
2026年3月14日・15日の2日間、豊橋の起業支援拠点・Startup Garageにて、実践型ワークショップ「モックアップソン2026」が開催されました。
「アイデアはある。でも、どう形にすればいいか分からない」
そんな“あと一歩”で止まっている状態を、一気に前に進めるのがこのイベント。
今回は、すでにビジネスアイデアを持つ参加者が集まり、より実践的で密度の高い2日間となりました。
モックアップソンの特徴は、単なるブラッシュアップにとどまらず、ユーザー検証を行い、“実際に試せる形”まで落とし込むことにあります。
アイデアがどのように磨かれ、どこまで形になったのか――
そのプロセスを、当日の様子とともにご紹介します。
モックアップソンってどんなイベント?

モックアップソンは、アイデアを「考えるだけ」で終わらせず、“検証できる形”まで一気に進める実践型ワークショップです。
プロダクト開発の初期段階で重要になる、MVP(最小限の実用製品)の設計と検証を、2日間で集中的に行います。
具体的には、次のようなプロセスを通して進めていきます。
- ターゲットや課題の整理
- 仮説設計
- ユーザーストーリーの設定
- モックアップ制作
といったプロセスを通して、「本当に求められているのか」を確かめられる(⁼価値検証)、最小限のコストでできるサービスプロダクトを考え、形にしていきます。
「アイデアはあるけど、どう進めればいいか分からない」そんな人が、「考えるだけ」から、実装の最初の一歩踏み出すためのプログラムです。
DAY1:プランからMVPへ
講師:種田 憲人氏
種田 憲人(オイダ ノリヒト)
株式会社パワーウェーブ 代表取締役CEO
文部科学省 アントレプレナーシップ推進大使
株式会社タスキ 取締役
株式会社パワーウェーブ 代表取締役CEOの種田憲人氏が登壇。
2026年2月には9.1億円のシリーズA資金調達を発表するなど、最前線で事業を推進する起業家です。
三井住友銀行での勤務を経て株式会社タスキを創業し、現在は豊橋技術科学大学発ベンチャーである株式会社パワーウェーブの代表取締役CEOとして、ワイヤレス給電技術の社会実装に取り組んでいます。
リアルな事業開発の経験をもとに、実践的な視点でプログラムが進行しました。
課題と仮説を言語化する
午前は、自分のアイデアを見つめ直すところからスタート。
- 誰の課題なのか
- どんなシーンで困っているのか
- それは本当に解決すべき課題なのか
といった視点で整理しながら、アイデアの“軸”を明確にしていきます。
なんとなく良さそうに見えていたアイデアも、言語化していくことで曖昧な部分が浮き彫りに。
ここで一度立ち止まり、仮説として組み立て直していきました。
ワーク「ペーパープロトタイプの作成」
今回の参加者がいずれもBtoCサービスを想定していたことから、後半ではモックアップ制作に先立ち、「ペーパープロトタイプ」を作成するワークに取り組みました。
※ペーパープロトタイプとは、ウェブサービスやアプリケーションのユーザーインターフェース(UI)を紙に手書きで作成する試作品のこと。
ここでは、いきなりデザインに入るのではなく、「どう伝えるか」を整理するプロセスを段階的に進めていきます。
まずは、前半で深掘りした内容をもとに、「誰に・何を・どのように届けるのか」を改めて明確化。
そのうえで、目的を達成するために必要なページ構成を考え、サイト全体の流れを整理していきます。
さらに、各ページでどんな情報をどう配置するのかを具体的に落とし込み、画面のイメージを“見える形”にしていきました。
こうしたステップを踏むことで、頭の中にあったアイデアが徐々に整理され、翌日の制作にそのままつなげられる状態に。
また、ワーク中には参加者同士で進捗や考えを共有する場面も多く、他の視点を取り入れることで、新たな気づきが生まれている様子も印象的でした。
DAY2:最新AIツールで作るモックと、モックを使ったデモピッチ術で学ぶ
DAY2は、前日の検証結果をもとに、アイデアを“体験できる形”へと落とし込む1日。
いよいよモックアップ制作に入ります。
講師:籔内 龍介氏
籔内 龍介(ヤブウチ リュウスケ)
株式会社Lirem 代表取締役
一般社団法人火-Okoshi 代表理事
NPO法人こえる 理事
2日目は、株式会社Lirem 代表取締役の籔内龍介氏が講師として登壇。
豊橋技術科学大学在学中に起業し、数々のビジネスプランコンテストで受賞。
これまでに300名以上の起業家・社内起業家を支援してきた実績を持ち、現在もスタートアップ支援やコミュニティ運営に携わっています。
実践と支援の両方の視点から、プロダクト制作をサポートしました。
モックアップ制作に向けたインプット
