一宮工業_溶接技術

『縁の下の力持ち』一宮工業(株)へ潜入!

ここは、豊川市で溶接業を営む、一宮工業(株)の工場内。

溶接特有のバチバチッという音がリズム良く鳴り響き、青白い光が工場内を照らしている。

一宮工業_溶接

一宮工業は、地域の機械メーカーなどから金属部品の製造を受託し、得意とする溶接加工はもちろん、材料の切削、加工、組み立て、塗装まで一貫して業務を行う、いわば『縁の下の力持ち』な企業だ。

お仕事の真っ最中か?と思いきや、今日はいつもとは違う様子。

若い従業員の方が集まり、真ん中でベテラン職人風の男性が話すのを真剣な表情で聞いている。

一宮工業_ものづくりマイスター

実はこの時、一宮工業では「ものづくりマイスター」による技術指導が行われている真っ最中だったのだ。

ものづくりマイスター制度とは?

現在、日本では若者のものづくり離れや技能離れが進み、産業の基礎となる高度な技能を有する技術者の育成が課題となっている。

そんな中、厚生労働省が『若年技能者の技能向上』を目的として開始した事業が、この「ものづくりマイスター制度」である。

優れた技能と経験をもつ「ものづくりマイスター」に認定されたベテラン職人が、中小企業や教育訓練機関の若年者に対して実技指導を行い、技能の承継・育成を行っている。

一宮工業では4年前からこの制度を活用しており、月に1度マイスターを現場に呼び、若い従業員の技術向上を図っている。

【一宮工業で技術指導を行うマイスターをご紹介!】

一宮工業_高須哲夫

高須 哲夫 さん | 「溶接」マイスター

豊田自動織機にて高い溶接技術を習得し、定年後マイスターへ登録。
技能五輪で戦う選手を育てた実績を持つ、大ベテラン。
多くの技術者を育てた功績を称えられ、H20黄綬褒章を授章。

現在(2018年)、御年71歳。
15歳の頃から溶接に携わっているとのことで、その歴なんと56年の大ベテランである。

高須マイスターは、月に1度一宮工業に出向き、若い従業員に溶接技術の指導を行っている。

溶接技術の指導

高須マイスター

高須マイスター

「プロとしての自覚を持った本物の職人を育てたいと考え、マイスターに登録して指導を行っています。
技を身に付ければ、私みたいに70歳を超えてもいろんなところから『来てくれ』『来てくれ』と声がかかります。
職人というものは、それだけ価値のあるもの。
若い人にもぜひ、プロの職人を目指してもらいたいです。」

と、若い技術者たちへの想いを語ってくれた。

指導の様子

指導を受ける従業員のレベルは様々だ。

新卒で一宮工業へ入社し、まだ業務として溶接は行っていない最若手から、基本は身に付いているが更に上を目指している入社5~6年目の従業員まで、毎回5~6人が高須マイスターから溶接技術を教わっている。

溶接技術の指導2

従業員たちは高須マイスターを『先生』と呼び、それぞれのレベルに合わせて出された課題をクリアしていく。

溶接技術の指導3

高須マイスター自ら、お手本を見せてくれるときもある。

大ベテランから少しでも技術を盗もうと、食い入るように見つめる若手従業員。

溶接技術の指導4

高須マイスターは、従業員に対して何度も繰り返し唱えた。

高須マイスター
「強度のある、きちんとしたものを作らないと、それは仕事とは言えない。」

厳しい言葉ながらも、そこには『世の中に必要とされる、プロの職人に育って欲しい』という高須マイスターの想いが見え隠れしているように感じた。

技術指導の先にあるもの

指導を受ける若手従業員にも話を聞いてみた。

本田さんは約1年前に一宮工業へ転職してきた、若手従業員の1人である。

一宮工業_若手社員
本田さん
「前職は建設関係だったので、この会社に来たときは右も左も分からない完全な素人でした。
技術も経験もありませんでしたが、『ものづくりに興味がある』ということを買っていただいたので、この会社に入社しました。
溶接はまだ3か月と経験は浅いですが、マイスターの高須先生や現場の先輩が細かく指導してくださるので、少しずつ技術は身に付いていると思います。」

自分でも少しずつ上手くなっているのを感じ、今ではより『ものづくり』の楽しさを実感していると言う。

ものづくりの楽しさ

一宮工業には若手~ベテランまで約20名の職人が在籍しているが、新卒も含めると約半数は未経験からのスタートだ。

それが可能なのは、マイスター制度の活用だけでなく、日頃から教育・技術承継の体制が整っているからであろう。

一宮工業の社長である夏目雅敏氏に、当社の“技術指導”に関する考えを聞いた。

一宮工業社長
夏目 雅敏さん
一宮工業(株) | 代表取締役社長
従業員に気さくに声をかける姿が印象的
夏目社長
夏目社長
「縁あって当社を選んでくれた従業員たちには、一流の溶接技術を持つベテランから技術を学ぶ機会を与えたいと考え、マイスター制度の活用を始めました。
手に職がつけば、選択肢も視野も広がります。
従業員たちには、ぜひ上を上を目指して、技術を身に付けて欲しいと考えています。」

高須マイスターは「70歳を超えてもいろんなところから『来てくれ』『来てくれ』と声がかかる」と言っていたが、夏目社長も高須マイスターのような『必要とされる人材』を育てようとしているのだろう。

未来のベテラン職人、募集!!

そんな一宮工業では、現在技能職を募集している。
新卒だけでなく、第二新卒、転職、ブランクがある方でも、『ものづくり』に興味がある人であれば大歓迎だ。

夏目社長
夏目社長
「職人の仕事は、『自分で工夫して手を動かしたことが形になる』仕事です。それが『面白そう』と思える人は、きっと職人に向いていると思います。
全く経験がない人でも、ブランクがある人でも、やりたいことが見つからず苦しんでいる人も、大歓迎です。
手に職を付けてみたい、という方は、ぜひ当社で技術を身に付けてみませんか。

【企業紹介ページ】

【会社概要】
一宮工業 株式会社
本社:愛知県豊川市一宮町上新切510
白鳥工場:愛知県豊川市上長山町白鳥前8
TEL:0533-93-2065
HP:http://www.maroon.dti.ne.jp/icmiya/annai.html