
起業や新規事業を進めるうえで重要となる「プロダクト・マーケット・フィット(PMF)」。
「このサービスは本当に必要とされている?」
「想定しているターゲットに、この商品の魅力は伝わっている?」
そんな疑問を、実際のターゲットとなる人たちの声を聞きながら検証できるのが、豊橋市で実施されている「PMFT(プロダクト・マーケット・フィット・豊橋)」です。
今年度も、PMFTを活用して自社の商品やサービスを検証したい事業者を募集します。
この記事では、PMFTの仕組みや利用の流れ、昨年度の事例についてご紹介します。
PMFTとは

PMFTを知るうえで、まず押さえておきたいのが「PMF」です。
PMFとは「Product Market Fit(プロダクト・マーケット・フィット)」の略で、商品やサービスが市場のニーズと合い、顧客から求められている状態を指します。
どれだけ画期的な商品やサービスであっても、実際に利用する人の課題やニーズとずれていれば、なかなか事業の成長にはつながりません。
十分な検証をしないまま広告や人材などに大きな投資をすると、想定していたほど顧客を獲得できず、資金や人的リソースを消耗してしまう可能性もあります。
そこで重要になるのが、事業を大きく展開する前に「誰に、どんな価値が求められているのか」を確かめることです。
「PMFT」は、このPMFに「TOYOHASHI」の頭文字である「T」を加えた取り組み。
簡単にいうと、豊橋で起業や新規事業に取り組む人の商品・サービスについて、想定するターゲットに近い人の声を集め、市場との相性を検証するプログラムです。
事業者だけでは気づきにくい課題やニーズを、実際のユーザー候補へのインタビューを通して探っていきます。
こんな方におすすめ!
例えば、こんな悩みを抱えている方に活用いただけます。
- 「アプリをリリースしたものの、思ったように利用者が増えない。ユーザーが本当に求めているものを知りたい」
- 「新しいコンセプトのカフェを始める予定。価格設定や店舗の雰囲気、利用したいシーンなどについて意見を聞きたい」
- 「新商品を販売するオンラインショップを立ち上げたい。商品コンセプトがターゲットに響くか、サイトが使いやすいか確認したい」
まだアイデア段階の事業はもちろん、商品・サービスをすでにリリースしている場合でも利用できます。
「これから形にしていきたい」という段階から、「一度始めてみたものの、思ったような反応が得られていない」という段階まで、幅広いフェーズで活用できるのがPMFTの特徴です。
PMFTはどのように進む?

PMFTでは、事業者へのヒアリングからモニター募集、グループインタビュー、フィードバックまで、一連の流れをサポートします。
①事業内容や検証したいことを整理
まずは1時間程度の打ち合わせを実施します。
現在検討している事業や商品・サービスの内容、抱えている課題などをヒアリング。
そのうえで、
「どんなことを確かめたいのか」
「どんな人から意見を聞きたいのか」
といった調査の目的や対象者の条件を整理していきます。
②ターゲットに近いモニターを募集
調査内容が決まったら、地元求人サイトTASUKIやSNSなどを活用してモニターを募集します。
募集期間の目安は3週間~1か月程度。
応募が多数あった場合は、想定している顧客像により近い方を選定し、最終的に3~5名程度のモニターに参加していただきます。
③インタビュー内容を設計
モニターが決まったら、再度1時間程度の打ち合わせを行います。
PMFTを通して明らかにしたいことを整理したうえで、当日のグループインタビューでどんな質問をするのか、どのようなワークを行うのかを組み立てていきます。
ただ意見を聞くだけではなく、今後の商品・サービス改善につながる情報を得られるよう、調査内容を設計します。
④グループインタビューを実施
調査当日は、約2時間のグループインタビューやワークを実施します。
事業者本人が直接質問すると、参加者が気を遣って本音を言いにくくなってしまうことがあります。
そのためPMFTでは、事業担当者がファシリテーターとなってインタビューを進行します。
事業者は別室からオンライン中継でインタビューの様子を確認することが可能です。
「この部分をもう少し詳しく聞いてほしい」
「今の回答について追加で質問してほしい」
といった要望があれば、テキストメッセージなどを通じてファシリテーターへ伝えることもできます。
直接その場に入らないからこそ、モニターから率直な意見を引き出しやすいのもPMFTの特徴です。
⑤調査結果をフィードバック
グループインタビュー終了後は、調査結果をまとめたレポートをお渡しします。
さらに1時間程度の打ち合わせを行い、モニターから得られた意見をもとに、
「今後どこを見直すべきか」
「どの方向で事業を進めていくか」
などについて整理していきます。
調査して終わりではなく、その後の商品・サービス改善につなげるところまでサポートします。
期間・費用について
相談から事前ヒアリング、モニター募集、グループインタビュー、フィードバックまで、全体でおおよそ2か月程度を予定しています。
PMFTの利用自体に費用負担はありません。
ただし、モニターの方には調査当日にStartup Garageへお越しいただき、約2時間のグループインタビューに参加していただくため、謝金をご用意いただくことをおすすめしています。
また、開発中・販売予定の商品がある場合には、商品をモニターへプレゼントする方法も喜ばれます。
昨年度は「フェムキャンドル」の商品開発を調査!

