2024年のスギ花粉

もうすぐスギ花粉症のシーズンが到来します。発症年齢の低年齢化も進んでいる花粉症。
今回は2024年シーズンのスギ花粉の飛散量の予測や基本の花粉症対策、根本治療として近年注目されている治療法や2020年シーズンに認可された治療法をお伝えします。今シーズンの花粉症対策の参考にしてみてください。

2024年のスギ花粉の飛散量は?

2023年_スギ花粉の量
2024年1月18日発表の日本気象協会 2024年 春の花粉飛散予測(第3報)によると、東海地方の2024年春の花粉飛散予測は例年比120%(やや多い)、前シーズン比90%(並)となっています。

また、飛散開始は名古屋市では2月中旬となっており、ピークの時期は3月上旬からとなるようです。春一番が吹くような、風が強く急に暖かくなる日があると花粉の飛散量が一気に増えて、ピークの時期が早まることも考えられます。ピークを迎える前から、万全な花粉対策を心がけるとよいでしょう。次の章からは花粉症対策や治療法について紹介します!

基本的な花粉症対策をおさらい

2023年_花粉症対策

くしゃみがひどい人、目のかゆみがひどい人など人によって花粉症の症状はさまざま。どんな症状のある人でも、浴びる花粉を減らすことが花粉症の症状を少しでも軽くするためのポイントです。

外出時はマスクやメガネを着用する

マスクは顔のサイズにあったものをぴったりとつけます。メガネは普段使い用メガネでも効果がありますが、防護カバーがついた花粉症用メガネの方が効果が高いです。

花粉を家に持ち込まない

玄関前で服についた花粉をはらってから家に入ります。
服は表面がツルツルした綿かポリエステルなどの素材の方が花粉がつきにくいです。
うがい、手洗いで花粉を洗い流します。鼻うがいも有効です。目に入った花粉を取り除きたい場合は水道水ではなく点眼薬を使いましょう。

お薬などでの治療

症状を軽減させるには自分の症状に合った薬を選ぶことが大切です。
はじめて花粉症の症状が出たという場合は、それが本当に花粉症なのか判断してもらうためにも医療機関への受診がおすすめです。市販薬を使用していても、症状が続く場合や症状がひどい場合などには一度受診してみると良いでしょう。

早めに治療をはじめると効果が高まります。花粉が飛びはじめる時期になったら、もしくは軽い症状が出はじめたらすぐ治療を開始すると良いでしょう。また、症状がひどい日にスポット的な使い方をするのではなく、シーズン中は継続的に服用したほうが良い状態をキープできます。

治療薬の他に、花粉症の原因となる抗原を少しずつ体内に吸収させることでアレルギー物質に体を慣らしていくアレルゲン免疫療法や、ひどい鼻水症状がある場合に用いられる手術療法という方法もあります。アレルゲン免疫療法は3〜5年と長期の治療期間を要しますが治癒や長期寛解(症状がない状態)が期待される唯一の方法と言われています。

花粉症の最新の治療法は?

2023年_最新の花粉症治療

舌下免疫療法

これまでスギ花粉症には薬や手術といった対症療法が中心でしたが、近年、根本的な治癒を目指す治療法アレルゲン免疫療法に注目が集まっています。花粉症の原因となるスギ花粉のエキスを少量ずつ体内に取り込むことで徐々に体を慣らし、アレルギー反応が起こらないように体質改善していく治療方法です。

以前はアレルゲンを含む治療薬を注射する皮下免疫療法が主流でしたが、近年になって治療薬を舌の下に投与する舌下免疫療法が登場し、自宅でより簡便に治療ができるようになりました。

舌下免疫療法は健康保険が適応されます。初回の服用は医師による監督のもとで、それ以降は自宅で行います。
スギ花粉が飛散している時期は体内に取り込むスギ花粉が多くなり副作用が出やすくなるため舌下免疫療法は開始できません。治療を始める時期は6月~11月下旬頃までです。即効性はなく、3年から5年の服用が推奨されています。

すべての方に効果が期待できるわけではありませんが、症状が完全におさえられない場合でも症状が改善し治療薬の減量が期待できます。

抗IgE抗体療法

スギ花粉症に対しての様々な治療でも症状がおさまらない重症・最重症のスギ花粉症の方に対して、2020年シーズンから抗IgE抗体療法が認可されました。
抗IgE抗体オマリズマブ(ゾレア®)を皮下注射する治療で、スギ花粉飛散時期である2月~5月に注射が可能です。

スギ花粉で陽性を示すこと(血液検査)や体重や検査値が薬剤の対象範囲であることなどいくつか条件があり、検査の結果などによっては受けられない場合もあります。
初回投与までに数回受診する必要があるため早めの相談・受診予約がおすすめです。保険適用されますが薬価が高く費用が高額になるため事前に確認しておきましょう。

まとめ

今年も前年と同じくらい花粉が飛ぶようです。花粉症には早めの対策・治療開始が有効です。自分にあった治療法を見つけて、シーズンをなんとか軽い症状で乗り切りましょう。