新卒入社後1〜3年で転職に挑む人のなかには転職できるのか不安に感じている方もいるのではないでしょうか。いわゆる第二新卒で転職を成功させるためには、企業の考え方を理解する必要があります。
そこでこの記事では、企業が第二新卒を採用する理由と懸念する材料を紹介したうえで、第二新卒が転職するメリットとデメリットを解説します。最後まで読んでいただければ、押さえるべきポイントを理解できて、第二新卒の転職を成功させられるでしょう。
目次
第二新卒とは?
第二新卒とは、学校を卒業後に新卒として入社した後、既に退職しているかあるいは在職しながら転職活動をしている若手ビジネスパーソンのことです。一般的に入社後およそ3年以内を指すため、年齢は高校卒なら21歳前後まで、4年制大学卒なら25歳前後までになります。
ただし、第二新卒の明確な定義はなく、入社後1年から3年程度で転職活動している20代前半の若手を第二新卒と呼ぶケースが多いです。
新卒や既卒との違い
「第二新卒」と似た言葉に「新卒」や「既卒」がありますが、それぞれの言葉には以下のような違いがあります。
意味 | 学校を卒業しているか | 社会人経験の有無 | |
---|---|---|---|
第二新卒 | 新卒で入社後1~3年働いている人 | 既にしている | あり |
新卒 | 3月に学校を卒業して、初めて働く人 | する予定 | なし |
既卒 | 学校を卒業後、働いたことがない人 | 既にしている | なし |
学校を卒業しているか、あるいは社会人経験があるかによって呼び方が異なります。特に混同しやすい第二新卒と既卒は、社会人経験がある場合を第二新卒、ない場合を既卒と呼びます。
第二新卒は新卒採用か中途採用か?
第二新卒として転職活動をする際に、新卒採用と中途採用のどちらで応募するかを迷うことは多いでしょう。
どちらで応募するのがよいか検討するために、新卒採用と中途採用の違いを確認します。
新卒採用 | 学校を卒業して初めて社会人として働く人を対象とした採用 |
---|---|
中途採用 | 学校を卒業後に一度でも社会人として働いた経験のある人を対象とした採用 |
上記の定義にあてはめると、第二新卒は中途採用です。ただし、新卒採用でも第二新卒が応募対象に含まれる求人もあるため、はっきりとした区別はないといえます。
新卒採用だからと諦めず、新卒採用と中途採用のどちらからも幅広く求人を探しましょう。
企業が第二新卒を採用する理由
企業は第二新卒を積極的に採用する傾向があります。マイナビが2023年に実施した調査結果によると、20〜25歳の中途採用を行う予定のある企業は調査対象企業の84.2%にのぼりました。
企業が第二新卒を積極的に採用するのには、以下のような理由があります。
- 社会人としてのマナーを身につけている
- 柔軟性やポテンシャルがある
- 意欲があり積極的である
第二新卒は既に社会人として働いた経験があるため、最低限のマナーや知識を身につけており、新卒採用のように社会人のマナーを一から教育する手間や費用がかかりません。
また、新しい環境を受け入れられる柔軟性や積極的に知識や技術を吸収するポテンシャルを備えており、新しい仕事に早く対応し実績をあげることが可能です。
さらに、第二新卒は転職に対して積極的であり、新しい仕事に意欲的に取り組めると期待できます。
以上のような理由から、企業は第二新卒の採用に積極的であると考えられます。
企業が第二新卒で懸念する理由
一方で、企業が第二新卒の採用を敬遠するケースもあります。第二新卒に対する懸念には、主に以下のような理由があげられます。
- 早期退職の心配がある
- 社会人経験が少ない
- 教育体制が整っていない
第二新卒は、新卒で入社してまもなく退職しているため、仮に採用してもまた退職してしまうのではないかと心配するケースは多いです。
早期退職に対する企業の不安を払拭するには、長期的な自分のキャリアプランにいかに企業が合っているかをアピールしましょう。さらに、新卒でうまくいかなかった反省点を次の職場で活かしていく姿勢を見せることが大切です。
また、第二新卒は社会人経験があるものの、知識やスキルが少ないために即戦力にはならず、新卒採用と同じように知識やスキルを身につけるための教育や指導が必要です。そのため、即戦力を必要とする企業は第二新卒に消極的な傾向があります。
第二新卒を採用する意欲はあっても、教育体制が整っていないため、経験の少ない第二新卒を丁寧に教育するのが難しく、採用を見送る企業もあります。
自分から意欲的に知識や技術を吸収し、上司や先輩に積極的に働きかけて仕事に取り組んでいけると伝えられれば、第二新卒に消極的な企業にもアピールできるでしょう。
第二新卒のメリット
第二新卒として転職する場合、新卒の採用では得られない、以下のようなメリットがあります。
- 新卒では難しかった企業へチャレンジできる
- 異業種へ転職できる
- 自分の適性を見極められる
- 通年で転職活動を行える
これらのメリットをそれぞれ詳しく解説します。
新卒では難しかった企業へチャレンジできる
第二新卒は、新卒時に入社が難しかった企業にチャレンジできるチャンスです。
短い期間だとしても社会人を経験しているからこそ、新卒とは違う視点から自分をアピールできます。また、前から希望していた職業に就きたいという熱意を採用担当者に伝えられれば、効果的な志望理由になるでしょう。
第二新卒だからこそ新卒時に入社が叶わなかった企業へチャレンジできるのは、新卒や既卒には無いメリットです。
異業種へ転職できる
第二新卒は、異業種にチャレンジしやすい年齢です。20代前半ならば、未経験の業務でも柔軟に適応できて、新しい知識や業務を吸収していけるでしょう。一歩ずつスキルアップしていく時間も十分にあります。
社会人を経験したからこそ、自分がやりたかったことを認識できて、チャレンジするチャンスを得られます。知らない業種に思い切って飛び込むことができるのも、第二新卒のメリットです。
