攻めの経営相談スタートアップガレージ

「SNSで集客したいけど、SNSを運用するセンスもヒマもない」

「新しい事業を考えているけれど、社内には相談できる人がいない」

「ホームページや採用、組織づくりまで手が回らない……」

事業を始めたばかりの人や小さな会社にとって、こうした悩みは珍しくありません。

とはいえ、ひとつひとつの悩みに対して詳しい人を雇ったり、専門会社にまとまった金額で発注したりするのは、少しハードルが高いものです。

そんなときの選択肢となるのが、会社員などが持つ経験や専門スキルを、プロジェクト単位で借りる「副業・兼業人材」や「プロボノ人材」の活用です。

2026年7月31日、一般社団法人東三河新事業振興協会が運営する創業支援施設「Startup Garage」(2026年6月30日までは株式会社サイエンス・クリエイトが運営)で、愛知県プロフェッショナル人材戦略拠点による「攻めの経営相談(令和の人材活用術)」が開催されました。営業強化やDX、新規事業などの課題に合わせて、必要な人材の整理からマッチング、補助金の活用まで相談できる個別相談会です。

当日の様子を取材し、マネージャーの元岡さんにお話を聞いてきました。

攻めの経営相談

「その道に詳しい人」の力を借りる、新しい人材活用

今回、相談を担当したのは、愛知県プロフェッショナル人材戦略拠点の元岡征志さんです。

愛知県プロフェッショナル人材戦略拠点は、企業が抱えている課題を整理し、その解決に必要な経験やスキルを持った人材との出会いを支援しています。

これまでの人材活用といえば、専門性の高い人を正社員として採用したり、大企業から出向してもらったりする方法が中心でした。

しかし、企業の規模や仕事の進め方、期待する成果などが合わず、うまくいかないケースも少なくなかったといいます。

そこで活用が広がっているのが、副業・兼業という形です。

会社を辞めて転職してもらうのではなく、現在の仕事を続けながら、一定期間、特定のプロジェクトに参加してもらいます。

正社員を一人採用するほどではないけれど、経験者の力を借りたい。そんな企業や個人事業主にも利用しやすい仕組みになっています。

攻めの経営相談_元岡征志

相談を受ける元岡征志さん

外部委託との違いは、「一緒に取り組む」こと

ホームページ制作やデザイン、マーケティングなどを外部の会社へ依頼する方法は、これまでもありました。

副業人材の活用が一般的な外注と異なるのは、成果物だけを納品してもらうのではなく、自社のメンバーと一緒に課題解決に取り組むことです。

—-元岡さん

「外注の場合、完成したものは受け取れても、制作の過程やノウハウまでは社内に残らないことがあります。副業人材は社内の人と一緒に進めるので、社員の知識やリテラシーが上がり、将来的な内製化につながるケースもあります」

例えば、次のような相談が考えられます。

  • WebやSNSを活用して集客を強化したい
  • 自社に合った採用戦略をつくりたい
  • 人事評価制度や就業ルールを整えたい
  • 新しい商品やサービスを事業化したい
  • 業務のデジタル化やDXを進めたい

リモートで支援を受けることもできるため、関東圏など地域外の人材とのマッチングも多いそうです。

愛知県プロフェッショナル人材戦略拠点では、企業が解決したい課題の整理から、必要な人物像の設定、マッチング方法の検討、副業人材活用時の補助金の案内まで一気通貫で支援しています。

—元岡さん

「何を頼めばいいのか、まだはっきり決まっていなくても大丈夫です。どの業務に外部人材を活用できそうか、棚卸しするところから一緒に考えます」

攻めの経営相談_オンライン打合せ

プロボノ人材との出会いで、考えが整理された

実際にこの仕組みを活用したのが、豊橋市に拠点を置くNPO法人日本乗馬普及協会の代表・戸苅宏元さんです。

日本乗馬普及協会は、引退した競走馬の新しい活躍の場を広げるため、乗馬の普及や馬術部への支援などに取り組んでいます。

戸苅さんがプロボノ人材と一緒に検討したのは、大学の馬術部とスポンサー企業をつなぐ仕組みです。

「企業に馬術部のスポンサーになってもらいたい。でも、企業に対してどのように提案すれば興味を持ってもらえるのか分からない」という課題がありました。

そこでマッチングしたのが、東京の企業で働く3人のプロボノ人材です。それぞれ異なる会社や業界で働きながら、動物や社会貢献に関心を持つメンバーが集まりました。

2~3か月の間に4、5回ほどディスカッションを行い、戸苅さんの頭の中にあったアイデアや課題を一緒に整理していきました。

—戸苅さん

「いろいろな立場の人から意見を聞くことで、自分の考えを整理できました。実際に大学まで来て、現場の話も親身になって聞いてくれたことが印象に残っています」

プログラムが終わった後も交流は続き、現在も相談に乗ってもらったり、事業の行方を気にかけてもらったりしているそうです。

単に仕事を依頼する相手ではなく、一緒に事業を考えてくれる仲間との出会いにもつながりました。

攻めの経営相談乗馬

起業したばかりの人にも、活用できる可能性

副業・兼業人材の活用というと、ある程度規模の大きな企業向けの制度に感じるかもしれません。

しかし、実際には、これから事業を始めたい人や、小規模な会社、個人事業主にも活用できる可能性があります。

元岡さんは、Startup Garageで相談会を開催する理由について、次のように話します。

「事業のステージを上げていくためには、“ヒト・モノ・カネ”をそろえていく必要があります。資金や知的財産、経営について相談できる窓口はありますが、事業を一緒に進める“ヒト”について相談できる場所は、意外と多くありません」

Startup Garageには、すでに事業を行っている人だけでなく、「いつか起業してみたい」「自分のアイデアを形にしたい」と考えている人も集まります。

そうした人が次の一歩を踏み出すための“武器”の一つとして、副業・兼業人材やプロボノ人材とのマッチングを活用してほしいといいます。

2026年度は活用費用の補助制度も

2026年度は、一定の条件を満たす愛知県内の中小企業や個人事業主を対象に、副業・兼業人材へ支払う報酬や紹介手数料などの一部を補助する制度も用意されています。

補助率は対象経費の10分の8以内、上限は50万円です。初めて愛知県プロフェッショナル人材戦略拠点を通じて副業・兼業人材を活用することなどが条件となり、予算がなくなり次第終了します。

利用を検討している場合は、まず愛知県プロフェッショナル人材戦略拠点へ相談し、対象条件やスケジュールを確認しましょう。

「まだ課題がまとまっていない」という段階でも大丈夫

攻めの経営相談スタートアップガレージ

Startup Garageでは、今後も愛知県プロフェッショナル人材戦略拠点と連携し、同様の相談機会を定期的に設けていく予定です。

「売上を伸ばしたいけれど、方法が分からない」

「集客や採用について相談したい」

「一緒に事業を広げてくれる仲間と出会いたい」

そんな漠然とした悩みでも、相談しながら課題を整理していくことができます。

自分一人や社内のメンバーだけでは解決できない課題も、少し違う経験や専門性を持った人が加わることで、突破口が見つかるかもしれません。

今後の開催情報は、Startup GarageのWebサイトやSNSで案内されます。

「まだ相談するほどではないかも」と思っている人も、まずは気軽にStartup Garageを訪れてみてはいかがでしょうか。