マイキャリアパス

こんにちは。キャリコン社労士の村井真子です。 今回はじわじわと認知度が高まっているキャリアパスと、それを活かした自分のキャリアの作り方についてご説明します。

そもそも、「キャリアパス」とは?

最近では求人サイト・転職サイト等でも項目として表示されるようになってきたキャリアパス。簡単にご説明しますと、キャリアパスとは「その組織にとって必要な人材・能力」と「それに応じた処遇」を示したものです。

例えば私が顧問先や関与先の企業の方と作るキャリアパスには、以下のような内容が盛り込まれています。

  • イメージされる人材像
  • 重要視されるコンピテンシー(行動特性)
  • 獲得を期待するスキル・技能
  • 想定年収
  • 想定社歴

キャリアパスの内容や項目は作成者や企業ごとにさまざまですが、おおよそこういった項目について、入社1年目、3年目、5年目…という年次であったり、主任・係長・課長・部長といったような役職ごとに明記されているものが一般的です。

これを見ればその企業における将来像が描きやすくなりますので、最近の求人では企業に対しキャリアパスの有無をチェックさせたり、求人者に対して明示するように求めることも多くなってきました。

キャリアパスとは

キャリアパスはあくまで目安ではありますが、企業にとってはこのような目安を示すというだけでも一定の強制力が働きます。キャリアパスはいわば企業と社員との約束ごと。その約束を果たすため、企業は適正な人事評価制度・賃金テーブル・昇進制度を運用することが要求されるというわけです。

キャリアパスの必要性や企業側におけるキャリアパスの整備のメリットはこちらのnoteをご参考ください。

キャリアパスのなかには、会社が求めている人材像がはっきりと現れます。

例えば、ある会社では個人の売り上げがどんなに大きくても、チームでの仕事で果たす役割が小さい人は評価が一定の場所で打ち止めになります。また、リーダーシップがなくとも、リーダーシップのある人のサポートが非常にうまい人という人材を評価している企業もあります。

これはそれぞれの企業が「どのようなことを大事にしているか」という観点から異なってくるものです。それだけに、そこで働いている社員一人一人がいかにそのキャリアパスに描かれた人物に自分を重ねることができるかという点が、その会社において出世できるか否かという指標になるのです。

キャリアパスを自分でつくる

では、これを自分自身で組み立ててみたらどうでしょうか。なりたい自分を具体的にイメージする方法でもいいですし、自分が目標とする人物を思い浮かべて作るのでも構いません。

例えば私が研修で参加者と作る場合は今の自分、3年後の自分、5年後の自分の生活を考えて頂くことからはじめます。イメージが作れない場合は、会社だけではなくて身近な友達、兄姉など少し自分より年上で尊敬できる人がなぜ尊敬できるのか、どのような価値基準をもっているか、どのようにそれを活かしているかを考えます。

キャリアパスとは2

かつて、SF作家のジュール・ヴェルヌは「人間が想像することは、人間が必ず実現できる」と語ったとされます。キャリアにも同じことが言えます。まずは「私はこうなりたい」という理想像を持つことで、そこに向かって努力することができるようになるのです。

ここで注意していただきたいのは、この理想像はイコール企業内の出世を意味しないということです。専業主婦として尊敬できる女性がいるのならその方を目標にしてもいいし、いくつもの仕事を掛け持ちしているフリーランスの先輩を目標にしてもいい。あるいは50歳で地方移住した元上司を想像してもかまいません。もちろん、企業において重きを置かれている素敵な人を目標にしてもOKです。

もっとも、あまりに実現不可能な目標を立ててしまうと挑戦する気力がそがれますので、3年後など直近の目標は今の自分が少し背伸びをすれば真似できるような範囲で考えるべきでしょう。大きな目標は10年後などに設定し、そこから逆算して今の自分と目標とのギャップを埋めるにはどうしたらいいかを考えていきます。もちろん生活にはお金がかかりますから、どうやったら自分の望む給与を得られるのかという点も大事なポイントになってきます。

いずれにしても、目標たる人物がどのような行動をしているか、どのように働いているか、どんな価値観で生活しているかをまずは考えてみる。
そこから浮かび上がるのは、自分の行動原理、大切にしている価値観やそれに応じた働き方です。働くにしても、優先順位のいちばんが給与なのか、それとも残業のない職場なのか、テレワークが必須なのか、自分が何を大切にして働きたいのかを明確にすることによって、日々のちいさな選択のひとつひとつが自信をもって行えるようになるのです。

もちろん、目標と現実のギャップを埋めるのは難しい課題です。ですが、負荷のないところに成長がないこともまた事実。すこしずつでも、ギャップを埋める努力をすることが自分を成長させてくれるのです。

まとめ―自分で働き方をデザインする

自分が3年後、どんなふうに生活したいか。どんなふうになりたいか。時間は目標をもっても持たなくても過ぎていきます。生活に追われている方こそ、ぜひ一度マイ・キャリアパスを作る時間を持っていただけたらと思います。そうすることによって、自分がどの方向に向かって日々を送ればいいかが明確になるからです。

現代は働き方、ライフスタイルにも多様な選択肢がある時代。その判断の一つに、このような方法があることを知っていただけたらと思います。