「あんなものがあったらいい」
 
「こんなものがあったらいいなぁ」
 
「よし、だったら作ってみよう!」
 
ものづくりの盛んな地域、東三河だから出来る貴重な風土なのかも知れない。
 
 
一方で、
 
「この商品、気になるなぁ」
 
「あの人のものづくり、がんばってほしいなぁ」
 
最近ではクラウドファンディングでの支援を通じて、新しい商品を一足先に手に入れたり、
新たな挑戦を応援出来る環境が整っている。
 
 
この地域で、新たにクラウドファンディングをスタートさせ、「あったらいいなぁ」から実際に生まれた商品と、製作者のアツイ想いを聞いてきた。
 

 
 
<お話を聞いた人>

岡田 陽 さん

武蔵精密工業株式会社
工機事業部 試作Gr
趣味:スポーツ、音楽鑑賞、お酒、コーヒー、バイク、塗装、手筒花火、漫才、新規事業創出

 
 

岡田さんは、現在顧客のニーズに沿って試作製作を行う武蔵精密工業の工機事業部に所属している。
 
試作専用の設備を備え、試作品を短期間で提供するのが特徴である。
 
仕事の中で、金属加工に携わる岡田さんが、その技術を活かして試作に取り掛かった。
 
「何かつくりたい」という想いの中、何となく頭に浮かんだ「つくりたいもの」を基に、思い立ったらすぐ行動!
 
仕事の合間を縫って最初の試作品は2日で設計し、2週間後には加工品が出来上がったという。
 

何をつくっているのか?


 
早速試作品を見せて貰った。

円筒にしなやかな局面を描くシルエット。
金属の質感を伝えながら存在感の際だつ赤色。
側面に浮き立つ文字と周囲の模様。
 
 

オシャレな印象が真っ先に頭に入るものの、横から見ただけではなんだかわからない。
 
上から覗いてみると、どこかで見たことあるような形状に気がつく。
 
ついでに周りのアイテムを並べてみると、、、
 

 
 
岡田さんが製作しているのは、コーヒードリッパー。
その名も「Z-DRIPPER」である。
 
ドリップコーヒーを淹れる時に真っ先に浮かぶドリッパーの素材といえば、プラスチックのドリッパーだが、岡田さんが作っているのは、アルミを削り出して作成したドリッパーだ。
 
 
– 岡田さん –
出来上がった試作品を周りの知り合いにお披露目した所「カッコイイ」という前向きな反応をもらいました。
直感で「高いポテンシャルがあるなぁ」と感じたので、コーヒードリッパーを本格的に事業化へ進めることを決意しました。
 
 
アルミ製のドリッパーに価値を感じた岡田さんは、切削シミュレーションを活用しながら納得の行く試作品完成に辿り着いた。
 
 

ドリッパーの特徴


 
ドリッパーの特徴は大きく2ある。
 
一つは、切削加工によって生み出されたデザインの価値である。
マシニングセンタと呼ばれる金属の切削加工機械を使い、プログラムに従って、高速回転する切削工具を押し当てて加工をする。
 
 
– 岡田さん –
切削加工では、切削工具の回転速度や切削速度、切り込みの深さといった加工条件によって表面の仕上がりは大きく変わります。この製品は敢えて加工の軌跡を残すように加工を施しているんです。
通常切削加工では、表面を滑らかに、キレイに加工するのが普通ですが、軌跡が美しい模様を描くことに着目しました。加工条件とにらみ合いながら、一番美しい模様が描ける加工条件を追い求めて、この模様が完成しました。
 

切削によって生まれた模様が美しい

 
 
もう一つはアルミという素材が生み出した、ドリッパーとしての機能である。
検証を重ねるうちに、このドリッパーはコーヒーのプロも評価する商品に仕上がっていくのである。
 
実物が出来上がってから、通常のドリッパーでつくるコーヒーを飲み比べてみると、「何かが違う」ということに気が付いた。
 

 
アルミという素材の特徴。
 
熱伝導率に優れているため、注ぐ間にお湯の熱がドリッパーに伝わり、お湯の温度が変化する。
水の性質として、温度が下がると水の粘度が変わるため、味がまろやかになるのだという。
 
「ドリッパーで味が変わる」という価値に気が付き、このドリッパーにあったコーヒー豆や抽出条件を研究した。
 
コーヒー関連の企業に勤め、コーヒーの入れ方に詳しい方を紹介してもらい、コーヒーの味についてアドバイスをもらいながら、ドリッパーに合った淹れ方を研究したのだという。
 