自分の適性を見極められる
第二新卒は、社会人の経験を通して自分の適性を見極められるため、自分に合った転職先を選ぶことが可能です。
新卒で早期に退職した経験から、自分に何が合うのか合わないかを認識できれば、自分に合った職種や就業形態などを選べるでしょう。
自分の適正に合った転職先を選択できれば、入社後のミスマッチを防げて、再転職のリスクを避けられます。
通年で転職活動を行える
第二新卒は、新卒と違って一年中転職活動を行えます。新卒では時期を逃すと希望する企業の選考を受けられない可能性もありますが、第二新卒では求人があればいつでも志望できます。
また、新卒のように採用活動の期限がないため、自分で納得できる転職先が見つかるまで、じっくりと探すことも可能です。
現職での引き継ぎや求人の多さなどタイミングを見計らう必要はありますが、一年中どの時期でも転職活動ができるのも第二新卒のメリットです。
第二新卒のデメリット
第二新卒には、メリットだけでなくデメリットもあります。主なデメリットは以下のとおりです。
- 社会人経験があると見なされる
- 即戦力でないためキャリアアップにならない場合がある
前もって対策を講じておくためにも、デメリットを把握しておくことは大切です。
社会人経験があると見なされる
第二新卒は、社会人として働いた経験があるため、最低限のマナーや知識を身につけていると見なされます。
しかし、働いた期間は短く経験が浅いため、企業が求める知識や経験が身についていないことも少なくありません。「これくらいはできるだろう」と思われて、一から仕事を教えてもらえないケースもあります。
特に1年未満で退職した場合は、マナーや知識が不十分な可能性もあり、業務において求められる能力と実力との間にギャップが生じ、期待に応えられない恐れがあります。
応募時や面接時など、入社する前に自分の経験について企業側としっかりすり合わせておくことにより、入社後のミスマッチを防げるでしょう。入社後は、わからないことは積極的に質問し、自分から上司や同僚に話しかけて仕事を覚えていこうという意識が必要です。
即戦力でないためキャリアアップにならない場合がある
第二新卒は、社会人になってまだ1〜3年程度しか経っていないため、業務の経験も知識も足りていない場合が多いです。そのため、転職後も即戦力にはなれず、実績を積むには時間がかかるでしょう。
実績がないと昇給や昇格などステップアップは望めず、思うようにキャリアアップできない可能性もあります。急いでキャリアアップしようと意気込み過ぎないように、中長期的な視点で、自分のキャリアアップを考える必要があります。
第二新卒の転職活動の期間は?
第二新卒は、短い期間で転職活動を終えているケースが多いです。
マイナビが2023年に実施した調査によると、20代男性の約83%と20代女性の約87%が、現在勤務している企業に応募してから内定が出るまでの期間は2ヵ月以内となっています。また、20代男性の約71%と20代女性の約63%が、転職活動を意識して求人情報を調べ始めてから現在勤務している企業に応募するまでの期間は2ヵ月以内です。つまり、転職を意識してから遅くても4ヵ月以内に、希望の企業から内定を得ていることがわかります。
第二新卒は、長期間でじっくりと転職先を探すより、短期間で集中して行う傾向があります。転職活動を短期間で終わらせるためには、前もって対策を考えておくことも大切です。
第二新卒の転職活動を成功させるポイント
第二新卒の転職は、ポイントを押さえることによりスムーズに進められます。失敗しないためのポイントは以下のとおりです。
- 転職理由を明確にする
- アピールポイントを明確にする
ここからは、ひとつずつ詳しく解説します。
転職理由を明確にする
漠然と転職するのではなく、今後変えたいことや次の職場に求めていることを明確することが大切です。転職により何を得たいのかが明確になれば、求めている企業や職場をイメージしやすく、転職先を決める優先順位もはっきりします。
自分の希望を軸に転職活動をすれば、会社選びでミスマッチが起きにくくなるでしょう。
アピールポイントを明確にする
アピールポイントは企業に合わせて絞り込みましょう。アピールポイントをあれもこれもと盛り込みすぎてしまうと、的外れな内容を伝えてしまうなど、自分の良さが伝わらない可能性があります。
アピールポイントの多さより、企業に合う人材であることをアピールする方が大切です。企業が第二新卒に求めている条件を把握し、入社後にいかに活躍できるかを伝えましょう。採用担当者の印象に残りやすくなるはずです。
まとめ
第二新卒とは、新卒で入社した後1〜3年で転職活動をしている若手のビジネスパーソンのことです。
企業は第二新卒を積極的に採用する傾向がありますが、一方で第二新卒の採用を懸念するケースも少なくありません。そのため、第二新卒の転職を成功させるには、新卒入社で早期退職した経験を新しい職場でいかに活かすかを伝えることが大切です。
新卒入社で認識できた自分の適性を見極め、新しい職場に求めることや今後変えていきたいことを明確にしましょう。優先順位の高い条件から企業を選べば、中長期的に働ける自分に合った職場に転職できるでしょう。
また、第二新卒での転職時には資格があると心強いです。
下記サイトで詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
サイト名:しごとのいろは
第二新卒に資格があると有利?おすすめの資格や転職を成功させるコツを紹介!
最後に、役に立つ記事をご紹介!
人事プロフェッショナルが執筆している転職参謀では、第二新卒の求職者が未経験でも転職ができるかについて、プロが回答しています。
ぜひ参考にしてみてください。
第二新卒は未経験でも転職できる?人事プロが本音で回答(転職参謀)|株式会社Affair