体・学生も!分野や業種の違いにとらわれずに議論を通じてお互いのもっている知識や技術を融合する場が「超異分野学会」です。2024年3月時点で国内では44大会/フォーラム、海外では16大会の開催実績があります。
東海地方初開催の超異分野学会 豊橋フォーラムは2024年で3年目の開催。大学研究者・スタートアップ起業家・企業の新規事業担当者らが豊橋サイエンスコアに一挙集結しました。
超異分野学会 豊橋フォーラム2024を開催
豊橋フォーラムの狙い
研究者、企業、若者など多様な主体が集い、議論し、実証プロジェクトを発掘する場(フォーラム)を実施し、豊橋科学技術大学を中心とした、市内の研究シーズと地元企業、更には域外からのイノベーション人材などの知の流入を促進することを目的として開催されています。
昨年に引き続き、超異分野学会 豊橋フォーラムが豊橋サイエンスコアにて行われました。オープニング時から会場の座席が追加されるほど多くの参加者が集まり、発表者と聴講に訪れた人たちの熱気に広い会場全体が包まれていました。
というのも今回は参加者231名、パートナー企業5社、ポスター・ブースの発表72件という過去3年で最大の規模。今年から共同主催として参画した豊橋技術科学大学からは31名の研究者が参加しました。
超異分野学会 豊橋フォーラム2024 の大会テーマは「知の融合が生み出す豊橋発の創造力」。一体どんなテーマで発表や議論が行われたか、ダイジェストでご紹介していきます。
研究者・ベンチャー・地元事業者による超異分野ピッチ
さまざまなバックボーンを持つ参加者が70秒間のピッチで自分のやりたいことや参加者に求めていることを発表する、「超異分野スプラッシュ」。
今回も全国からさまざまなジャンルの企業や学生が集まり、過去最多の31名による”超異分野”のピッチが行われ、短い時間でも心掴まれる情熱的な内容に会場が盛り上がりました。
テーマ別パネルセッション
午後からはセッションパートナーである市内企業によるテーマ別のパネルディスカッションが行われました。
セッション1 豊かな海づくりから考える サステナブルな地域産業
セッションパートナーは株式会社イノカ。近年、気候変動や環境悪化により藻場が世界規模で失われつつあります。藻場の回復をしながら海草・海藻などの資源を有効活用し、新たな地域産業を生み出すことを目指して関連する技術を持ったベンチャー企業や地域に根差した企業が”海から生まれる新産業”の可能性を議論しました。
セッション2 異分野連携で見直す既存ビジネス 〜ヒトはなぜコーヒーを”淹れる”のか〜
セッションパートナーはワルツ株式会社。昨年のフォーラムでの出会いから新たな機能性フィルターの開発が始まりました。新たな視点によって新規事業を創出し、 新たな一歩を踏み出すことができた株式会社ワルツの事例をパネルセッション形式で振り返りつつイノベーションを生み出すための重要なポイントが議論されました。
ポスター発表・ブース展示
会場内のホールでは、こちらも過去最多となる72件のポスター・ブース発表(研究発表・事業紹介)が豊橋市内外から集まりました。ポスター・ブース展示は開催中いつでも見られますが、コアタイムが設けられ、各ブースの発表者と参加者が直接コミュニケーションしやすいようになっています。
【特別企画】知識製造イグニッション
知識製造イグニッションは会場内での対話から生まれた連携プロジェクト案を発表し、パートナー企業から選ばれたプロジェクトはフォーラム終了後も伴走支援を受けながら具体化していけるという取り組み。参加者であれば誰でもディスカッションの中で深まった連携アイデアをエントリーができます。
イグニッションパートナーであるイノチオホールディングス株式会社、中部電力株式会社、武蔵精密工業株式会社の3社から募集テーマが示され、白熱したショートピッチと質疑応答が行われました。
熱気冷めやらぬまま閉会式へ
1日かけて行われてきた超異分野学会 豊橋フォーラム2024も終了の時間となり、最後に各賞の受賞者が発表されました。
超異分野学会2024 豊橋フォーラム賞を受賞したのは名古屋大学工学部 学部3年生 山本 大凱 さんによる【月の砂「レゴリス」でめざす3DAM:日本の伝統工芸にならう月での暮らしづくり】でした。
これは月面で入手が用意なレゴリス(月の砂)を使った鋳造技術で”月面でのものづくり”を可能にしようというもの。学生や大学、企業といった多様なチームメンバーの中には豊橋市の陶芸家 稲吉オサム氏が参画しています。
閉会式の後は交流会へ。今年もたくさんの出会いや議論が生まれ、これからどのように身を結んでいくのか楽しみです。
最後に、各賞の受賞者をご紹介します。
◯イグニッションの部
【イノチオ賞(イノチオホールディングス株式会社)】
受賞者:株式会社IDDK 取締役・最高科学責任者 池田わたる さん
受賞テーマ:その場植物病理診断装置の開発
【中部電力賞(中部電力株式会社)】
受賞者:株式会社NOCNUM 代表取締役CEO 大森 美紀 さん
受賞テーマ:未利用バイオマスを活用した有機転換と脱炭素を両立する
【武蔵精密工業賞(武蔵精密工業株式会社)】
受賞者:株式会社YAXIE 日高 聡 さん
受賞テーマ:超微生物肥料で環境負荷削減と省力化を実現しながら農作物の成長促進に貢献する
◯ポスターの部
【超異分野学会2024 豊橋フォーラム賞】 受賞者:名古屋大学工学部 学部3年生 山本 大凱 さん 受賞テーマ:月の砂「レゴリス」でめざす3DAM:日本の伝統工芸にならう月での暮らしづくり
【オーディエンス賞】 受賞者: 三重大学大学院 大学院生物資源学研究科 助教 内藤 啓貴 さん 受賞テーマ:バイタルセンシング技術による農業従事者見守りシステムの構築
【イノカ賞(株式会社イノカ)】 受賞者:株式会社TANSAQ 取締役 小谷 佳子 さん 受賞テーマ:データ駆動型個別化尿酸値マネジメントによる健康寿命延伸
【ワルツ賞(ワルツ株式会社)】 受賞者:豊橋市立公立小学校 5年生 林 凪 さん 受賞テーマ:「かわいそう」を軸にしない“欲しい“ドリブンの途上国支援スモビジの取り組み
【サイエンス・クリエイト賞(株式会社サイエンス・クリエイト)】 受賞者:株式会社Eco-Pork 取締役 管理統括責任者 鈴木 健人 さん 受賞テーマ:田原市における養豚農家向けDX畜舎の建設・実証の報告
大会だけじゃない!豊橋フォーラムの真価
本事業、実は12月にイベントをやるだけではないのです。昨年度より前年度のフォーラムを契機に創出された大学やイノベーション人材と市内の事業者とが連携したプロジェクトに対して、プロジェクトの設計および事業仮説の検証のサポートといった伴走支援を行っています。
社会実装に向けて個別の内容はご紹介しづらい部分もありますが、大学やディープテック系スタートアップの持つ技術を自社で活用できないか、といった実証実験や、事業化を目指した共同研究が複数行われています。
研究開発に関心のある企業の方、研究の社会実装に興味のある研究者の方も次回奮ってご参加ください。