絶滅危惧種のアカウミガメ

2024年5月17日、豊橋市域の表浜海岸でアカウミガメの上陸・産卵が今年度初めて確認されました。

絶滅危惧種であるアカウミガメは世界的に深刻な減少傾向にあり、昨年度の調査では表浜海岸での上陸・産卵状況が過去最低となってしまっています。

この記事ではアカウミガメの特徴や産卵について、また保全のためにできることなど地元民でも知っていそうで知らない情報をまとめました。

海洋の生態系を守り、産卵の時だけ上陸するウミガメ

ウミガメは生涯のほとんどを海の中で過ごし、上陸するのはメスが産卵する時だけ。海中で適度にクラゲや藻類を食べることで魚や藻場、サンゴ礁などの生態バランスを整える重要な働きを担っています。

体内の過剰な塩分を水分と一緒に目から排出する姿が「まるで涙を流しながら」産卵しているように見えることでも有名です。

地球上に生存する7種のウミガメのうち、日本で産卵するのは3種類。中でもアカウミガメは北太平洋で唯一、日本列島だけで産卵を行うことから保全活動が重要とされています。

表浜海岸は希少なアカウミガメの産卵地

表浜海岸を含む遠州灘沿岸は、本州最大のアカウミガメ産卵地。

特に表浜海岸は長く伸びた砂浜や周辺の自然も豊かでアカウミガメが散乱するための条件がいい一方で、豊橋市の調査によると令和5年度のアカウミガメ上陸回数と産卵巣数は平均を大きく下回る過去最小となっています。

また令和5年度に産卵が確認された地域は東細谷のみ。台風・豪雨の影響によって一部エリアで調査ができない日もあるものの、より一層の保護活動が必要と言えそうです。(参考|令和5年度 豊橋市におけるウミガメ保護調査活動に関する報告書より)

絶滅危惧種アカウミガメ

どうしてウミガメが減少しているの?

ウミガメが減少している原因はさまざまですが、人間の活動が原因になっているケースが多くあります。

誤って漁獲されてしまうため

肺呼吸であるウミガメは、漁業用の網などに絡まって呼吸ができないと死んでしまいます。

効率の良い漁法であるほどウミガメにとっては絡まってしまいやすく、追加のコストがかかったり漁獲量が減ってしまう心配からか対策もあまりなされていません。

砂浜の環境が悪化しているため

埋め立てや護岸工事によって砂浜が減ると、そもそも上陸ができなかったり産卵数が減ってしまいます。

またウミガメの産卵は砂浜であればどこでもいいというわけではなく、さまざまな条件が合致しなくてはいけないため人間の目には同じような砂浜に見えても産卵ができなくなってしまっていることもあるのです。

海岸沿いの光が邪魔するため

卵から孵化した子ガメは海を目指すために明るい方へ寄っていく習性を持っています。陸側に人間の生活による光があると誤って海とは逆方向に進んでしまい、生存率が下がってしまいます。

また、母ウミガメも必要以上に明るいと産卵しない習性を持っており、せっかく産卵しに来ても陸上せずに海に戻ってしまうことがあります。

絶滅危惧種ウミガメの卵

他にも、地球温暖化によるウミガメへの影響が指摘されています。

産み落とされたウミガメの卵は最初その区別はなく、砂の中で30℃未満ならオスが生まれ30℃以上ならメスが生まれます。近年の温暖化によってメスの比率が上昇しており、調査によってはなんと99%のウミガメがメスだった地域もあると言われています。

表浜のアカウミガメを守るためにできること

アカウミガメがやってくると夏の始まりを感じますよね。この時期の表浜海岸は気をつけて利用するようにしましょう!

上陸・産卵期間は10月頃まで続くので、暑さが落ち着くまではアカウミガメにやさしい海岸利用が必要です。

夜間の海岸利用はできるだけしない

やむを得ない場合でも、ライトで海岸を照らしたり騒音を出さないように気をつけましょう。産卵の妨げになったり、ライトは先述したように孵化した子ガメにも悪影響があります。

砂浜への車で入らない

車両等での砂浜への乗り入れは禁止されています。せっかく産卵した卵を破損するおそれがあるので絶対にやめましょう。

アカウミガメや卵を見つけたら?

見つけると近寄って見てみたくなりますが、触ったり近づかずかないようにしましょう。アカウミガメは驚いても産卵しなくなるので、静かに見守ってあげてください。

絶滅危惧種表浜海岸

アカウミガメが安心して戻ってくる自然を残そう

産卵した卵が孵化するのは約2ヶ月後。1つの巣には100個以上の卵があると言われていますが、成長して親ガメになれるのは数千匹のうちに1匹とされています。

北太平洋で生まれたアオウミガメは遠くはメキシコ沖まで行くそうですが、産卵には自分が生まれた砂浜に戻ってくるそうです。それでも、産卵に適した環境がなければ海へ戻って行ってしまいます。

孵化したアカウミガメが産卵できるようになるまでは10年以上がかかります。いつまでも安心して戻ってこられるようにアカウミガメにやさしい表浜海岸を守っていきたいですね。