まずは、「なぜモックアップを作るのか」という考え方のインプットからスタート。
DAY2の目的は、AIや各種ツールを活用しながら、システムやWebのモックアップを実際に作り上げること。
これにより、顧客ニーズの検証や事業内容の説明を、より具体的かつ分かりやすく行えるようになります。
籔内氏が特に強調していたのが、「作る前に試す」ことの重要性です。
「1,000万円かけて開発したのに、まったく使われなかった」
そんな失敗は、スタートアップにとって致命的になりかねません。
こうしたリスクを避けるために必要なのが、低コスト・短期間で試作品を作り、検証を繰り返すプロセスです。
ここで鍵となるのが、「MVP(Minimum Viable Product)」という考え方です。
例えば「移動手段を作る」というゴールに対して、いきなり完成された“車”を目指すのではなく、
スケートボード → 自転車 → バイク → 車
といったように、「すぐに作れて、かつ価値を提供できるもの」を段階的に形にしていきます。
完璧を目指すのではなく、“まずは価値を届ける”という発想。
この考え方が、その後のモックアップ制作の土台となりました。
さらに今回は、FigmaやCanvaといったデザインツールに加え、Genspark、Gemini、ChatGPT、NoLang(動画生成)など、最新のAIツールも紹介。
参加者はこれらを組み合わせながら、前日に設計したアイデアを、次々と“見える形”へと落とし込んでいきました。
伝える力を磨く「ピッチ講座」
モックアップが形になってきたところで、次に取り組むのは「どう伝えるか」。
後半は、相手の心を動かすためのピッチ講座が行われました。
まず整理されたのが、「プレゼン」と「ピッチ」の違いです。
プレゼンは「説明するもの」。一方でピッチは、「相手に行動を起こさせるもの」。
この違いを踏まえたうえで、実践的なテクニックが共有されました。
- 1スライド1メッセージ(情報を詰め込みすぎない)
- 数字や単語で印象を残すインパクトスライドを活用する
- 1人に語りかけるように話す
- スライドを“読むもの”にしない
- 相手目線で構成する
- 冒頭は共感、最後は期待で締める
そして何より重要なのが、「いきなりスライドを作らないこと」。
まずは伝えたい内容の骨組みを整理し、ストーリーを設計してからスライドに落とし込む。
この順番を守ることで、伝わり方が大きく変わることが強調されました。
モックアッププレゼン(ピッチ)
午後は、各チームがモックアップと事業スライドをブラッシュアップし、いよいよ成果発表へ。
短い準備時間の中でも、参加者は試行錯誤を重ねながら、「誰に・どんな価値を・どう届けるのか」を言語化し、形にしていきました。
完成したモックアップをもとに行われたピッチでは、単なるアイデアではなく、「実際に使われるイメージ」が伝わる発表が次々と登場。
実際のピッチでは、具体的な社会課題に向き合った多様なアイデアが発表されました。
例えば、農業現場の暑さ対策に着目し、特殊加工を施した遮熱シートを活用したビジネスでは、初期ターゲットとなる農家への訴求ポイントを整理しながら、実際のWebサービスのモックアップまで制作。
また、増加する古民家や庭園遺産の活用に着目し、それらを海外へと再分配するビジネスでは、商流の具体化に加え、ターゲットに向けたSNSを活用した発信設計まで落とし込まれていました。
いずれの発表も、「アイデア」から一歩進み、“実際にどう届けるか”まで具体化されていた点が印象的でした。
モックアップで“試し”、ピッチで“動かす”2日間

参加者からは「具体的にどう事業を進めていくかの方向性が見えた」「事業の全体像を可視化することができた」といった声や、「起業家の方に直接話が聞けて、モチベーションが上がった」といった声も聞かれました。
アイデアを整理するだけでなく、「次に何をすべきか」が明確になったことが、大きな価値となっていたようです。
アイデアを最速で形にし、それを魅力的に伝える力は、これからの事業開発において大きな武器になります。
2日間のモックアップソンを駆け抜けた参加者の皆さんの、今後のさらなる飛躍が楽しみです。
また、Startup Garageでは、起業相談やイベント、セミナーなども随時開催されています。
「一歩踏み出したい」と感じた方は、ぜひStartup Garageを訪れてみてください。
スポット情報
| 運営 | 株式会社サイエンス・クリエイト |
|---|---|
| 営業時間 | (平日)10:00〜20:00(土曜)10:00〜17:00 |
| 定休日 | 日曜・祝日(年末年始など) |
| 電話番号 | 0532-44-1117 |
| 公式サイト | https://startupgarage.jp/ |