出前授業_豊橋信用金庫事業支援部

「アイデアのつくり方」の授業が2021年6月に豊橋商業高校で行われました。講師は、豊橋信用金庫事業支援部の西郷鎮廣さんが務めます。

授業ではビジネスだけでなく、人生にも活かせるような考え方を教えていただきました。その様子をお伝えします。

豊橋信用金庫_西郷鎮廣
人物紹介
豊橋信用金庫 事業支援部 西郷鎮廣さん
中小企業診断士・事業構想修士(MPD/Master of Project Design)・経営情報学修士。MPDは信用金庫業界で初。企業のチカラを最大化し、社会に最適価値を提供する事業構想家として活動中。企業の経営支援や地域創生を行う。

アイデア出しに挑戦

① 思いつく限りの図柄をワークシートに書いてみよう

授業は、アイデア出しのウォーミングアップから始まりました。
「90秒以内に、丸がたくさん書かれたワークシートにできるだけ多くの図柄を書いてください。」

生徒たちは、ボールやニコちゃんマークなど思いつく丸いシルエットを一生懸命書き出していました。そして90秒後、西郷さんからでた第一声が

「ルールは破れましたか?」

アイデアのつくり方_授業風景1

「今回私はルールを何も伝えていません。なので自分で作った常識に縛られず、自由に書いていいんですよ。丸の中に収めずはみ出して書いてもいい。3つくっつけて団子にしてもいい。アイデアを出すときは、量も大事ですが、柔軟性多様性(種類の多さ)も大切にしてほしいんです。」

その言葉に生徒たちはハッとした様子。
いつの間にか自分でルールをつくって、アイデアの幅を狭めていたことに気が付きます。常識を疑うこと、視野を広げることで、見え方が大きく違ってくることを実感しました。

② 新しい自動販売機を考えよう

さて、少し頭が柔らかくなったところで次は「自動販売機の新しい施策」を考えていきます。

アイデア出しのフレームワークは全部で30通りあるとのことですが、今回はしりとり発想法を使って考えます。しりとりで出てきたキーワードをかけ合わせて新たな発想を生み出すというもので、今回は「自動販売機」の”き”からしりとりスタート!

真剣にしりとりをしている生徒たち。

アイデアのつくり方_授業風景2

ワードを班ごとに出しあって、そこから新しい自動販売機をイメージしていきます。どの班も頭を悩ませながら、でも楽しみながら話し合っていました。

アイデアのつくり方_授業風景3

③ “新自動販売機”企画案発表

さて、いよいよ発表です!
彼らからどんなユニークなアイデアが飛び出すのか?ワクワクしながら発表を見守りました。

アイデアのつくり方_授業風景4

「動く自販機」:ルンバから発想。どこにでも行ける。

「シャッフル自販機」:ロッカーを開くたびに、出てくるものが変わる面白さがある。

「励まし自販機」:落ち込んでいる時に励ましメッセージをくれる。

「自動販売機型貯金箱」:入れたお金の金額によって声の種類が変わる。貯金することが楽しくなる仕組みになっている。

「四次元自販機」:四次元ポケットのように何でもでてくる。スマホで注文すると家まで届けてくれる。手が伸びるのでマンションの上層階の人やお年寄りにも優しい。

どの班の代表者も、照れながらもとても楽しそうに説明していました。

ユニークな案がたくさん出て場が盛り上がる中、興味深かったのが「ペイント自販機」

アイデアのつくり方_授業風景5

「塗り絵やペイントから連想しました。固形のインクがでてきて、水に溶かして自動販売機に塗れるようなつくりになっています。小さい子どもが使えるよう横長の設計にしました。」と堂々と発表していました。

“自動販売機はジュースがでてくるもの”という常識を破ったユニークな発想で、子どもが楽しめるように設計の工夫までされていて素晴らしかったです。

西郷さんはすべての班の発表を聞き、

「どの案も斬新でとても面白い。これが大人だと、どうしても現実的な発想に寄ってしまいます。アイデアは実現不可能でもよい、自己中心的で恥ずかしいものでもよいと知ってほしいです。」と話しました。

伝えたいこと

ーーーーーインターネットで検索できることは価値がない

生徒たちにむけて「人間にしか出来ないことを磨いてほしい」と話す西郷さん。AI時代に私たちに必要なこと、それは
「考えること」そして「動くこと」だといいます。

アイデアのつくり方_授業風景6

「誤解を招くことを覚悟で言うと、インターネットで検索できることは価値がない。何故ならそれは、みんなが知っていることだからです。大事なのは、“そこから何を読み取るか”。

事実から考え、どんなことが起こるのか未来を予測してください。そして行動してください。

今回の授業でいうと、未来のビジネスにどうつなげるかを考えます。ただ、考えるだけでは価値がなくなってしまう。9割の人は行動せずに終わってしまうのが現状です。なので皆さんは1mmでもいいから動いてください。動けば見える景色が変わります。私もそれを2年前実感しました。」
と自身の体験を通じて感じたことを語ってくださいました。

ーーーーーどんな人にも創造性はある

「みなさん、今日で自分の創造性に自信をもてましたか?アイデア発想、楽しかったですか?」

西郷さんの問いかけに、ほとんどの生徒が手を挙げて答えます。

「日本人にはアイデアの才能がないのでは?と思い込んでいる方もいますが、どんな人にも創造性はあります。日本が誇るトヨタ自動車も、常識を破るアイデアを発想し取り入れたことで今のように大きくなったのです。他にも、セイブソーププロジェクトのように、ローテクイノベーションが世界中の子どもたちの行動を変えた事例もあります。

アイデアのつくり方_授業風景7

アイデアの9割は既存の要素の組み合わせです。特別な才能なんかいりません。技術革新なんかいりません。今日行ったように、”手法と共同作業”から生まれるのです。

みなさんも、自分の創造性にぜひ自信をもってください。
そして今後もどんどんアイデアを出すチャレンジを続けてください。

と生徒たちに熱く訴えかけ、授業を締めくくりました。

おわりに

盛りだくさんの授業内容でしたが、今回はほんの一部を紹介させていただきました。
2時間の授業もあっという間に終わってしまいなんだか寂しいです。

言葉選びや演出づくりなど、西郷さんのセンスが光る魅力的な授業でした。
ビジネスはもちろんですが、人生についても改めて考えさせられるような深い内容で、スライド一枚一枚に強いメッセージ性を感じました。

後半の「ユニークな人材を育てたい~出前授業にかける想い~」西郷さん直撃インタビュー編もぜひお楽しみください。