解体新書_マルコー商会

東京の一等地、渋谷駅。一日37万人以上の乗降者数を誇り、多くの人が訪れるこの地では、駅前の再開発が進み、日々街の風景が変わっているように思えます。
特に渋谷駅の宮益坂方面では、渋谷ヒカリエを中心に渋谷の駅前地域は特定都市再生緊急整備地域にされており、様々な開発プロジェクトが進んでいます。

解体新書_渋谷ヒカリエ

しかし、ふと疑問に思うのは、これまであったビルはどうなったんだろう?ということ。
もちろん、渋谷の駅前は元々さら地という訳ではなく、このような大型開発を行うためには、既存の施設を取り壊さなければなりません。

普段は新しいものに目がいきがちだが、今回は建物の最後である、「解体」に目を向けてみました。

すると、そこには「東三河」と「芸術」の2つのキーワードが見えてきました。

解体作業

解体作業のイメージ

そもそも建物の解体作業というと、どんなイメージを描くでしょうか?
硬いコンクリートと鉄筋の塊を、屈強な男たちが豪快にぶっ壊す!!!!

解体作業のイメージ

私の中では「豪快・大胆・破壊」という、とにかく荒々しいイメージがありました。(画像はイメージです。)

・・・実際の所、解体作業は私たちが目にする機会が少ない場所で行われているため、どのように解体作業が行われているのかあまり知らないですが、こうした解体作業の裏で、実は東三河の企業が活躍しています。今日は、株式会社マルコー商会が手掛ける解体現場の作業の様子を教えて頂いたので紹介します。

株式会社マルコー商会

株式会社マルコー商会は創業以来「総合解体工事業」及び「産業廃棄物処理業」を事業主体とし、一貫して環境保全という社会的使命を念頭にさまざまな事業活動に取り組んでいる企業です。
日本の中では数少ない超大型の重機を保有していることも、この会社の強みであり、地方のみならず高度な技術を要する都心の大型施設の解体作業もいくつも手掛けています。

解体における注意点

解体の注意点

解体と一言にいっても、ただ壊せばよいというわけではありません。

実際の現場の写真を見て頂いてお分かりのように、人通りの多い通りに面した建物を解体するにあたっては、周囲を封鎖したり、営業停止するわけにはいきません。ビルを壊しているすぐ横に人がいる状態でも、すぐ横に鉄道が走っていても、当然のように日常生活を確保しながら迅速に解体作業を行う事が求められる仕事なのです。
そんな芸術ともいえる解体の現場を紹介していきます。

今回は、解体の現場を紹介するにあたり、マルコー商会より解体作業のCG動画をお借りしてきました。この動画は、お客さまにどのような手順で解体を行っていくか説明するときに使用しているCG動画です。人生で何度も解体を経験する人は少ないので、そんなお客さまの不安をCG動画で分かりやすく説明し解消していく工夫を行っているところにも、解体作業へのこだわりが感じられます。

解体ポイント(下準備)

防音パネルの設置と内装の撤去

解体下準備

まずは、振動・騒音・粉塵を防ぐために、枠組み足場、防音パネルで全面を囲い込み、風で飛ばされないようにしっかり取り付けます。同時に、建物内部の内装材撤去を始め、効率的な作業を行っています。
序盤でいきなりですが、この内装撤去こそが、解体の最初のポイント

私のイメージでは、そのまま建物を解体していくものだと思っていましたが、内装材と建物を分けて解体することでできる限り解体から出たゴミをリサイクルできるように取り組んでいるようです。

解体下準備2

防音パネルで囲われた部分の外側を見ると、青い部分が見えます。これは落下物が人に当たらないようにするための防護柵(アサガオ)で、万が一に対しての備えで街を行き来する人たちへの細心の注意を払っています。

その他、下準備の段階で床に開口を作ります。各階の床に穴を開け、解体時に出る廃材を下まで落とすために開口します。建物が崩れないよう緻密な計算の上、大胆にも建物の床に穴を開けていくのです。

サポートの取り付け

階上解体の場合には建物を補強するサポートをとりつける必要があります。知らなかったのですが、建物は最上階からコツコツと壊していきます。そのため、重機を建物の上に乗せて作業を行えるように、補強作業をしています。ある現場では、壊す前ために補強用の柱を実に2,600本以上立てる作業から始まることもあります!

階上解体サポート

重機の出番

解体作業_重機

ここまでの準備を経て、いよいよ重機での解体作業が開始されます。数台の重機を使って、最上階から徐々に解体を行います。
繁華街に突如現れる重機は、夜中にクレーンを使って屋上に上げます。重機の重さは実に15トン以上!!
しかし、先ほどのサポートをしっかりと行っているため、床面が崩れる事なく安全が保たれています。

壁面の解体

壁面の解体

まず、梁の部分をかみ砕き、次に倒しやすくするよう柱の下の部分を砕き、前に少し倒します。

その後は、隣の鉄筋を足場に乗り、そこから酸素バーナーで切って壁を倒します。

壁を倒した後に足場をばらし、こうした作業を繰り返し行うことで徐々に建物が低くなっていきます。
作業の時、粉塵が出るため水をしっかりとまき、粉塵を抑えるようにしています。
この工程を繰り返し、下までの解体作業を進めていきます。

ガレキの処理

解体_瓦礫の処理

こうして解体を進めると、ガレキが大量に生じます。高層で生じたガレキをどのように取り扱うのかというと、まず、重機が下に降りるためのスロープとして利用します。
現場にある資源の有効利用と効率的な解体工事のための工夫がなされているわけですね。そして、ガレキは先ほど紹介した床に作った穴から地上に落として、現場から搬出していきます。

解体瓦礫の処理2

実際の解体現場周辺の様子

実際にビルがひしめき合う東京でマルコー商会がてがける解体現場の前まで行ってみました。しっかりと周りが囲われており、人々はいつもの通り往来を続けています。この日は信号機が大きく揺れ動くほど強い風が吹く渋谷駅前の様子でしたが、粉塵もなく完璧に日常の風景に溶け込んでいました。

工事現場の中の様子は、普段見る事は出来ませんが、我々の見えない所で色々な工夫が施されているのですね。

東京のビル街

海外の爆破による大型施設の解体がスゴイ迫力だと、動画を見たことがありますが、
今回の解体現場を教えていただいたことで、本当にスゴイ技術は誰にも知られずに日常の街中で綺麗に壊すことであり、その技術はまさに芸術だと感じました。

また、マルコー商会では解体後のことも考え、解体から出てくるゴミを自社の工場でリサイクルし環境に負荷をかけないように考えられた処理を行っています。

新リサイクルセンター_マルコー商会

建設中の新リサイクルセンター

その取り組みの一つとして現在、豊橋市内に将来に向けた大型リサイクルセンターを建設しております。これにより、街づくりを影から支える体制を一層強固なものにしていこうと考えております。

解体のみならず、解体の現場から出たものにも最後まで責任を持って処理を行う。時代に求められているリサイクルを、さらに進化させる会社が豊橋にありました。

新リサイクルセンター完成図_マルコー商会

完成予想図

◆マルコー商会企業ページ◆

【会社概要】

名称 株式会社マルコー商会
代表 鈴木真理子
住所 愛知県豊橋市神ノ輪町20-2
電話 0532-48-3718
HP https://www.maruko18.co.jp/
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