「実際にPMFTを利用すると、どんなことが分かるの?」と気になる方もいるのではないでしょうか。
昨年度のPMFTでは、キャンドル作家のChanter marie(シャンテ・マリー)・祐羽(ゆう)さんが開発する「フェムキャンドル」について調査を行いました。
祐羽さんは、「自分を大切にする時間」をテーマに、女性が心地よくリセットできる時間を過ごせる商品づくりに取り組んでいます。
今回調査したフェムキャンドルも、「忙しい毎日の中で、自分をいたわる時間をつくってほしい」という想いから企画された商品です。
30~60代の女性4名にグループインタビュー
調査では、地元求人サイトを通じて30~60代の女性モニターを募集。
9名の応募者の中から、年齢やライフスタイルなどが異なる4名に参加していただき、2025年5月にStartup Garageで約2時間のグループインタビューを実施しました。
まずは普段どんなときに疲れやストレスを感じるのか、どんな方法でリラックスしているのかといった日常の「癒し」に関するニーズをヒアリング。
さらに、フェムキャンドルのチラシを見てもらい、商品コンセプトやキャッチコピーへの印象を確認した後、実際の商品を手に取ってもらいながら、香りやデザイン、価格、使ってみたいシーンなどについて率直な意見を聞きました。
好意的な声だけじゃない。リアルな声から見えた課題
調査では、参加者から共通して「自分を癒す時間がほしい」「休日でもなかなか疲れが取れない」という声が聞かれ、「自分を大切にする時間を届けたい」というフェムキャンドルのコンセプトには、多くの共感が集まりました。
天然素材を使用していることや、ナチュラルでやさしい商品の雰囲気についても好意的な反応が得られました。
一方、実際の商品を見たり、香りを確かめたりしたことで、事業者側だけでは気づきにくいポイントも見えてきました。
- 「やさしい香り」だけでは、実際にどんな香りなのかイメージしにくい
- 想像していたより香りが控えめだった
- 価格に納得してもらうためには、素材や製法など商品の価値をさらに伝える必要がある
- キャンドルを普段使わない人にとっては、「いつ、どう使えばいいのか」が分かりにくい
など、商品そのものだけでなく、伝え方や価格設定、利用シーンについても具体的な改善ポイントが挙がりました。
ターゲットの声から見つかった、新たな使用シーン
今回の調査で特に印象的だったのが、参加者から「お風呂で使ってみたい」という声が多く挙がったことです。
「少し暗い空間なのでキャンドルの灯りを楽しみやすい」「水があるので火を使う不安が少ない」「お風呂から出るタイミングで消せるので、消し忘れの心配が少ない」といった理由から、入浴時の利用が好意的に受け止められました。
こうした事業者側では想定していなかった商品の使われ方や、新たな訴求方法のヒントが見つかるのも、実際のターゲットに話を聞くPMFTならではです。
また、調査後には実際に商品を持ち帰って使用してもらい、アンケートも実施。「灯す数を自分で決められるのが面白い」「蓋があり火を消しやすい」といった評価が得られた一方で、「もう少し香りを感じられるとうれしい」といった改善につながる声も集まりました。
このようにPMFTでは、単に「商品が好きか・嫌いか」を聞くだけではなく、ターゲットがどこに魅力を感じ、どこで購入や利用をためらうのかを掘り下げ、今後の商品・サービス改善につながる材料を集めていきます。
あなたのビジネスも、ターゲットの声を聞いてみませんか?

自分たちでは魅力だと思っていた部分が、実はうまく伝わっていなかったり、反対に思いがけない部分が評価されたりすることもあります。
PMFTでは、実際のターゲットに近い人の声を聞きながら、商品・サービスの課題や改善のヒントを見つけることができます。
「ターゲットが本当に合っているか確かめたい」「商品コンセプトや価格について意見を聞きたい」「リリース前に反応を見てみたい」という方は、ぜひPMFT 2026を活用してみてください。
詳細・お問い合わせは、Startup Garageのスタッフまで。