クラウドファンディングへの挑戦


 
こうして出来上がった試作品で、クラウドファンディングに挑戦している。
 
支援の額に応じてリターン内容は4種類。

・少額の支援者を対象に、先ほど紹介したDrive BEASTのステッカー
・本体セット
・本体に加え、Z-DRIPPERに合うコーヒー豆をセットにしたセット。
・ギフト用とご自宅用で使える本体2個セット

 
こだわりを持った人が手にした時に満足を提供したいという想いから、シリアルナンバーをつけてお渡しすることも水面下で検討しているという。
 
 
 

Drive BEASTの価値観


 
岡田さんが着ているポロシャツの背中には「Drive BEAST」という文字とロゴが描かれている。岡田さんが作成したロゴに込めている価値観を聞いてみた。
 
 
– 岡田さん –
野獣のように地面を蹴って、力強く前に推進していく、スピード感のある様子をロゴで表現しています。
今はこの活動を一人で進めていますが、いつかはチームとして進めていきたいという想いもあり、このロゴをつくり、ドリッパーの製作をスタートさせました。
 
 
変化の激しい時代の中、既存の枠にとらわれず、きちんとしたビジョンを持っている岡田さん。
「Drive BEAST」が岡田さん自身のコンセプト。
 
 
構想からすぐに最初の試作品を形にした姿は文字通り体現している。
 
 
 

オープンイノベーション


 
制作の過程を聞く中で、周りに集まり、協力してくれた人の存在を教えてくれた。
 
Z-DRIPPERを広めてくれる人や、その良さを語ってくれる人、困った時にアドバイスや加工の手助けをしてくれる方に出会ったという。
 
 
例えば、ドリッパーの表面は、アルマイト加工と呼ばれる表面加工によって色付けされている。
人の紹介を通じて加工をお手伝いしてくれる方に出会ったという。
 
ものづくりの技術とデザインがうまく融合している事も、もう一つの価値として感じられた。
 

 
 
– 岡田さん –
ドリッパー底部の4つ穴のうち、両サイドの2穴をよく見て下さい。ネジになっています。
これはアルマイト加工工程のために、素材を吊るす際に使用するネジです。このネジはあえてそのまま残しています。
手にした喜びを感じる瞬間というのは商品の特徴を語る時だと思います。
普通のドリッパーにはない特徴として、持ち主が伝えたくなるような遊び心も残しています。
 
 
 
機能的な意味はもちろん、特徴的な部分を完成品に残すことで、持ち主に商品のストーリーを語って、生活をポジティブにしてほしいという意味も込められてるのだとか。
ものづくりのセオリーとデザインが融合して、相乗効果を生み出す一面が伺えた。
 
 
オープンイノベーションは意外な形で新しい価値を生み出す。
 
 

改良と改善~顧客に聞く~


 
現在岡田さんが取り組んでいることは「とにかく顧客に聞く」である。
 
上記の投稿写真も、お湯の温度と抽出時間を試行錯誤しながら、試飲してもらっている様子であう。
 
ドリッパーやポットを大きな鞄に入れて持ち歩き、人に会う度にコーヒーを淹れて飲み比べて貰っている。
 
また、イベントを運営・参加している人の協力を得て、イベントなどでも試飲してもらい、ドリッパーで味が変わる事を体験してもらっているという。
 
 
 

これからのビジョン


 
今回クラウドファンディングに挑戦する「Z-DRIPPER」を皮切りに、ドリッパー以外にも「Z-MACHINING」の価値観でシリーズ製品の開発を進めて行きたいと岡田さんは教えてくれた。
 
また、Z-DRIPPER自体もアルマイト加工によって様々な色付けが可能であるため、今後多色展開を構想に掲げている他、フィルターとの接触面の模様を新たに研究し、味のバリエーションも増やしたい考えである。
 
 

Be Unique!!

岡田さんが所属する武蔵精密工業が掲げる「ムサシ・グローバル・ビジョン2020」には「Be Unique!!」という言葉がある。
 
二輪車/四輪車向けの製品開発のイメージが多い中で、コーヒードリッパーのように一風変わったユニークなものづくりを間近で目にした瞬間である。
 
「Drive BEAST」のこれからの加速が大変楽しみである。
 
 

クラウドファンディングの詳細はこちらから(makuakeサイトへ)

 
 
 
【会社概要】
武蔵精密工業株式会社
代表取締役社長 大塚浩史
愛知県豊橋市植田町字大膳39-5
http://www.musashi.co.jp/